ALTARIA 「Wisdom」'22 去年の夏にリリースされていた前作『Unholy』'09 から13年ぶりとなるキャリア20年超の5人組フィンランド産ベテランHMバンドALTARIAの再結成第一弾作、5thアルバムを購入後回しにしまくってたら今頃になってしまったけど(汗)ご紹介。 最初期には元SONATA ARCTICAのギタリスト Jani LiimatainenとNIGHTWISHのギタリスト Emppu Vuorinenもメンバーにその名を連ね、2本のDEMO『Sleeping Visions』'01 『Feed The Fire』'02を発表した後、03年に『Invitation』でMETAL HEAVENから鳴り物入りでアルバム・デヴューし、その如何にも北欧フィンランド産HMという物悲しくダークでミステリアスな美旋律が渦巻くサウンドは、正にSONATA ARCTICとNIGHTWISHのメンバーが在籍するバンドが創り出しそうな、北欧特有の哀愁漂う甘美なメロディが満載な一作で、北欧メロハーのみならず数多くのHMファンを虜にしたのだった。 しかし、北欧バンドあるあるな度重なるメンバーチェンジで売りの Jani Liimatainenも Emppu Vuorinenも姿を消す中で次第に活動は不安定になり、最後にはずっとバンドを引っ張って来たオリジナル・メンバーで中心人物だったベーシスト Marko Pukkilaまで脱退する始末で、残されたオリジナル・メンバーはドラマーの Tony Smedjebackaのみという殆ど別バンド状態な上、バンドサウンドを形作る大きな要素であったキーボーディストまでも姿を消し、ツインギター4人組という構成メンツ共々大きく変化した新編成でBEST盤を挟んでリリースされた勝負作『Unholy』'09 は、けれど音も悪く、内容もイマイチで、案の定それまで彼等を支えてきたファンからもソッポを向かれ、次第に人気は低迷し、バンドは存続しているものの半ば解散も同様となり、結局2016年に過去に在籍していたメンバー達が集結してお別れLIVEを披露し解散を迎える事に。 ただ中心人物であった Marko Pukkilaとしては余り褒められたものでなかったバンド終焉に後悔が募っていたのか、解散から僅か3年後の2019年には早くも再結成を画策しだしており、まずは『バンド結成20周年を祝おう』という事で3rdアルバム『The Fallen Empire』リリース時の編成でニュー・アルバム『Wisdom』の制作を開始し、合わせて新たに契約を交わした Reaper Entertainmentから過去作『Invitation』'03 『Divinity』'04『The Fallen Empire』'06 にリマスターを施してのリイシューと、最新作と過去作を同梱した限定4CD Box Set『Wisdom』がリリース(最新作とBox Setの名前を同じにするなよなぁw ややこしい!)される事となる。 残念ながらパンデミックの為に当初の計画は狂って新作のレコーディングは延期されてしまうが、Marko Pukkilaを筆頭に再結成に集ったメンバー達の創作意欲は衰える事はなく、2022年に5枚目の本スタジオ・フルアルバムが遂に完成したのでした。 Marko Pukkila的にも自身が脱退した後にリリースされた『Unholy』'09 のモダン・ヘヴィネスな方向性は必要ないと判断したのと、ファンが彼等に求めているサウンドがどういった方向性なのかをしっかりと把握していた模様で、STARATOVARIUSを源流に初期の彼等が内包していたSONATA ARCTICAやNIGHTWISHのサウンド要素をしっかり取り込み消化しつつ、13年ぶりの音源とは思えぬ程に『The Fallen Empire』'06 の次にリリースされていてもおかしくないフィンランド産バンドらしい北欧メロディアス・サウンド作となっており、哀愁溢れるヘヴィでドライヴ感あるリフ、北欧HMらしい透明感あるフックの多いメロディ、キャリアを重ねてより深みと伸びやかさを増したエモーショナルなヴォーカル、そして北欧バンド特有のうっすらと加えられた華やかさを彩るキーボード・サウンドと、無駄にダークでファストでなく、無理にモダンで造り込まれたサウンドでもない、彼等のファンが長年待ち望んでいたモノが、美旋律とキャッチーな歌メロを第一に考えて構成された楽曲にしっかりと提示されていると言えましょう。 ただ、既にデヴュー当時と時流も変化し、ベテラン故にバンドの置かれた状況や立場も違う訳で、丁寧なプロダクションのとても良いカムバック作だとは思うのですが、2年の歳月をかけて完成した割りには楽曲に少々当たり外れがあったり、以前よりもパワーとパンチが足りないと感じる瞬間が多々あったり、アルバム全体が堅実で一貫した感触が強い為か些か淡泊で平坦な印象を受け、さらに以前のようにギターと兼任でのキーボーディストが居ない弊害なのかサンプルの問題なのか幾分かキーボード・サウンドが安っぽく聴こえたりと、意図してなら良いのですが少し古臭いサウンドのアルバムに聴こえてしまったりして、手放しで本作を褒めちぎる事は出来かねる、というのが正直な感想でしょうか… もう少しアルバムの構成に起伏が生まれるような展開や、アレンジの妙を活かした楽曲、後はスピーディーでヘヴィな楽曲があっても良かったのではないかと思うのですが、彼等の穏やかでメロディアスなサウンドを好んでいる古参ファンな方にはそういった要素はマイナスでしかないでしょうから、今回チョイスしたサウンドの路線は手堅い選択とも言えるので批判するのもどうかというなかなか悩ましい所ではあります。 滅茶苦茶キャッチーでメロディアスという訳でもなく、とんでもなくレイドバックした北欧メロディアスHMサウンドと言う訳でもない、かといってモダンでヘヴィな今風の最先端なHMサウンドでもない、22年作の北欧HM作としては些か穏やかで和やか過ぎるような、速くも遅くもなく、劇的でも平凡でもない、なんとも中途半端な所がもどかしい、そんな一作でした… なんだろう、全体的な完成度やプロダクションとバランスの向上は果たされたけど、やっぱり初期のようなキレ味鋭いリフやインディ丸出しでバランス悪くて臭みも強いけれどスリリングで激ヤバな美旋律の乱舞や狂おしいくらい官能的なメロディの輝きが見当たらないのが、以前のようにピンと来ない一番の要因なのかなぁ? とは言え、フィンランド産北欧HMサウンドと聴いて連想する要素はしっかりと備えているアルバムでもありますので、ALTARIAファンは勿論の事、古典的な流れを汲むベーシックなメロディアス北欧HM作なんかに惹かれる方なら決して大きく裏切られる事はない安定作とも言えますので、ご興味あるようでしたら一度チェックしてみてもよろしいのではないでしょうか? 尚、デヴュー作の収録曲を今回新録して2022ヴァージョンとして再録しているので、オリジナル・ヴァージョンと聴き比べて彼等の成熟の度合を楽しむ事も出来ます。 改めて今、デヴュー作を聴くと Jouni Nikula (ex:REQUIEM)のヴォーカルがヘロヘロだし音域も狭くヴォーカル・スキル的にも怪しいどうしょうもなくインディ・レベルなんだけれど、バックのマイナー調で激メロディアスな仄かに哀愁漂う北欧HMサウンドと程よくマッチしてたんだなぁ、と懐かしくなってしまいました(w Track List: 01. Wisdom 02. Diablo Rojo 03. Without Warning 04. Kissed By The Flames 05. Power To Heal 06. Sometimes 07. Victory Of Winter 08. History Of Times To Come (2022) 09. Lost In Time 10. Crimson Rain 11. Kingdom Of The Night (2022 Bonus Track of Japan Only) ALTARIA Line-up: Marko Pukkila (Bass ex:BLINDSIDE、ex:DREAM ASYLUM) Tony Smedjebacka (Drums ex:BLINDSIDE) Taage Laiho (Vocals :exMAD HATTER'S DEN、ex:TAAGE LAIHO GANG、RASKASTA JOULUA) J-P Alanen (Guitars ex:CELESTY) Petri Aho (Guitars ex:BLINDSIDE)
by malilion
| 2023-04-01 14:24
| 音楽
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