LOST IN THOUGHT 「Renascence」'18 18年に7年振りとなる再結成第一弾作である2ndアルバム『Renascence』を自主制作盤でリリースして以降とんと音沙汰の無かった彼等ですが、再び解散したのかと思っていたらちゃんと活動を継続していた模様で、なんと年末の12月26日に新シングルを前シングルから2年振りにリリースしたので慌てて本作をご紹介。 英国Wales出身のミュージシャン5人によってSwanseaで2007年後半にギタリスト David Greyとベーシスト Simon Pikeを中心に結成され、08年にセルフタイトルのEP『Lost In Thought』を自主盤でリリース、その後11年に満を持してスウェーデンのInnerWound Recordsからデヴュー・アルバム『Opus Arise』をリリースし、そのDREAM THEATERから影響を受けたと思われるテクニカルでハードながら叙情感ある美旋律とキャッチーな歌メロのアルバムは、新人バンドのデヴュー作と思えぬクリーンでモダンなメロディアス・サウンド満載な、フロントマン Nate Loosemoreの何処までもストレートに突き抜ける強靭な喉と広いレンジを無理なく堂々と歌い切るパワフルなハイトーン・ヴォイスが聴く者を虜にする素晴らしさもあって“英国からのDREAM THEATERへの返答”とも言われた期待の新世代プログHMバンドだったのですが、続く2ndアルバムの方向性を巡ってバンド内が紛糾し、最終的にアルバム制作を断念、バンドは分裂、呆気なく解散してしまったのです…orz DREAM THEATERがヘヴィでダークな美旋律の失せた如何にもアメリカンな無駄なテクとドライで音圧ばかり過剰なサウンドのゲンナリする糞みたいな作品をリリースし続けて辟易していた私のような者にとって、2nd時のDREAM THEATERを彷彿とさせるテクニカルさとメロディアスさを両立したプログHMサウンドを奏でる彼等の存在は大変嬉しく『これでもう糞みたいに成り果てた夢劇場なんて要らないぜ!』と喜んでいただけに、期待していた彼等の解散は非常に非常に残念でした… 飛び切り独創性のあるサウンドではない典型的なプログHMサウンドの範疇なのは間違いないけれど、テクニックとメロディの配分でやはり評価は大きく変るものですし、最終的にはやはりヴォーカルの歌唱力と奏でる旋律の美しさ如何でオリジナリティあるサウンドかどうかの問題もかなり払拭出来ますからね。 その点についてはさすがプログレの本家本元、誇り高き大英帝国産バンドだけあってリリカルでウェットな美旋律が満載な若き次世代バンドらしいモダン・サウンドを披露してくれニンマリだったのに…(´A`)ドウシテ… 無論、フォロワー丸出しなサウンドは如何にテクニックや歌唱力が優れていようとも単なる劣化コピー・バンドでしかありませんから90年代にイタリアを中心に雨後の竹の子みたいに湧いて出た一連の夢劇場フォロワー・バンドは言うに及ばずで低評価なのは世界共通でしょうけど。 16年1月にシンガー Nate Loosemoreとギタリスト David Greyを中心に新なメンツを補充して再結成し、途中で再びオリジナル・ドラマーの Chris Billinghamも戻り(11年に交通事故に遭いバンドを脱退せねばならず、回復して再結成に馳せ参じた)、果たせなかった2ndアルバムの制作に取り掛かった、という情報を目にした時は嬉しかったなぁ~ けれど、その後すぐ16年11月、看板ヴォーカリストだった Nate Loosemoreがバンドを脱退し、暗澹たる想いに囚われてしまったのは私だけじゃなかったと思うのですが、初期にバンド・ラインナップがまだまだ未完成だった頃に一度フロントマンを務めていた Deane Lazenbyが再びバンドに出戻りで戻って来て被害を最小限に止め、不安定であった鍵盤奏者の席も17年6月に Diego Zapateroが加入してやっとバンドラインナップが完成し、待望の2nd『Renascence』制作へ突入したという情報を目にした時は胸を撫で下ろしたものでした。 看板シンガーの脱退や、2ndを出すまでに幾度もバンドラインナップでゴタつきがあり、かなりの時間が掛かってしまったのが悔やまれますが、結果的にギタリスト David Greyが率いる新生5人組編成の英国プログHMバンドとして生まれ変わった彼等は、デヴュー作の音楽的要素を受け継ぎつつも現在の音楽シーンを考慮してかよりモダンでヘヴィ、ダークでアグレッシヴに成った、デジタル・サウンド的なモダンなアレンジも貪欲に取り込んだ技巧派サウンドな2ndアルバムを披露したのがつい先日のように思い起こされます。 Nate Loosemoreの脱退は確かに痛手でしたが、後任の Deane Lazenbyも伸びやかで太く力強いヴォーカルを聴かせ、1stよりダークさの増した2ndアルバムのサウンドに良くマッチしているように思えましたし、低音域の歌声の味わいや艶やかさ、そして優し気で涼やかな歌声は Deane Lazenbyの方が勝っていると思え(Nate Loosemoreの歌声は少々耳に痛かったのも事実)て彼等の将来は明るい、と勝手に納得し喜んでいたんですけどね… やはり自主制作盤でのリリースという事でプロモーションが脆弱だったのかイマイチ彼等の復帰作は話題にならかったように思えますし、時間的にかなりの間隔が空いてデヴュー作の時に構築したファンベースもとっくに消え失せていたのか、既に時代がシンフォ系だったりDREAM THEATERフォロワー達も違う方向性へ進化していった頃合いだったからなのか、どうにも彼等の活動は芳しくなかった模様なのが折角復帰してくれたのに切ないですな…(´д⊂) 英国プログレッシヴ・ミュージックの伝統を継承しつつ現代的にメタリックにパワフルにサウンドを進化させた如何にも現在進行形な英国産プログレ・バンドのデヴュー作といった感触のあった音楽から、ググッとモダンさとデジタリーさが増して、ヘヴィさメタリックさの増加で叙情感が薄れ、以前聴けたキャッチーさも少し後退した風に聴こえるのがマズかったのか…いや、メロディのフックや一糸乱れぬアンサンブル、華麗なキーボード・ワークとテクニカルなギター・ワークが絡み合いリリカルな美旋律を巧みに奏でる様や剛柔細やかで小技の効いた絶妙なアレンジ、そして緩急ある劇的な楽曲展開などデヴュー作にも勝るとも劣らずな待った甲斐のある素晴らしい仕上がり具合だったと個人的には思っているのですが、ウーン… 20年にも『Coming Home』なる速弾きギターばかりな何やら試行錯誤しているのが伺える完成度はイマイチなアルバム未収録曲をシングルでリリースしていたものの、その後パタリと音沙汰なくなってしまい、てっきりまた解散しのか…と思っていた所に久しぶりとなるシングル音源『We Are The One』リリースなのですが、折角固まったと思っていたバンドメンツにこのインターバル期間で再び変化が訪れた模様で、キーボーディストが Diego Zapateroから Niall Templeへ17年にチェンジし、折角復帰したオリジナル・ドラマー Chris Billinghamも抜けて現在は Sam Sandersなる新ドラマーが迎え入れられている模様だ。 なんと言うか技量的に問題は欠片も無いのですが、どうにもバンドメンツが不安定でイマイチ活動が軌道に乗り切れない典型的なインディ・バンドあるあるな症状のように思え、彼等の秘めたるポテンシャルが人的影響で十分に発揮出来ていない状況がなんとも歯がゆくありますね… シングル音源を聴く限りは2ndの音楽性を継承しつつ、ちょっと1stの時の叙情感が戻ってきた感のある流麗なキーボードプレイが楽しめるモダン・テクニカル・サウンドでしたが、果たして来るべき3rdアルバムでは何か新しい変化があるのか? 今から楽しみであります(*´∀`*) 70年代英国プログレの伝統を受け継ぎリリカルな美旋律を織り成しながら、モダンなテイストやデジタリーな音像も臆する事無く取り入れ、HMらしい技巧と楽曲展開に富んだ演奏をガッチリとパワフルにテクニカルに一糸乱れずプレイする彼等はインディで人知れず燻っていて良いレベルのバンドではないのは明白ですから、どうか最新シングルが少しでも話題になり、まだ見ぬ3rdアルバムをどこかのレーベルと早急に契約を交わしてリリースし、今以上に聴衆の耳へ届くよう環境を改善してより知名度を上げて欲しいのを願って本作を今さらながらご紹介してみました。 Tracks Listing: 01. A New Life 02. Ascendance 03. The Promise 04. Save Me 05. Don't Fear Me 06. Open Your Eyes 07. Delirium 08. Legacy 09. Absolution LOST IN THOUGHT Line-up: Deane Lazenby (Vocals) David Grey (Guitars) Diego Zapatero (Keyboards) Josh Heard (Bass) Chris Billingham (Drums)
by malilion
| 2022-12-27 19:32
| 音楽
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