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US産プログHMプロジェクト・バンドGUILD OF OTHERSのデヴュー作をご紹介。


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GUILD OF OTHERS 「Same」'22

22年の2月にリリースされていた Tom Wallace (Drums)と Steve Potts (Guitar)による米国産プログHMプロジェクト・バンドのデヴュー作を今頃ご紹介。

ネットを彷徨っていて今頃彼等の事を知ったのですが、パワメタ寄りのメロディアスなプログHMサウンドを聴かせるプロジェクト・バンドに、HM系有名プレイヤー達がゲストに招かれて素晴らしい演奏を披露しているのを知って遅まきながら手を出してみました。

首謀者の2人以外に本作で大きな貢献を果たしているのが、最初に2人がデモを送りその内容の素晴らしさに参加を快諾した名うての鍵盤奏者 Derek Sherinian (SONS Of APOLLO、BLACK COUNTRY COMMUNION、ex:DREAM THEATER、ex:PLANET X、ex:Alice Cooper Band、ex:Billy Idol、ex:Joe Bonamassa、etc...) で、ベーシストにはフレットレスベースの名手 Tony Franklin (THE FIRM、BLUE MURDER、Lana Lane、Roy Harper、etc..)が迎えられている他、先頃惜しくも活動終了を表明したカナダのSAGAのシンガー Michael Sadlerとスウェーデン産プログHMバンドDARKWATERのシンガー Henrik Bathがそれぞれ一曲ずつでその個性的な美声を聴かせているのに加え、米国人ギタリスト Craig Goldy (RESURRECTION KINGS、Craig Goldy's RITUAL、DREAM CHILD、ex:GIFFRIA、ex:ROUGH CUTT、ex:DIO、etc...)が切れ味鋭いギターソロを一曲で披露している。

また恐らく Derek Sherinianのコネだと思われるがAlice Cooper Bandのギタリスト Michael Bruceeが彼の妻 Lynetteと一緒に一曲語りパートで参加しているが、殆ど楽曲には影響していない(汗)ので、たまたまスタジオに遊びに来たのか近くに居たので呼んだのかしたのだろう。

Tom Wallaceと Steve Pottsの他、地元の知り合いの無名なシンガー Mark Hammondを迎え、この3人が本プロジェクトのコア・メンバーとなってアルバムは制作されており、ゲスト陣の豪華さに惹かれて本アルバムを入手したのだが、一番の驚きは無名のシンガー Mark Hammondの見事な歌いっぷりで、ポップなフィーリングあるクリーンでエモーショナルなヴォーカルやキャッチーなアリーナ・ロック向きなメロディアスで伸びやかなヴォーカル、さらにプログレ向きな叙情香る儚げなウィスパー・ヴォイスや、一転してアンダーグラウンドHM風な荒々しい野獣の如きパワフルな唸り声や攻撃的で毒のある刺々しいグロウル等々、だけでなくしっかりと美しいコーラス・ハーモニーも随所で聴かせるなど、実に器用に幅広い歌声を使い分けており、Michael Sadlerの美声を目当て(長年のSAGAファンとしては彼が参加したアルバムはチェックせずにはおれないでしょう?)に耳を傾けたら意外な掘り出し物をヒョッコリ見つけたような喜びを感じました。

本作のサウンドですが、大まかに言って初期RUSH、後期SAGA、FATES WARNING、DREAM THEATER等のテクニカルで複雑な楽曲展開を特徴とする北米圏プログHMバンドからの影響が伺える00年代プログHMな作風ではあるが、メロディを引きずるようなダークでヘヴィなリフで圧しまくるパートなど英国プログHMバンドTHRESHOLDを思わせたり、ドラマーが中心人物の一人である事もあって楽曲のテンポやリズムのバリエーションに富んでおり、古典的プログレッシヴ・ロック要素やJAZZ、フュージョン等のモダンなサウンド要素も多く聴かれ、様々な要素が入り乱れモザイク画を描くように巧みに組み合わされメロディアスに奏でられていく様が、本作を単なるプログHM作で無い魅力的な一作に思わせる要因なのは間違いない。

無名なのが信じられないくらい Mark Hammondの歌唱力は見事だし、Tom Wallaceはタイトでソリッドなドラマーで本作の推進力としてこの上なく機能し、Steve Pottsも素晴らしいメタル・ギタリストではあるが、本アルバムを単なるプログHMサウンド作でなくしているのは間違いなく Derek Sherinianの巧みな鍵盤捌きが紡ぎ出すテクニカルでモダンなフィーリングで、加えてパワフルでヘヴィなサウンドをはじめ雑多な音楽要素を無理なく調和させる Tony Franklinが弾き出すグルーヴィで滑らかなJAZZの感触あるフレットレス・ベースが目立たぬが欠かせぬ大きな役割を果たしているのも見逃せないだろう。

プログHM作の問題として、特に複雑な構成や展開を適当につなぎ合わせたように聴こえる長尺の楽曲は、素人目にどうしてもとっつきにくく不快に感じられる事が多々あるがGUILD OF OTHERSの奏でるサウンドは現代のプログHMの基準からすればテクニカルさや複雑さはそれ程強めではなく、クリエイティブな攻撃性と様々な音楽スタイルを絡め、巧みな演奏でより技巧的なアクセントを加え、フックを駆使して次々と繰り出すメロディに魅力を持たせる事に成功しており、定番のプログレ系作品特有な問題を上手く回避しているように思えます。

本作の魅力の多くをゲスト・プレイヤーである Derek Sherinianと Tony Franklinが担っている為、次作の仕上がり具合や方向性等に不安があるのを隠せないのですが、やはり正式なメンバーを加入させてバンドとして機能するように進化し、是非とも素晴らしい新作を届けて欲しいものであります。

カリフォルニアきっての名キーボード・プレイヤー Derek Sherinianが大活躍する、古典的プログレ要素や先進的サウンドの手法や、JAZZ、フュージョン等のモダンなフィーリングも併せ持った古くて新しいプログHMプロジェクト作ですので、既述のバンド名に興味をそそられた方なら本作をチェックしても決して損はしませんでの、是非一度お試し下さい。

Tracklist:
01. Otherside
02. Balance
03. Always There
04. Memento
05. New World Disorder
06. Elysium
07. Veil Of Insanity
08. Spirit Host

GUILD OF OTHERS Line-up
Tom Wallace    (Drums)
Steve Ray Potts   (Guitars)

with:
Derek Sherinian   (Keyboards)
Tony Franklin    (Fretless Bass)
Mark Hammond   (Vocals)
Michael Sadler   (Vocals on Track 6)
Henrik Bath     (Vocals on Track 2)
Craig Goldy     (Guitar solo on Track 7)

Michael Bruce & Lynette  Voice-over on Track 4)


by malilion | 2023-02-23 22:10 | 音楽 | Trackback
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