RAINMAKER 「Same」'00 北欧スウェーデンきってのワーカホリック・AOR&メロハー職人&プロデューサー Tommy Denanderが、Geir Ronning (SAYIT、DEACON STREET PROJEC)、Tony Franklin (ex:THE FIRM、ex:BLUE MURDER、etc..) 等と結成したHRバンドが2000年にZ RECORDからリリースした唯一作が2023年度リマスター、新アートワーク、一般卸販売を行わないPride & Joy Musicショップ限定販売、さらに500枚限定プレスでPride & Joy Music Classixx第二弾作としてリリースされたのを即GET! オリジナル盤はマイナー・レーベル Z RECORDからのリリースと言う事もあって長らく市場から姿を消していた、ミュージシャン Tommy Denanderを後から追いかける事になったメロハー・マニア泣かせだった一枚が今回限定の弱流通盤とはいえ遂にリイシューされその筋の方は喜んでいる事だろう。 Tommy DenanderはTOTOリスペクト感の強いプログレ・ハ ード・バンドREDIOACTIVEや、REDIOACTIVEやSAYIT、SPIN GALLERY、HOUSTON等への楽曲提供や演奏でその後も長らく活動を共にする盟友である鍵盤奏者 Rickey B Delinと組んだメロハー・バンド PRISONORをはじめ、AOR、メロハー、HM、プログレ・ハード、各種セッション等とその活動は欧米のみならず全世界を股にかけ多彩なジャンルで多岐に渡り、恐らく彼自身もどこで何に関わり誰と録音したのか正確に把握していないんじゃないかと思う程大量の音源を同時期に数多く提供していた頃に結成したメロディアス・バンド(結果として単発に終ったのでプロジェクト扱いか?)がRAINMAKERであります。 REDIOACTIVEやSPIN GALLERY、PRISONOR、Tommy Denander主導ではないがHEARTBREAK RADIOなど、彼の関わって来たバンドやプロジェクトはリリース期間が開いても大抵好評を博していた為か複数枚アルバムがリリースされて来た訳だが、今回リイシューされた本作RAINMAKERはアルバムを一枚しか(2nd制作の情報が流れた事があったが結局消滅した模様…)残していないのを見ても分かるように余り良い評価を下されなかったバンドで粗製乱造ではないが悪くはないものの他のプロジェクトやバンド作と比較すると強烈な個性が有る訳でもなく、特に酷い出来でもないけれども中庸で凡作といったイメージの一作で、私自身も今回のリシュー・インフォを見るまでその存在を完全に忘れておりました(汗 リリースした時期が時期だったしグランジーの嵐吹き荒れる00年代はメロディアス作にとって宜しくない状況故に内容どうこう以前に市場にアピール出来なかったのも大きいかったかもしれませんが… レコードラックの奥から引っ張り出して今回久しぶりにオリオジナル盤を聴き直してみても当時の印象は変わらず、一般卸販売を行わないPride & Joy Musicショップ500枚限定販売と言う事や今回のリイシューに際してこの手のアイテムに付き物のボーナストラック等の類いが一切収録されていない事実を見てもレーベル側も然して売り上げが見込めぬ、余り制作に金を掛けたくないコレクター向き作品と思っているのが伺えるマニアックで不遇な一枚なのは間違いない。 まぁ、逆に言うと良くぞリイシューしてくれたとも言え、恐らくもう二度とリイシューされぬ可能性も高いので、Tommy Denanderファンな方は早々に入手しておいた方が無難な一枚とも言えるだろう。 散々にネガティヴな事を書き連ねましたが今回のリイシューで嬉しい事もあり、オリジナル盤のマスタリングは Tommy Denander自身も『凄く悪い』と語っていたサウンド(バジェット的な問題? でも自身がミックスとプロデュースしたのに…)でしたので、今回の最新リマスターでその問題が幾分か改善されたのはオリジナル盤をお持ちだったファンの方に嬉しいニュースでしょう。 売りだった Tony Franklin のベース・プレイを際立たせる為かボトムのサウンドの芯がハッキリしてパワフルでクリアな印象が強まり、各楽器の分離もより立体的で奥行が増し、少々前に出過ぎていたギター・サウンドを幾らか控え目にしつつヴォーカルとコーラスにより重点を置いた、ポップネスをより強く感じられるバランスを意図したリマスタリングになっている様に思えます。 内容的にTOTOリスペクトな Tommy Denanderの嗜好が大きくクローズアップされた作風で、彼のテクニカルでエモーショナルなギター・プレイをタップリとフィーチャーしたキャッチーな80年代風メロディアスHR作なイメージを主軸に、随所で産業ロック風なタッチや仄かに香るプログレッシヴなテイスト、そしてお約束のアコースティカルなバラードやブルージーな渇いたギターの官能的な音色やスリリングな速弾きプレイが楽しめたりと、ちょっと灰汁のある苦り声でパワフルな熱唱を轟かす Geir Ronningのヴォーカルと爽快で分厚いコーラスが効いたバランス重視のソツないギター・オリエンテッド・アルバムに仕上がっており、殊更に悪評を下される様な作品ではないと思うのですが、やはり同時期にリリースされた作品や彼がその後にリリースしてきた多彩な作品群と比べると些か普通、ベーシックで刺激の弱いアルバムと捉えられたのと、弱小レーベル故にアルバムへのフォローアップやバックアップが弱かったのが災いしたのかその存在を今日まで長らく忘れられて来た幻の一作と言えるのではないでしょうか? とは言え00年代のメインストリームの状況を横目で確認していたのか幾分かダークなテイストも漂っているし、能天気な80年代USヘア・メタル風味はそこまで強烈でなく、かといってバリバリ売れ線狙いのドキャッチーでラジオフレンドリーなAOR風のガッチリ創り込まれた作風でもない、オールドスクール寄りでもなく最新トレンドに接近した訳でもない中途半端な路線とも言えますので話題にならなかったのもむべなるかなであります。 名手 Tony Franklin のベース・プレイが余り耳に入ってこない点はちょっと残念ながら、本作の音楽スタイル的に合わせてか派手なリードプレイやファンキーなソロ・プレイなんぞを無理にゴリ押しせず、メロディアスなバッキングを構成する要素やさり気ない洒落たプレイでサウンドの彩りを増やすのに徹しているベテランらしいソツないプレイがらしいと言えばらしい? また、今回リニューアルされたジャケットアートワークですが、バンド名を現わすネイティヴ・アメリカンの祈祷師を描いた本リイシュー盤の直接的な表現(Tommy Denanderのデザインなんだよなぁ…)よりもオリジナルの示唆に富んだ洒落たセンスあるデザインのジャケの方が本作のモダンでキャッチーなメロディアス・サウンドにマッチしていたと思うので個人的には改悪にしか思えませんが、そもそも今やオリジナル盤を殆どの人が所有してない状況なので大した問題ではないかもしれませんね…(汗 後はクレジットが改められていて当初ちゃんとメンバーであったドラマー Walter Degoが今回のリマスター盤ではヘルプ要員へ格下げされちゃったのは如何なものかと思うんですが、今さらセールスに繋がらないとデザインを変更したの? ウーン、なんだかちょっと不条理じゃありません? とまれ Tommy Denanderファンは勿論、既述のバンド作を気に入っている方も一度は本作のサウンドをチェックしてみて欲しい、そんな幻のメロディアス・アルバムであります。 Track List: 01. Rainmaker 02. Father Of Your Sins 03. Nancy Hold On 04. Kay 05. Seriously 06. The Sound Of My Heart 07. Going Insane 08. Blood Brother Run 09. Passion Again 10. Bad Call 11. King Of Fools RAINMAKER Line-Up: Geir Roenning (Lead & Backing Vocals) Tommy Denander (Guitars、Keyboards、Bass & Programming) Tony Franklin (Bass) Walter Dego (Drums、Percussion) Produced by Tommy Denander
by malilion
| 2023-10-18 14:59
| 音楽
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