GRAND DESIGN 「Rawk」'23 スカンジナヴィアンHMシーンの重鎮であり元ZEELIONのヴォーカリスト&プロデューサーであった Pelle Saether (Lead Vocal)率いる“北欧のDEF LEPPARD”ことスウェーデン産ツインギター5人組メロハー・バンドGRAND DESIGNが、前作『V』から3年振りとなる6thアルバムがマイナー・レーベルとは言え無事国内盤がリリースされ即GET! メンツは前作と同じく4th『Viva La Paradise』'18 から加入した Dennis Vestman (Rhythm Guitars、Backing Vocals)と Stefan Vesterlund (Bass)のROCKETT LOVE組と他バンドとの掛け持ちドラマー Joakim Jonsson (AXENSTAR、PSYCHOPUNCH)もちゃんと未だに在籍しているのでファンな方はご安心を。 前々作『Viva La Paradise』ではそれまでのLEPSコピー・サウンドから大きく趣きを変え、ROCKETT LOVE組の影響かCRAZY LIXX、RECKLESS LOVE等を彷彿させるLAメタル的なスリージー&グラム要素を加え、より北欧要素を感じさせるキャッチーでフック満点なサウンドで独自性ある新境地を開いたかに見えたが、前作『V』で一転して原点回帰とばかりに初期のDEF LEPPARDの影響大なフォロワー・サウンドへ後退して混乱させられ、果たして続く本作でどういった方向の音楽性を聴かせるのかと注目した訳だが、どうやらROCKETT LOVE組が持ち込む要素は控え目にしつつ、初期のDEF LEPPARDフォロワー・サウンドを基軸により北欧テイストを感じさせる叙情的メロディや透明感ある美旋律、そしてAORへ接近したポップでキャッチーな歌メロと華やかで爽快な分厚いコーラスを前面に押し出した、彼等なりの80年アリーナ・ロック風テイストあるモダン・メロディアスHRサウンドな方向を示した模様だ。 生っぽさは希薄ながら極上のプロダクションでメカニカルに造り込まれたクリアーなサウンドと、AORの影響が色濃い親しみやすいメロディとキャッチーで印象的なコーラス、フックあるツボを心得たギターワークに、目立たないがキーボードは主にギターとドラムをサポートし、北欧産バンドらしい透明感ある旋律や爽快感ある雰囲気を際立たせるアレンジやプレイで楽曲を盛り立てている点は Pelle Saetherのプロデューサーとしての手腕が遺憾なく発揮された結果と言えるだろう。 注目すべきはギタリスト2人の才能の高さで、ワミーバー、アルペジオ、パワーコード等の多彩なテクニックを巧みに使いながらメロディを輝かせる事に成功しているのは無論の事、アルバム中を隈なく響き渡るキャッチーな歌メロと分厚いハーモニー・コーラスを一切邪魔する事なくややもすると軟弱になりがちな楽曲の印象をハードエッヂなリフやリードパートで引き締めつつ、耳に残るコンパクトなソロは如何にも北欧HM的なメランコリックなメロディとリリカルさを放ち、リズム・ギタリストが奏でるリフは時にアグレッシブでグルーヴィーながら全体的にソフトな楽曲の印象を崩すことなく効果的に配置されたプレイを心掛けており、リズム・ギターはリード・ギターと完璧にコラボレートし、モダンでスマートなモダン・メロディアスHRサウンドを見事に構築している。 毎度の如くミッドテンポの楽曲が殆どながら、しっかりと疾走感ある楽曲やヘヴィでダークなタッチの楽曲、北欧バンドらしいドラマチックなメロディが美しい楽曲、ハイエナジーな縦ノリのロックンロール風サウンドやスリージーなテイストある楽曲に、お約束の美しいバラードまで、緩急を考慮した多彩な楽曲を収めた隙無い構成のアルバムで終始彼等らしいサウンドが聴けるものの典型的なLEPSフォロワーな印象に変りなく、分厚いコーラスでハーモナイズされたヴォーカルとオーバープロデュース気味なビッグ・プロダクションに包まれて、美旋律を奏でるクリーンなツイン・ギター・ハーモニー、フックあるエモーショナルなギター・ソロ、キャッチーなリフレイン、タイトに轟くリズム・セクションが生み出すメカニカルなLEPS風グルーヴ、そして全てがコンパクトに無駄なく纏め上げられ、隠し味にメランコリックな北欧風味とAOR風味がまぶされた楽曲は、細部に渡って練り込まれたプロフェッショナルなアレンジとフック満載のメロディが仕込まれて、と書き連ねた要素自体は決して悪い点でないし、アノ手コノ手でバラエティ豊かに仕上げられた聴く者を飽きさせぬ仕掛けの施された上質な作品に違いないのですが、それでも流石に些かマンネリ気味で“また焼き直しアルバムか…”という感想を覆すには至りませんでした。 一応、新要素としてちょっとアイリッシュっぽい Gary MooreやTHIN LIZZYを彷彿とさせるメロディやプレイの聴ける楽曲や、スウェーデン産ヴァイキングメタル・バンドMANEGARMのシンガー Erik Grawsioとドイツ産パワ・メタ・バンドDAWN OF DESTINYのギタリスト Veith Offenbacherに、それぞれ楽曲の半分を Erik Grawsioが歌い、Veith Offenbacherが2ndソロをプレイするという初めて大々的にゲスト奏者を招いた楽曲を収録するなど、これまでになかったサウンドや要素も試してはいるのですが、如何せんなLEPSコピーなサウンドの印象が強すぎてそれ程バンドの新要素を訴求させるに至っていないと言うのが偽らざる現状だろう。 4th『Viva La Paradise』で提示した80年代DEF LEPPARD + LAメタルな新路線サウンドを突き進んでいれば、今頃さらにワンランク上の北欧メロハー・バンドとしての盤石の名声と地位を確立してメジャー・レーベルとの契約も夢ではなく、国内盤も弱小マイナー・レーベルからのリリースとはならかなったのではないかと思うのですが、この現状では国内盤リリースも正直危うかったというのが本当の所ではないでしょうか? 次作も国内盤リリースされるといいけど、怪しいなぁ…(汗 尚、国内盤は2曲のボーナストラックをしっかり収録していますし、国内盤オリジナル・ジャケットのデザインとなっていますので音源マニアや懐事情が宜しい方は迷わす国内盤を購入しましょう。 個人的には如何にもロック・バンドらしい国内盤の黒ジャケも良いですが、ちょっとシャレオツな外盤オリジナル・ジャケも上品なイメージで悪くないと思いますね(*´∀`*) とまれ80年代DEF LEPPARDサウンドが好きな方や、分厚いコーラスがタップリのソフト目でキャッチーな北欧メロハー・サウンドがお好みの方なら本作を聴いても決して期待を裏切られる事はないでしょうから、ご興味あるようでしたら一度チェックしても決して損にならないと断言は出来ます。 Track listing: 01.Tuff It Out 02.God Bless Rawk N Roll 03.Love Or A Fantasy 04.Your Luv Is Drivin' Me Crazy 05.Desperate Hearts 06.Dangerous Attraction 07.We Were Born To Rawk N Roll 08.Carry On My Wind ※Bonus Tracks For Japan Only 09.Give It All Up For Luv 10.Get Out 11.In The H.E.A.T. Of The Nite 12.Carry On My Wind (feat. Erik Grawsjo [MANEGARM] & Veith Offenbacher [DAWN OF DESTINY]) 13.Your Luv Is Drivin' Me Crazy (Extended Version) ※Bonus Tracks For Japan Only GRAND DESIGN Line-up: Pelle Saether (Lead Vocals) Dennis Vestman (Rhythm Guitars、Backing Vocals) Dan Svanbom (Lead & Rhythm Guitars、Backing Vocals) Stefan Vesterlund (Bass) Joakim Jonsson (Drums)
by malilion
| 2023-04-26 18:37
| 音楽
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