MR GIL 「Love Will Never Come」'22 元COLLAGEのオリジナル・ギタリストで自身がリーダーのシンフォ・バンド BELIEVEを率いるのみならず、90年代からポーランドのネオ・プログレ&シンフォ・シーンを牽引してきたギタリスト Mirek Gilによる10年ぶりとなる5thソロ・アルバムをちょい遅れてGETしたのでご紹介。 前二作のソロはアコースティック寄りな作風で、これまでCOLLAGEやBELIEVEとの差別化を意識してかリズム隊を招かぬ制作体制だったが、今回はBELIEVEのリズム・セクションを招いたシンプルな4人組バンド編成となっており、代わって鍵盤奏者や管弦楽器奏者が招かれぬ体制でのソロ作となっている。 編成は変れど Mirek Gilの奏でる東欧ならではの淡い翳りある凍てつく叙情感とパワーや技巧よりも繊細さやエモーショナルな感情表現に重きを置いた音楽に変りようなど無いと、彼の放つアルバムを入手してきた従来からのファンな方なら良くご存じの事と思うが、本作もモノトーンのアルバムジャケットと『愛は決して叶わない』というタイトルが物語る荒涼とした物悲しいイメージに即した作品となっており、彼の紡ぐ哀愁漂う繊細で多彩なトーンのギター・サウンドが堪能出来る一枚となっております(*´ω`*) リズムセクションを招いた事から想像つくように、これまでのソロ作よりロック的ダイナミクスとメリハリを感じる路線なれど、痛い程の切なさが心に染みる味わい深いロングトーンの絶品なギター・ソロを筆頭に、物悲しく優雅で繊細なアコギの音色やアルペジオが醸し出すアンビエントな幻想的なタッチ、そして哀愁と寂寞感漂う淡く冷たい感触の Mirek Gilお約束の甘美でメランコリックなギター・サウンドが目白押しなのは変わりなく、バンド作のようにバランスを考慮せずひたすらに東欧風味が色濃いギターにのみ焦点をしぼった作風が実に痛快で心地よい、久しぶりに届けられた一枚はファンならば文句無く大満足だろう。 元BELIEVEのフロントマン Karol Wroblewskiの穏やかで寂し気なロートーンのヴォーカルで切々と歌い上げる歌メロは、殆ど激する事なく落ち着き払った飄々としてどこか厭世的なモノトーンのイメージを漂わしているが、反面ギター・サウンドは多彩でカラフルな情感をエモーショナルに活き活きと紡ぎ出し、バックのサウンドが東欧バンドらしい冷ややかな曲想を描きながらもギター・サウンドだけがクッキリとスポットライトを浴びて暗闇から淡く浮かび上がるかのような巧妙なサウンド配置が施されていて、同系統サウンドながらしっかりとBELIEVEサウンドとの差別化が成されているのは見事だ。 鍵盤奏者や管弦楽器奏者の奏でる優美で繊細なサウンドが無い事で、より Mirek Gilの爪弾くシンプルながらメランコリックな美しいギター・サウンドがクッキリとモノトーンの中で輝きを放って浮かび上がるだけでなく、ドラマーが小技を効かせて情感の機微やサウンドのメリハリを強める他、ゲストに招かれたフィメール・ヴォーカリスト Gosia Koscielniak嬢が甘く麗しい美声を聴かせ、色数の少ないサウンドに僅かな色彩を加える事によって、より一層に仄かに色づく美しくデリケートな音色に視聴者の耳を惹き寄せる効果を生んでいるように思う。 足し算で構築される事の多いロックサウンドと正反対の、引き算でサウンドを構築した見事な本作の手法は、東欧シンフォ系ミュージシャン作故に上手く事が進んだ好例だろうし、自身の弾くギター・サウンドのみで数多くの情景やメロディ、そして切なく淡い感情をアルバム一枚分描き切れる自信が無ければ到底挑めぬ手法で、その点を見るだけでも Mirek Gilが絶対の自信を持ってギターを奏でているのが分る、流石は長きに渡りポーランド・シーンを牽引してきたベテラン・ミュージシャンの放つソロ作だと納得しきりだ。 COLLAGEやBELIEVEファンは勿論、彼のソロ作も追いかける Mirek Gil個人のファンは即買いな一枚で、東欧らしい淡いメロディの美しさ、シンプルな音色とセンチメンタルな情感の紡がれる儚い美しさが響き渡る音楽がお好みな方なら是非お薦めした一作であります。 Tracks Listing: 01. Fight 02. Stone 03. Without You 04. Begging Hands 05. Growing 06. Be for Me (Like A Tree) MR GIL Line-up: Mirek Gil (Guitars) Karol Wroblewski (Vocals) Przemas Zawadzki (Bass) Robert "Qba" Kubajek (Drums) With: Gosia Koscielniak Vocals on Tracks 3、6
by malilion
| 2023-01-28 13:07
| 音楽
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