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イタリア産ハードポップ・バンドFLORENCE 99の唯一作が待望のオフィシャル・リイシュー!!

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FLORENCE 99 「Same」'90

1990年にイタリアのレーベルCGDより唯一作がリリースされたキーボード入り3人組イタリア産メロディアス・ハードポップ・バンドで、オリジナルCDは滅多に市場に出回らず世界中のメロディアスHRコレクターのウォント・リストに常に登場する激レア盤がイタリアのMinotauroレーベルから初のオフィシャル・リイシュー盤がリリースされたので即GET!(゚∀゚)

OXIDOという激レア盤もリイシューしたMinotauroレーベルですが、同時発売の本作も念願のリイシューを果たしてくれ感無量なものの、OXIDO同様に未発音源等は追加収録されていないし、デジタル・リマスター等のクレジットも見当たらず、元メンバーの回顧録的なライナーノーツも追加されていないオリジナル通りの9曲収録のリイシュー盤となっている点は少々寂しいですね。

ほぼイタリアのみでの活動だったと予想される事やメジャー・シーンがグランジーの闇に呑まれる際にデヴューしたのが不運だったのか、世界各地で同時期にデヴューした80年代風のキャッチーで華やかなメロディアス・サウンドを演奏する他のバンド達と同様にとんでもないアゲンストに置かれる立場での活動を余儀なくされ、結果的に極短期間の活動で姿を消した為か、殆どその活動模様や元メンバーのその後などの情報も皆無なのが残念でなりません。

データとしては本作と Laura Braniganの名曲“Gloria”のカヴァー曲が7インチ・シングル盤でリリースされたのみとなっております。

バンドと言ってもドラマーはセッション・マンを招いた Manuel Manzaniがギターとキーボードを兼任する3ピースのユニットで、イタリア産バンドと思えぬ80年代USメジャー・ミュージック寄りの華やかなシンセとキャッチーなコーラスが活かされた、仄かに北欧バンドを思わせる透明感あるウェットな美旋律が香るのがユーロ圏バンドらしい隠し味の、メロディアスで親しみやすい雰囲気とブライトでフックある歌モノ寄りバランスの魅力的なハードポップ作だ。

わざわざデジタル録音をして作成した、と明記している所や、軽めのエレ・ドラっぽいドラムサウンドや添え物的なパーカッション類の使われ方を見るに、レーベル的にはイケメン(?)が売れ筋のラジオフレンドリーでコマーシャルなポップ・サウンドを演る3ピース・バンドとしてアイドルっぽく売り出そうとでも考えたのかもしれないが、意外にメインコンポーザーの Manuel Manzaniがギターにキーボードに八面六臂の大活躍を果たし、レーベルの想定以上にハイ・クオリティなハードポップ・サウンド作が出来上がったんじゃないのでしょうか?

90年代に活躍したスウェーデンのメロハー・バンドBALTIMOREを率いるシンガー Bjorn Lodinに似た少し濁り気味な歌声で、シャウトしたり唸ったりもしない、ロック風な歌唱だけどワイルドでラフなスタイルまで崩れてはいない Jay Woodの伸びやかでブライトなヴォーカルや分厚く朗らかな弾むバッキングコーラスの入れ方、そしてミッドテンポ主体でヴォーカルのバランスが大き目で前に出ているミックスを聴くまでもなくロック作という感触は弱く、けれどバブリーでゴーシャスな80年代風ヘア・メタルやDEF LEPPARD、CHICAGO等の影響が伺える米国メジャー要素とシャレオツな80年代UKポップスの影響を感じさせる楽曲や音使いには単なるイタリア産ポップスと片付けられぬ様々な音楽要素が巧みに取り入れられており、制作に協力した裏方の趣味やプロデューサーのお遊び等々のインプットも影響して、只のアイドル・バンド作とは一味違うハードポップな佳曲が詰まった面白い一枚に仕上がったように思えます。

実際、軽めなハードポップ作にしては Manuel Manzaniがアーミング、タッピング、スウィーブ等を駆使するハードエッヂでワイルドなギター(DEF LEPPARDっぽいリフ等も聴ける!)をミックスで後ろへ下げられ控え目にされている(涙)が頑張って弾いているし、キーボードも煌びやかなシンセだけでなくジャージーなタッチのグルーヴィなハモンドオルガン等もフィーチャーしている所など、単なるアイドル・バンド作では聴けないちょっとした工夫が随所で施されていて非常に面白いですね。

隠しようもなく、八、九割りは欧米メジャー・シーンのサウンドに倣っているものの単なる劣化コピー・サウンドでなく、しっかりユーロ圏バンドらしいセンチメンタルでウェットなメロディなんかも垣間見える所なども当時のUSバンド群の作品では聴けぬ毛色の違いを感じさせ、強かに自己主張したサウンドになっているのが実に心憎い。

また、本リイシュー盤の音の方だが、元々デジタル録音を成されていた事やバンドのサウンドが所謂ロック系の生音の響きを大事にするタイプでなく、そもそもが人工的で加工されたサウンドを鳴らしていた事もあってか、音圧と音量を上げただけのお手軽リマスターだったとしても実にクリーンに聴こえるサウンドとなっているのは嬉しいですね。

まぁ、90年代から長らくシーンを席捲する事になるダークでヘヴィな流行のグランジー・サウンドと思い切り真逆な、軽く、華やかで、キャッチーでポップなサウンドのアルバムですので、損切りの速いレーベルに即切り捨てられてしまったのでしょうねぇ…間違いなく、こういうポップで軽やかな作品に仕上げるよう指示したのはレーベル・サイドでしょうに…

月並みな表現しか出来ず申し訳ないのですが、本当に時代の巡り合わせが悪かったとしか思えない、本作のみを残して消える理由が見当たらない、音だけ聴いたらイタリア産バンドの作品と思えぬ非常にキャッチーでポップな出来の良い彼等の幻の音源を、メロハー・マニアならずとも90年代メロディアス・ポップ作がお好きな方も是非お早目にお求めになってください。

Track List:
01. Rock'N'Roll (I Feel So)
02. Gimme Money
03. Bloody Mission
04. Stones And Stars (And Guitar)
05. Gloria
06. Gotta Lotta Love
07. What About
08. Don't You Tease Me, Girl
09. Monkey Lady

FLORENCE 99 Line-up:
Manuel Manzani  (Guitars、Keyboards、Hammond C3、Background Vocals)
Jay Wood     (Lead & Background Vocals)
Andy Corsella   (Bass、Background Vocals)

with:
Joe Metti     (Drums)
Max Pacciani    (Additional Percussion)




by malilion | 2023-02-08 07:03 | 音楽 | Trackback
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