人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ギリシャ産AORプロジェクト・バンド STRANGERLANDがデヴュー作をリリース!

ギリシャ産AORプロジェクト・バンド STRANGERLANDがデヴュー作をリリース!_c0072376_01501422.jpg
STRANGERLAND 「Echoes From The Past」'23

ギリシャ産AORプロジェクトのデヴュー作がデンマークのメロハー専科レーベル LIONS PRIDE Musicからリリースされたのを少々遅れてGETしたのでご紹介。

STRANGERLANDはギリシャのアテネ出身ギタリスト&キーボーディストである Alex Patmanが立ち上げたスタジオ・プロジェクトから始まった。

当初、STRANGERと名乗っていたプロジェクトだったが同名のバンドが国内外に数多く存在する事からSTRANGERLANDへとプロジェクト名を改め、LASTWORLD、LIBERTY N‘JUSTICE、MARTY AND THE BAD PUNCH、SILENT TIGER等といった数多くのバンドやプロジェクトでその甘い歌声を披露してきた米国人セッション・ヴォーカリストの David Cagleを得た事で本格的に始動する。

STRANGERLANDのサウンドは、ハッキリ言えば70~80年代に米国ウエストコースト流行っていたAOR&メロディアス・ロックそのもので、David Roberts、POCO、AMERICA、TOTO、LITTLE RIVER BAND、EAGLES、BAD ENGLISH等の素晴らしいバンドやアーティスト達の奏でる音楽がメインストリーム・ミュージックだった時代への憧憬を中心人物であるソングライターの Alex Patmanは隠しておらず、必要以上に音数を詰め込まず、激しいインタープレイもワイルドでトリッキーなソロも見当たらない、ヴォーカルを主軸に据えた古風なスタイルのメロディアスでキャッチーなサウンドを終始紡いでおり、今の密度の高いガッチリ造り込まれたメロハー・アルバムのサウンドに慣れたリスナーからすると些か古臭く感じられるシンプル極まりない楽曲とプレイばかりのアルバムなのだが、古式ゆかしい80年代風AOR&メロディアス・ロック好きな方には堪らないノスタルジックな仕上がり具合な一枚なのは間違いない。

Alex Patmanがギリシャ人だからなの80年代ウエストコースト風サウンドを再現しようと試みているのだが、キャッチーでライトなポップネスに満ちたサウンドとメロディに隠しようもなく哀愁漂うセンチメンタルなユーロ圏ミュージシャン特有の美旋律が随所で鳴り響いており、それが単なる80年代ウエストコースト・リバイバル作に陥らない独特な効果を産んでいるように思えます。

と、ここまでなら良かったんですが中心人物である Alex Patmanが奏でるキーボードもギターもヴォーカルを引き立てる事を第一としたコンパクトでソツないバランス重視なプレイに終始していて、コレと特筆するような点もないのですが、シンプル過ぎるリフばかりなのはちょっとどうかと思うし、折角の記念すべきデヴュー作なんだからもう少しエネルギッシュさや迸るような勢いを感じさせてくれても良かったかなぁ、とは思いますね…

所々で耳を惹く煌びやかなシンセワークだったり、ハードエッヂなギター・サウンドが唸りを上げて、オッと思う瞬間が訪れるものの、すぐに引っ込んでヴォーカルを邪魔する事なく大人しくなってしまうのがなんとも歯がゆいと言いましょうか…ウーム

無名のミュージシャンのデヴュー作にしては上々な仕上がり具合と言えるのですが、ワンマン・インディ・スタジオプロジェクトだから贅沢は言えないし仕方がないのですけれど、少々音が薄っぺらく聴こえ、これはストレートなAORサウンドを再現しようとしている事にも起因しているのでしょうが、その点は些か残念に思える点ではあります。

激しくシャウトする訳でもなく荒い咆哮を聴かせる事も無い、ひたすら爽快に甘いメロディを歌い上げる David Cagleの歌声とキャッチーなコーラスは終始心地よいものの、全編通して穏やかな曲想とシンプルなサウンドのみで構成されたアルバムな為か途中で少々退屈とまでは行かないがダレ気味になるのは否めず、もう少し刺激を用意するか驚くような音楽性が隠されていると尚宜しかったように思うが、メンバーも満足に定まっていないワンマンAORプロジェクトのデヴュー作と捉えれば悪くないB級アルバムには思えるので、是非同じ音楽性のままメンバーを補充してバンド体勢をしっかり整え、今度はより複雑で濃厚な美旋律が楽しめるアルバムを届けて欲しいものであります。

やはり自身のバンドではないのも関係してか、プロフェッショナルな良い仕事ぶりではあるんですがヴォーカリストの David Cagleの歌声には奮えるようなエキサイトメントや胸を刺すようなエモーショナルさが希薄で、その点もヴォーカルの感情表現に大きく作品の仕上がり具合だけでなく評価も左右されるAOR形態の音楽的に現時点ではデメリットになっているように思え、下手でも良いので同郷の身近にいるギリシャ人ヴォーカリストとタッグを組んで泥臭く地道なLIVE活動をこなし互いを鍛えのし上がった方が遠回りに思えて結果的には近道になるような気がするんですが、今の時代ネットで全世界のミュージシャンと繋がりスタジオワークで全て済ませてしまえるAOR作には元より不要な努力なのかもしれませんね…

本作のリズム隊を構成する北欧人セッション・ドラマーの Mike Wikmanは元ALIENのドラマーだった模様で、中心人物がギリシャ人というだけで本作は本当に多国籍ミュージシャン達の作品と言え、如何にも今の時代風なアルバムとも言えるのでしょう。

既述のウェストコーストAORバンドやTOTO等の産業ロック、WORK OF ART、FIND ME、CREYEなどのソフト目なサウンドを聴かせる北欧メロハー・バンドのファンな方ならばSTRANGERLANDのサウンドが気に入るかもしれないので、是非一度ご自身の耳でチェックしてみて欲しいですね。

Tracklist:
01. Whenever It Rains
02. Until My Heart
03. Scent Of A Rose
04. Tears In My Eyes
05. Summer Nights
06. Calling You
07. Time
08. Only Love
09. Never
10. Heroes Of Everyday
11. Follow Your Dreams.

STRANGERLAND Line-Up:
David Cagle   (Lead vocals、Backing Vocals)
Alex Patman  (Guitars、Keyboards、Production)

with:
Chris Zoukas   (Bass)
Mike Wikman  (Drums)

P.S. 10月頭ですがレーベルソールドアウトとなった模様です。現物をお求めの方はお早目にネ!



by malilion | 2023-08-28 01:50 | 音楽 | Trackback
<< 00年代初期に活躍したUSプ... ノルウェーから期待の新星登場!... >>