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英国シンフォニック・ロックの旗手 PENDRAGONが限定EP『North Star』をリリース!!

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PENDRAGON 「North Star」'23

MARILLION、IQ、PALLASと並び英国ポンプ&シンフォ・ロックを代表するキャリア40年超えなベテランバンドの一つ、ギタリスト兼シンガー Nick Barrett率いるPENDRAGONがSOLSTICEのLIVEにも参加した Johanna Stroud嬢をバッキング・ヴォーカルとヴァイオリンでゲストに迎え、25分の完全新曲を収録したミニ・アルバムをリリースしたので即GET!

今年5月にオランダ、ノルウェー、英国で3つの特別企画LIVE『Everyone's a VIP! Weekend』を実施し、第1夜には『Love Over Fear』の全曲とその他の人気曲を、第2夜には『Not Of This World』の全曲とその他の人気曲を演奏し、アコースティックセットとステージからのQ&Aを行い、誰もが参加可能なLIVEとなる予定との事で、LIVEには新しいバックシンガーに Johanna Stroud嬢とGENTLE GIANTの Kerry Minnearの娘 Sally Minnear嬢、そして元TWICE BITTERの Roger Pattersonが12弦ギター奏者として招かれ行われる予定だ。

本作はその際にLIVE会場で先行限定販売された3部構成のタイトル・トラック『NORTH STAR』と『FALL AWAY』から成るEPで、『北極星は何千年もの間、人類をトラブルから導くものであり、この3年間、悲惨なCワードに触れることなく、これを皆の進むべき道として使うポジティブなメッセージだ』と Nick Barrettが語るコンセプト作となっており、前作『Love Over Fear』'20 の続編(PENDRAGONのカタログで一番売れたアルバム)のようなイメージなサウンドだが、別段特に同路線を狙った訳ではないだろう、いつも通りに所々で70年代プログレッシヴ・ロックの黄金期を彩った巨人達を彷彿とさせるPENDRAGONらしい淡い色使いの水彩画のような訥々と紡がれる繊細な調べが飛沫のように飛び散っては霧の如く穏やかに空間を満たしていく、そんな幻想的なイメージとリリカルでセンチメンタルな美旋律が際立つ作品に仕上がっている。

ロック的な激しさやプログレ的な複雑さ、ましてやエゴ剥き出しの華やかなスタープレイヤー達が激突するテンションの高さは欠片も見当たらないが、最早ここに至っては彼等にソレを求める向きも居ないだろうし、ヴァイオリンの艶やかな響きとアコ-スティック・ギターの素朴でナチュラルな音色、そして Johanna Stroud嬢の美しいバッキング・ヴォーカルも相まって、短い演奏時間な作品にも関わらず最初から最後まで一等星の輝きを放つかのような出色の楽曲が収められた本当に美しいアルバムと言えよう。

Johanna Stroud嬢の美しいバッキング・ヴォーカルのお陰と無理に高音を出そうとしない穏やかな Nick Barrettの歌唱もあってか、PENDRAGONのアルバムにしてはヴォーカル・パートの酷さが目立たぬ点は嬉しいものの、立場を弁えてか完全にサイドメンよろしくサポート役に徹している鍵盤奏者 Clive Nolanの淡泊なプレイに関してはやはり些か物足りなさを感じてしまいます…

まぁ、エモーショナルなギターの鳴りと響きに焦点を絞った穏やかでシンプルな作風(Steve Hackett風のクラシックとフラメンコが融合した様な Nick Barrettの巧みなフィンガー・ピッキングは聴きモノ!)なので邪魔にならぬようキーボードの手数を敢えて抑えたのでしょうが、シンフォ作としては少々鍵盤の鳴りが少ない、下手をすると静かで控えめな単なるアコ-スティック作に片足を突っ込んでいるくらいなバランスのサウンド(実際はしっかりバックで鍵盤サウンドも鳴っている)なので、トータルでのアルバムの完成度と一体感を向上させる為の“引き算”の選択故と分かっちゃいるのですが、折角腕の良い鍵盤奏者 Clive Nolanが居るのに宝の持ち腐れな感じがして遂々不満を述べてしまうんですよね(汗

随所で感じられる90年代の名作『Window Of Life』や『Fallen Dreams & Angels』を思わすサウンドへ再び接近してくれたのは嬉しいのですが、やっぱり全編に渡って少々穏やか過ぎて、メロディは美しい事この上ないのですがやはりスパイスというか刺激が少々足りないような気がします…うーん、リラックスした調べに満ちた本作に限ってはソレは邪魔な要素かもしれませんけど個人的にはもう少しメリハリがあっても良いんじゃないかなぁ、と…

他に耳を惹いた点と言えば、前作『LOVE OVER FEAR』からバンドへ加入した、サタニックHMバンドGHOSTやインダストリアルHMバンドPIGのサポート・メンバーとしても活躍する、これまでにPENDRAGONへ参加してきたドラマー達と畑違いな新鋭ドラマー Jan-Vincent Velazcoのプレイだが、エレクトリックブラシのストロークや感覚的なパーカッションの活躍、そして巧みなスティツク捌きは見事で、前作では余り個性を感じさせぬプレイだったが本作の様なシンプルな構成の楽曲だからこそなのか穏やかなサウンドに奥行と立体感、控えめなグルーヴが生み出されており、その調子で次作でも是非巧みなドラムプレイでバンド・サウンドを盛り上げて欲しいものだ。

90年代の彩度の高いファンタジックな彼等のアルバム・ジャケットが好きだったが、さすがに今の淡く穏やかなドリーミィ・サウンドには不釣り合いなので、前作『Love Over Fear』のアートワークも手掛けた Liz Saddington氏が本作の児童書的な絵本風ジャケットも引き続き手掛けているのは妥当と言えるだろう。

パンデミックでLIVE活動の休止を止む無くされたPENDRAGONだが、本EPをフォローアップする大規模なヨーロッパ・ツアーを敢行するのか現時点では不明ながら、暫く彼等のステージにお目にかかっていなかったファンを楽しませる為に恐らくユーロ圏だけでもLIVEを行うでしょうから、次に届けられるのはその様子を記録したLIVE作かはたまた完全新作のアルバムなのか見当もつきませんが、やっと再始動したPENDRAGONの動きから暫くは目が離せませんね。

毎度の事ながら限定の自主制作盤ですのでお求めの方はお早目に!

Track List:
01. North Star
 part 1 A Boy And His Dog
 part 2 As Dead As A Dodo
 part 3 Phoenician Skies
02. Fall Away

PENDRAGON Line-up:
Nick Barrett     (Guitars、Vocals、Keyboard Programming)
Clive Nolan      (Keyboards)
Peter Gee      (Bass)
Jan-Vincent Velazco (Drums & Percussion)

With:
Johanna Stroud    (Violin、Backing Vocals)


by malilion | 2023-06-12 00:11 | 音楽 | Trackback
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