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地味で目立たないけどソロキャリア30年超えなPENDRAGONベーシスト PETER GEEが8thソロ・アルバムをリリース!

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PETER GEE 「Pilgrim」'23

英国ポンプバンドの雄 PENDRAGONのベーシスト Peter Geeの8作目となるソロアルバムがリリースされたので即GET!

PENDRAGONというとリーダーの Nick Barrett (Vocals、Guitar)や、ポンプ界のみならずHM界まで幅広く活躍し、自身のメインバンドやサイドバンド、さらにプロデュース業も盛んな Clive Nolan (Keyboard)の活動がやたら目に付くが、その2人に比べてソロ活動は地味ながら、なんだかんだ Nick Barrettに次いで一番長くPENDRAGONに在籍し、彼を支え続けても来た Peter Geeのソロキャリアも93年デビュー作リリースから既に30年超えのベテラン英国人ミュージシャンであります。

本作はタイトルが示す通り英国の教役者、文学者として有名な John Bunyanの著書『The Pilgrim's Progress (天路歴程)』に基づいたコンセプト作で、同じ題材のコンセプト作を敬虔なクリスチャンへと近年目覚めた元SPOCK'S BEARD、TRANSATLANTIC、etc..の Neal Morseも自身のバンドで近年創作していた事をシンフォ系ファンならご存じと思うが、破壊の都から天国の都への生涯に渡る精神的な旅を描く巡礼者の真摯な信仰と心情を現す自戒的シチュエーションは、イングランド教会の牧師の息子で敬虔なクリスチャンである Peter GeeとしてはCCM系ミュージシャンではお馴染みの題材ながら避けては通れぬ創作題材だったのでしょう。

前作も多数のゲストを招いてアルバムを制作していたが、前作から自身のヴォーカルをフィーチャーするのを止めた(賢明な判断!)のも同様で、これまでのソロ作と同じくほぼ全てのインストゥルメンタル・パートを手がけ、さらにComposer、Arranger、などの全体指揮とプロデュースも担っているのも変わりない。

Neal Morseは壮大なシンフォニック作として『The Pilgrim's Progress』を描いたが、Peter Geeはもっと穏やかでシットリとした英国叙情が香る歌とメロディを大切にした厚みある普遍的なブリティッシュ・ロック作と言え、ハートフルなヴォーカルと美声のフィメール・ヴォーカルが綴る崇高な精神世界を基軸に、繊細で美麗なピアノの音色や哀愁を帯びたギターが爪弾かれ、甘いストリングス系の音色がクラシカルでドラマチックな彩りを加え、音圧は強めではないが“引き”の詩情が堪らなく美しく、また朴訥でシンプルな旋律がウェットな質感とディープな陰影を際立たせており、悲壮感漂う過酷な旅路を想わす深みあるサウンドが『The Pilgrim's Progress』のコンセプトをしっかりと描き切っているように思う。

物語的な作品なのでGENESISっぽいタッチを感じる箇所があり、プログレ色やシンフォ風味は弱いものの、艶やかで繊細な美旋律と重厚で荘厳な宗教的タッチの音色の数々が、聴く者を遥かな旅路を想わす物語へ導いていく、Peter Geeの真摯で深い想いが伝わってくるような一作であります。

面白いのはこれまで意図的に避けていたのかPENDRAGONっぽい要素は感じ取れなかった Peter Geeのソロ作なのですが、今回は泣きのギター・プレイの各所に Nick Barrettっぽさを感じ取る事が出来て、まぁ長らくパーマネントなメンバーなのだから当然なのですが、本作から仄かにPENDRAGON風サウンドが感じ取れる所も面白いトピックでしょう。

そうそう、何気ないキーボードのメロディやフレーズにMARILLIONっぽさも感じられ個人的には2828しちゃいました(w

Becky Brannigan嬢と英国カントリー・ミュージシャンで盲目のベテラン・シンガー Hayley Oliver嬢の2人のフィメール・シンガーは前作『The Bible』'18 にも参加し、Hayley Oliver嬢はそれ以前からもゲストに何度も招かれているので Peter Geeのソロ作ではお馴染みな顔ぶれと言え、同じく今回リードシンガーを務める Steve ThorneはJADISのサポートメンバーとしても活動しソロ活動も順調な英国人ヴォーカリストで Peter Geeの3rdソロ・アルバムから毎度参加している“いつも”のシンガーだし、ドラムスも Peter Geeの2ndソロ・アルバムから毎度参加しているJADISのドラマー Steve Christeyと、無名のヴォーカリスト Jimmy Flanders (CCM系では有名なの?)を除いて結果的に殆どいつもの顔ぶれが変ることない安定した体制で本作も制作されており、有名ミュージシャンをとっかえひっかえゲストに呼んでセールスポイントを作り出そうと躍起になっている他のシンフォ系ミュージシャンのソロ作と違って Peter Geeの創作する音楽同様に誠実な人柄を感じさせるようで実に微笑ましい(*´ω`*)

因みに Jimmy Flandersのヴォーカルですが Steve Thorneと同系統な声質で歌唱スキルも決して低くなく、なかなかミドルレンジ主体な良い歌声なので実はキャリアも有る英国のローカル・バンドのフロントマンなのかもしれないが、今後も Peter Geeのソロ作に参加して欲しいものです。

内容的には宗教的な重々しく押しつけがましいお堅い事を語ってはいるものの、単に美しいメロディと穏やかなヴォーカルの数々、そして華麗なフィメール・ヴォーカルの美声を楽しむ事も出来ますので、CCM系と妙に意識したり忌避感を持つことなく一度本作の和やかで優しい調和の取れた美旋律をチェックしてみて欲しいですね。

Tracks Listing:
1. Pilgrim's Burden
2. The City Of Destruction
3. Slough of Despond
4. The Wicket Gate
5. The Interpreter's House
6. Pilgrim Lays Down His Burden At The Cross
7. False Believers
8. A Restful Arbour
9. The House Beautiful
10. The Destroyer
11. Valley Of The Shadow Of Death
12. Faithful
13. Vanity Fair
14. The Plain Of Ease
15. Doubting Castle
16. The Delectable Mountains
17. Low Country Of Pride
18. Enchanted Ground
19. The River Of Death
20. The Celestial City

Musicians:
Peter Gee    (Guitars、Keyboards、Bass Guitars、Piano、Percussion、Narration、Produced)

With:
Steve Thorne  (Lead Vocals on Tracks 1、3、4、6、8、9、12、14、15、19、20)
Jimmy Flanders (Lead Vocals on Tracks 2、5、7、10、11、13、16、17、18)
Becky Brannigan (Lead & Backing Vocals on Tracks 1、9、18)
Hayley Oliver   (Backing Vocals on Tracks 2、3、5、7、13、14、19、20)
Steve Christey  (Drums)


by malilion | 2023-02-25 16:16 | 音楽 | Trackback
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