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90年代末から活動を続けるベテラン・イタリアン・メロパワ・バンド新生HIGHLORDの第二弾作がリリース!!

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HIGHLORD 「Freakin' Out Of Hell」'22

典型的80年代ジャーマン病を発症し臭メロを奏でシンフォニックで大仰なキーボードも高らかに激走するB級パワメタ群の1バンドとして1997年にイタリア北部の都市トリノで結成されたキーボード入り5人組バンド HIGHLORDの通算9枚目のアルバムが、前作『Hic Sunt Leones』'16 以来6年半ぶりにリリースされたのをちょい遅れてご紹介。

99年アルバム・デヴュー当時から国内レーベル SOUND HOLICからのリリースを重ね、6thアルバム『The Death Of The Artists』'09 も当初同レーベルからリリース予定ながら土壇場でレーベル消失(涙)、紆余曲折あってRUBICONレーベルから無事国内盤がリリースされるが続く7th『The Warning After』'13 は国内盤リリースは敢え無く見送られ、さらに8th『Hic Sunt Leones』'16 ではアルバム・デヴュー前の結成時から長らく唯一のオリジナル・メンバーであったギタリストでリーダーの Stefano Droettoが脱退(!?)してしまい、オリジナル・メンバーが誰一人として在籍せず(同郷のプログHMバンドDGMも同じ境遇ですね)鍵盤奏者も含まぬ4人組編成で作成され、当初のシンフォニックで大仰なキーボードをフィーチュアする臭メロ・イタリアン・パワメタから鍵盤サウンドが完全に添え物になった上にデス・ヴォイスやフィメール・ゲストヴォーカルもフィーチャーし、よりヘヴィでモダン、そしてタフでワイルドな音像へ進化した彼等にとって最大の問題作で勝負作は、それまでアニメ曲を幾度もカヴァーしたりと陽気なイタ公な上に無邪気なヲタクのイメージだったのが完全に払拭され大きくシリアスに傾いた音楽性の変化やメンバー・チェンジも影響したのか再び国内盤リリースを見送られてしまう。

思えば6th『The Death Of The Artists』制作時からキーボーディスト Alessandro Muscioが脱退し、鍵盤奏者を補充せず Stefano Droettoがキーボードとドラム・パートまでもプログラミングを用いてカヴァーするなど彼のソロ作色が強まった創作体制はファン的に少し心配だったが、続く7th『The Warning After』でもプログラミングを用いる創作体制ながらも専任鍵盤奏者 Lele Mr. Tritonが迎えられ定番の5人組編成に戻ったものの、前作『Hic Sunt Leones』では Stefano Droettoが抜け、新加入の Lele Mr. Tritonも抜け、デヴュー以来長らくベースを務めてきた Diego De Vitaまでも姿を消すという、長期安定だった編成が一気に崩壊する予兆は6thアルバムの時から既に現れていたのだと今なら分かり、マイナーな臭メロB級イタリアン・パワメタから出発して徐々にベーシックでオーセンティックな音像へシフトし成功を目指して懸命に頑張っていた Stefano Droettoの突然の脱退は、その心境に何らかの変化が訪れたのだと思う他ありませんね…

因みに Stefano DroettoはHIGHLORD脱退後にどこのバンドにも加入もせず、新バンドも立ち上げていない模様なので、もしかして懸命に創作しても一向に報われない音楽業界から足を洗ってしまったのかもしれませんし、四十代も半ばを過ぎて家庭生活に重きを置く事にしたのかもしれませんが詳細は一切不明です(´д⊂)

さて、結果的に二代目フロントマン Andrea Marchisioが率いる事となったHIGHLORDですが、制作体制は前作『Hic Sunt Leones』で新加入したメンツに変化は無く、さらに新たに鍵盤奏者 Davide Cristofoliが迎え入れられ当初からのキーボード入り5人組編成へ戻っており、大仰なキーボードが高らかに鳴り響くイタリアン・シンフォ風なメロ・パワを愛する諸兄にとっては嬉しいメンバー補充と言えるだろう。

バンドコメントによると『全員でこれらの曲をベストな形に仕上げていく作業は喜びだった。全体的なテーマは、ネガティヴな思考が芽生え、雪だるま式に大きくなって行き、最後には死に繋がっていくというもの。『Freakin' Out Of Hell』ではヘヴィさと攻撃性の平均レヴェルを少し上げている。これはハッピー・メタルなアルバムではなく、ヘヴィ・メタルそのものの定義に則った作品だ』との事なので、やはり初期から彼等が有していた陽気でバカっポイ、ある意味B級マイナーだけど親しみが湧くFUNでアンダーグラウンドな感覚(元々、日本アニメ・ファンだったのは Stefano Droettoだしネ)は完全に切り捨てられた模様ですね。

長らくプロダクション等に問題を抱えていた彼等だが、前作に引き続き本作でもそういった負の要素は脚を引っ張る事はなく上々な環境で創作が行われた模様で、パンデミックの影響もあって完成に時間を要した模様だが、その時間的余裕が本作の完成度を引き上げる事にプラスに働いたと思しき素晴らしい切れ味と疾走具合の硬質でヘヴィなメロディック・パワー・メタル・サウンドが鳴り響いており、図太くアグレッシヴなメタリック・サウンドを聴くに以前のマイナーなB級の雰囲気は霧散し一気にメジャー感とモダンな感触が増した充実作だと実感します。

自身が率いる事になったからなのか、このインターバルで新たに血肉となる糧を得たのか、Andrea Marchisioのヴォーカル・アプローチや歌メロにも大きな変化が伺え、無理に力む事ないリラックスした普通のロックを歌い上げる風な歌唱スタイルや、如何にもHMらしいアグレッシヴでパワフルな怒号、それに加えて突き抜けるハイトーン・ヴォイス等々、以前のような勢い任せでない歌心を感じさせるパートが多く感じられ、これまでにも増して多彩で伸びやかな歌声を披露しヴァラエティに富んだイメージとエモーショナルな表情を楽曲に与える事に成功しているのは嬉しい驚きでした。

ただ、一気にヴォーカルアプローチの幅が広まった為なのか、所々でちょっと歌メロがバックのサウンドに乗り切れていない不安定な箇所やチグハグ感が拭えぬパートなども散見するが、これは新しい試みに挑んだが為の作用で次作ではきっとそんな否定的な印象がキレイサッポリと消え失せている事でしょう…多分…

Stefano Droettoの後任ギタリスト Marco Malacarneは若いだけあってこれまでのHIGHLORDで聴けなかったテクニカルでモダンな感性のギター・サウンドを伸び伸びと聴かせ、どちらかと言うとバランス重視で楽曲を盛り上げるフレースやメロディを紡ぎ、新キーボーディストの Davide Cristofoliもシンフォニックな音色を弾くものの、以前よりB級マイナー臭さを助長していた大仰さは控えめで、モダンな感性のシンセ・サウンドやピアノでエピカルな雰囲気を増すのを重視したような、楽曲の魅力をトータルに上げる事に力を注いでいるように思えるプレイに終始し、その為もあってか以前のアルバムより断然楽曲やサウンドの完成度が上がって聴こえ、ベテラン・バンドらしい上品さや艶やなか音色も聴かせるアルバムの質を上げるのに一役買っているのは間違いない。

加えてイタリアン・シンフォニックHMバンドSOUND STORMにも在籍するベーシストの Massimiliano Flakが本作のレコーディング、ミキシング、マスタリング、プロデュースを担当した事も、今まで Stefano Droetto中心で完成されてきたバンド・サウンドから大きく飛躍し、プロダクションの向上とモダンなサウンドへと大幅に進歩した要因なのは本作のサウンドが証明している。

初期のマイナーB級パワメロ特有の臭い臭いメロディの洪水やキラキラしたキーボード・サウンドに包まれた身を捩る(笑)ような官能的な美旋律、そして愚直でがむしゃらな疾走感を愛していたメタル・ヘッドな諸兄にとってはすっかり別バンドになったように思えるかもしれないが、ファンタージー映画のサントラの如き勇壮で荘厳な野郎合唱からヘヴィでソリッドなボトムが強調された怒涛の疾走パートへ雪崩れ込むイントロを耳にすれば、イタリアン・バンドらしい胸焼けしそうに濃厚な美旋律、スケール感増し増しの大仰なシンフォニック・テイストが未だ健在なのがお分かり戴けるだろう。

デジタリーでメカニカルなタッチのモダンな音像を使う現代的なアプローチや、硬質でソリッドなリズムワークでグイグイと正攻法に攻め続けるオーセンティックなHM的手法、そしてお約束のツーバス・ドコドコの疾走パートも織り交ぜ、以前よりさらに緩急を活かした立体的な楽曲構成が楽しめ、殆どメンバーが違っているのだから当然なのだが今まで聴いた事のない音使いやアレンジ、プログHMっぽいリズムチェンジや複雑な楽曲展開の妙が楽しめる好盤に仕上がっているので、彼等に見切りをつけてしまった従来のファンにこそ是非もう一度本作をチェックして欲しいものであります。

イタリア産バンドらしい濃厚な美旋律とウェットな音使いが素晴らしい、かなり良い出来なパワー・メタル・アルバムなのですが今の所国内盤リリースの情報は無い模様で、残念ながら前作と同様に国内盤リリースは見送りっポイのが悲しいですね…(´A`)

Tracks Listing:
01. Prelude To Hell
02. Soul Sucker
03. Freakin' Out Of Hell
04. Sweet Unknown
05. Off The Beaten Path
06. Hollow Space
07. If You Say Yes
08. Eyes Open Wide
09. The Devil's Doorbell
10. Fallen From Grace
11. One Eyed Jack

HIGHLORD Line-up:
Andrea Marchisio     (Vocals)
Massimiliano Flak     (Bass)
Marco Malacarne      (Guitars)
Davide Cristofoli      (Keyboards)
Luca 'T-1000' Pellegrino  (Drums)


by malilion | 2023-01-11 19:06 | 音楽 | Trackback
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