MASAKI 「Feed The Flame」'23 北欧ノルウェーの首都オスロを拠点に活動する北欧ハードポップ・バンドSTONEFLOWERの元メンバーであった Tom Sennerud (Guitars ex:STONEFLOWER、DAYS OF WINE)と John Magnus Masaki Nielsen (Vocals ex:STONEFLOWER)を中心に結成された新バンドが、デンマークのメロハー専科レーベル LIONS PRIDE Musicからデヴュー・アルバムをリリースしたのをちょい遅れてGET! STONEFLOWERの3rdアルバム『Finally』'20 から新フロントマンに迎えられた当時のクレジットでは John Masaki名義だったが今回はその長いフルネームがクレジットされている John Magnus Masaki Nielsen、なんだか日本的な響きのあるバンド名は彼のファミリーネーム(?)から戴いたのだと分かり、彼の血筋が日本と何らかの関係が有るのかどうかは不明(アジア系の血が入ってる顔じゃないけど…)であります。 ただ、明らかに意図的に日本単語な楽曲(サウンドに日本要素はほぼ無い…どゆ事?)が本作に収録されているし、John Magnus Masaki Nielsenが日本にルーツを持つ事を示唆しての為だろうか? それともジョーク的な? 未発音源集である自主制作盤2nd『Destination Anywhere』'14 がメロハー界隈で好評だった事から再結成が行われ、今は亡きAOR HEAVENから折角『Finally』をリリースしたSTONEFLOWERですが、アルバムタイトルが指し示すように再結成第一弾が即ち最終作であった模様で、中心人物の Tom Sennerudが本バンドを新たに立ち上げたと言う事はSTONEFLOWERは完全に活動を終えたと言う事なのでしょう。 Tom Sennerud的にも1999年の結成から関わって来たSTONEFLOWERの活動に一区切りつけたという思いからなのか、長らくオリジナル・メンバーとして在籍し再結成作にも馳せ参じていたベーシストの Svenn R.Huneideと、彼の弟でドラマーの Geir Johnny Huneideの姿は本作に無く、代わって新たなドラマーとして Nik Kershaw、Joseph Williams、Bill Champlin等との仕事で知られる Eirik-Andre Rydningenを迎え、ベーシストは不在のトリオ編成でバンドは現時点では構成されている。 北欧メロハー・バンドとして認識されているだろうSTONEFLOWERの元メンバーが新たに立ち上げた本バンドMASAKIだがSTONEFLOWERとは明らかに音楽性が異なっており、北欧的な哀愁とAOR風の洗練されたポップ・フィーリングを兼ね備えたキャッチーで清涼感あるメロディとコーラスが秀逸なフック満載の歯切れ良いハードポップだったサウンドから、さらにTOTOっぽいフィーリングのギターやキーボードアレンジが色濃くなり、哀愁漂うウェットな美旋律を響かせる北欧ハードポップなフィーリングを保ちつつ、洒落たウェストコースト風味やモダンなタッチのソフトケイスされた上品なAOR風サウンドへ様変わりしている。 無論、単なる従来のAORサウンドの焼き直しではなく、クラシックなAORサウンドをベースにしつつ、モダン・ポップ・ミュージック、フュージョン、プログレッシヴ・ロック等からの影響をさらに押し進め、ソリッドなミックスが生み出す新たなモダンAORサウンドを模索しているのが感じられ、80年代風サウンドへの憧憬が大きい昨今の新世代メロハー・バンド達が奏でるサウンドとの明確な差を感じられるのは間違いないだろう。 世代的になのか意図的になのか Tom Sennerudの操るキーボードのサウンドやフレージングが妙に80年代的でありますが、個人的には何もかもモダン・サウンドでカッチリ埋め尽くされるよりも、ほんのり80年代風なタッチがどこかに感じられると嬉しいですけどね( ^ω^ ) 憂いを帯びた美しくも透明感あるメロディが随所でほんのりと味わい深く響き渡る風なのが、如何にも北欧ミュージシャン作と言う感じで大変よろしいんですわ~♪ ただ、オリジナリティという点では特筆すべき強烈な個性と言うべきものは些か弱いのは否めないものの、総じて楽曲の質は高く、バランスを考慮し磨き上げられたサウンドは実に心地よく、随所で北欧フィール漂うAORサウンドなれどもメジャー向きのブライトなポップサウンドへ大きく傾いており『マイナー調で哀愁色濃いからこそ北欧ハードポップなサウンドなんだ!』と考えているような方にとっては少々ご不満な方向性へサウンドが発展したとも言えるかもしれません。 John Magnus Masaki Nielsenの甘い声質な上にストレートなハイトーンを響かせる伸びやかで溌剌としたクリアヴォイスはSTONEFLOWER当時からTOTOの Joseph Williamsを彷彿とさせる歌い方だと思っていましたが、経験を積んだ為かさらにロートーンでの深みある歌唱やミドルレンジ主体でのエモーショナルな歌声を活かすスタイルへ変更した事もあって、ググッと説得力と味わいを増したその瑞々しくも爽快感あるヴォーカルは一層に際立って素晴らしく聴こえ、ほんのり北欧風味あるキーボードの聴こえるメロディアスでセンチメンタルな美旋律の数々をその伸びやかな歌声で余すことなく歌い上げており、『Finally』当時の歌声はSTONEFLOWERオリジナル・ヴォーカリスト Frode Henriksenの歌唱スキルにまだ及ばぬ新人ヴォーカリストと言う印象でしたが、本作に至っては完全に歌唱力で凌駕したように思え、自身の名前を冠するバンドMASAKIの看板ヴォーカリストへ大きく成長したのがハッキリと分かります。 そんな訳で John Magnus Masaki Nielsenの抜群な歌声をメインに据えたミドルテンポ主体のAOR楽曲は、キャッチーでコンパクト、爽快感ある歌メロとフックあるサウンドに満たされており、STONEFLOWERで聴けたような煌びやかなキーボードの音色と分厚いキャッチーなコーラスは少な目となっておりますが、その代わりに完成度の高いヴォーカル主体な楽曲と細部までしっかりコンポーズされた本作の小洒落たサウンド、メロハー・ファンにお薦めするには少し大人びてソフト目ではあるものの美しく心満たす美旋律に目の無いAORファンな方には間違いなくお薦めでありますので、恐らくメロハー系列の媒体で紹介されるだろう本バンドのデヴュー作ですが、是非一度そのサウンドをご自身の耳でチェックしてみて欲しいですね。 尚、本作にはゲスト奏者として著名な米国人ベーシスト Leif Karsten Johansen (DAYS OF WINE、ex:a-ha、ex:21 GUNS、ex:FAR CORPORATION、ex:PHENOMENA、etc...)が招かれ数曲で客演を披露しているが、これはDAYS OF WINEのバンドメイトである Tom Sennerudが声をかけたのだろう。 Tracklist: 01. Angel Wings 02. Feed The Flame 03. Stone Cold 04. She's Not You 05. Shades In The Rain 06. Almost Paradise 07. Missing Me 08. Chizuko 09. All That You Want 10. Feels Like Home MASAKI Line-up: John Magnus Masaki Nielsen (Vocals、Backing Vocals) Tom Sennerud (Guitars、Keyboards、Backing Vocals) Eirik Andre Rydningen (Drums、Keyboards、Bass on Tracks 4、5、8、10) With: Leif Johansen (Bass on Tracks 1、2、3、6、7、9) Arne Martinussen (Additional Keyboards & Piano on Tracks 1) Jon Willy Rydnignen (Additional Keyboards & Piano on Tracks 7) Johannes Winther Farstad (Additional Keyboards & Piano on Tracks 9) Lasse Weeden (Bass on Track 9) Lena Valla (Backing Vocals on Track 10) P.S. 2023年年末時点でレーベルソールドアウトに成った模様。後は市場に出回っているブツしか在りません。 買い逃した方でフィジカル盤所望の方はレーベルが再プレスしてくれるのを待ちましょう。
by malilion
| 2023-08-27 20:12
| 音楽
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