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80年代末期に活躍した米国産メロディアスHRバンドA is Aの幻の音源がリマスター&初CD化でリリース!!

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A is A 「The Complete Recordings」'23

米国ニューヨーク州西部出身のキーボーディスト兼ギタリスト Chris Duvalがさらに東の北東部マサチューセッツ州へ1985年に居を移し、以降は州都ボストンを拠点として活動し80年代末期から90年代初期まで率いていた幻のキーボード入りツインギター5人組USメロディアスHRバンドの、前身バンドTHUNDERHOUSE時代のデモ音源も含む2枚組のアンソロジー作品をご紹介。

バンド活動当時『STYX Meet ASIA & TOTO』と言われていたらしいが、今回 Melodic Rock Classics Records Labelのリイシュー作でお馴染みな JK Northrupの手によるリマスターが施されたデモ音源の数々は、80年代AOR風のモダンで洗練された煌びやかなメロディ、JOURNEYの Steve PerryとKANSASの Steve Walshを足して二で割った風な甘くマイルドな声質のブライトで伸びやかなハイトーン・リードヴォーカル、分厚くキャッチーで爽快なハーモニー、だけでなく時にGENTLE GIANT張りに複雑に交錯する三声ヴォーカル、黄金の80年代プログレ・ハ-ド期を思わせる巧妙なアレンジとシンプルに聴こえて実は複雑な演奏と楽曲展開、ツボを心得たバランス重視なプレイを心掛けるエモーショナルなギターと煌びやかなキーボードが彩るモダンで幅広い影響が伺える音楽性と、彼等が奏でていたAORとプログ・ハードのハイブリット・サウンドは大変興味深く、90年代という暗黒のグランジー時代の到来でメジャー・デヴューが叶わなかったのが非常に惜しまれるバンドだったと本作を耳した方なら皆納得してくれる事だろう。

本作リリースの発端は、90年代初頭に時流の変節とメンバーの脱退が引き金になってバンドは敢え無く解散し、その音楽活動の終焉に納得出来ていなかった Chris Duvalが、20数年後になって以前自身が創作していたクラッシックなメロディアス・ロックの再興の兆し(USメジャー・シーンは未だにラップやチープなガレージロックに席捲されているけれど…)を感じ、当時未完成だったA is Aの未発表曲を完成させる為にレコーディング作業を再開した事に始まり、結果的にこれまで Chris Duvalが中心になってレコーディングしてきた古いデモ音源の数々が発掘されこうして今再び30年以上の時を超えて陽の目を浴びる事になったのだから、Chris Duvalの諦めきれずにいたその熱い想いに感謝せねばなりませんね (゚∀゚)

ボストンやロードアイランド周辺の音楽ファンならばA is Aのデモ音源がラジオで度々流れて好評を博していた事や地元クラブでのLIVEを目にしてその存在を認知していたかもしれないが、有望なニューフェイスではあるものの全米的には殆ど無名なインディ・バンドの一つでしかなかった、僅か数年しか活動していない彼等のバイオをここの記しておきます。

ニューヨーク州西部で10年間ローカル・バンド生活を送った Chris Duvalは1985年にボストンへと移住し、当地のオリジナリティ溢れるヴォストンの音楽シーンに触発(因みにDEF LEPPARDの『Pyromania』は83年、Yngwie Malmsteenを擁するALCATRAZZのデヴュー作『No Parole from Rock'n'roll』が83年、VAN HALEN の『1984』はまんま84年)され、洗練されたメロディアスな楽曲、パワフルなヴォーカル、優れた音楽性に焦点を当てた自分の理想であるHRバンド結成を決意。

ドラムスの Steve Shieldsが最初にバンドへ加入し、次いでギタリスト&ヴォーカリストの Dale Stephanosが参加し、NYマンハッタン区ダウンタウンのGreenwich Villageフォーク・シーンで既に活躍していた Chris Duvalの実弟 Tom Duvalがベースとヴォーカル・パートを担当するためにボストンへ移住して来る。

最後にペンシルベニアからボストンに移住してきたリード・ヴォーカリストの Mitch Jeffersが加わりラインナップが完成し、バンドはTHUNDERHOUSEとして1987年から作曲と演奏を開始。

1988年春、ロードアイランドで4曲入りのデモ・テープを自主制作すると、このデモは地元の音楽新聞で熱烈な評価を受け、地元や地方のラジオで放送される。

1988年末、ドラマーが Chuck Schulerへチェンジすると、バンドは知名度を失うリスクを理解しながらも、バンド名を新たにA is Aへと改める。

Chuck Schulerが加入した事でソングライティングの質が向上し、より深みと洗練さを増したバンドサウンドを反映してTHUNDERHOUSE時代の楽曲の殆どは捨てられ、一部は再利用され新しい曲へと生まれ変わり、1989年2月からA is Aが活動を開始する。

1989年4月に録音された2本目の自主制作デモ・テープは、野心的で、複雑で、THUNDERHOUSE時代から音楽的に大きく飛躍しており、批評家の反応は圧倒的に好意的で『Barriers』は新人アーティストのコンピレーションCDに収録されリリースされる。

1989年秋、自宅で8トラック録音されたデモ音源は、ソングライターとして、またパフォーマーとしてバンドが著しく成長した姿を記録していた。

1990年末、Chris Duvalは再び2曲入りのデモ・テープを制作すると、アレンジと演奏は技巧的で、生々しくリアルなサウンドの刻まれた楽曲は地元のラジオで放送され、さらなるファンベースの拡大を促す事に。

バンドはこれまで以上にダイナミックな音楽を披露し、多くのLIVEで新曲をプレイするなどして知名度を上げていたが、地元クラブでの僅かなギャラでは、リハーサルスペース、販促物、交通費、機材、レコーディング時間など諸々のバンド運営コストをカバーしきれず、リハーサルやLIVEに費やす資金と時間的制約の中で、昼の仕事と音楽活動との両立を図りながら文字通り綱渡りの生活が続く。

1991年初頭、突如としてバンドは度重なるプレッシャーから崩壊。

Tom Duvalがバンドを脱退し、後任をオーディションするものの適任者は見つからず、結局『このメンバー無しに存在し得ない』事が判明し、益々の経済的悪条件や時流の変化も逆風の一層の激しさを増させるのを感じたバンドはローカル・エリア以上での活動やメジャー契約が望めぬ現状を踏まえて惜しまれつつも解散する事に…

黄金の80年代の影響を受け継ぎつつインディ・バンドと思えぬ高水準で耳を惹く美旋律を奏でた独創性ある音楽を創作しながらも、月並みだが時代の巡り合わせが悪く大衆に受け入れられる事が叶わなかった、幸運に恵まれず解散した幻の80年代USメディアス・ロック・バンドの一つ、と言えるのは間違いないでしょう。

そして時を経て、メロディアスな音楽を求めるアンダーグラウンド・シーンの激しい蠢きを感じ取り、Chris Duvalが創作活動を再開させ、知る人ぞ知るマイナー80年代USバンドであったA is Aの残した全デモ音源が取りまとめられて初めてCD化しこうして今回リリースされた訳ですね。

面白いのは好評を博したと言うTHUNDERHOUSE時代の音源を聴くに、よりシンプルでAOR寄りなシャレオツさやスピーディさを感じるキャッチー・サウンドだった事が分かり、メンバーチェンジを期に音楽的な向上を果たした事が結果的に後に時流との大きな隔たりを産む事になってしまったのですから、なんとも皮肉な運命だったのだと今なら分かります。

独創性ではA is Aのサウンドに劣るかもしれないが、より大衆性は高い、80年代中期風の爽快メロディアスUSロックに近いシンプルでストレートにキャッチーなデモ音源、華麗なキーボドプレイがフィーチャーされたサウンドが実に小気味良く、この路線でももっと音源残して置いて欲しかったなぁ~♪(*´∀`*)

又、表面的には大きくバンドサウンドの変化として聴こえ難いドラマーのメンバー・チェンジを期にバンド名を変えた事や、こうして30年以上前の古い音源を優れた状態(リマスターされたにしても本作のデモと思えぬ優れた音源状態を聴くに、元々の保存状態がすこぶる良かったのは容易く分かる)でしっかりと保存していた事に加え、各音源の細かなデータも明記しているのを見るまでもなく Chris Duvalがかなり細部に拘るアーティスティックなタイプのミュージシャンであるのが伺え、もう少し典型的なアメリカ人的に大らかで杜撰な所があればバンド名をTHUNDERHOUSEから変える事もなく、不遇な90年代も柔軟に音楽性を変化させてバンド活動を続行させる事も出来たのではないのかと思ってしまうのですが、その強い拘り故の優れた音楽だったとも容易に予想出来るのでそれは無理だったのでしょうねぇ。

バンド後期に8トラック録音されたデモ音源のキャッチーでありながらテクニカルで、ニューウェイヴ風ポップにも通じるグルーヴィでモダンなメロディアス・サウンドを聴くに、グランジーの闇に覆われつつあったメジャー・シーンや先の見えぬアゲンストだらけの状況、そして一向に改善されぬ経済的問題のどちらか一つでも無ければ、バンド崩壊の引き金である Tom Duvalの脱退が起こらず、もしかしたら米国以外の市場、メロディアス・ロックを支持し続けた日本のような国のレコード会社と契約を結べていればローカルリリースとは言え正式な録音音源を90年代に残せていたのかも、と尽きぬ想いばかりが脳裏を巡ります…

今回こうして幻の音源をまとめて一作品としてリリースしてくれた Melodic Rock Classics Recordsや Chris Duvalには感謝の言葉しかないのですが、ちょっといただけない所も無い訳ではなくてですね…Disc1に収録されている冒頭7曲(内、1曲はA is Aのデモと同曲)がA is A時代の未発表、未完成曲らしいのですが、その7曲全てを Chris Duvalがヴォーカルから全ての楽器の演奏もこなし完成させているのですけど、専任シンガーじゃないんだから当然ではありますが、残念ながらヴォーカルのレベルが当時のデモに及んでいない、スモーキー・ヴォイスで悪くないもののコーラスでは有用ではあってもこの種の音楽のリードシンガーには適さない歌声なのがなんとも…せめて Mitch Jeffersに連絡を取って歌ってもらうか、似た歌声のゲスト・シンガーを招いて欲しかったなぁ、というのが偽らざる感想でしょうか。

そしてその Chris Duvalが独力で完成させた楽曲が冒頭に収録されている為、初めて彼等の音源を耳にする方が万が一リードドラックだけ聴いてA is Aを判断してしまう危険もなきにしもあらずなアルバム構成なので、ここはやはり冒頭は避けて後半に未発曲の新録音源を配置すべきだったのでは、とか勝手な心配をしたりして…(汗

後は、今更なんですけどやっぱりバンド名が少々いただけないかなぁ、と…確かに他に余り類を見ないけれど正直 A is Aって聴いても抽象的なのでバンドサウンドが容易に想像つかない、ってのも当時は少なからず問題だったんじゃないんですかね、と…(´A`)

とまれ80年代プログレ・ハードっぽさを感じるキャッチーなUSメロディアス・ロックがお好みな方や、AOR風味もあるテクニカル・ロックがお好きな方にもお薦め出来る、未発表曲と80年代末期のデモ音源を集めた発掘音源集と思えない音楽性の酷いバラつきもない高品質な一作でありますので、ご興味あるようでしたら是非一度ご自身でチェックしてみて下さい。

Track listing:
Disc 01
01. Thin Ice
02. You Get What You Pay For
03. Outside Out
04. Highway
05. A Day Of Liquid Oxygen
06. Time Stands Still
07. The Mental Tune (Inst.)
08. The Box
09. The Nature Of His Love
10. On The Bridge
11. Miracle Plan
12. Get Serious
13. Barriers

Disc 02
01. Thin Ice (8 Track Demo)
02. I Don't Need A Drink (8 Track Demo)
03. I Was Just Wondering (8 Track Demo)
04. I Have A Friend (8 Track Demo)
05. Into The Dark [THUNDERHOUSE Demo]
06. Moth To A Flame [THUNDERHOUSE Demo]
07. A is A [THUNDERHOUSE Demo]
08. I Am Ready [THUNDERHOUSE Demo]
09. I Am Ready (No Intro Edit Version)

A is A Line up:
Chris Duval    (Keyboards、Guitars、Vocals、Lead Vocals on Tracks 01~06)
Tom Duval     (Bass、Vocals、Acoustic Guitar、Lead Vocals on Track 10)
Dale Stephanos  (Guitars、Vocals)
Mitch Jeffers    (Lead Vocals)
Chuck Schuler   (Drums)




by malilion | 2023-06-02 19:03 | 音楽 | Trackback
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