人気ブログランキング | 話題のタグを見る

80年代初期に活躍したカナダ産メロディアス・ロック・バンドSTONEBOLTの3rdアルバムがリマスター&ボートラ追加の限定盤でリイシュー!

80年代初期に活躍したカナダ産メロディアス・ロック・バンドSTONEBOLTの3rdアルバムがリマスター&ボートラ追加の限定盤でリイシュー!_c0072376_17123121.jpg

STONEBOLT 「New Set Of Changes +1」'23

後にその名を馳せるAORシンガー Ray Roperを擁しカナダのバンクーバーを拠点に70年代から80年代半ばにかけて北米を中心に活躍したカナダ産メロディアス・ロック・バンドSTONEBOLTが1980年にリリースした3枚目のフルアルバムが英国メロハー・レーベル Escape Musicより2023年度リマスター&ボーナストラック追加&ナンバリング1000枚限定でリイシューされたのをちょい遅れてGET!!

メロディアス・ロック愛好家やAOR愛好家にはその名を知られているものの、ここ日本では今や殆ど知名度の無い(涙)彼等の簡単なバイオをまずは載せておきます。

60年代後半にPERTH AMBOYとして結成され、英国生まれバンクーバー育ちなギタリスト兼シンガー Ray Roper (Guitar、Vocals)、Brian Lousley (Drums)、Dan "Danny" Atchison (Bass)の3人で当初はバンクーバー地域のあらゆる小さなクラブで演奏し、腕を磨くと、1973年にキーボーディストに John Webster (Keyboards)を迎え、同年シアトルを拠点に活動するバンド SHAKERのシンガーであった David Wills (Vocals)をリード・ヴォーカルに迎えSTONEBOLTとバンド名を改める。

76年、サンフランシスコの伝説的なプロデューサー Elliot Mazur (Janis Joplin、Neil Young、JOURNEY、etc...)の元で2曲のデモをレコーディングする頃にはSTONEBOLTはバンクーバーのクラブ・シーンでも中心的な存在になる知名度となっていた。

77年、Johnny Riversのロードマネージャーだった Walter Stewartの目に留まり、Neil Diamondや Elton John.との最初の契約を担当した Russ Reganが率いるParachute Recordsと契約を果たす。

翌78年、THE PAUPERSの Adam Mitchellが書いたシングル曲“Queen Of The Night”を収録したセルフタイトルのデヴュー・アルバム『Stonebolt』をリリースし、2枚のシングルをリリース。

レーベルからの適切なサポートが無く当初デヴュー作の売り上げは芳しくなかったが、2枚目のシングル“I Will Still Love You”はスマッシュヒットし、ビルボードのトップ30に入るポップバラードとしてバンドの知名度アップに貢献する。

シングルヒットの勢いを活かすべく北米を中心(何故か最初にテキサスで大人気に)にLIVEサーキットを行い、初来日も果たすなどその年のグラミー賞候補にもなったが、結局メジャー・シーンで吹き荒れるディスコ旋風に敗れ、新人バンドの知名度の浸透具合は芳しくなかった…

Parachute Recordsは消滅したものの運良くRCAレコードと新たに契約が結べ、1979年夏2ndアルバム『Keep It Alive』をリリースすると、今日でもクラシックロック・ラジオ局の常連バラード曲“Love Struck”がシングル・ヒットする他、タイトでまとまりのあるポップナンバーな収録曲が今でも愛されており、まだ米国シーンでのキャリアは浅かったとはいえグループにとって大きな転換の年となる。

キーボーディストの John Websterは翌80年バンドを脱退するとカナダのメロディアスHRバンドRED RIDERへ加入し、新たな鍵盤奏者に Lewis Nitikman (Keyboards)を迎え入れる。

新編成となっての第一弾作であるTHE BEATLESの″Please Please Me”のカバーをフィーチャーした3rdアルバム『New Set Of Changes』が80年にリリースされる。

バンド解散の後、無名の実力派カナダ人シンガー David BuckthorpeとDIAMOND IN THE ROUGHを結成し、ここでも以前ご紹介した極上のAOR作を1986年にリリースする Louis Nitikmanを新たな鍵盤奏者に迎え入れた効果は大きく、キーボードサウンドが一気に新しいイメージの明るいシンセサウンドへ一新されており、楽曲のコンパクトさの向上とキャッチーさやブライトさが増す事に。

個人的にこの時代の如何にもアナログ・シンセな立ち上がりの遅い柔和なサウンドや古臭いサンプルのキーボード・サウンドがもうめちゃ懐かしくて大好きです♪('(゚∀゚∩

本作『New Set Of Changes』を彼等の最高傑作とする向きが多く、個人的にもカナダ産バンドらしいウェットでリリカルなメロディとUSロック風なキャッチーなコーラスと親しみ易いポップさが程良くMIXされアメリカン・プログレ・ハード風な洗練された小気味よいメロディアス・サウンドは実に素晴らしく、その意見に賛成だ。

前2作の音楽性を継承しつつウェストコースト的なアコースティカルさだったりファンキーなフィーリングや泥臭いアメリカン・テイストを抑え、よりユーロ圏サウンドへ接近したスマートでメロディアスな方向へシフトすると、当時メジャー・シーンで人気を博していたBOSTON、KANSAS、STYX、PRISM等のアメリカン・プログレ・ハードへ接近した音楽性(RCAからのプレッシャー?)を披露するものの、一回聴いただけで耳に残る美麗な分厚いコーラスがフィーチャーされたキャッチーでコンパクトな洗練され完成度高い楽曲満載なアルバムながら、時流の激しい移り変わりの早さに対応しきれず混乱していた為かRCAからの適切なサポートが得られなかった影響で、周囲が期待する程の人気を得る事が出来なかった…

彼等にとって最終作『Juvenile American Princess』を82年にリリースする。

BEE GEES“To Love Somebody”のカバーをフィーチャーした4枚目のオリジナルアルバムは、ツアーに次ぐツアーと、カナダのラジオ局で絶え間なく流されるヒットシングル“Going Through The Motions Of Love”という起爆剤が十分にあったものの依然RCAレーベルは適切にバンドをプロモーション出来ておらず、さらに不運な事にアメリカン・プログレ・ハードの衰退と代わって勃興した如何わしくスキャンダラスでダーティーなL.A.メタルによって再びメジャー・シーンの時流が激変し、70年代的な音楽性を持つSTONEBOLTは上手く時流の変化へ乗る事が出来ず、その残してきた作品の質の高さとミュージシャンシップの素晴らしさが報われる事なく、80年代半ばに解散する事に…

彼等的には『Juvenile American Princess』でよりメジャー・シーンでの成功を目論んでポピュラリティの高いAORへ接近した穏やかで軽めなポップなサウンドへアメリカン・プログレ・ハードから方向性を修正したのだろうが、時代は全く逆のワイルドで煩く洗練と対局にあるようなメタリックで騒々しいサウンドを求めていた、というのが不幸でしたよね…orz

STONEBOLT解散後にメンバー達はそれぞれ自分のプロジェクトへ向かい、Ray RoperはカナダのバンドTROOPERの元メンバー達とTRAMAを結成、その他にもTHE RAY ROOPER BANDを結成し、バンドは80年代後半にはTHE EDGEに改名し、一時期はTHE HEADPINSのメンバーも複数名在籍していたりした。

90年代後半、クラシック・ロック・フェスティバルが催され懐かしのバンドの活動やサウンドに再び脚光が当ると、STONEBOLTは1回限りのギグの為に再結成される。

熱狂的なファンに迎えられ再結成LIVEが行われたその年にリリースされたBEST盤『Regeneration』'99 には、“I Will Still Love You”“Queen Of The Night”“Don't Ya Hide It”“Going Through The Motions Of Love”といったバンドの代表曲に加え、3曲の新曲“"Let's Go Back”“"Extra Mile”“"The Love I Found”が収録されていた。

古いアルバムなので本作について今さら私がどうこう述べる必要も無いだろうが、分厚い爽快なコーラスとリードシンガー David J Willsの甘い声質の伸びやかなハイトーン・ヴォーカル、コンパクトで洗練された無駄の無いシンプルでフックある楽曲と、おおよそメロディアスな80年代USロックを好む方ならまず間違いなく本作のキャッチーでブライトなサウンドを気に入るハズで、多少アメリカン・プログレ・ハードっぽいアレンジや派手で煌びやかなシンセワークがフィーチャーされているけれども、その奥底でしっかり息づくカナダ産バンドらしいユーロ圏バンドを思わすウェットで繊細なメロディが本作のサウンドに心地よい優美さと染みる叙情感を与えていて、どうしてこんなに素晴らしいアルバムがプロモーション不足とは言えメジャーレーベルからのリリース作品なのに当時ヒットしなかったのか理解に苦しみます。

月並みではありますが、ラジオからMTVへ、ミュージシャンの演奏技術やアーティスティックな創造性より分かり易いコマーシャリズムと派手なビジュアルが重視される時代の変節が彼等に味方しなかった、としか言えませんね…

さて、今回のリイシュー盤の目玉“Back On The Bottom Line”ですが、この曲は当時ステージで披露されて人気を博しており、本アルバムの収録曲候補であったが再びツアーへ戻る前にスタジオで仕上げるには時間が足りず、プロデューサーの Walter Stewartは本アルバムに入れたがっていたが全体のカラーと比較しロック色が強すぎた為に収録されなかった、今回のリイシューに際して40数年の制作期間を経て完成した楽曲で、バンドがRCAレーベルの経営難で次のアルバムがリリース出来るか分からぬまま故郷カナダへ一時帰国せねばならなかった、当時バンドが苦しんでいた感情の荒波を記録した曰くつきの楽曲でもあります。

事の起こりは Ray RoperがカナダのBritish Columbia 州Peachlandへ引っ越した際、倉庫を整理していて古い2インチのマスターテープを発見した事から始まる。

そのテープから1980年のアルバム『New Set Of Changes』の締め切りまでに完成しなかった“Back On The Bottom Line”のオリジナル・ベーシック・トラックが発見されたが、全てのパートの録音データは足りずアレンジも不明で、そこで当時この曲を演奏していた頃の音響技術者に連絡を取ると1980年に行われたLIVEでのボードミックスバージョンが見つかり、当時演奏していたオリジナル・パートが全て揃っていて、その音源に沿って全メンバーが再びスタジオに集い新たにヴォーカルパートやコーラス、ギターやキーボードパート等のスタジオ新録を部分的に加えて遂に古くて新しい“新曲”が今回やっと完成し初めてアルバムに収録されリリースされたのでありました。

当時より渋味とパワフルさを増した David J Willsのヴォーカルは聴きモノですし、如何にも80年代USロックっぽいジャージィなハモンドや切れ味鋭いワイルドなギターのドライ・サウンド、そしてちょっと今風なモダンさを感じるコーラス等、本編サウンドとかなりの差異を感じますが、まぁ40年以上前の新曲ですから、そこは、ね?(w

しかし、各メンバーが未だに昵懇なのはファンとしては嬉しいですよね、このまま他のアルバムもボートラ入れてリイシューしてくれればもっと嬉しいんだけどなぁ~(w

80年代前半のUSメロディアスHRやBOSTON、KANSAS、STYX、PRISM等のアメリカン・プログレ・ハードなバンドやサウンドがお好みな方なら間違いなく気に入るだろう彼等の最高傑作を是非一度チェックしてみて下さい。

Tracklist:
01. Take The Time
02. You Don't Care
03. Crying Again Tonight
04. Landing In Love
05. Please Please Me
06. New Set Of Changes
07. Come And See Me
08. All By Myself
09. Here Comes The Rain
10. Midnight Angel

Bonus Track:
11. Back On The Bottom Line

STONEBOLT Line-up:
Ray Roper     (Guitars、Lead & Backing Vocals)
David J Wills    (Lead & Backing Vocals)
John Webster   (Keyboards)
Brian Lousley   (Drums & Percussion)
Danny Atchison  (Bass)





by malilion | 2023-04-06 17:14 | 音楽 | Trackback
<< イタリアン・プログレ期待の... 東欧ポーランドのプログ... >>