CZAKAN 「Unreal」'23 今年初めに1989年リリースのデヴュー作『State Of Confusion』だけを残し消えたドイツのキーボード入り5人組メロディアスHMバンドCZAKAN (チャーカン)のアルバムが待望のリマスター再販され、そのリイシューが呼び水になったのか彼等が34年ぶり(!)に再結成を果たしたのをお伝えしたが、早くも再結成第一弾作が届けられたので即GET! 最初のインフォ時点では仔細が不明でしたが、本作のクレジットを確認するになんと当時のままのオリジナル・メンバー5人(見事に禿で髭面のムサ苦しいオッサンズに!)でリユニオンを果たしております!('(゚∀゚∩ さて、四半世紀以上の時を経て放たれた待望の2ndアルバムですが、嬉しい事に音楽性に特に大きな変化は有りません!!(゚∀゚) 80年代末当時のドイツシーンを賑わせていたSCORPIONS、BONFIRE、MADMAX、AXXIS、CRAAFT、DOMAIN、VICTORY、MSG等と同系統な70年代英国HRの流れを汲むオールドスクールの妙な小細工など一切無い、笑っちゃうくらいにストレートな王道メロディアスHR作であります!! 既にメンバー皆よい歳だし今さら新世代HMバンドに対抗して今風のモダンなヘヴィネス・ダークHMサウンドを演るなんていうトチ狂ったアプローチをせず、デヴュー当時シーンを賑わしたまんまな自身の身上とセンスに即した、嘘の無い80年代風ジャーマン・メロディアスHRサウンドを真向から奏でており、今の轟音HMサウンドに慣れた耳には幾分か古臭いHRサウンドに聴こえるのは否定しませんが、ソレが逆に新鮮で実に良いのですよネェ~♪ 今の新世代HMバンド達が80年代への憧憬を投影した疑似80年代風メロハー・サウンドでない、まんまあの当時からタイムスリップして来たかのようなデヴュー作で聴かせた80年代USロックと80年代ユーロ・ロックをMIXさせた、高揚感あるブライトな旋律が爽快感を伴って程よくワイルドに疾走する折衷メロディアスHRサウンドとして蘇っており、本当に堪りません(*´ω`*) 驚かされるのはシンガーの Michael Schennachで、以前のような軽薄さが薄れ、甘い声質のまま未だに高音キーも保ちつつ、とても伸びやかで深みある素晴らしい歌唱を聴かせており、30年以上のキャリアを経てさらなる高みへ彼が今到達している事をその見事な歌声が如実に物語っていると言っていいだろう。 さすがにデヴュー作のように勢い任せでパワフルな荒々しいヴォーカルは姿を消し、ポリフォニックなヴォーカルやクリアーでキャッチーなバッキングコーラスに今の時代に相応しいスタジオ・ワーク臭が幾分するものの、スタジオで音を造り込むバンドの代名詞DEF LEPPARDのようなメカニカルで作り物っぽい感覚は薄く、Curacao出身の Lorenza Maluk嬢をバッキングシンガーに迎えるなどして、程よく80年代風のメロディアスHRサウンドをスポイルする事なく上手く馴染ませていて実に心地よい。 楽曲は全体的にクラシックなフィーリングに包まれており、エッジがあるものの今風のヘヴィさやダークさを感じさせる事ないメロディアスでブライト、それでいてコンパクトで印象的なフレーズを紡ぐ Oliver Guttingerのギターには以前のような露骨なURIAH HEEPの Mick Box風味は薄れ、80年代風の楽曲が詰め込まれたアルバムではあるが決して懐古的で後ろ向きでない緩急を心得たベテランらしい効果的な抜群のギター・ワークを楽しませてくれている。 少々残念なのはこれだけ年月を経たのだから当然ではあるのだが、デヴュー作で聴こえていたソリッドなボトムのパワフルさやエッヂ立ったヘヴィさや若々しい疾走感は失われており、代わってBONFIREやFRONTLINEのようなキャッチーでAOR風のフックある歌メロと、完成度の上がった楽曲全体を華やかに盛り上げるデジタリーでポップなキーボード・ワークがデヴュー作より多く盛り込まれ、Tommy Feinの操る鍵盤が雰囲気ある美旋律やシンセ・アレンジ等で楽曲のキャッチーさを際立たせる手腕は実に見事で、DIE TOTEN HOSEN等のドイツ国内バンド達のLIVEサウンドエンジニアや技術者として伊達に20年以上も裏方でキャリアを重ねてきた訳ではない事を証明してみせている。 また、恐らく2ndアルバム用に当時制作されていたものの発表される機会を失っていた楽曲、『Free Line』『She Is A Woman』が本作には収録されており、再結成作の他の楽曲と違和感なく馴染んでいるのに驚かされるが、それもこれも彼等の復帰作のサウンドが89年当時と地続きで今の時代に迎合する事なく同じフィーリングを伴って美旋律を響かせている証左と言えるだろう。 シンプルなリズムと分かり易いメロディアスなギター、キャッチーなメロディに満ちたコンパクトな楽曲の上を舞うエモーショナルで伸びやかなヴォーカル、と実に基本的な80年代HRスタイルなのだが、長い時間を経てすっかり細分化されてしまったHR/HMサウンドの中にあって本作のドストレート極まりない王道メロディアスHRサウンドが逆に実に心地よく、最初のシングルとPV曲となったオープニング曲『Free Line』から、最終曲の『Show Me All Your Love』まで、全てが見事な一体感を伴って奔流の如く駆け抜けていく。 無論、A級のメジャー作レベルではないしチャートを賑わす最先端のモダンHMでもないけれど、本当に長らくファンが期待した通りに見事な復活作としか言いようのない、80年代メロディアスHR好きには堪らない一枚であります(*´∀`*) 当時、この方向性でこのサウンドで無事メジャー・レーベルと契約を果たして2ndがリリースされていたならば、きっと今頃彼等はドイツのビッグネームに成れていたかもしれません… 願わくば今度こそ前回のように呆気なくバンドが瓦解せず、長く問題なく活動してくれる事だけを祈ってしまいます。 既述バンドの名前や再販されたアルバムを聴いて彼等の事を気に入った方なら間違いなく本作を気に入る事請け合いですので、是非ご興味あるようでしたら一度本作のサウンドの方をチェックしてみて下さい。 Track listing: 01. Free Line 02. Getting Hungry 03. Breaking All The Rules 04. Living In A Nightmare 05. Get Down 06. Burns Like A Fire 07. Under The Gun 08. City Nights 09. Masquerade 10. She Is A Woman 11. Winners Dont Cry 12. My Sweet Love 13. Locked In A Cage 14. Show Me All Your Love CZAKAN Line-up: Michael Schennach (Vocals) Oliver Guttinger (Guitars) Tommy Fein (Keyboards) Randy Arcachon (Drums) Frank Schrafft (Bass)
by malilion
| 2023-04-23 17:43
| 音楽
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