人気ブログランキング | 話題のタグを見る

元MEGADETHのベーシスト David Ellefsonと百戦錬磨のメタル・シンガー Jeff Scoto Sotoのコラボ作をご紹介。

元MEGADETHのベーシスト David Ellefsonと百戦錬磨のメタル・シンガー Jeff Scoto Sotoのコラボ作をご紹介。_c0072376_18280255.jpg

ELLEFSON-SOTO 「Vacation In The Underworld」'22

去年6月に既にリリースされていた本作を今頃(汗)入手したので遅ればせながらご紹介。

“スラッシュ・メタル四天王”の一角を占めるMEGADETHのベーシストとしてバンドの全盛期を支えた David Ellefsonは、以前からバンド外の活動も盛んに行っていて、F5、METAL ALLEGIANCE等の別働プロジェクトや自身の名を冠したソロ・バンドELLEFSON、インダストリアル・メタルを代表するバンドFEAR FACTORYやSPONGEのメンバー等と2021年に新バンドTHE LUCIDを結成したりしていたが、近年諸般の事情(汗)でMEGADETHを脱退した事くらいは知っているものの積極的にその活動を追いかけている訳ではないミュージシャンながら、Yngwie Malmsteenでの活動を皮切りに数多くのメロハー・プロジェクト作への参加作やTALISMAN、W.E.T.、SONS OF APOLLO等の多彩なジャンルで剛柔幅広く見事な歌声を轟かせ、個人的にもその活動を長年追いかけている名ヴォーカリスト Jeff Scoto Soto絡みの音源と言う事で手をだしてみました。

Jeff Scoto Sotoは幅広い音楽性に対応可能な柔軟性を持つ多彩な感情を表現出来る百戦錬磨のベテラン・ヴォーカリストなのでその歌唱に些かの心配や不安も感じないのはファンでなくとも良くご存じな事だろう、そうなると双頭プロジェクトのもう一人の主役である元MEGADETHのベーシスト David Ellefsonが一体どんな音楽性を持ち込むのか、に注目する訳だが、一応ベース・ソロ曲やソロパートをフィーチャーした楽曲はあるもののベテラン・ベーシストの双頭プロジェクト作と言う割りにそれ程悪目立ちするようなプレは聴こえてこず、MEGADETHを想わすようなアグレッシヴでスラッシーなベースプレイも飛び出してこない、時折『おっ!?』と耳を惹くプレイやメロディアスな音運びが聴こえるけれど予想以上にベーシックな楽曲に即したソリッドなプレイに徹しており、一聴した印象はそこそこメロディアスでスピーディ、そしてドライなサウンドが如何にも米国産モダンHM風な Jeff Scoto Sotoのソロ作みたいに聴こえて少々困惑させられる(汗

ただ、バックを支えるプレイヤーにイタリアン・パワメタ・バンドARTHEMISを率いる Andrea Martongelli (Guitars、Keyboards)と、イタリアのプログレッシヴHMバンドDGMの Simone Mularoniを中心としたイタリアン・ミュージシャン達と元QUEENSRYCHE、現OPERATION:MINDCRIMEのフロントマン Geoff Tateが組んだプログレッシヴHMプロジェクト・バンドSWEET OBLIVIONの Paolo Caridi (Drums)という2人の凄腕イタリア人ミュージシャンを器用(Jeff Scoto Sotoのコネ?)した事から、全体的な印象はドライで抜けの良いUS作特有なテクニカルHMサウンドながら、Andrea Martongelliの弾くメロディアスで音数多いギター・プレイにそこはかとYngwie Malmsteen風なタッチが感じられ、他にもシンセアレンジやピアノ、ストリング等のアレンジが実に叙情的で、後半になるにつれ繊細な美旋律が奏でられたりとユーロ圏作に顕著な特徴がソリッドでメタリックな楽曲に一味違う捻りを加える効果を産んでおり、その影響でか Jeff Scoto Sotoの何時もの熱くパワフルで伸びやかな抜群の歌唱も違って聴こえる場面が多々あったりと、Jeff Scoto Sotoファンにとっても実に興味深い一作だと言えましょう。

個人的にはドライでソリッドなUS産モダンHMサウンドばかりで後半食傷気味になっていた所に、終盤ストリングと美声フィメール・ヴォーカリストとのデュエット曲や涼やかで滑らかなフルートをフィーチャーした楽曲や、ピアノ独奏に合わせしっとりエモーショナルな歌声を Jeff Scoto Sotoが聴かせるリリカルで美しいメロディの楽曲が飛び出してきて驚かされたし、今ひとつ起伏に欠けメリハリ不足だったアルバムの印象を終盤で大きく覆す効果をもたらしていて、正直アルバムのコンセプトにマッチしなかった為に終盤のボートラにまとめたのだろうが、この艶やかで美しい楽曲を作中に配置した方がアルバムの構成に変化や起伏を産んで効果的だったのではないのかな、と完成度がブチ壊されるのは重々承知だし余計なお節介ではありますが、そう思えてしまいました。

先行シングル”Vacation In The Underworld”にはゲストとしてFLOTSAM AND JETSAMの Steve Conley (Guitars)とFIFTH ANGEL、CHASTAIN、IMPELLITTERI、HOUSE OF LORDS、FLOTSAM AND JETSAM等々と数々のHMバンドやプロジェクトに参加してきたベテラン・ドラマー Ken Mary (Drums)が参加している他にも、欧米で幅広く活動してきて顔の広い Jeff Scoto Sotoは当然として、David Ellefson人脈からのゲスト奏者も複数招いていたりしているので、クレジットを確認してご興味あるようなら一度本作をチェックしてみてもいいだろう。

双頭コラボ作にも関わらず David Ellefsonの印象が些か薄い気がしないでもないが、抜群に歌の巧い Jeff Scoto Sotoの素晴らしい歌唱を堪能出来るUS産モダンHM作には変りありませんので、ご興味あるようでしたらチェックしても決して損はしない、2人の名前に釣られて購入してもある程度の品質は確約されている良HM作であります。

Track List:
01. Vacation In The Underworld
02. Like A Bullet
03. Sharpen The Sword
04. The Reason
05. S.T.N.
06. The Revolution
07. Celebrity Trash
08. Live To Die Another Day
09. The Day Before Tomorrow (Feat Giada "Jade" Etro)
10. Writing On The Wall
11. (I'm Not Your)Stepping Stone
12. Hercules/Rise To Win
13. Out Of The Blue (Bonus Track)
14. Lone Star (Bonus Track)
15. Swords & Tequila (Bonus Track)

ELLEFSON-SOTO Line Up:
David Ellefson    (4、5 & 10 String Bass Guitars、Fretless Bass)
Jeff Scoto Soto    (Lead & Backing Vocals)
Andrea Martongelli  ((Lead、Rhythm、Acoustic Guitars、Keyboards)
Paolo Caridi     (Drums)

Additional Musicians:
Rick Hughes      Additional Lead & Backing Vocals On Track 15
Ken Mary       Drums On Track 01
Steve Conley     Lead & Rhythm Guitars、Keyboards On Track 01、Rhythm Guitars On Track 06
Jeff Friedl       Drums On Track 14
Brian Buzzard     Lead Guitars On Track 10
Alyson Montez     Violin On Track 09、12
Jason Freese     Flute On Track 12
Alessio Garavello   Backing Vocals & Percussion On Track 11
Tyson Leslie       Piano & Strings On Track 09
Giada "Jade" Etro   Vocals On Track 09

P.S.
尚、ユーロ盤とUS盤で収録曲順や曲数に違いがあるので、マニアはどちらもチェックしておきましょう。


by malilion | 2023-03-23 18:30 | 音楽 | Trackback
<< 随所でJOURNEYを思わす8... KANSASの弟分バンド ... >>