STRIPPED GYPSY 「Troubadours Of Fortune」'23 元ELEMENTS OF DESIGNのメンバーを中心に結成された米国Maryland州最大の都市Baltimoraを拠点に活動していた1991年にシンガーの Rosalie Wampler嬢を中心に結成され、正式なアルバムはリリース出来ぬまま消えていったツイン・ギター4人組80年代風グラムHRバンドが、1992年に録音していた幻のデモ音源がリマスターされ、イタリアのSteelheart Memories Records『The "Lost US Jewels" Collectors Series』の第16弾作として500枚限定リイシューされたのを即GET! 恐らく2000年代初頭頃まで活動を続けたと思われる彼等の簡単なバイオをまずご紹介。 当初、ヴォーカルとギターの Rosalie Wampler(通称 Rose Manfre)、ドラムに Joe Manfre、ベースに Chip Gypsy(通称 John Windsor)、ギターに Scott Leinの4人で結成され、地元のマスコミやファンの間で瞬く間に評判になりインディ・グラムHRバンドとして上々の成功を収めたが、結成から約1年後にギタリストの Scott Leinが脱退し、バンドはそのままメンバーを補充せずスリーピス・バンドとして活動を続行する事に。 この脱退劇は友好的に行われた模様で、バンドはBaltimoraのHigh Heel Studioで、サウンド・エンジニア兼プロデューサーの Arnold Geherとギタリストの Scott Leinと共に7曲をレコーディングし、その後、Maryland州RockvilleのHit & Run Studioで、エンジニア兼プロデューサーの Steve Carrと共に3人編成でレコーディングを続行した事からも良く分る。 このセッションからのトラック集は『Dangerous』と名づけられ、LIVE会場等でデモテープが手売りされたのだろう。 1994年にThe Way It Is RecordsからリリースされたコンピレーションCD『Sirens』に『Dangerous』の一部楽曲が収録されたのがSTRIPPED GYPSYとして初の音源オフィシャルCDリリースに。 順調な活動に思われたがベーシストの John Windsorは『Sirens』のリリース後間もなくしてバンドを脱退し、Rose Manfre嬢と Joe Manfreは新たなベーシスト Eric Wardを迎え入れバンドを続行させた。 STRIPPED GYPSYは米国東海岸一帯・通称Mid Atlanticの数々のクラブで数年間演奏を続けたが、Eric Wardの加入によりバンド・サウンドが徐々に変化していった事もあって、最終的にバンド名をTHROTTLEへ改める。 本デモ音源録音時はギタリストの Scott Leinが80年代を思わすフラッシーなリードプレイをしっかりと演奏しているが、その後の Rose Manfre嬢がギターを兼ねるスリーピース体勢になってからのサウンドはよりシンプルで装飾が少なくなったグルーヴィで縦ノリ重視のストレートなアメリカンHRサウンドへ傾倒していったと思われるので、実際グラム風なサウンドを披露していた時期は初期の短期間に限られたのだろうし、それ故バンド末期には音楽性に合わせてTHROTTLEへバンド名を改めたのではないだろうか? 裏を返せば立ち上げ時のギタリストとベーシストが居なくなった訳だからオリジナル・サウンドの再現は当然困難だろうし、そもそもグラムHRに Rose Manfre嬢はこだわっていなかった故のバンド名変更だったのかもしれませんが急速に変化するメインストリームの流れを掴みあぐねていた葛藤が最大の要因かも? 既に時代はグランジーを経てラフでストレートなガレージ・ロック等がメインストリームを形成しつつあった事もあって、華やかな80年代グラムをベースにキャッチーなアメリカンHRを演るSTRIPPED GYPSYの活動の場はそう多くなかったのだろうが、結局バンド名を変えても彼等の活動に転機は訪れず、星の数程居るインディ・バンド達と同じように自然とその姿を消していく事に…(´д⊂) さて、今回発掘されたマスターテープに収録されていたオリジナルのデモ音源8曲がリマスターされ『Troubadours Of Fortune』というタイトルの未発表アルバムとしてリイシューされた訳だが、マスター・テープの保存状態が良かったのかこの手のデモテープ発掘音源再発モノにしては音質は上々で妙なノイズや音ヨレ等も殆ど無く、かなり上質な発掘音源リイシュー作と言えるだろう。 彼らのスタイルを表現するなら、GUNS‘N'ROSESやL.A.GUNS風のワイルドなストーリート・サウンドとENUFF Z'NUFF風の洗練されたポップ感覚、そしてDOKKEN風の歯切れ良いリフをミックスしたキャッチーでストレートなアメリカンHRの上に、BLONDIEの Deborah HarryとHEARTの Ann Wilsonを足して二で割ったような歌声と言われる Rose Manfre嬢のパワフルなヴォーカルが乗っかる80年代風グラム・ロックと言う事になるだろうが、実際はブルーズ風味やカントリーっぽいフレーバーも多分に漂う70年代から80年代初期まで続いていたオーセンティックな東海岸風アメリカンHRサウンドにLAメタル風のゴージャスで如何わしいイメージをまぶして華やかだった80年代メインストリームに寄せたHRサウンドと言うのが実の所であったように思える。 デモ音源が元なのでリマスター効果にも流石に限度があり音質にもバラつきが有ったりボトムのサウンドも些か軽く抜けの悪い感触ではあるが、十分勢い良く疾走するシンプルなリフとリズミックでワイルドなヴォーカルが織り成すキャッチーで如何にも米国バンドと言うドライ・サウンドのグラム風HRが楽しめ、もし当時に十分なバジェットが与えられしっかりとしたプロデューサーの元で制作されていたならキャッチーさも切れ味鋭いワイルドさも三割増しな小気味よい掘り出し物のB級アメリカンHR作を届けてくれていたんでは、と妄想は尽きません… 女性らしい清楚なキュートさを感じさせる所はBLONDIEの Deborah Harryを思わせ、艶やかでパワフルさを感じさせる所はHEARTの Ann Wilsonを思わせる、その2人を足して二で割った様な伸びやかでワイルドな歌声と評される Rose Manfre嬢のヴォーカルだが、実際は少しハスキーでザラつく荒れた声質でフィメール・ヴォーカルにしては低めなレンジも十分活用している事もあって如何にもストレートなアメリカンHRが似合いそうな、どちらかと言えば Ann Wilson成分の方が多目なバランスの歌声な様に個人的には思うが、フィメール・ヴォーカルモノが得意ではない私の感想は余りアテにならないかもしれないのでその辺りはご興味ある方がご自身の耳で確かめて欲しい(汗) とまれワイルドでハスキーな歌声が映える女性シンガーをフィーチャーした80年代風グラム・ロックがお好みな方や既述したバンド名にピピッと来た方は一度チェックして見てもいいかもしれない、そんな幻のデモ音源リイシュー作であります。 Tracklist: 01. See Ya Later 02. Summer Lover 03. Sweet Talker 04. Medicine Man 05. Blind Trust 06. Sex Is Dangerous 07. One Of Those Times 08. I'll Remember You STRIPPED GYPSY Line-Up: Rosalie Wampler (Vocals、Guitars、AKA Rose Manfre) Joe Manfre (Drums) Chip Gypsy (Bass、AKA John Windsor) Scott Lein (Guitars) with: Julie Smith (Piano on Track 7)
by malilion
| 2023-12-14 22:14
| 音楽
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