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東欧ハンガリーから登場した新進気鋭バンド STARDUSTが待望の2ndアルバムを約3年ぶりにリリース!!

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STARDUST 「Kingdom Of Illusion」'23

中央ヨーロッパのハンガリー、首都ブダペストを拠点に活動する期待の5人組メロハー&AORバンドが前デヴュー・フルアルバムから約3年ぶりに待望の2ndフルレンス・アルバムをリリースしたのでご紹介。

本バンドはフロントマンの Adam Stewartとドラマー Tim Keeley二人を中心に2015年に立ち上げられたのだが、残念な事に本作でドラマーがチェンジして新ドラマーに Peter Hornが迎え入れられているがその他にメンツの変動はないキーボード入り5人組編成のままだ。

2016年の自主制作EP以来アンダーグラウンド・シーンで注目を集め、遂にFrontiers Recordsと契約を果たした2020年にデビュー・アルバム『Highway To Heartbreak』を華々しくリリースし批評家やファンから好評を博した東欧ハンガリーの新人メロハー&AORバンドが、さらにサウンドを進化させた期待以上の仕上がりとなる新譜を届けてくれた!

一聴して驚かされたのは、ヴォーカル・アプローチがハイトーン・ヴォーカルを張り上げる所謂典型的なメロハー・スタイルではない、ミドルレンジ主体で情感タップリにエモーショナルに歌い上げるAORスタイルへチェンジした印象が強く、デヴュー作で Adam Stewartが聴かせたフラつき不安定だった熱唱から生まれるB級マイナー・バンドなイメージは消え失せ、しっかりとA級バンドに迫る印象を与える迄にスタイル変更の影響もあってか歌声が急速に力強く成長した点には目を見張るものがあるだろう。

著名ミュージシャンとレーベルからの全面的バックアップを受け、まだ垢抜けぬ野暮ったかったデヴューEPのデリケートでインディ丸出しのピュア・サウンドは姿を消して類型化したメロハー・サウンドへ接近したのが少々残念でしたが、うっすら東欧風味ある80年代北欧HMっぽい雰囲気も漂わす、モダンでキャッチーな2020年デヴューに相応しいフレッシュな息吹を感じさせる瑞々しいユーロ・メロハー・サウンドを提示した前作から3年を経て、フックある伸びやかなヴォーカル・メロディ、ポップで爽快なコーラス、軽やかでグリッターなキーボード、HR然としたラウドで流麗なギターとダイナミックなリズムワークという80年代を思わせるノスタルジックなメロディアスHRとラジオフレンドリーなAORを高次元で融合させ、質の高いメロディはそのままによりコンテンポラリー感を強めスケール感の拡大と完成度に磨きをかけながら、彼等が強く影響を受け今なお世界中で愛されるオクトジェニックなレトロサウンドを更に発展させ21世紀のモダンなタッチと新鮮なフィールを吹き込んでいるのは見事の一言!

ただ、より楽曲の方向性を80年代を強く意識したコンテンポラリー・ロック&産業ロック・サウンドへ接近させた為かデヴュー・アルバムで聴けた硬質でスピーディなHR要素は減っており、無駄無く印象的なフレーズをメロディアスに奏でるギターや煌びやかで小洒落たキーボード・アレンジ、不必要にフィーチャーし過ぎない軽やかで爽快なコーラス等、全てがより洗練されコンパクトさはさらに向上し、DEF LEPPPARDとSURVIVORをMIXしたかの様な産業ロック調なイメージの楽曲などはまるで80年代USメジャー・アルバムを聴いているかのような錯覚を覚えるものの、やはり所々に隠し切れぬ東欧バンド特有のウェットな美旋律やマイナー調な楽曲展開が顔を出し、隠し味的なメランコリックなメロディが他の欧米バンドには無い本バンドならではの独特な音色を産んでいるように思う。

まだまだ若々しさは感じるし拙い所もあるけれど、まさかアルバム2枚目にして勢い任せのドキャッチーでハードドライヴィンなユーロ・メロハー・サウンドから早々に脱却し、こんなに大人びて成熟したコンテンポラリー路線でヒットポテンシャル高い楽曲を洗練された演奏で聴かせるバンドへと彼等がここまで急激に進化するとは正直予想外でありました。

即効性ある刺激的でスピーディな楽曲が少ないので定番のドキャッチーなメロハー・アルバムを求める向きには少し地味な印象を与えるかもしれないが、バラエティ豊かに取り揃えられた様々な楽曲の完成度や洗練され具合、そしてバンドの一糸乱れぬセンス良くコンパクトな演奏はとても新人バンドが2枚目にリリースするアルバムとは思えず、既にお手本であるSTAGE DOLLS、David Lee Roth、POISON、STARSHIP、EUROPE、TOTO、DEF LEPPPARD、WINGER、JOURNEY等の80年代~90年代初頭にメジャー・シーンを沸かせたアーティスト達からの影響を完全に消化し自身のサウンドへ見事に昇華した恐るべき才能を秘めたニュー・フェイスなのは間違いなく、Frontiers Musicが自主制作EP一枚だけで彼等に惚れ込み即契約したのも頷ける、これからの更なる成長具合が楽しみな新進気鋭のバンドであります。

無論、まただまだ出色な楽曲とフィラーと迄は言わないが平均的に思える楽曲との出来具合にバラつきがあったり、バランス重視故か強烈な個性あるサウンドとは言い難く、また些か類型的で商業的過ぎる楽曲が多く思え、新人バンドなのにロック的なダイナミクスを感じさせる生っぽさや新鮮さに乏しい等の不満を持つ方もいらっしゃるだろうが、それは聴く人の趣味次第とも言える範疇の問題でもあるので個人的には彼等の選択した本作のほろ苦く甘いノスタルジックさ漂うオクトジェニックな20年代型産業ロック路線を歓迎したい。

前作は Pat Benatarの『Heartbreaker』のカヴァーを収録していたが、今回アルバム最後に収められている楽曲は80年代USグラム&ブルーズHRバンドとして名を馳せたCINDERELLAの『Don't Know What You Got (Till It's Gone) 』のカヴァーで、Adam Stewartが情感タップリに穏やかに歌い上げてはいるものの所謂平凡なAORバラードと大差なく、やはりオリジナルの Tom Keiferが聴かせる硬質でベシャっとツブれた様な独特の癖が強いヴォーカルが生み出すアーシーでブルージーなフィーリングに勝る仕上がりに成る訳もなかったのでこれはミスチョイスと言わざるを得ず、どうせならオリジナルのバラード曲をアルバムに入れてこのカバー曲はシングルのB面にでも放り込むべきだったのは間違いない。

まぁ、カヴァーと知らなければそこまで酷評する程酷い出来じゃない良い仕上がりのバラードなんですけどね、どうしてもオリジナルの濃くて癖の強いエモーショナル過ぎる歌声を知っていると…やっぱり、ね…(汗

音楽的には革新性や目新しさは無いものの、良い意味で完全に洗練されきっていない東欧バンド故の野暮ったい雰囲気が未だに幾分残っているのが逆に独自の個性を感じさせる、爽快なヴォーカル・ハーモニー、ラウドでエッジあるギター、繊細で優美な美旋律など、彼等が影響を受けただろう80年代後期~90年代のメロディアスHMやクラッシックなAORがお好みな方や産業ロックを愛する方なら間違いなくチェックすべき期待の新鋭の1枚であります(*´ω`*)

Tracklisting:
01. War
02. The Fire
03. Losing Me
04. Sacrifice
05. Love Sells
06. Heroes
07. One First Kiss
08. Make Me Feel Your Love
09. Ain't No Woman
10. Sarah
11. Don't Know What You Got (Till It's Gone)

STARDUST Line-up:
Adam Stewart  (Lead Vocals、Rhythm Guitars)
Peter Horn     (Drums)
Ben Martin     (Bass)
Dave Legrand   (Keyboards)
Facey       (Guitars)


by malilion | 2023-06-23 09:46 | 音楽 | Trackback
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