DEGREED 「Public Address」'23 Robin (Vo&B)と Mats (Ds)のEriksson兄弟を中心とする北欧スウェーデン出身の4人組新世代ハイブリッドHRバンドが前作『Are You Ready』'22から約1年半という短いスパンで7thアルバムをリリースしたのを即GET! 前作からマネジメントを北欧ポップバンドのTHE CARDIGANSやEUROPEの John Norum、同郷H.E.A.T等が所属する『HAGENBURG』に、レコード会社も『Frontiers Music』に移籍しての二作目となっている。 制作メンツは前作と変わらぬ4人でメンバーチェンジの類いは起こっていないのでファンは一安心だ。 DANGER DANGERの Ted Poleyと組んだ新プロジェクト・バンドMODERN ART featuring TED POLEYのアルバムが2018年、フロントマンの Robin Erikssonが Robin Red名義でソロ・アルバムを2021年にリリース、そして前作『Are You Ready』を2022年リリースと矢継ぎ早に新作アルバムをリリースし、70年代のバンドよろしく彼等のクリエイティヴィティが異様な程に高まっているのを示していたが、まさか本作がこんなに早いスパンでリリースされるとは正直予想外でありました。 80年代系サウンドを得意とする新世代メロハー・バンド達を数多く世に送り出して来たFrontiers Musicへ移籍した影響か、シャープなモダンさと端々に北欧らしいウェットなメロディ使い、そして細やかなアレンジと艶やかな歌メロが実に味わい深く、USA産バンド群のドライサウンドとはひと味もふた味も違うアグレッシヴで骨太な新世代ハイブリッド・サウンドだった彼等ですが、前作では明らかにモダンな雰囲気が後退してオクトジェニックでキャッチーなメロディアス・サウンド要素が押し出され、さらにテクニカル・プレイが売りだったのに楽曲のアレンジもよりシンプルでストレートな感触が強い、良く言えばシンプルに美旋律を楽しめる親しみ易さが増した、悪く言えば単純化して類型化したオールド・スクールなメロディアスHM的サウンドへと接近した作風となっていたが、本作では更にその路線が推し進められテクニカルさを抑え目(彼等にしては)にしつつ一層にコンパクトでストレートなキャッチーさに磨きをかけ、US市場を主体としたワールドワイドでの更なる成功を目論んでか奔流のように解き放たれるグルーヴィでワイルドな横ノリのリフとヘヴィで切れ味鋭いリズム・ワークを主軸に、さらにアメリカナイズされた印象を受けるパワフルでソリッドなセンス良い欧米折衷型メロハー・サウンドへと進化していいる。 旧来からのファン程に驚きと失望を感じるかもしれないが、初期に彼等が提示していたテクニカルで凝ったアレンジとフック満載なメロディアスな美旋律をハイレベルで融合させた高品質なハイブリッドHRサウンドは確かに些か小難しい印象を与えかねない通好みな路線であったのも確かなので、多少の独自性や技巧性を犠牲にしてでもよりポピュラリティとストレート度合へバランスを傾けた、更なるメジャーな市場でのブレイクと活動範囲の拡大を目論んでの路線変更は決して間違っているとも言えないだろう。 実際、現代的なエッヂを効かせたウェットな叙情を感じさせるモダン・メロディアスHRサウンドなのに些かも変りなく、耳を惹くリズミックなフレーズやフック満載なリフを刻むエモーショナルなギター・パートと一気に楽曲構成の主役へ躍り出たド迫力のリズム・セクション、そして北欧らしいグリッターな音使いや一転小洒落てユニークなキーボード・アレンジ、爽快なコーラスの使い方を含めて歌メロと美旋律の良さにフォーカスされた楽曲形態は完成度も高く終始心地良く、何よりパワフルで噛みつかんばかりのアグレッシヴな咆哮としっとり艶やかに歌い上げるソウルフルなヴォーカルの幅広くエレガントな表現力の素晴らしさは一層に際立っており、驚く事に手数と音数の多さは相変わらずな印象な為かコンパクトでストレートになった楽曲と初期のサウンドとの遊離をそれ程意識しないで済む点も含めて、未だに非常に個性的で新鮮、そしてエキサイティングで魅力的な新世代ハイブリッドHRサウンドである事に少しの疑いもなく、それら全てが彼等のクリエイトする音楽の質の高さを保証するものになりつつあるようにも思えます。 以前のようにハイテクやスピードに頼らずミッドテンポでじっくりと展開しながら押し引きを心得た絶妙なバンド・アンサンブルが美旋律とスリルを積み重ね、楽曲に深みと奥行きを加えつつ、華やかな雰囲気と親しみ易いポップロック・タッチだけを心に残して駆け抜けていく新たなスタイルのドラマチックな本作、嫌いじゃありません♪ (*´∀`*) ECLIPSEやH.E.A.T.をはじめ同郷のメロハー・バンド群に近い感触の美旋律満載な楽曲もしっかりと収録しつつ、より欧米折衷サウンドを進化させモダンなタッチを加えた新世代バンドである証左を示すが如く、ちゃっかり日本盤ボーナストラックに収録曲のシンセウェヴ・ヴァージョンを持ってくる辺りも、クラシックなメロディアスHRサウンドだけでなく現代的な影響と最先端の動向を十分に彼等が意識しているのが分かって頼もしいですね。 キャッチーでフックある美旋律に心惹かれるユーロ・ロック愛好家にも十分訴求しつつ、やはり今回の肝はさらにハードでソリッドになったリズムワークを主体に据えた勢い増し増しでグルーヴィな横乗りサウンドで、USロック好きな方であるなら一聴しただけで心を鷲掴みにされる衝撃を覚えるかもしれない、そんな彼等の小気味良くリズミックなハイブリッド新基軸サウンドをどうか一度チェックしてみて下さい。 Track List: 01. Big Plans 02. Who Are You (To Say) 03. The Way Of The World 04. This Is Love 05. Ride Along 06. Free Again 07. Resist The Urge 08. Don't Be A Stranger 09. A Safe Place 10. No One 11. For You 12. Pressure 13. This Is Love (Synthwave Version) DEGREED Line-up: Robin Eriksson (Lead Vocals、Bass) Daniel Johansson (Guitars、Backing Vocals) Mikael Blanc (Keyboards、Backing Vocals、Programming) Mats Eriksson (Drums、Percussion、Backing Vocals、Programming)
by malilion
| 2023-07-14 12:38
| 音楽
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