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幻のスイス・メロディアスHRバンドOXIDOの90年リリースな唯一作が遂にリイシュー!!

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OXIDO 「Breaking Down The Walls」'90

1990年にメジャー・レーベルのItalia Mercury/ Polygramより唯一作がリリースされた事でイタリアン・バンドと間違われる事が多いが OXIDO (オキシドー)はスイスのキーボード入り5人組メロディアスHRバンドで、メロディアスHRコレクターの間で激レア盤として知られるオリジナルCDはこれまでン万円(!?)で取り引きされて来たが、遂にイタリアのMinotauroレーベルから初のオフィシャル・リイシュー盤がリリースされたので即GET!(゚∀゚)

OXIDOは、後にスイスのビッグネーム GOTTHARDのフロントマンになる Steve Leeとギタリストの Leo Leoniが在籍していた事で知られる88年に唯一作を残したスイスのメロハー・バンドFORSALEの元ギタリスト Tank Palmerこと Tancredi Palamaraを中心に結成され、本作のシンガー John Lukeは後にあのLong Island Recordsより95年に唯一作をリリースしたスイスの産業ロック&メロハー・バンドGUNSHYのフロントマンとして活躍する事になる人物で、これまでスイスのメロディアス・バンドを語る時に“今有名なバンドのメンバーが以前在籍していたバンド”として名前だけは度々上がっていたスイス・ロックシーンの人脈的にも重要なバンドOXIDOの幻の音源が、今回こうして無事安価で入手し易くなってスイスのメロディアス・ロックファンのみならずユーロ・メロディアス・ロックファンは歓喜している事でしょう。

念願の激レア盤リイシューというだけで嬉しいのは違い無いのですが、ちょっと残念なのは未発音源等は追加収録されていないし、元メンバーの回顧録的なライナーノーツも追加されていないオリジナル通りの9曲収録のリイシュー盤となっている点は少し寂しいですね。

さて本作の内容ですが、高値で長年CDが取引されてきた事を見てもお分かりのように、メロディアスな正統派HRチューンや、キレある縦ノリUPチューン、アコースティカルなタッチのチューン、アコギやピアノ主導のドラマティックなバラード等々、80年代メジャー・シーンを賑わしたバブリーでゴージャスなUSアリーナ・ロック作のお約束(深めのリヴァーブ処理されたサウンドがもぉ!)を守りつつ、煌びやかなシンセがアクセントに活かされた北欧HMバンドを思わすウェットな美旋律とスイスらしい透明感あるサウンドをブレンドした粒揃いなピュア・メロディアスHRサウンドが詰まった、FOREIGNER、JOURNEY等のキャッチーな80年代USメジャー・アクト達や産業ロック・バンド群がお好みな方にもお薦め出来るコンパクトにまとまったメロディアスでフックある佳曲が目白押しな一枚であります。

恐らく本人達はUSアリーナ・ロックやUS産業ロックを再現しようと試みたのでしょうが、ユーロ圏ミュージシャン故のウェットなメロディの感性とスイス人だからなのか奏でるサウンドにブルーズ臭さも薄く、英米の音楽要素が上手い具合にブレンドされて妙な臭みや癖の無い、キャッチーでクリアーな後味スッキリの洗練されたメジャー寄り80年代風AOR&メロディアスHRサウンドという奇跡的なバランスが保たれた本作のサウンドに仕上がったのだろう。

まぁ、悪く言えばお行儀が良過ぎて軽いサウンドには個性が弱く、少々洗練され過ぎてHR特有な暴力的な熱さや荒々しい抑えきれぬ勢いのような感触は薄めの小奇麗なメロディアス・サウンドに纏まっているが、その手のサウンドを演るバンドは当時から欧米インディ・シーンは言うに及ばずメジャー・シーンにも掃いて捨てる程居た訳だし、わざわざ本バンドの幻のアルバムに求めるような事でもないでしょうから、そーいう向きはそもそも本作に手を出すべきではありませんね。

John Lukeのちょっと濁りがある伸びやかなヴォーカルと分厚く爽快な抜群のコーラス・ハーモニーが織り成すキャッチーな歌メロを主軸に、クリスプなドライヴするギターとシャレオツでデジタリーな音色を軽やかに奏でるキーボード、そしてバランスを重視しつつもしっかりグルーヴするリズム隊が一丸となって甘くセンチメンタルな美旋律と瑞々しいメロディを弾ませながら駆け抜けていく、90年代初頭までユーロ圏でも持て囃されていた売れ筋のメロディアスハード・サウンドを完璧に体現しており、どうして本作のみを残して短命にバンドが終ったのか不思議でなりません。

勿論、90年代初頭に勃発したグランジーの大波がメジャーシーンを席捲し、全世界を暗黒が覆っていくのは歴史的事実なのですが、これだけメジャー寄りでポピュラリティもあり完成度も高い『コレが売れないなら何が売れるの?』ってなサウンドを鳴らすバンドが、まだバブリーな残り香がそこかしこに残る90年代初頭から、たった3、4年ももたずに解散してしまうとは…改めて流行って恐ろしい…orz

OXIDO亡き後、GUNSHYで流行に逆らうように再び華やかでキャッチーなメロディアス作を演った John Lukeは、きっとOXIDOで示した完成度高いメロディアス・サウンドが売れなかったのに納得いかなかったのか、もしくは80年代風USブライト・サウンドが本当に好きだったんでしょうねぇ…(T~T)

この手の幻の音源リイシューに付き物な事の多い板起こし音源でもありませんし、元々プロダクションもメジャー・レーベルからのリリース作品ですので高品質なのはとても有難いのですが、恐らく23年度リマスターが施されているものと思われるもののどこにもクレジットが見当たらず、もしかしたら音圧だけ上げたお手軽リマスターなのかもしれない(サウンドのハイの部分でちょっと音が濁ってる? 汗)ですが、実際本作の音に耳を傾ければクリアでシャープな今の耳で聴いても十分に耐えうるレベル(他のデジタル・リマスター作に比べ音圧は控え目だけど…)へブラッシュアップされて聴こえるので、彼等を今まで知らずに居たメロディアス愛好家な方は激レア盤である本作を是非ともチェックして欲しいですね。

爛熟の80年代黄金期が最期に放つ眩い輝きの如く、ガッチリとプロデュースされコンポーズの行き届いたブライト・サウンドと洗練された楽曲満載な、極上のメロディアスHRチューンが怒涛の如く押し寄せる本作、これだけの素晴らしい内容とあってはメロディアス・ロック愛好家は何をさて置いても入手せねばなりませんゾ♪(*´ω`*)

Tracks Listing:
01.Alley Ways
02.Lonely Winter Nights
03.Junkie
04.Long Way
05.Bad News
06.Say Goodbye
07.Baby This Night
08.Lost Love
09.Tears Fall Down

OXIDO Line-up:
John Luke   (Lead & Backing Vocals)
Tank Palmer  (Lead & Rhythm Guitars)
Pat Reilly    (Piano & Keyboards)
Mark Levin   (Bass)
Eve Roxx    (Drums & Percussion)




by malilion | 2023-02-05 15:55 | 音楽 | Trackback
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