JOHN WEST 「Days Of Destiny」'23 ROYAL HUNTやARTENSIONといったキーボーディストがイニシアティヴを握るネオクラ&テクニカルHMバンドを渡り歩いた米国NY州Cortland出身でネイティヴ・アメリカンの血を引くシンガー John Westがワールドワイドにその名を知られる前、当時在籍していたDESTINYなるインディ・バンドのカセット・オンリーDEMO音源や初のソロ・テープ音源、さらに未発表音源等々、1988年から1991年にかけて録音(ARTENSIONデヴュー作は96年)された、彼の若き日の歌声を堪能できる貴重な初期音源がメロハー新興レーベル MelodicRock Classicsから Jk Northrupの手によるリマスター&初CD化でリイシューされたので即GET! Glenn Hughesと Steve Perryと Ian Gillanを足して三で割ってマイルドにしてちょい黒っぽいフィールを付け加えたイメージな声質で、強靭な喉から放たれるストレートに突き抜ける伸びやかな歌声とソプラノCが出せる太くパワフルなハイトーン・ヴォイスは如何にもHMヴォーカリストといったメタリックな切れ味鋭さとブルージー且つソウルフルなフィーリングも併せ持ち、多様な音楽性に対応する幅広いヴォーカル・レンジはデヴュー当時HM界で大注目されたのも頷ける抜群の歌唱力を誇るヴォーカリストで、個人的には90年にデヴューし瞬く間にその名をシーンに轟かせた米国HMバンド STEELHEARTの Mike Matijevic(現 Miljenko Matijevic)と同じくらい衝撃を受けた超強力なHMシンガーの一人だと思っております、そんな彼のワールドワイド・デヴュー前の音源となればHMマニアならずとも無視する事は出来ないでしょう。 因みにDESTINYは、後にグラミー賞を3度受賞するキーボーディスト、ソングライター、プロデューサーとして名を上げる Lonnie Parkも17歳という若き日に初めて参加した4人組ローカル・バンドでありました。 本音源の貴重さを際立たせているのは、活動停止に陥った ARTENSION (01年から再起動し04年以降再び停止中…)とROYAL HUNT (2007年脱退)の活動中からその兆しは時々伺えたのだが、2004年頃に John Westの喉に癌が見つかり、一時は歌手生命の終わりを告げられたものの手術によって奇跡的に病魔は消えたが、やはり手術の影響でか以前とは声質が変り声量も著しく衰え、デヴュー当時の抜群のパワフルさと絶品の歌声は失われてしまったのが間違いなく大きな理由だ(T~T) 勿論、今でも並みのシンガーと比べれば十分以上に上手いし、幅広い音域のドコでもバッチリ決まるピッチ・コントロールの正確さに驚かされるベテランらしい歌唱スキルを持つヴォーカリストではあるものの、若かりし頃の伸びやかで瑞々しいもう決して戻らぬ彼の素晴らしい歌声を堪能出来る本音源はワールド・ワイドなデヴュー前の音源という以上に貴重なのがお分かりいただけるだろう。 さて、本作で初めてその名を目にした方も多いだろう注目のDESTINYなるバンドは、14歳の時に地元バンドでドラマー兼ヴォーカルとして活動を開始し、18歳の時に本格的にシンガーへと転身した John Westが最初期に結成(最初のフロントマン・バンドは1986年のDIAMOND)したNY州Cortlandのローカル・バンドで、1989年にLIVEハウスでのみ販売の4曲入りDEMOカセット『Side By Side』をリリースし本作にも音源(DESTINYのデモEP自体は05年にCD化されている)が収録されており、後に彼が参加するバンドの音楽性やソロ・アルバムで提示したサウンドと比較すると明らかに差異があって、ROYAL HUNTやARTENSIONは自身がリーダー・バンドでなかったから当然だが、90年代東海岸シーンの影響を伺わせる幾分かリズムにキレが無くヘヴィなサウンド主体の特にコレと言って特異な所の無いベーシックなアメリカンHR作で、まだまだ粗削りで勢い任せな太く無い軽めな歌声に青い所がありありと浮かぶ微笑ましいヴォーカル(Glenn Hughesっぽかったり Ronnie James Dioぽかったりw)だが後の大躍進の片鱗を既に垣間見せている、若き日の John Westの歌声を堪能出来る貴重な音源となっている。 また、DESTINY解散後に制作された John Westのカセット・オンリー初ソロ作の音源や未発音源も収録されており、演奏はDESTINYの面々が協力しゲストプレイヤーも招いて制作された楽曲の方向性はヴォーカリストにフォーカスされポップでキャッチーさが強調さたサウンドで、個人的に John Westのカセット・オンリー初ソロ作のブライトな80年代アメリカンHR風なサウンドでDESTINYのサウンドもプレイされていたなら、ワンチャンDESTINYがインディ・シーンで話題になったかも、とも思いましたが当時USメジャー・シーンはグランジー真っ盛りでしたからどの道先は無かったのかもしれません…orz DESTINYの楽曲では狙う方向性的に余り Lonnie Parkのプレイがフィーチャーされていないが、未発音源や John Westのソロ音源ではちゃんとそのプレイが堪能出来るので、Lonnie Parkの最初期のプレイが収められたレア音源としても資料的にも重要なのは間違いない。 一応リマスターが施されてはいるものの古いDEMO音源が元だし、そもそもの録音状況が悪かった影響でか所々でブツブツとノイズが聴こえたり、ハイの音域でジリジリと音割れ的ノイズが入ったり、全体的に篭り気味なボトムだったりと決して一級品なサウンドとは言えないけれど、John Westファンにとっては今まで耳にする事の叶わなかったレア音源ばかりなので本作に文句など有ろうはずもありません。 この後、NY州Cortlandでの活動に見切りをつけ、John Westは西海岸シーンでの活躍を夢見てCalifornia州Los Angelesに渡り、1992年に元OZZY OSBORNE BANDの Jake E. Lee率いるBADLANDSに今は亡き名ヴォーカリスト Ray Gillenの後任として加入し、一躍HR/HM界でその名が知られる事に。 BADLANDSの3rdアルバム『Dusk』'92 制作に参加するもののバンドは1993年初頭に解散し、3rd音源はお蔵入り、1999年になってやっと発掘リリースされた。 なのでARTENSIONのアルバムがリリースされるまでは、あの Ray Gillenの後任ヴォーカリスト、として名前だけが先にシーンに浸透していたのが面白い。 もう一つ面白いのが John Westは声質が似ていたりブルージーな抜群の歌唱力を誇る点で Ray Gillenと共通点があったからなのか、BADLANDSの後に Ray Gillenが参加したANTHRAXのヴォーカリストだった Joey BelladonnaのバンドBELLADONNAのギタリストであった Al B. Romano率いるSUN RED SUNに、また Ray Gillenの後任として加入(97年リリースの音源にその歌声を残している)しており、それだけ2人の素晴らしい歌唱力がシーンで認められ求められていたと言う事だろう。 個人的に Jeff Scott Sotoの後任でいつもその名前が有る無名のシンガー Mark Weitzを思い出させます(w やっぱり後任ヴォーカリストは似た声のシンガーを選ぶんでしょうね、どこも。 他にもSUN RED SUNのアウトテイク集『Ray Gillen 5th Anniversary Memorial Tribute』'98 がリリースされており、その中の収録曲で John Westの歌声が楽しむ事が出来るマニアックな一枚も存在するので John Westファンの方は要チェックです (゚∀゚) BADLANDS解散後、テクニカル・ギタリストの登竜門的レーベルのShrapnel Recordsから90年にデヴュー作をリリースしている凄腕のブルーズ&カントリー系ギタリスト Michael Lee Firkinsのツアーへ参加したり、元KEEL、元COLD SWEET、元MEDICINE WHEELのギタリスト Marc Ferrariのアルバム『Marc Ferrari & Friends』'95 にゲストヴォーカリストとして参加したりと次なる活躍の場を求めて模索していた彼は、名ドラマー Cozy Powellの最後のソロ・アルバム『Especially For You』'98 に参加しLIVE活動に期待を寄せるものの Cozy Powellは既に他バンドへ複数参加しておりソロ作のリリースも98年と遅れ、さらにフォロー・アップ的な活動も出来ず仕舞いで、結局 John Westはウクライナ出身のキーボード・プレイヤー Vitalij Kuprijとスイス出身のギタリスト Roger Staffelbachが1996年に結成したネオ・クラシカル&プログHMバンドARTENSIONへ参加する事に。 その後の活動はHMファンの皆さんなら良く知る通り、1999年にはデンマークのメロディアス・シンフォHMバンドROYAL HUNTへ米国人シンガー D.C. Cooperの後任で3代目ヴォーカリストとして加入し、ARTENSIONと掛け持ちで活動し、既記した通り2004年に喉のトラブルを抱え、2007年にROYAL HUNTを脱退し、その後は再結成ARTENSIONへ参加したり、各方面で手広くゲスト参加したり欧米のミュージシャンだけでなくボスニアやチリといった世界中のミュージシャンとのコラボ作やプロジェクト作でその歌声を披露している。 彼の参加した作品をお聴きになっている方なら既にご存じとは思うが、抜群の歌唱力を持つシンガーなれど歌メロ創作の才能的に今一つなのは隠しようもなく、どうにも彼の残してきた楽曲やバンドがイマイチな評価なのはその辺りにも問題があるのは間違いないだろう…ROYAL HUNTはボスの指示通り歌っているのでその点問題は大きく感じないが… 彼の事を思い出すといつもASTRAL DOORSのシンガー Nils Patrik Johanssonの名が頭に浮かびます… Ronnie James Dioと Glenn Hughesを足して二で割ったようなパワフルで絶品の歌声を聴かせる彼も致命的に歌メロづくりが下手なんだよなぁ…orz 年齢的な事もありますので仕方がないのかもしれませんが、Uli Jon Rothのバンドへのゲスト参加や Ronnie James Dio、Ritchie BlackmoreのトリビュートバンドBLACK KNIGHTS RISINGのシンガーとしてローカルなツアーを行っているものの、以前のような世界を股に掛けるバンドに加入して活発なLIVE活動を行ってはいないのが実情だ。 近年 John Westは目立った活動をしておりませんが、まだまだ引退するには早いヴォーカリストでありますので、是非またソロ作かバンドを結成するか参加して再びその歌声を届けて欲しいものであります。 Track Listing: 01. Look Into My Eyes # 02. Side By Side * 03. Set Me Free + 04. Fountain Of Youth 05. Burning Summer Nights + 06. Sail On # 07. Don’t Run Away * 08. The End # 09. Lady Ice # (97年ソロ・アルバム『Mind Journey』にも収録 10. All My Life * 11. Do You Want Me * 12. You Say I Say # 13. Save Your Love # * Officially Released as Destiny on The 4-song Cassette『Side By Side』 # Recorded After Destiny Broke Up (But Same Lineup). Released as John's First solo Record on Cassette + Recorded After and Never Released Remastered by JK Northrup DESTINY Line-Up: John West (Lead Vocals、Guitars) Lonnie Park (Keyboards、Backing Vocals) Ian Budha (Drums、Backing Vocals) Billy Ray Gunn (Bass、Backing Vocals) with: Marc Mays Guitars on Tracks 01、02、06、07、08、09、11、12 B. Rettie Additional Backing Vocals Scotte Fletcher Rhythm Guitar on Track 04 Chuck Wilkins Keyboards on Track 04 Rob Hunter Additional Backing Vocals On Track 02、07、11 John West & Lonnie Park Additional Bass
by malilion
| 2023-04-17 19:05
| 音楽
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