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70年代オセアニアン・プログレッシヴ・ロックの名盤、RAGNAROKのデヴュー作がオフィシャル初CD化でリマスター&リイシュー!

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RAGNAROK 「Same +10」'23

キーボード入り5人組バンドでニュージーランドのオークランドを拠点に短期間だけ活動したプログレッシヴ・ロックバンドRAGNAROKの1975年デヴュー作がNew Zealandのマイナー・レーベルから見開き紙ジャケットで限定リイシューされたのを即GET!

今まで何度か怪しいブートレッグが出回っていましたが遂に限定とは言え待望のRAGNAROKデヴュー作オフィシャル初CD化であります! 

やっと彼等のデヴュー作がリマスター効果によってクリアーでシャープなサウンドで楽しめ、オセアニアン・プログレ好きな方は感涙に咽んでいる事でしょう♪ (゚∀゚)

古いマスターテープですので最新の22年度リマスタ‐とは言え、若干のノイズや音揺れが確認出来ますが待望のオフィシャル初CD化ですので文句なんぞある訳が御座いません。ハイ。

彼等の2ndアルバム『Nooks』'76 が1990年に国内盤CDリリースされた事もあったのでその叙情的な美しいサウンドをご存じの方もいらっしゃるかと思うが、今回はさらにプログレ度合とメロトロンのフィーチャー具合やテクニカルなキーボード・パートが増す前の、まだ楽曲に雑多で纏まりの悪い印象と牧歌的雰囲気、そしてサイケデリック&ブルーズ・ロック風味が強く感じられ、紅一点リードシンガーの Lea Maalfrid嬢が在籍していた事もあってヴォーカル・パートが大きく楽曲にフィーチャーされていた体勢の頃のアルバムで、商業的にはデヴュー作はまずまずの成果を出したがメロトロン大好きなプログレ・ファンに好評な Lea Maalfrid嬢脱退の為ヴォーカル・パートは弱体化したがトータルの完成度やスケールが増している2ndは商業的に失敗し、その影響や全世界的にプログレの時代が終わりつつあった事もあってか彼等は1977年に解散してしまう。

さて、待望のオフィシャル初CD化&リマスター&リイシュー作となる本作ですが、リイシューものに付き物のボーナストラックが今回10曲(!!)も追加されており、アルバム未収の1975年のシングルB面曲や当時のLIVEトラック2曲に加え、前身バンドFLYING WILDの1971年の2枚のシングル、FLYING WILDのデモ曲、Lea Maalfrid嬢(バンド脱退し結婚しWyber姓に)をフィーチャーしたバンドTRANSFORMERの1973年のシングル等を収録と、オリジナルのアナログLPをお持ちのマニアな方も見逃せぬ盛り沢山な内容となっている。

英国プログレ・バンド CURVED AIRの Sonja Kristina嬢に大きく影響を受けている Lea Maalfrid嬢のロック的アプローチなワイルド味あるエキセントリックで個性的なヴォーカルと、ニュージーランドという地理的な孤立故か生み出される欧米バンドと毛色の違う独特で叙情的な美旋律とまったりした牧歌的雰囲気、そしてタップリとフィーチャーされるメロトロンが生み出す幽玄でシンフォニックな音の壁、さらに Chris Squire& Bill Brufordコンビ的なリズム・ワークを聴くまでもなくYESに多大な影響を受けているソリッドで手数多いリズム隊が合わさって彼等だけの独創性あるシンフォニックで壮大なサウンドが生み出された訳だが、やはりロック的な攻撃的ヴォーカル・パートとまどろむような淡いバックのプログレ的演奏パートとの遊離というか向かう方向性の違いが大きく感じられ、粗削りで雑多で未完成だがそれ故に他で聴けぬ癖の強いロマンチックでセンチメンタルなプログレ・サウンドを楽しませてくれる本作、70年代末期の初期USプログレ・バンド作のような混沌としたウネリと不意に垣間見えるアーティスティツクな繊細さ、そして新人バンドのデヴュー作らしく向こう見ずなパワフルさの混在具合が堪りません♪ (´∀`)

この後、よりメタリックでシャープになってしまい失われてしまう、なんとも言えぬ時代がかったエモーショナルな独特の太いギター・サウンドと深いリヴァーブがかった70年代サウンドが、実に味わい深く良い雰囲気ですねぇ~ヽ(´ヮ`)ノ

ギタリストのイマイチ上手くない、けれど味わいあるジェントリーなヴォーカルが入ってくるといきなり鄙びたいなたい間延びしたようなサイケデリック&ブルーズの雰囲気が楽曲に強く漂うのも彼等の持ち味と言えば持ち味でしょうか?

当時のLIVEの様子を伝えるブートレッグ『Live In New Zealand』'77 でPINK FLOYDのメドレー・カヴァー(実際、彼等の音楽的バックグラウンドはFLOYDが最大の影響だろう)やLED ZEPPELINのカヴァーを披露していた事からCURVED AIRやYESといった定番の英国プログレ・バンドだけでなくかなり幅広く雑多な70年代ロックの影響を受けているのは間違いなく、さらにサイケデリックやブルーズ・ロック的なタッチも混在しているのが彼等のサウンドを際立てて個性的なものにしていたのだろう。

決してA級のメジャー作に匹敵する名作とも言えずB級のマイナーな作品という印象は拭い難いし野暮ったい作風なのも確かだし、プログレ・ファンにはメロトロンやシンセ大活躍なプログレ風味が強まった2nd『Nooks』の方が有名だろうが、混沌として整合性を欠くからこその意外な展開やとっ散らかった曲想が実に興味深く、本デヴュー作も捨て難い魅力的なアルバムだと個人的には思っております。

前身バンドFLYING WILDは高校仲間によって結成され、シングルをリリースした後にバンドのメインライターでシンガーであった John Fieldingが抜け(休暇中に違うバンドRAGNAROKが結成されていた…)、古臭い60年代風のポップなグループ・サウンズ風サウンドから70年代の最先端であったプログレへ一気に大変身した事をライナーで John Fieldingが語っており、どうやら互いに仲は悪い訳ではないようだ。

と、言うか良く前身バンドの古い音源を綺麗な状態で残してくれていましたよね、メンバー一同、John Fielding氏にも本当に感謝です。

バンドは2ndアルバム『Nooks』もリマスタリング作業を進めているとの事なので、近い将来2ndアルバムもリイシューされる事でしょうから期待して待ちましょう!

Tracks Listing:
01. Fenris
02. Butterfly Sky
03. Fire in the Sky
04. Rainbow Bridge
05. Raga
06. Caviar Queen
07. Dream
08. Dawning Horn

[Bonus Track]
09. Born To Wander (Non Album B-Side)
10. Ragnarok Radio Spot
11. Butterfly Sky (Live Version)
12. Raga (Live Version)
13. Crazy Feeling (TRANSFORMER With Lea Wyber)
14. Upside Down (FLYING WILD 45)
15. Night Child (FLYING WILD 45)
16. Help Us Help You (FLYING WILD 45)
17. She's A Devil (FLYING WILD 45)
18. She's Coming (FLYING WILD Demo)

RAGNAROK Line-Up:
Lea Maalfrid    (Lead Vocals)
Ramon York    (Guitars、Effects、Vocals)
Ross Muir      (Bass)
Mark Jayet     (Drums、Percussion)
Andre Jayet     (Mellotron、Moog Synthesiser、Drums、Producer)



by malilion | 2023-07-26 16:56 | 音楽 | Trackback
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