NITRATE 「Feel The Heat」'23 英国Nottinghamを拠点に活動するミュージシャン Nick Hogg (Bass & Keyboards)が2015年に結成したキーボード入りツインギター6人組メロハー・バンドが、前作『Renegade』から約2年ぶりに4thアルバムをリリースしたので即GET! これまではアルバム毎にシンガーを変えてきた Nick Hoggだが、本作は初めて前作に引き続きフロントマンに Alexander Strandell (ART NATION、CROWNE)を据え、さらに前作からプロジェクト初期からの相棒 Rob Wylde (MIDNITE CITY、TIGERTAILZ、TEENAGE CASKET COMPANY)に代わり新たな相棒となった元VEGAの Tom & JamesのMartin兄弟も引き続き参加と、これまで本プロジェクトに参加するミュージシャンが欧米を股にかけて多岐に渡っていた訳だが初めて中核メンバーを固定しての作品となった注目作だ。 デヴュー作、2ndと Nick Hoggが影響を受けて来たであろうBON JOVI、JOURNEY、BAD ENGLISH、DEF LEPPARD、MOTLEY CRUE、EUROPE等の80年代ヘア・メタルをはじめ80年代にチャートを賑わしたアリーナ・ロックや80年代産業ロックの特徴であるキャッチーでフックあるサウンドが4割り、残り6割りを欧州らしい哀愁感と透明感を湛えたウェットなメロディや英国バンドらしい叙情感あるアレンジ等の要素を上手くMIXした、ブリティッシュ・バンドらしいエッジも保ちつつ派手さ抑え目の聴き心地抜群なメロハー・サウンドであったが、前作でシンガー Alexander Strandellが持ち込んだであろう叙情感と透明感ある北欧テイストや楽曲創作の中核を成す Tom & JamesのMartin兄弟が持ち込んだアーバンテイストなAOR要素が強くサウンドに反映された80年代風サウンドから一歩進んだモダンなタッチが活かされたメロディアス・サウンドへ進化した姿を提示した訳だが、モダンでスムースな洒落たAORタッチはそのままに前作で示したモダン化に逆行するかのように80年代テイストを強めた初期の作風が強く感じられるメロディアスなアルバムとなっている。 無論、単なる原点回帰作ではなく、昨今流行りのシンセウェヴ風な80年代UKポップを思わすメカニカルで華やかなシンセ・ワーク等も随所で活かされており、前作と同一路線ながらUSA要素に加える6割りの英国要素の中身が80年代UKポップ等へ変わり、さらに北欧テイストが幾分か弱まった、基本スタンスは変化させずアレンジや表現するサウンドのタッチを絶妙に変化させただけ、とも捉える事が出来ると思うので初期の作風や前作が気に入っていた方でもきっと満面の笑みを浮かべる事だろう、これまで同様に80年代的アリーナ・ロック志向な細部までバランスを考慮し練り上げられた極上のメロハー作に仕上がっているように思う。 この手の特に奇をてらった驚きの要素や最先端のモダンサウンドでない、ベーシックで王道なメロディアス作となると楽曲の出来具合やサウンドのマンネリ化が心配される訳だが、本プロジェクトはこれまで頻繁に参加ミュージシャンをチェンジする事で音楽性の新鮮味を保っているのでマンネリ化について問題は一切無く、後は楽曲の出来具合のみが注目点と成る訳だが Nick Hoggをはじめ Tom & JamesのMartin兄弟、そしてシンガー Alexander Strandellのバックグラウンドである80年代メジャー・アクト達の披露してきた楽曲にも決して引けを取らぬ、ゴージャス且つキャッチーでフックある美旋律と洒落たアレンジが効いたコンパクトでブライトな素晴らしい楽曲ばかりでアルバムが埋め尽くされているのを、本作のスタイリッシュな高品質サウンドを耳にした方ならば誰にでも納得して頂けるに違いない。 また、初期の相棒 Rob Wyldeも本作の楽曲制作に加わっており、さらに前作のデモ・ヴォーカルを務めた James Martinの奥方 Issaが本作では Alexander Strandellとデュエットを披露するなど初めてその美声を聴く事が出来るだけでなく、前作からFrontiers Recordsと契約した事から同レーベルを中心に表に裏にと八面六臂の活躍をしているワーカホリック・イタ公(笑) Alessandro Del Vecchioがマスタリングを手掛けていた縁で彼がバッキングヴォーカルで全面的に参加していたが、本作のバッキングヴォーカルには元DANGER DANGERで現在はTHE DEFIANTSのフロントマンとして活躍している Paul Laineが参加と、メロディアス愛好家ならニンマリしてしまうメンツが参加しているのも見逃せぬポイントだ。 Nick Hoggを筆頭にコア・メンバーは継続して参加しているのはお伝えしたが、本作から無名のリードギタリスト Richard Jacquesが迎えいれられ、ラップバンドやジャズ、クロスオーバー・エレクトロ・ポップなど無数のセッションやプロジェクトに参加してきた英国人マルチ・インストゥルメンタリストで、前作でキーボードやギターもプレイしミックスも手掛けてサウンドのモダン化に一役買ったドラマー Mikey Wilsonが姿を消し、代わって以前ここでアルバムを紹介したブリティッシュHRバンドDEVILFIREを率いる元HANGING DOLLSのドラマーであり、SHY、Spike Of The QUIREBOYS、GINGER等のアーティスト達のプロデュースも務めて来た英国人ベテラン・ミュージシャンでシンガーの Alex Cooperが本作からドラムを叩いており、デヴュー作からアンダーグラウンドで活動を続ける英国ミュージシャンを中心に参加させるスタンスに変わりはないようで、この手のプロジェクトを簡単に売ろうと有名ミュージシャンを安直に参加させる愚策を犯していない点でも安心でき、英国人 Nick Hoggの矜持を感じるバンド・プロジェクトと言えよう。 ちょっと心配になってくるのはNITRATEが余りに素晴らしいアルバムをリリースしたので、本作で伸びやかで透明感ある見事なハイトーン・ヴォーカルを聴かせる Alexander Strandellがこのままこっちに軸足置いたらどうしよう、ART NATIONは開店休業みたいな状況になり易いしなぁ、とか勝手な事を考えてしまいます(汗 HR風味が強いメロハー・サウンドがお好きな方には本作は少々軽めであっさりしたポップス要素やAORテイストを強く感じてお気に召さないかもしれませんが、キャッチーでフックあるメロディアス・サウンドの仕上がり具合は前作以上に優れているのは疑いの余地がありませんので、あと一歩でA級に迫る勢いな彼等の新作のサウンドを是非一度ご自身の耳で確かめてみてください。 Track List: 01. Feel the Heat 02. All the Right Moves 03. Wild in the City 04. Needs a Little Love 05. One Kiss (To Save My Heart) (featuring Issa) 06. Live Fast, Die Young 07. Haven't Got Time For Heartache 08. Satellite 09. Strike Like a Hurricane 10. Big Time 11. Stay 12.One Kiss (Acoustic Version = Bonus Track for Japan) NITRATE Musiciens: Nick Hogg (Bass Guitar) Alexander Strandell (Lead Vocals) Tom Martin (Rhythm Guitars) James Martin (Keyboards) Alex Cooper (Drums) Richard Jacques (Lead Guitars) Produced By Tom & James Martin Mixed By Tom & James Martin P.S. サイバーなイメージのアルバムジャケットのデザインが本プロジェクトの基本イメージな模様ですが、正式採用されたアルバムジャケは少々暗めな彩色にされており、一時期新作情報でインフォされていた時の明る目なアメコミ風の色合いでも良かったのにな、とは個人的には思います。 またSpotify等の配信用画像でメチャ Alexander Strandellがイケメンで中心人物のように表現されているのを見て爆笑してしまいました。 イヤ、フロントマンだしシンガーだからピックアップされるのは不自然じゃないんですけど、余りにボーイズグループみたいなキメ顔だったんで(w
by malilion
| 2023-11-07 15:34
| 音楽
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