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80年代中期USカルト・メロディアス・バンドMERE MORTALSの遺したアルバム2枚がオフィシャル・リイシュー!!

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MERE MORTALS 「Omnia In Numeris Sita Sunt. + 4」'22

メロディアス愛好家の間では有名な短命に終った米国カルト・バンド、キーボード入りツインギターの5人組ニュー・ヨーク産メロディアス・ロックバンドが1986年、87年に残した2枚のレアなアルバムがマニア御用達レーベルHeaven & Hell Recordsより500枚限定オフィシャル初CD化リリースしたのを少々遅れてご紹介。

一説には1986年にNYのIce Productionsレーベルからプライベート・プレスで1000枚発売された同年にCDもリリースされていたという話があるらしいのですが、Bootなのかレコード会社向けのプロモ盤なのか何もかも未確認な情報なので真相は闇の中であります(汗

今回のリイシュー盤はちゃんと元メンバーでリーダーの Bob Francis Acquavivaがコメントを寄せているオフィシャル盤な上に当時未収録であった1st『Omnia In Numeris Sita Sunt.』録音時の未発楽曲がボーナストラックで4曲追加収録されていますし、2nd『Immortalized』の方にも当時のコンピレーション・アルバムへ提供されたアルバム未収録曲が1曲追加収録されているので、レアなオリジナルLP盤をお持ちな方も見逃せぬオフィシャル・リイシュー&リマスター盤となっているのでチェックをお忘れなく。

元々、80年代初期にニューヨーク州北部のクラブサーキットで活動していたマイナーなインディHMバンドLUFTWAFFEがMERE MORTALSの原点であった。

LUFTWAFFEでの活動に限界を感じていたリーダーでギタリストだった Bob Francis Acquavivaは、バブリーで華やかな時流に即したキーボードを中心としたキャッチーなフックとハーモニーのある楽曲を中心に、より大人向けなAOR要素も加味した新しい方向のサウンドを演るバンドを新に立ち上げようと画策し、当時のドラマー Carl Ambtoselliが怪我をしていた為ヘルプのドラマー Tony Stoneを招いて1985年夏に最後のギグを行うとバンドは解散し、そのまま Carl Ambtoselliは抜けてヘルプだった Tony Stoneをドラマーに迎えた新バンドは活動を開始する。

最初、新バンドの名はWHITE NIGHTとなる予定であった。

リーダーでギタリストの Bob Francis Acquaviva、ベーシストに Paul St. James、ヴォーカルに David Paul SlifeのLUFTWAFFEラインナップはそのままに、ドラマーに Tony Stoneを加え、スタジオで新曲の録音を友人の助けを借りて開始する。

最初、バックコーラス要員として Vince Cavoをレコーディングに参加させるが結局メンバーになり、キーボーディスト兼ギタリストとしてバンドサウンドの質を上げアレンジの協力に大きく貢献する重要なメンバーになった事や、当初レコーディングした曲はどれもヒットする気がしなかったので気分転換にリゾート地へ出かけて『Laura』なるシングル向けの曲を捻り出した等々、Bob Francis Acquavivaによってブックレットの回顧録で語られている。

レコーディング終了後、ベーシストの Paul St. Jamesが脱退し、代わってニューヨークで人気ツアー・バンドのメンバーだったベーシスト Bill Carmanを迎え入れ、バンド名を“(神に対して)普通の人間”という宗教的なテイストを感じさせるものに正式に決め、アルバム・タイトルもラテン語で“全てが数に覆われている”という当時 Bob Francis Acquavivaが数秘術にハマっていた事からミステリアスなバンド・イメージを与える目的で決めたと本人が明け透けに語っていて面白い。

記念すべきデヴュー作は、総じてアメリカ産バンドらしいドライな感触のサウンドながら、お洒落なキーボードもさりげなくフィーチャーされた翳りのあるアーバンテイストな洗練されたメロディアスなサウンドで、TRAPEZEやURIAH HEEPのフロントマンを務めた英国人シンガー Peter Goalbyをちょっと甲高くしたような声質でミドル・レンジ主体に歌い上げるフロントマン David Paul Slifeの太く伸びやかな歌声や分厚く爽快なハーモニー・バッキングコーラスも涼やかで、弾きすぎる事ないメタリックなギターが奏でるハードタッチさもそこそこのハード寄りなAORサウンドと言える本作は、インディ・バンドのデヴュー作にしては幅広い音楽要素と次なるトレンドが定まっていない状況での創作故に混沌さを感じさせる中々面白い仕上がりとなっており、短命に終ったカルドバンドのデヴュー作ながらこうして今回リイシューされたのも頷ける、当時のUSインディーズ・メロディアス・ロックを絵に描いたようなアルバムと言えましょう。

当時レコーディングは14曲されており、1stのオリジナルLPには10曲収録のみでその時収録されなかった4曲は同じ方向性の佳曲で、今回のリイシューでの追加は嬉しいボーナスであります。

Bob Francis Acquavivaの目論み通りシングル曲『Laura』と Benny Mardonesのヒット曲のカバー『Into the Night』は好評で、多くの地域のラジオ局で取り上げられ、デヴュー作の話題作りに貢献した。

話題が消えぬ間に、と既にステージで披露していた新曲で構成された2ndアルバムの制作を、デヴュー作リリースから3ヶ月後にスタジオへ戻り開始する。

さらにキーボード主導の華やかでフックのあるよりポップなメロディアス・サウンドへと大きくサウンドを進化させ、他のバンドメンバーは嫌っていたが Bob Francis Acquavivaは強引にキャッチーで軽快なダンス・チューンまで収録した2ndアルバム『Immortalized』を87年にリリースする。

Bob Francis Acquavivaの目論み通り2ndも好評で、Patti Smyth、Benny Mardones、Taylor Daneなどの全米ツアーのオープニング・アクトに抜擢されたり、TVに出演し演奏するなどバンド活動は順調に思えたがフロントマンの David Paul Slifeが突如脱退を表明しバンドは混乱に陥るものの、2ndのプロモには David Paul Slifeは協力してくれる事に。

『Immortalized』リリース後に、ローカルNYバンドの曲を集めたコンピレーション・アルバムにアルバム未収録曲『Woman That I Know』を提供、それが今回2ndアルバムにボーナストラックとして収録されている。

David Paul Slife脱退後、幾人もヴォーカリストをオーディションするも後任はなかなか決まらず、思案した挙句にキーボーディストの Vince Cavoをフロントマンへチェンジさせ新たなキーボーディストに地元で有名な鍵盤奏者 Tim Mishalanieを迎えようとするも Vince Cavoはフロントマンに乗り気でなく、また Tim Mishalanieもバンドへ加入しなかった為、結局はNY出身の Steams Bulenと言う若いヴォーカリストを加入させLIVE活動を続行するが、新フロントマンの声は元QUEENSRYCHEのシンガー Geff Tateスタイルのハイトーンで金属的な歌声だった事もありバンドの楽曲にマッチしなかった。

3枚目のアルバムの楽曲を新ラインナップでステージで試してみると聴衆には好評だったが、それは Bob Francis Acquavivaの追求しようと思っていた音楽とは違っていた為、1988年1月1日に惜しまれながらたった3年の活動を終え潔くバンドを解散させてしまう…

1stの翳りあるアーバンテイストなメロディアス・ロックからググッとブライトでキャッチーな爽快度の増した典型的USサテイストを感じさせる大きな進化を果たした2ndのサウンドは、変わらずインディ・バンドらしからぬ洗練さがそおかしこかから感じられるが、意図的にかちょっとアホっぽいアメリカン・テイストと言いましょうか晴れやかな陽気さも強く感じられ、当時のバブリーで華やかなメインストリームを賑わしていたHMムーヴメントへ接近し、さらなるバンドの成功を Bob Francis Acquavivaが目論んだのでしょうが、それがバンド本来の持ち味をスポイルさせていると感じたのか、それとも自身の趣味じゃないと感じたのか、強引な Bob Francis Acquavivaの行いに嫌気が差したのか、フロントマン David Paul Slifeの脱退を引き起こしてしまうとはなんとも皮肉な展開であります…orz

改めて今の耳で2nd『Immortalized』を聴いてみると、そんなにブライト過ぎる事もなく、ちゃんとデヴュー作で感じられた翳りのあるアーバンテイストも残っているし、新しい試みなのかファンキーなテイストもあり、ギタリストがリーダーにも関わらずキーボードのフィーチャー具合が増しより効果的なアレンジの活かされ完成度の上がったフックあるキャッチーで爽快なコーラスと歌メロが聴ける楽曲を演っていたと思え、もうちょっと David Paul Slifeが我慢していてくれれば、と幻の3rdアルバムがどんなにキャッチーでヒットポテンシャルを秘めた素晴らしいアルバムだったのだろうかとの想いが止まりません…

本作と全く関係ないけど、ちょっと2ndのサウンドが米国進出を目指し、無理矢理ポップでキャッチーになっていた古参ファンから大不評だった頃の80年代URIAH HEEPっポク聴こえる所が David Paul Slifeの歌唱スタイルの為か多々あって個人的に彼等のアルバム、嫌いになれないんだよなぁ~(汗

USバンドらしからぬ少し翳りのあるメロディと洗練されたアーバンテイストを感じさせるメロディアスUSロックがお好きな方ならチェックしても決して損はしない、カルト作として人知れず終らすには惜しいアルバムありました。

Tracks Listing:
01. With You, Without You
02. Laura
03. Into the Night
04. I'll Be There
05. Once in A Lifetime
06. Hero
07. Love is Real
08. Always Gone Want You
09. Lost inside of You
10. Touched by the Son

Bonus tracks:
11. Night Without Stars
12. Life Alone
13. The Gamble
14. Diamond Cut Glass

MERE MORTALS Line-up:
Bob Francis Acquaviva   (Guitars、Backing Vocals)
David Paul Slife       (Lead Vocals)
Vince Cavo         (Keyboards、Guitars、Backing Vocals)
Bill Carman        (Bass、Vocals)
Tony "Bartolotti" Stone   (Drums)






by malilion | 2023-01-20 01:02 | 音楽 | Trackback
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