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プログHMバンドCANNATA率いる Jeff Cannataが記念すべきメジャー・デヴューを果たしたUSバンドARC ANGELの1stが最新リマスター&リイシュー!

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ARC ANGEL 「Arc Angel + 3」'23

マルチ・ミュージシャン Jeff Cannata (Christopher Hawke名義でJASPER WRATHに在籍)とキーボーディスト Michael Soldanの元JASPER WRATH&元ZOLDAR & CLARKメンバーによって1982年に結成され米国コネチカット州ニュー・ヘヴンを拠点に活動していたプログレ・ハード・バンドが1983年にPortrait/CBSレコードからリリースしたデヴュー・アルバムがフランスのマニア御用達レーベル BAD REPUTATIONから2023年度リマスターを施されボーナストラックを3曲追加して待望のオフィシャル・リイシューが成されたので即GET!

因みに Christopher Hawkeは Jeff Cannataが最初に結成したトリオ・バンドの名前で、アルバム・プロデュース名義に使用したりしていた愛着ある名なのだろう。

既に何度かリイシューが繰り返されている80年代USプログレ・ハードの名盤でありますが、後に自身のソロ・プログHMバンドCANNATAを率いる Jeff Cannataや後にUSメロディアスHMバンドHOUSE OF LORDSへ加入し今もバンドを率いて活動中なシンガー James Christian、そして後にBON JOVIでも活動するセッション・ベーシスト Hugh John McDonaldがアルバム制作にセッション参加した事で有名な一枚で、意外と最近HMを聴き始めた若いリスナーは彼等のキャッチーで素晴らしい80年代USプログレ・ハードに通じるメロディアス・サウンドを耳にした事の無い方も多いのではないだろうか?

米コネチカット州ニュー・ヘヴンをホームに活動していたプログレッシヴ・ロック・バンドJASPER WRATHは1969年に結成され、メンバーは Michael Soldan (Mellotron、Synthesizer、Vocals)、Christopher Hawke (= Jeff Cannata、Drums、Guitars、Winds、Vocals)、Robert Giannotti (Vocals、Flute、Guitars)、Phil Stone (Bass、Flute、Vocals)の4人がオリジナルメンバーで1971年にデヴュー・アルバムをリリースし1976年まで活動を続けローカルバンドながら地元で人気を博した。

1976年にJASPER WRATHにリード・ヴォーカリスト James Christianが加入し、他に Scott Zito (Guitars、Vocals)、Jeff Batter (Piano、Synthesizer、Vocals)の2名の新メンバーも加わって7人所帯の大編成バンドへ生まれ変わると、ニュー・ヨークへ活動拠点を移したのに合わせてバンド名をZOLDAR & CLARKへ改名する。

1977年にUSA Dellwood Recordsからリリースされた唯一作のオリジナルLPはメジャー・クオリティーを誇る隠れた名盤として有名で高額コレクターズ・アイテムとしても知られており、フルートを活かした穏やかなアート・ロックという些か野暮ったさが隠せなかったJASPER WRATHの60年代風味も香るサウンドから、一気にYESタイプのテクニカルでパワフルにハードドライヴィンする70年代プログレッシヴ・ロックへ様変わりしており、Chris Squire張りのブイブイ唸る硬質なベースと手数が多くアタック感の強いドラムのリズム隊が生み出す疾走感あるアグレッシヴなボトムの上で、STYX風の分厚く伸びやかなコーラスが乱舞し、メロトロンを筆頭にシンセやピアノが絡み合うツイン・キーボードが生み出す重厚で華麗な、時に野太く不愛想に畳みかける音数多い濃厚で暑苦しい鍵盤サウンド、ワイルドでハードエッヂな癖の強いギター・プレイ、イタリアン・プログレ風に屈折した楽曲展開を強引なパワー圧しで突き進む所などは独特で、同時に米国バンドらしい抜けの良い爽快さも持ち合わせつつ、メロトロン、そしてフルートが楽曲を彩るセクションは欧州的な叙情感を醸し出しており、煌びやかなキーボード・サウンドも相まって硬質で疾走感ある進化したアートロックとでも言うハード・サウンドは終始バタついていて完成度的には70年代英国のプログレ・バンドの巨人達に大きく劣るが、なんとも言えぬ個性的な味わいのある美旋律の数々は実に興味深く、混沌とした70年代初期ヘヴィUSプログレ好きな方は是非チェックしてみて欲しい。

非常に残念なのは音楽形態的にリード・ヴォーカルの James Christianの歌声が聴けるパートが少なく『あんなに上手いヴォーカリストを迎えておいて、なんて宝の持ち腐れなんだ!』と本作を初めて耳にした時は憤慨しましたが、よく考えてみればこの時点ではまだまだキャリアも浅い新人シンガーな James Christianでしたから、現在のような絶品の歌唱力がまだ覚醒していなかったのかも、と思い直し、この時点では典型的プログレ・バンド的なヴォーカルの起用方法が丁度良かったのかもしれません…

アルバムは力作であったものの70年代英国プログレの後追いサウンドでは頭角を現わす事は叶わず、残念ながらZOLDAR & CLARKは成功する事なく解散し、Jeff Cannataと Michael Soldanは当時のUSメジャー・シーンの流れ(KANSAS『Point Of Know Return』'77、STYX『The Grand Illusion』'77、BOSTON『Don't Look Back』'78)を鑑みて、よりメジャー受けす音楽の作曲を開始する。

1980年代初頭、Jeff Cannataと Michael SoldanはCBSレコードのスタッフに新曲をいくつか披露すると、CBSはこのデュオ『ARC ANGEL』を気に入り、レコーディング契約を結ぶ。

契約を手に入れたのはいいが折角の楽曲を演奏しレコーディングするバンドが存在しなかった為、2人はTHE ALAN PARSONS PROJECTと同様に大勢のセッション・ミュージシャンを集めてアルバムをレコーディングする選択をする事に。

Jeff Cannataが遂にリード・ヴォーカルとギター、ベース、ドラムを担当し、Michael Soldanがキーボードとバッキング・ヴォーカルを務め、元JJASPER WRATHのバンドメイトである Robert Giannottiがアコギ、エレキ・ギター、フルートで参加し、元ZOLDAR & CLARKの James Christianはバッキング・ヴォーカルで参加、同じく元ZOLDAR & CLARKの Jeff Batterがピアノ、さらにセッション・キーボーディストの Jeff Bovaと セッション・ベーシストの Hugh McDonald等をはじめ数多くのセッション・ミュージシャンがアルバム制作に参加している。

本作からは、80年代を象徴するMTV用のビデオクリップが制作され、ビデオ用のバンド編成は Jeff Cannataと Michael Soldanに加え、バックバンドとして地元コネチカット州のロックバンドCRYER(Jay Jesse Johnson [G]、Steve Shore [B]、Jeff Zajac [Ds])が登場しパフォーマンスを披露した。

ZOLDAR & CLARKの混沌としたパワフル・サウンドから想像もつかぬ、洗練されたアレンジとキャッチーでメロディアスな商業的成功が目論まれている事が容易に分かるフック満載でラジオフレンドリーなARC ANGELのそのコンパクト・サウンドは、全編で鳴り響く煌びやかなキーボードとハードエッヂでメロディアスなギターをフィーチャーしつつ、ハイ・センスな洒落たヴォーカル・メロディと爽快なハイトーン・ヴォーカル、そして分厚くキャッチーなコーラスを主軸にテクニカル且つシンフォニックなセンスも活かして展開する、メインストリームを賑わすお手本バンドをかなり研究したのが良く分かる隙無い創りで、NEW ENGLANDやSAGA、Jon Ellefante在籍時の後期KANSASやメガヒットを連発するBOSTON等にも通じる北米プログレ・ハードをベースにコマーシャリズムを強く意識して磨き抜いた、80年代ポップスのスタイリッシュさと伝統的プログレ・テイスト香る技巧的メロディが絶妙に溶け合った美旋律の数々が実に印象深くいつまでも心で眩く響き渡る、80年代USメロディアス・ロック愛好家なら必聴の一作と言えるでしょう。

当時は最新だったシンセのサプリングやSFチックなSEが今やとんでもなく古臭く、逆に新鮮に聴こえてしまうのはご愛敬だ(w

ただ、ユーロ圏では本作は評価が高く好セールスを記録したものの米国ではBOSTONやKANSASのフォロワー・サウンドと否定的に捉えられて不評に終ってしまう。

確かにBOSTONやKANSASを思わすサウンドも聴こえるが、より洗練されたスムースでアーバンな雰囲気は両バンドからは余り感じられないし、もっとポピュラー・ミュージック寄りな感触のAORにも接近したメロディアスでキャッチーなサウンドだったのだが、一体本作の何がご不満だったのか評論家の方々は理解に苦しみます(´A`)

残念ながら Jeff Cannataは本作のみでこの路線を止め、ARC ANGELというバンド名も使用するのを止め、CANNATAとして以降長らく活動する事になってしまう訳ですね…

本作に招かれたミュージシャン達は誰もが素晴らしい仕事ぶりで2人を盛り立てており、もしARC ANGELのデヴュー作が成功を収めていたならばひょっとして参加していたセッションマンの誰かがパーマネント・メンバーとして招かれ、以降のミュージシャン人生も大きく変わっていたかもしれないと思うと残念で仕方がありません。

因みにギタリスト Jay Jesse JohnsonはCRYER解散後も Jeff Cannataのアルバム制作に関わっており、現在ではソロ・アルバムをリリースしつつブルーズ・ギタリストとして米国を中心に活躍を続けている。

面白いのは当時のメインストリーム・バンドの多くがそうだったからなのか、お手本バンドの多くがそうだったからなのか、Jeff Cannataがかなりハイトーン・ヴォーカルで歌っており、その後のアルバムはもっとミドルレンジ主体で彼本来の穏やかでスムースな味わい深い歌声を披露する事になるのですが、本作の時点では頑張って高いレンジの歌声を聴かせてくれており、その点だけとっても本作は彼の残してきたカタログ内でも異色の一作と言えるだろう。

まぁ、ARC ANGELのデヴュー作が不評だったのと経年でもう高い声が出ないので二度と本作の様な方向性のサウンドを創作しなくなってしまったのかもしれませんけど…出来る事ならばもう一度、本作のメチャクチャにキャッチーでコマーシャリズムが際立ったコンパクトサウンド作を聴かせて欲しいものであります。

近年になって再びARC ANGELとしてのアルバムをリリースするようには成りましたが、もうそこには Michael Soldanの名は無く、CANNATAと同じく Jeff Cannataのワンマン・プロジェクト・バンド(本人的にはCANNATAはプログレ、ARC ANGELはメロディアスロックと区別してる模様)となってしまったのでした…orz

今回追加されたボートラは以前にも収録された事のあるKING CRIMSONの”In The Court Of The Crimson King”のカヴァーを含む3曲がボーナス収録されており、リマスター効果でシャープでクリア、そしてパワフルに蘇った説明不要の傑作メロディアス作を是非ご自身の耳でお確かめください。

キャッチーな80年代USプログレ・ハード・バンド作やBOSTON、KANSAS、TOTO、ASIA等がお好きな方ならきっと気に入る事請け合いであります♪ (゚∀゚)

Track List:
01. Stars
02. Tragedy
03. Wanted : Dead Or Alive
04. Used To Think I'd Never Fall In Love
05. Rock Me Tonight
06. Before The Storm
07. Sidelines
08. Confession
09. Just Another Romance
10. King Of The Mountain

Bonus Tracks:
11.In The Court Of The Crimson King
12.Big Life
13.Space Oddity

ARC ANGEL Line-Up:
Jeff Cannata   (Lead & Backing Vocals、Electric & Acoustic Guitars、Bass、Mellotron、Synthesizer、Drums)
Michael Soldan (Keyboards & Backing Vocals)

with:
James Christian   (Backing Vocals)
Jeff Batter      (Acoustic Piano)
Robert Giannotti   (Lead Guitars、Electric & Acoustic Guitars、Flute)

Jeff Bova      (Oberheim Electronics [OBX])
Doug Katsaros    (Piano)
Jay Rowe      (Piano)
Brent Diamond   (Synthesizer)
David Wolff      (Synthesizer)
Scott Spray      (Bass、Bass Synthesizer)
Jim Gregory     (Bass)
Chuck Brugi Ill    (Bass)
Hugh McDonald    (Bass)
Brian Wise      (Guitar)
Kevin Nugent     (Guitar Solo on Tracks 1、3、7)
David Coe      (Electric & Acoustic Guitars)
Jay Johnson     (Lead & Rhythm Guitars、Guitar Solo on Tracks 10)
Jay Jesse Johnson  (Lead & Rhythm Guitars、Guitar Solo on Tracks 5、6)
lennie Petze     (Electric Harp on Track 8)
Ron Bacchiocchi   (Drum Programming on Track 1)
Frank Simms     (Backing Vocals)
Tony Aiardo     (Backing Vocals)
Jayeanne Sartoretto (Backing Vocals)

Produced & Arranged by Jeff Cannata



by malilion | 2023-09-23 17:55 | 音楽 | Trackback
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