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北欧スウェーデンから期待の新星登場! レトロ・フューチャーなメロディアス&AORバンドWEST ALLEYがデヴュー作をリリース!

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WEST ALLEY 「A Night To Remember」'23

北欧スウェーデンはイェーテボリ出身のキーボード入り4人組80年代風メロディアス&AORバンドが、ドイツを拠点とするレーベル Pride & Joy Musicからデヴュー作をリリースしたので即GET!

新人バンドとは言っても実は彼等は80年代後半に数年活動していたインディ・バンドで、90年代に入ると周知の様にメジャー・シーンがグランジーの闇に呑まれ、世界各地で同時期にデヴューした80年代風直系のキャッチーで華やかなメロディアス・サウンドを演奏する他のバンド達と同様に厳しいアゲンスト状態に置かれ、結局大きな展開を望めぬままバンド消滅なアルアルの流れであったのだが、2019年に数十年来の友人である元メンバー達が再会すると、当時数多くの曲を創作したが結局一度も形として残される事が無かったマテリアルをレコーディングし、もう一度当時の楽曲とバンドにチャンスを与えよう、と盛り上がって今回のバンド復活とアルバムリリースへ繋がったのであった。

元々80年代当時のUSメインストリーム・ミュージックであったJOURNEY、TOTO、SURVIVOR、FOREIGNER、KISS等のバンドに触発されただけでなく、70~80年代米国ウェストコースト影響下なクラシックAORのエッセンスや70年代から北欧で根強い人気を保っている英国HR要素をもMIXした洗練されたハードポップ・サウンドを鳴らしていた彼等、当時の楽曲を初レコーディングした本作に当然それは受け継がれている訳だが、面白いのは意図せずに90年代グランジーに毒されておらぬ、ノスタルジックでセンチメンタル、ブライトでキャッチーな混じりっけ無しの80年代直系ピュア・メロディアス&AORサウンドを、まるでタイムスリップして来たかのように奏でている事だろう。

ミドルレンジ中心で感情豊かな歌声を聴かせるリード・ヴォーカルとメンバー一丸となった幾重にも重なるハートウォーミングなコーラスに彩られたフック満点な爽快感ある美旋律、AOR風の華やかで透明感ある洒落たシンセ、軟弱になりがちなサウンドを引き締める硬質なエッヂあるロック・テイストなギターにタイトで堅実なリズムワークと、全てが80年代USメジャー・シーンを向いているのだが隠しようもなく北欧バンド定番な郷愁漂い咽び泣くかの様な哀愁香るウェットな旋律が全編に渡って美しく響いており、メジャーに成り切れぬマイナーなタッチがメロディアスで親しみやすい雰囲気とブライトでキャッチーな歌モノ寄りバランスなサウンドのそこかしこで顔を出して、それが逆に独特な味わいと新鮮な魅力を生む化学反応を起し、クラシックなAORの精神を詰め込みつつもエネルギッシュな高揚感とポジティヴな印象のハードポップ・サウンドをダイナミックに輝かせている。

ヴォーカルを兼ねる Magnus Bjorkrothが操る鍵盤から飛び出してくるフレーズやバッキング・メロディが実に80年代テイスト(頑張って洗練された風を装ってるケド北欧特有の芋臭さが鼻に突くがソコも味になってる!)を醸し出していて、耳にした瞬間に80年代の想い出の数々が猛烈に蘇ってくる絶妙にノスタルジックなキーボード・サウンドだけでお腹一杯になってしまう、もうホント大満足(w

無論、何もかも全て手放しで絶賛出来るかと言うとそうでもなく、音楽形態的にそこまで大きなデメリットには至っていないが些かパワー不足な感が否めず所々でアマチュア臭い垢抜けなさを感じさせる Magnus Bjorkrothのヴォーカルスキルや、その Magnus Bjorkroth主導によるプロデュースが成された本作のサウンドは、矢継ぎ早にデヴューしてくる活きの良い欧米メロハー・バンド達のカッチリとプロデュースされた高密度サウンドを聞き慣れた耳にはどこか音の輪郭がボヤけてパンチ力の欠けたサウンド(ちょっとヴォリュームが低め?)に聴こえ、スウェーデンのValvet StudioでレコーディングされPanorama Musicの Joakim Styrenがマスタリングを手掛けたプロダクションのクオリティの足を引っ張っているように思えます…

とは言え昨今デヴューした新人バンド達が80年代への憧憬を色濃くサウンドに滲ませているのと違い、彼等はリアルタイムでその時代を経験してきた為に奏でるメロディや滑らかなヴォーカル、そして巧みに練り上げられた楽曲等に若いバンド達が闇雲に向ける80年代への想いは薄く、しっかりと今風のモダンなタッチやリラックスした洒落たAOR風アレンジも聴かせつつ自らが影響を受けたバンド達のサウンドを己の血肉へと時間を掛けて完全に昇華した洗練されたユーロ・ハードポップを豊かな響きとノスタルジックなサウンドで余裕タップリに紡ぐ様には、ベテランの落ち着きと風格さえ感じられて心憎いくらいだ。

まだ本格的な活動を開始したばかりの古くて新しい新人バンドな訳だし、本作は80年代の未発音源を再録した過去の残響の結晶でもある訳で、今後どのように現在のシーンを反映したサウンドを聴かせてくれる事になるのか、遅れて登場する事となった才能豊かな4人のメンバー達が生み出す北欧ハードポップ・サウンドを早くに堪能出来る事を願いたい。

Track List:
01. What A Night To Remember
02. Good Times
03. Fortune & Fame
04. Miracles Can Happen
05. Give Me Just A Little Time
06. Warning
07. How Many Hearts
08. Higher
09. Angels
10. Colors Of Love
11. Feel Like A Clown
12. It All Begins Where It Ends

WEST ALLEY Line-up:
Magnus Bjorkroth   (Lead Vocals、Keyboards)
Niclas Lundstrom    (Guitars、Backing Vocals)
Jack Nielsen      (Bass、Backing Vocals)
Jonas Michaneck     (Drums、Artwork)

Recorded & Mixed & Produced by WEST ALLEY
Mastering by Joakim Styren




by malilion | 2023-09-09 19:20 | 音楽 | Trackback
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