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シカゴで活躍した幻の80年代USメロディアスHRバンドDREAMSの音源が未発曲追加で二枚組仕様になって待望のリイシュー!!

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DREAMS 「Same -2CD Edition-」'23

1985年に鍵盤奏者 Todd Loizzoを中心にハイスクール仲間達によって米国中西部イリノイ州パロスヒルズで結成され1997年までシカゴを拠点に活動したキーボード入り5人組USメロディアスHRバンドの唯一作が、ジャケットも新たに未発表曲9曲を含む10曲入りのボーナス・ディスクを追加した二枚組仕様になってフランスのマニア御用達レーベル BAD REPUTATIONから23年度リマスターを施され待望のオフィシャル・リイシューが成されたので即GET!

2013年にあの『AOR HEAVEN Classix』シリーズの第23弾として、バンド活動当時カセット・オンリーでリリースされていたアルバムを初CD化リリースするとその内容の素晴らしさからアッという間に完売し、今や2、3万円のプレミアム価格で取り引きされるメロディアス愛好家垂涎のレア盤でありましたが、今回こうして再び追加音源を収録した最新リマスター&リイシューが成され、後から『AOR HEAVEN Classix』盤を知り買い逃した若いメロディアス・ロックファンも大歓喜している事でしょう。

さて、簡単なバンドのバイオをば、

1960年代に活動した米国ロック・バンド AMERICAN BREEDのリードシンガーであり、その後レコーディング・スタジオのオーナーとなった Gary Loizzoを父に持つ Todd Loizzoは、同じ志を持つ高校時代の友人達とバンドを結成すると、1986年にバンド編成が固まる頃にはシカゴ周辺の大学中で盛んにLIVE活動を行っていた効果もあって人気を博し、地元のレーベル Broker Recordsと契約してカセット・オンリーで音源をリリースする。

瞬く間にカセット5000本を完売すると、バンドはさらなる名声と活動範囲を求めて悪名高いサンセット・ストリップにあるLAのクラブで日夜演奏するようになり、様々なレコードレーベルのショーケース・ギグを行うものの90年代初頭のNIRVANAブレイクと同時に米国音楽市場はグランジー一色へ激変し、DREAMSに興味を持つレコード会社は消え失せてしまった。

しかし、彼等にはまだ地元の支持者がいた為、バンドは地元へ戻って活動を続けたが1997年に円満に活動を終える事に。

グランジ・ブームの熱も収まった頃、再び彼等の音楽が求められた事から2008年にバンドは再結成すると、現在も断続的にLIVE活動を行い地元シカゴで人気を博していると言う。

因みにプロデュースでの尽力やユニゾンでヴォーカル・パートに参加するなど息子のバンドへの助力を続けた Gary Loizzoは2016年1月16日に膵癌で死去しており、本作は彼に捧げられてもいる。

本作は1988~1991年の間に残されたカセット音源、未発表曲、レア音源等を集め全12曲を収録し『AOR HEAVEN Classix』で初CD化されたアルバムの最新リマスター&オフィシャル再発となっており、さらにボーナス・ディスクを追加し、有名なイラストレーター Mark Wilkinson(MARILLION、Fish、IRON MAIDEN、KORITNI、THE DARKNESS、etc…)の手による新しいジャケット・アートワークに包まれた二枚組仕様へ『AOR HEAVEN Classix』盤から大幅にヴォリュームアップが成されており、その盛り沢山な内容に文句など有るハズも無いのですが、耳障りな大きなスクラッチ・ノイズや音ヨレ等が聴こえるトラックも散見し、残念ながらマスター・テープが消滅した為か板起しリマスター盤(テストプレスでアナログLP盤が存在? もしくはプレスされた自主シングル盤が存在?)なのが少々残念であります…orz

でありますので、何本現存しているのか定かではありませんがノイズ等の無いオリジナル・カセットの激レア度はメチャクチャ高く、さらに『AOR HEAVEN Classix』で再発されるまではネット販売で音源がDL可能(音源自体未確認でノイズ状況は不明)だった事から、以前の音源の価値も失われてはいない少々困りモノなのが現状だ(汗

さて内容の方についてだが、基本ストレートでキャッチーな80年代定番のラジオフレンドリーなアメリカン・ロック・サウンドを聴かせるが、能天気で豪快にギター主軸でドライヴィンする典型的タイプではない、鍵盤奏者がリーダーとあってか常に叙情感ある美旋律で楽曲が彩られた、所々にLAメタル要素や産業ロック要素もまぶされた幅広くバランス良い音楽性な、プロデューサーの Gary Loizzoのキャリアが活かされた助言もあってかリードシンガー Linas Kastysのミドルレンジ主体の朗らかで伸びやかな如何にもアメリカン・ロック向きな歌声をメインに分厚いコーラスをフィーチャーしたポップフレーバー強めなリズミックで歯切れ良いコンパクトなUSメロディアスHRサウンドを終始楽しませてくれる。

シカゴ周辺で活動していた割りにJAZZタッチやブルーズ・テイストが弱く、インディ・バンド離れした洗練さや高いポピュラリティを感じさせる音楽性なのは、彼等が80年代のメジャー・チャートを賑わしてきたJOURNEY、BON JOVI、WARRANT、POISON、STYX、REO Speedwagon、FOREIGNER、CHEAP TRICK等のアリーナ・ロックバンド達から影響を受けていたからなのは間違いなく、中でも三声コーラスにこだわりを見せている点やバンド・リーダーが鍵盤奏者だった事、そしてメロディにそこはかとユーロ・テイストな叙情感が漂っているのを見るに、Todd Loizzoが同郷先輩バンドのSTYXに大きく影響を受けていた事(父親がSTYXの中期アルバム制作に関与した事アリ)がDREAMSのサウンドをその他多くのUSインディ・バンド達と一味違うモノにしていた要因に思えます。

また今回追加された未発音源ですが『AOR HEAVEN Classix』盤から外されたのも納得なより拡散した音楽性の楽曲が収められており、ワイルドなロックンロール&ナスティーなLAメタル風味が強かったり、煌びやかで壮大なシンセを大々的にフィーチャーしたアメリカン・プログレ風味だったり、ハードでフラッシーなギター・プレイをフィーチャーした定番のワイルドでドラヴィンなスタジアムを大合唱に埋め尽くすアリーナUSロック風な楽曲もちゃんと収録されいたり、ググッとアダルトでソフトなヴォーカル・オリエンテッドなAOR&産業ロック風味などなど、彼等の様々なバックグラウンドや活動時期で音楽性が変化していったのが伺える実に興味深い楽曲(未発曲はリードヴォーカルといいコーラスの使われ方といいBON JOVI風味が強くね?)ばかりで、これ等の未発曲を聴く為だけにでも『AOR HEAVEN Classix』盤をお持ちのマニアックなファンは本作を買い直しても少しも損はしないだろう。

グランジー・ブーム勃発の為に当時クラブで互いにしのぎを削っていた数多くのインディ・バンド達が涙を呑んだのと同じく、DREAMSはメンバー血縁者に大成したプロミュージシャンが居てプロダクション等のバックアップ体勢もバッチリな上、優れた演奏とヒットポテンシャル高い楽曲にファンベースもしっかりと築けているなどメジャー・デヴューする条件を十分に満たしていたにも関わらず夢叶わなかった、未完の大器の呼び名に相応しいバンドの一つであったのは間違いない。

80年代のコーラスたっぷりな華やかでメロディアスなUSロック・ファンな方や既述バンドのファンな方にもお薦めな、時流の変化で惜しくもメジャー・デヴューを逃した素晴らしいインディUSロック・バンドが残した音源にご興味あるようでしたら是非一度チェックしてみて下さい。

CD-1 Track List:
1. Drive You Crazy
2. The Fear Of Being Alone
3. (Does It Feel) Like You Want It To
4. Do You Feel For Me
5. Livin' In Another World
6. Feels Like I'm In Love
7. Run
8. Always There For You
9. Coming Down On Me
10. Something I Need
11. Lovin' You Ain't Anough

CD-2 Track List:
1. Pickin' Up The Pieces
2. Back With You
3. Tell Me
4. Feels Like I'm In Love
5. Doin't It My Way
6. Summer Nights
7. Should've Known From The Start
8. Don't Want To Fall In Love
9. When I'm With You
10. Livin' In Another World (Original Version)

DREAMS Line-Up:
Todd Loizzo     (Keyboards)
Linas Kastys    (Lead Vocals)
Paul Smith     (Guitars)
Dave Batastini   (Drums & Law Harmonies)
John Oskorep    (Bass & High Harmonies)

Unison Vocals by Gary Loizzo
Recording Engineer: Gary Loizzo

All Songs Written and Produced by DREAMS and Gary Loizzo





by malilion | 2023-07-23 14:50 | 音楽 | Trackback
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