人気ブログランキング | 話題のタグを見る

00年代初期に活躍したUSプログHMバンドICE AGEが19年ぶりに再結成第一弾3rdアルバムをリリースし復活!

00年代初期に活躍したUSプログHMバンドICE AGEが19年ぶりに再結成第一弾3rdアルバムをリリースし復活!_c0072376_17512309.jpg
ICE AGE 「Waves Of Loss And Power」'23

2000年代初期にニューヨークを中心に活動していたロングアイランド出身のキーボード入り4人組USプログHMバンドICE AGEが、解散前にリリースしたEP『Little Bird』'04 以来19年ぶり(!)となる再結成第一弾3rdアルバムをリリースしたので即GET!

1999年当時、彼等のデヴュー作をリアルタイムで耳にしていた方には意味がないかもですが、久しぶりにアルバムが届いたのでまずは彼等のバイオからご紹介。

クラシックの教育を受けた Josh Pincus (Vocals、Keyboards)と Jimmy Pappas (Guitar)が大学で1991年に出会い、RUSH、KANSAS、STYX、JOURNEYといった共通のフェバリット・バンドという音楽趣味と80年代HRやHM、クラシック・ロック、そしてプログレッシヴ・ロックに対する情熱で意気投合した2人が活動を共にする事から本バンドの歴史はスタートする事に。

続いてドラマー Hal Aponteが加わり、最後にベーシストに Brian McKayを迎え、キーボード入り4人組USプログレハード・バンドMONOLITHを1992年に結成し活動を開始。

インディ・バンドの例に漏れずニューヨークを中心にアンダーグラウンドな活動を展開する中でMONOLITHは自主制作盤アルバム『Lost』を1996年にリリースするが、その時点で既に当時プログレHM流通のトップ・レーベルであった Mike Varney率いるMagna Carta Recordsと契約を結んでバンド名をICE AGEへと変更。

キーボーディスト兼任のヴォーカリスト Josh Pincusの声質や歌唱スタイルが元STYXの Dennis De Youngに酷似しており、キーボードの音色や音楽性的にもMONOLITHとして活動していた当時はSTYXフォロワー的サウンド(バンド名的にKANSASフォロワー向きなのにw)だったが、ベーシストを Brian McKayから Arron DiCesareへチェンジし、Magna Carta Recordsに見いだされ契約を交わすのと時を同じくして他のインディ・プログレバンドやKANSASコピー・バンド達との混同を避ける為かバンド名を改め、1999年に記念すべきデヴュー・アルバム『The Great Divide』をリリース。

Mike Varneyは80年代に速弾きギタリストを数多く排出し、当時若干17歳だった Yngwie J. Malmsteenを見出し全米デヴュ-させた事でも知られるShrapnel Recordsの創設者で、二匹目のドジョウではないだろうが90年代に入ると今度は凄腕鍵盤奏者をフィーチャーしたMagna Carta Recordsを立ち上げ、当時DREAM THEATERの成功によって全世界で勢いを増していたプログレHMサウンドを披露する無名の米国新人バンド達を発掘すると、SHADOW GALLERY、CAIRO、MAGELLAN等をはじめ数多くの新鋭USプログHMバンドをデヴューさせ話題を集めたが、もう今はレーベルの活動は停止している模様だ…orz

インディ活動時から80年代アメリカン・プログレハード風サウンドだった所へ当時飛ぶ鳥を落とす勢いであったDREAM THEATERの躍進を横目にメタリックでヘヴィなサウンド要素も取り入れていたし、一般的に彼等はDREAM THEATERフォロワー・バンドとして紹介される事となるのだが、その実はSTYX、KANSAS、GENESIS、RUSHの影響を大きく受けていた古典的80年代風アメリカン・プログレハード・バンドであり、バンド名をチェンジしてからDREAM THEATERやFATES WARNING、QUEENSRYCHE等の90年代プログHM的要素を全面に押し出し始めたUSプログHMバンドでありました。

実際、MONOLITH時代もギタリスト Jimmy Pappasは明らかにDREAM THEATERを意識したメタリックでテクニカルなリードプレイを披露していたし、Josh Pincusも所々でDREAM THEATER風な派手なキーボード・プレイを繰り広げていたものの、STYXフォロワーとは思えたがDREAM THEATERフォロワーには思えなかったしそこまで大きくバンドの音楽性に影響を与えていなかった事を思うと、恐らくMagna Carta Records側からの意見を採用し“より売れるシーンに即した音楽”へ自身のサウンドを大きく進化させた結果の変化だったのだろう。

また、明らかにMONOLITHの自主アルバム制作時より録音環境が向上しているのが分かり、バジェットの有無が露骨に現れるリズム隊のソリッドでタイトな迫力や音創りは00年代らしいヘヴィな方向へ舵を切ったメタリックでアグレッシヴさの増したバンドサウンドに相応しくパワフルで、Magna Carta Recordsと契約を結んだ恩恵が著しく現れていた。

意図的にDREAM THEATERフォロワー的なプログレHMサウンドへの接近を試みながら、当時インディ・プログHMバンド達が犯したテクニックの展覧会になる愚を避け、あくまでヴォーカルを主軸に据えたメロディアスでテクニカルなUSプログHMサウンドを目指した彼等のデヴュー作『The Great Divide』'99 は、MONOLITH時代の80年代USプログレハードをベースにしつつ、よりヘヴィなリフやプログレ定番の変拍子を刻むソリッドなビートや長く複雑なパッセージを含む印象的な旋律が耳を惹く楽曲ばかりで構築されており、その新人離れした構成力と演奏力は各方面から絶賛されたもののグランジー旋風吹き荒れる00年代以降の音楽シーンと正反対の音楽を披露した彼等のアルバムは当然のようにセールス的に芳しい結果は残せず、バンドもそれを受けてより親しみ易くダイナミックなヴォーカル・パートに重点を置き演奏パートもさらにコンパクトでシンプル寄りな整合感を高めた2ndアルバム『Liberation』'01 をリリースする。

2ndアルバムは彼等のルーツの一つでもある初期のKANSASを彷彿とさせる知的で繊細な歌詞が綴られており、如何にもプログレ的なインテリジェンス香る作風にはしっかりと自身のスタンスを理解しいたのが見て取れ、デヴュー作では聴けなかった穏やかでムーディーな繊細な歌唱や軽やかなフュージョン風アンサンブル、アコースティカルでアーシーな調べも披露したりと意表を突く絶妙なアレンジ等を随所に散りばめた、さらに音楽性の幅を広げた良作は再びメディアに好評を博したがバンドを取り巻く状況は好転する事なく、2002年にはMagna Carta Recordsとの契約が打ち切られてしまう。

まぁ、知性も無くダルで単調なシンプル極まりないガレージロックがメジャー・シーンで持て囃されている時代に完全に逆行していては、ね…(´A`)

再びインディ活動へ戻った事が影響したのかベーシスト Arron DiCesareが脱退し、しばしの沈黙の後にロックとジャズ両方のバックグラウンドを持つ経験豊富なベーシスト、 Doug Odellを新たに迎え入れると、より時代に即したコンパクトでソリッドなデヴュー当時のプログレ・テイストがかなり薄れたサウンドが特徴のEP『Little Bird』を3年ぶりに2004年に自主制作リリースし、同年オランダで開催されたフェスティバルへ出演を果たすものの程無くしてバンドは解散を選択する事に。

2006年、再びバンド名をにSOULFRACTUREDへと改名し同一メンバーで活動を再開。

テクニカルでメロディアスなサウンドが完全にアンダーグラウンドな存在になってしまったシーンで彼等が新たに提示した音楽は、華やかなキーボード・サウンドは消え、プログレ的要素を削ぎ落し、ノイジーなギターが単調なリフを刻むだけのシンプルでストレートなロック・スタイル、と言えば聴こえは良いがブッチャケ巷に良く居るヌー・メタル・バンドに様変わりしてしまっていた…

まるで Dennis De Youngがグランジー・サウンドをバックに怒気を孕んだダーティにガナリ立てているかの様な音像はミスマッチな面白さはあるものの別段音楽的に耳を惹くものは無く、EP『Soulfractured』'06 をリリースして程なくしてバンドは再び解散してしまう…(´~`)

と、二度もバンド名を変更し、最後には時代へ阿る形で自身のバックグラウンドに欠片も影響が無いだろうグランジー・サウンドを演るまでになった彼等が、こうして再びUSプログHMサウンドを奏でる為に3rdアルバム『Waves Of Loss And Power』を携えて解散前と同じメンバーで揃って戻って来てくれた事を素直に喜びたい。

さて、その久しぶりに届けられた新作の内容についてだが、散々今日までの米国音楽シーンの流れをその身で体験して来た影響かEP『Little Bird』で感じられたダークでダルなヌー・メタルっぽいタッチもほんのり漂わせつつ、デヴュー作で聴けたDREAM THEATER系のヘヴィでハードエッヂなタッチのプログHMサウンドを再び演っており、既に初期に大きなウェイトを占めていたSTYXっぽさは希薄で Josh Pincusの歌声のみに僅かに残る程度までサウンドがモダンに変質しており、19年ぶりの3rdアルバムと思えぬ程にEP『Little Bird』かそれ以前の2ndのサウンドと繋がりのあるリズムアプローチの豊富なテクニカル・サウンドだが、長いインターバルの間に各メンバーの間で培われ蓄積された新たな音楽性も垣間見せる20年代に相応しくスタイリッシュでモダンな、壮大で煌びやかなシンセワークもタップリ聴かせつつ繊細な叙情感もしっかりとフィーチャーしたベテランらしい“押し引き”の妙が美旋律に宿った抜群のセンスを感じさせる素晴らしいカムバック作だ。

お約束の変拍子にこだわった独特でマニアックなリズム・ワークは健在で、新たにグルーヴィでファンキーなタッチが今回は感じられたりと新しい発見も多く、より精度を増したテクニカル且つハードエッヂも際立つ流麗なギター・プレイ、以前のように悪目立ちしなくなったが表に裏に未だに耳を惹く旋律を奏でるキーボード・プレイと、デヴュー以来各メンバーが様々な影響を受け己の血肉に完全に昇華した成果を複雑で華麗なインストゥル・パッセージの数々で示し、プログレ由来のキャッチーで技巧的なメロディとパワフルでソリッドなHMサウンドを絶妙のバランスで交差させたモダンUSプログHMサウンドの限界を再び押し広げんと挑む野心作で、デヴュー当時の如何にもロックミュージシャン然とした長髪メンバーは既におらず禿頭で髭面のオッサン(汗)ばかりになってしまい風貌は一変してしまったが、伊達に歳を重ねた訳でない証左が成熟した構成力と高い演奏技術、一糸乱れぬアンサンブル、そしてUSバンドには珍しい陰影色濃い叙情感とアメリカ・バンドらしい抜けの良いサウンドの数多くに示されており、特に Josh Pincusが自信タップリにピアノ独奏を華麗に繰り広げるパートは実に繊細な優美さと瑞々しさに満ち輝いていて、このインターバルで彼等が何を得たのかを雄弁に語っているように思えます。

プログレ・バンドらしく10分超えの大曲を2曲収録しているが、大曲だからこそ解散前より演奏力も構成力も格段に進歩した程が良く分かり、テクニカルでグルーヴィなリズムアプローチに乗って解散前より幾分かマイルドでウェットになった旋律を奏でる如何にもプログレらしい巧みなシンセワークとデヴュー以来変らぬキャッチーで爽快な歌メロが終始耳を惹きつけ、細心の注意を払われたアレンジの数々と細部まで考え抜かれた楽曲展開で時の経つのも忘れさせ知的好奇心を刺激しまくる様は正に思慮深いプログレッシヴ・ロックそのものと言えるだろう。

アルバムのミックスとマスタリングは Rich Mouser (TRANSATLANTIC、DREAM THEATER、SPOCK'S BEARD、etc...)が手掛けており、バンドの久しぶりのカムバック作の音数多く複雑でテクニカルなサウンドの美しさに磨きをかけているのも見逃せないポイントだ。

バンドは、2023年9月6日にアトランタで開催されるProgPower USA XXIIを皮切りに、米国各地で行われるフェスティバルへ参加しその優れた演奏を久しぶり聴衆に披露する予定になっている。

既述のバンドのファンの方々や90年代USプログHMファンな方、そしてメタリックでパワフルでメロディアスなHMサウンドがお好みな方にも是非お薦めしたい、ベテランUSプログHMバンドの復活作を一度ご自身の耳でチェックしてみて下さい。

本作は80年代からUSプログレ・バンド作を多数発掘リイシューや新人プログレ・バンドをデヴューさせてきた老舗米国プログレ・レーベル The Laser's Edge傘下の Sensory Records からのリリースですが、ジャンルもジャンルですしDLメインとなった昨今の状況からそうプレス数も多くないだろう現物CDをお求めの方はお早目に入手しておく事をお薦めします。

Tracks Listing:
01. The Needle's Eye
02. Riverflow
03. Perpetual Child, Part II: Forever
04. Together Now
05. All My Years
06. Float Away
07. To Say Goodbye, Part IV: Remembrance
08. To Say Goodbye, Part V: Water Child

ICE AGE Line-up:
Josh Pincus    (Vocals & Keyboards)
Jimmy Pappas   (Guitars)
Hal Aponte    (Drums & Percussion)
Doug Odell    (4 & 5 String Electric Basses)


by malilion | 2023-08-29 17:54 | 音楽 | Trackback
<< LIONCAGEの遺伝子を継承... ギリシャ産AORプロジェ... >>