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80年代中期から90年代初頭にかけ米国東海岸で活動していたUSメロハー・バンド LAST TEMPTATIONの幻の音源が最新音源を加えデジタル・リマスターでリイシュー!

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LAST TEMPTATION 「Love Wins」'23

以前ここでキャリア30年超えとなるアメリカNY出身のHRシンガー Frank Vestryがこれまで参加したバンド等がリリースしてきた楽曲から選曲したコンピレーションBEST盤『My Collection』'20 を紹介しましたが、そのBEST盤に2曲だけ収録されていた幻のUSメロディアス・バンド LAST TEMPTATIONの唯一作に、新たに22年録音最新音源(!?)を3曲追加し、タイトルとジャケを新たにした新装盤がMelodic Rock Classicよりリリースされたのを即GET!

そもそもLAST TEMPTATIONはギタリスト兼ソングライターの Arnie Miotによって1987年に結成され、New YorkとNew Jerseyを拠点に活動し、数多くのビッグアーティスト達の全米ツアーをサポートするなど当時のメジャー・レーベルとの契約を目論む人気インディ・バンドと同じプロモーションを展開してクラブシーンで好評を博していたが、幾度かのメンバーチェンジを経て80年代末期に一度解散し、再びヴォーカリストに Frank Vestry、ベーシストに Steve Hervatic、キーボーディストに Allan Gabayという布陣で再結成して89年に記念すべきデヴュー作をレコーディンクして91年にセリフタイトル作を自主リリースしたが時既に遅く、グランジー旋風が吹き荒れる90年代初頭には80年代風のキャッチーで華やかなメロディアスHRサウンドを演っていたバンド達に活躍の場は無く、LAST TEMPTATIONは再び消滅してしまう…

と、ここまでなら90年代に陽の目を見なかったUSインディ・メロディアスバンドあるあるなお話なのですが、08年リリースのMARCELLO-VESTRYのアルバムが好評で Frank Vestryの過去参加バンド作に話題が集まったのを契機に業界関係者から長らく廃盤でレア盤としてマニアに知られるLAST TEMPTATIONの唯一作のリイシューを薦められ、09年CD化の際にタイトルも改めボナストラックも追加して『Better Late Than Never』'09 としてリリースし即完売した改定盤が、今回再びジャケとボーナストラックを加えた新装盤となって二度目のリイシューが成された訳であります。

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09年盤は真っ黒なジャケにバンドロゴがあしらわれているだけのシンプルな装いでしたが、新装盤では80年代風のゴージャスでキャッチーなサウンドを想わす“如何にも”なデザインに改められており、曲順を再構築し、22年新音源と合わせて Jk Northrup氏の手による23年度リマスターが施され、今の耳で聴いても十分耐える音圧とシャープさ、そしてボトムサウンドの迫力が増した磨き抜かれた素晴らしいアップグレード具合で少しも古臭さを感じさせぬ仕上がりになっておりますので、自主盤が完売になって今や入手不可となりレプレミア価格で取引されるレア・アイテムとなった09年盤をお持ちの方もお見逃しなく。

ベテラン・米国人シンガー Frank Vestryは、元々は元VIRGIN STEELEの Jack Starr (Guitar)率いるマイナーUS産HMバンドJack Starr's BURNING STARRの1985年デヴュー作『Rock The American Way』時のフロントマンで、DANGER DANGER結成前の Bruno Ravel (Bass)やWHITE LIONの Greg D'Angelo (Drums)と活動していた時期もあり、その次には現DOKKENの Jon Levin (Guitar)と組んでこれまた幻の短命バンド DEVIASをやっていたりと80年代米国東海岸HRシーンで俄然注目を集め多方面の人脈が入り乱れる幅広いバンド活動をしていた人気シンガーの一人で、伸びやかな歌声や高い歌唱力にも関わらず巡り合わせが悪いのか運が無かったのかその実力と裏腹に華やかな80年代に今一つメジャーな存在になれず、グランジーの嵐が吹き荒れる90年代~00年代はすっかりその名が聴かれなくなっていたものの、現DANGER DANGERの Rob Marcello (Guitar)との08年のコラボ・プロジェクトMARCELLO-VESTRYや、13年にはイタリアが本拠地のメロハー復興旗印的レーベル Frontiers Recordsを中心に活躍する今やイタリア人名プロデューサー Alessandro Del Vecchio (Keyboard)、元BONFIREの Dominik Hulshorst (Drums)、イタリアン・ワンマンメロハー・バンドBRUNOROCKの Bruno Kraler (Guitar)等と組んだメロハー・バンドLANESLIDEなど、英米地域問わずメジャー、インディ関係なく近年になっても数多くのプロジェクトやバンドに招かれその素晴らしい歌声を披露し続けている苦労人であります。

80年代メジャー志向な華やかでキャッチー、ブライトでメロディアスなサウンドが売りのインディ・バンドが80年代末期、もしくは90年代初頭に音源をリリースしたものの、グランジーの勃興の為にメジャー・シーンの流行が激変しリリースした音源は見向きもされずに今になって希少なレア盤に高値が付く、という定番の流れのLAST TEMPTATIONの唯一作は、希少な為だけでなくオリジナル盤が高値で取引されるのも頷ける内容となっており、ハードでフックに富んだギター・プレイとダイナミックでタイトなリズム、カラッと爽快でドライな歌声をメインにキャッチーな歌メロとポップでブライトなコーラスが華やかに楽曲を盛り上げる、当時一世を風靡した産業ロックやBON JOVI、FIREHOUSE、DANGER DANGER等でもお馴染みのバブリーでゴージャスな80年代アリーナ・ロックの流れを汲むラジオフレンドリーなアメリカンHRサウンド(所々にWHITESNAKE『Sarpenth Albus』の影響が露骨なのはご愛敬)で、90年代USメロディアス・ハードの隠れた名盤と言う評価も決して大げさではありません。

取り立てて超個性的なサウンドだとか滅茶苦茶技巧派なプレイだとかそんな事は一切無い、L.A.メタルのようなナスティで如何わしい感触は少ない非常にベーシックで80年代当時チャートを賑わしていたメジャー・バンドに倣った華やかでメロディアスな王道サウンドのアルバムですが、やはり Frank Vestryの抜群の歌唱力とクリアーで伸びやか、そして華やかでパワフルな歌声がその他のインディ・バンド達よりワンランク上の好印象を与え、さらにバランスの非常に良く取れた楽曲としっかり纏まったバンド・サウンドはインディ離れした完成度で、ほんの少しグランジー旋風が吹き荒れるのが遅ければ間違いなくメジャー・レコード会社と契約しワールドワイドに本作がリリースされチャートでも好アクションを記録したでしょうに、本当に惜しい、確実に平均点以上の良い出来な一作でありました。

イマイチ現在バンドがどのような状態になっているのか判然としないのですが、ロングアイランドとフロリダで録音されたばかりの22年新録音源を制作した事や、バンドコメントでさらに活動を続ける旨が語られている所を見るとバンドはオリジナル・メンバーで十数年ぶりに再々結成し、今後も活動を続行させる模様なのですが、公式HP等が無くて正確な事はまだ分かりません…

どうにもMelodic Rockレーベル主導による過去作リイシューに合わせての再々結成っぽいのが少々不安ではありますが、本格始動して新作アルバムを届けてくれるのならばメンバーの力量的に些かの不安も無いのは既に証明済みですから、是非ともパーマネントな活動をお願いしたいものであります。

尚、91年のオリジナル・アルバムリリース時にはパーマネントなドラマーが不在で、Steve Murphyと Jeff Cropperなるドラマーがヘルプで数曲ずつプレイしていたが、今回の再々結成に際して Steve Murphyが正式にバンドメンバーとして迎え入れられた模様で、本作のバンドフォトにはしっかりとその姿が収まっている。

とまれ若かりし頃の Frank Vestryの抜群の歌唱が堪能できるBON JOVI、FIREHOUSE、DANGER DANGER等を筆頭とした80年代風のキャッチーでフックあるUSメロディアスHRがお好きな方は手を出しても決して損はしない一枚ですのでご興味あるようでしたら一度チェックしてみて下さい。

Track List:
01. Love Wins In The End (New Track)
02. Break It
03. Last Temptation
04. Emotions
05. You'll Never Walk Alone (New Track)
06. Oh So Easy
07. Catch Me Now I'm Falling
08. Next To You
09. Without Love
10. You're Trouble (New Track)
11. Sailing Away
12. Save Me
13. Queen Of Ice

LAST TEMPTATION Line-up:
Frank Vestry  (Lead Vocals ex:LANESLIDE、ex:DEVIAS、ex:Jack Starr's BURNING STARR、etc...)
Arnie Miot   (Guitars ex:GOLDEN AXE ATTACK、ex:Jr HOUSE MOB、ex:IMMUNE、ex:COPY DOGS、etc...)
Steve Hervatic (Bass ex:Alice Cooper、ex:RED DAWN、ex:RAINBOW、ex:Joe Lynn Turner、ex:TOKYO MOTOR FIST、ex:Ted Nugent、ex:Billy Joel、etc...)
Allan Gabay  (Keyboards ex:BEACH DAY、etc...)
Steve Murphy (Drums & Backing Vocals ex:Alan Parsons、ex:Eric Burdon & THE ANIMALS、ex:Jack Bruce、ex:Todd Rundgren、ex:TRANS-SIBERIAN ORCHESTRA、ex:SteveLukather、ex:Andy Timmons、etc...)

with:
Jeff Cropper  (Drums)


by malilion | 2023-03-07 18:50 | 音楽 | Trackback
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