SHORT CIRCUIT 「Shock To The System 1987-1991」'23 AOR BLVD Recordsによる幻のメロハー・バンドの発掘シリーズ『Collector Series』の第二弾が初回限定500枚でリリースされたのを即GET! 1982年に米国NYのBrooklynで結成され中心地Lamourを拠点に94年頃まで活動したツインギターの4人組メロディアスHRバンドがフル・アルバム・リリースに向けて録音しながらお蔵入りした音源やDEMO音源等、1987~1991年にかけて制作された音源集がフルリマスターで初CD化されたのでご紹介。 未デヴューのインディ・バンドなので詳細な活動データ等は見当たらず、今回ブックレットの回顧録でリーダー Sal Russoが語る情報のみが当時のデータとなっておりますが、一応ここに簡単に記しておきます。 最初の編成は Sal Russo (Bass)、Jimmy Pimpinella (Guitars)、Rob Barbaro (Drums)、Tommy Barca (Lead Vocals)の4人で、当初はJUDAS PRIESTやIRON MAIDENに影響を受けた正統派HM路線のサウンドを演奏し、1984年に最初のDEMOテープを制作し数多くのクラブでギグを行う。 85年にシンガーの Tommy Barcaが抜け、ベーシスト Sal Russoがフロントマン兼ベーシストへパート・チェンジし、弟の Anthony Russoをセカンドギタリストとして加入させツインギターの新4人編成バンドとなる。 東海岸、New Yorkクラブ・シーンで活動する傍ら87年に4トラックのDEMOを新たに作成。 LEATHERWOLFやFIFTH ANGELを彷彿とさせる80年代US正統派HM路線な新しいデモのサウンドは好評であったが、彼等自身はKISS、LED ZEPPELIN、JUDAS PRIEST、IRON MAIDEN、AC/DC、初期VAN HALEN等に影響を受けたサウンドを自分流に演奏しているつもりで、LEATHERWOLFやFIFTH ANGELのサウンドについては知らなかったらしい。 東海岸から活動の場を西へ広げ、ZEBRAやPROPHETのオープニング・アクトを務めたり Pat Travers、OVERKILL、CRY WOLF、Greg Howe等など多彩な音楽性のアーティスト達のツアーにも参加する傍らクラブでも引き続き演奏を続け、TYPE O NEGATIVEやBRITNY FOXより多い集客記録を残すなどバンドは好評を博す。 一連の活動が同じくNYを拠点に活動するアメリカンHRバンドTYKETTOのフロントマン Danny Vaughnの目に止まり一緒にジャムるなど、華やかなクラブシーンで話題を集める期待の新人バンドとしての名声を上げていく。 満を持して1989年、プロデューサーの Frank Buonadonnaとデヴュー・フル・アルバムの制作に取り掛かる。 マネージメントや契約折衝しているレコード会社から80年代定番な売れ線狙いのサウンドを要求され、バンドはしぶしぶ従う事に。 レコード会社としてはLEATHERWOLFやFIFTH ANGEL風サウンドよりチャートアクションが良さそうでラジオ・フレンドリーなサウンドを要求するのは当然ながら、もしこの時バンドがレコード会社の指示を不服とし、自主制作でアルバムをリリースする選択をしてバンド初期からの正統派米国HMサウンドな作品を世に放っていたなら、また彼等に対する評価は現在では違ったものになっていたかもしれませんね… 運命の悪戯かレコーディング中にハリケーンでスタジオが破壊された為にアルバム完成が91年頃までズレ込み、けれどその頃既にはメジャー・シーンはすっかりグランジーの闇に覆われてしまっていたのだった。 時流の変節の影響をモロに被り、メジャー・レーベルかその周辺レーベル辺りからデヴュー作がリリースされる約束は露と消え、アルバムは敢え無くお蔵入りへ… 94年までバンドは地道に活動を続け次なる展望を求めて模索しつつ数多くのDEMOを制作したが、次第に各メンバーは他にそれぞれ関わっているプロジェクトやバンドの方へ活動の軸足を移し、正式な解散宣言はしないまま実質的な解散状態となりバンドは消滅してしまう。 今でもメンバーは交友しており、時折スタジオで4人のメンバーは集まって演奏しているらしく、今回の過去音源リリースにも大変喜んでいる旨が、すっかりオジさんになってしまったメンバー達がCDを手に手に笑みを浮かべる画像と共にFacebookにアップされていて実に微笑ましい(´∀`) さて、本作の内容だが1987-1991のタイトルを見てもお分かりな通り最初の4人編成時に制作したDEMO音源は含んでおらず、フロントマンを Tommy Barcaから Sal Russoへチェンジして以降の音源集となっている。 収録されている13曲各音源の録音データ等が明記されていないので確かな事は明言出来ないが、メロディアスでキャッチーなメジャー指向な音楽性一辺倒で無くサウンドの質や方向性にバラツキが有るものの、恐らくレコード会社から強いられた売れ線狙いのお蔵入りになったデヴュー・アルバムからの楽曲が、8、9曲程で、残りは前述のDEMO音源が収録されているものと思われる。 ドライでハードエッジなギター・サウンドが際立ったヘヴィでスリリングなLEATHERWOLF風のUS正統派HM風サウンドな楽曲が数曲収められているが、その楽曲でさえ爽快なコーラス・ワークが活かされたメロディアス・ハード系サウンドに近く、同じ様に不遇な90年代という時代に翻弄されたNY出身のメロハー・バンドTOUR DE FORCEの遺したデヴュー・アルバムに通じる楽曲の方向性にバラつきがある作品なれど、お蔵入りアルバムからと思しき楽曲はレコード会社のプレッシャーで売れ線を意識した事で面白い科学反応が起きたのか、Y&T、NIGHT RANGER等の影響が伺えるメロディアスなリフとキャッチーなコーラスが特徴の煌びやかなキーボードもフィーチャーされた80年代王道メインストリーム風(いきなりホーンやホンキートンク風ピアノまで飛び出してきて余りの変節振りにビビるが)な楽曲が詰め込まれており、本人達は不本意だったかもしれぬがコンパクトでキャッチーなラジオフレンドリーなメロディアス・サウンドを要求通り構築し、尚且つ自身らしさも感じさせつつPOISONやMOTLEY CRUEを思わすLAメタル等のダーティーでゴージャスな頽廃的雰囲気も漂わす勢いあるワイルドなアメリカンHRを堂々と繰り広げており、もし本作が89年にギリギリ間に合ってメジャー・レコード会社からのバックアップを得られていたならば良好なチャートアクションを残せていたと思える見事な出来栄えで、しっかりした録音体制で制作された事もあって結果的にインディ・リリースの未発音源作となったが、DEMO音源等も含むのでノイズや音ヨレは残念ながら散見するもののクオリティの高いサウンドと仕上がり具合に驚かされる。 特筆すべきは、やはりベーシストだったのになかなかの歌いっぷりとアメリカン・ロックが良く似合うちょっと苦みある太く伸びやかな歌声(意識してか少し Jon Bon Joviっポイ歌い方もしてる)を聴かせる Sal Russoの見事なヴォーカル・スキルで、分厚く華やかなバッキング・ヴォーカルやキャッチーでメロディアスなフックあるバックの煌びやかなサウンド(ちょいDEF LEPPARDっぽいトコもアリ)は器用に多彩なメジャーアクト達の売れ筋サウンドを自身のバンド・サウンドへ取り込んでいて、実際本作の鮮やかなUSメロディアス・ロックサウンドを耳にした方ならば彼等がかなり有能でブレイクするポテンシャルを秘めた新人バンドであったと分かってもらえる事だろう。 月並みだが時代が悪かった、それだけがルックスも悪くなく才能も持ち合わせ、こうして今回優れたポテンシャルを魅せ聴かせた彼等の避ける事の出来なかった不運であったのでしょう…(´д⊂) 個人的にはメジャー契約が叶わずグランジーな時流に迎合しただろう90年代を超えてからレコーディングしたDEMO音源を含んでいない本作の構成には拍手を送りたい(゚∀゚) 全てのDEMO音源やら未発票音源、そして当時のクラブでのLIVE音源等をブチ込んで激しく音楽性にバラつきある2枚組仕様に水増しして高値のアルバムを売りつける事も出来ただろうに、敢えてそうしなかったAOR BLVD Records、さすが分かってますねぇ~(*´∀`*) DL中心になった昨今の音源状況ですが、やはり現物主義なの方が多いコレクター&マニア層ですし、第一弾のRESQUEがレーベルでも即完売となったメロハー・マニア注目シリーズのVol.2ですので、オブスキュアなメロハー&北米メロディアス・ロック系マニアの方は是非お早目に入手しておきましょう♪('(゚∀゚∩ Tracks Listing: 01. Queen Of Dreams 02. Endless Dream Of You 03. Tonight We're Gonna 04. Turn Your Love Around 05. Too Late To Say Goodbye 06. Gimme What U Got 07. Heaven Stole My Angel 08. Come Into My World 09. Thrill Of Danger 10. Hard To Handle 11. Wasted Years 12. Chain Reaction 13. Wall Street SHORT CIRCUIT Line-up: Sal Russo (Lead Vocals、Bass) Anthony Russo (Guitars) Jimmy Pimpinella (Guitars) Rob Barbaro (Drums)
by malilion
| 2023-01-25 17:26
| 音楽
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