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90年代ポーランドを代表したネオ・プログレ・バンドCOLLAGEが再結成して待望の新譜リリース!!

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COLLAGE 「Over And Out」'22

90年代当時、ポーランドのみならず東欧ネオ・プログレ・シーンを代表していたバンドCOLLAGEが前作『Safe』'95 から27年振り(!!)となる再結成第一弾作をリリースしたのを即GET!

東欧ポーランドのワルシャワでドラマーの Wojtek Szadkowskiとギタリスト Mirek Gilを中心に1984年に結成されたネオ・プログレ・バンドCOLLAGE (元々はBLUE ISLANDなるプロジェクトだった)ではあるが、近年も活発に活動を続けその動向が常にポーランド・シーンにおいて注目されているギタリスト Mirek Gilも当初は新シンガー Karol Wroblewskiを迎えての2013年末の再結成に参加していたものの、さすがに自身のソロ活動 Mr.Gilと自身がリーダーを務めるシンフォ・バンドBELIEVEとの創作活動を三つも平行させるのは難しいと悟ったのか2015年にはバンドを脱退してしまい残念なれど、傑作2nd『Moonshine』'94 リリース後のワールドワイドな本格活動開始以降に中核メンバーであったキーボーディスト Krzysztof Palczewski、オリジナル・メンバーあでるドラマーの Wojtek Szadkowski、そしてベーシストの Piotr Mintek Witkowskiの3名に加え、同郷ポーランドのシンフォ・バンドQUIDAMの二代目ヴォーカリストで後期作でシンガーを務めた Bartosz Kossowiczと新たなギタリストにドラマー、パーカッショニストとしての経歴もあるマルチ・ミュージシャン Michal Kirmucを迎えた新編成5人組での再結成始動作となっている。

90年代末期のCOLLAGE解散後、Mirek GilはBELIEVE結成へ走り、残されたメンバーは初期COLLAGEのメンバーも加えてSATELLITE結成へと流れ、その後各メンバーが狭いポーランド・シーンで複雑に関わるTRAVELLERS、STRAWBERRY FIELDS、PETER PAN等の数多くのポーランド・シンフォ・バンド達が00年代以降に生まれてくる訳だから、COLLAGEは80年代英国で唸りを上げて勃興したポンプ・ムーブメントの流れを汲んだ90年代ポーランドに置けるネオ・プログレ・ムーブメントの文字通り中心に存在した象徴的な元祖シンフォ・バンドだったのは間違いなく、こうして長い年月を経て今や懐かしのスタイルになりつつあるネオ・プログレを彼等が果たして再現するのか、それとも22年に相応しいモダン・サウンドへと大きく進化したサウンドを提示するのかファンならずとも注目な本作だが、結論から言います! 大昔からのファンだった方々は欣喜雀躍して喜ぶ事だろう! 

あの傑作『Moonshine』で示した懐かしの90年代ネオ・プログレの面影を残した哀愁色濃い艶やかな美旋律と東欧らしい冷ややかな透明感と憂いあるエキゾチックな魅力を湛えたドラマチックな目くるめくシンフォニック・ロック・サウンドが目白押しであります!!('(゚∀゚∩

復活第一弾である本作が、世界を魅了した華麗で艶やかな音色とミステリアスでエキゾチックな音使いの90年代東欧ネオ・プログレを想わせるシンフォ・サウンドな作風へ寄せられているのは、長い年月を経ても待ち続けたファンが今や大きな尊敬と一種の伝説を築いているCOLLAGEに何を待ち望んでいるのかを旧メンバー達が十分に察していたのと、新たに迎え入れられたメンバーが外から見て『COLLAGEサウンドとはこうあるべき』というイメージを持ち込んだのも大きな原因だろう。

意外に〝今”のミュージシャンである事を誇示したくて旧来のスタイルから離れた今風なサウンドのアルバムを芸術性も盛り込んで意気込み激しく創作するものの、折角のカムバック作が派手な醜態を晒して待望の再結成が悲惨な結末を迎える事も多い、特に進化する事を第一とするプログレ系バンドで良く耳にする大物バンドのトホホな再結成失敗談ではありますが、手堅い選択と言えばそうだけれどCOLLAGEはそんな愚かな選択はしなかったのが嬉しいですね。

時間が経過して今の最先端のシンフォ・バンドを追いかけるようになった以前COLLAGEファンであった方々にとって、27年の歳月を経て明らかにレトロでクラシックなネオ・プログレ・サウンドを彼等が再び提示した事に失望する諸兄も居られるだろうし『常に新しい芸術作に目を向ける、プログレスするサウンドが好きな自分こそ真のプログレ・ファンだ!』との考えや後ろ向きな作風と言う非難も十分理解出来ますが、既にCOLLAGE解散後にポーランドの新世代シンフォ・バンドに在籍して現在活躍中なメンバー達がCOLLAGEとわざわざ名乗って再結成作をリリースする訳だし、なのに最先端のモダン・シンフォ作を創作するのは少々筋違いと申しましょうか、久々の復活作である意味をもっと重く捉えて欲しいとは個人的に思うのです。

まぁ、最先端のサウンドを追い求める人にとってCOLLAGEというバンド名は全く訴求しないとっくに忘却の彼方へ消えた古臭いバンド名でしょうから、本作に手を出した挙句にそんな屁理屈を捏ねてわざわざ文句を垂れる無粋な輩は居ないとは思いますけどね(w

御託はさておき本作の内容ですが、一聴してかってのCOLLAGEの思い出が蘇り、興奮と歓喜に包まれる、あのミステリアスでセンチメンタルな矢継ぎ早に複雑に展開しまくる美旋律の数々が煌めきながら流れ出して目の前でエキゾチックに乱舞するような様には本当に感無量、欣喜雀躍であります♪

シアトリカルで感情の揺れ幅が非常に大きい Peter Gabrielスタイルの歌唱を駆使するエキセントリックなヴォーカル、高らかに鳴り響く煌びやかなシンセサイザーと壮麗で重厚なシンフォニック・オーケストレーション、技量や音数より如何に感情を描き出すのみに注力した魅力的なメロディを紡ぎ出すギター、立体的なリズムセクションを構築するメロディアスなベースライン、そしてCOLLAGEサウンドの要でもある Wojtek Szadkowskiが叩き出すテクニカルでソリッドなドラミングと、本当にあの当時に『Safe』に続くアルバムが制作されていたなら、きっとこんな風な素晴らしいシンフォニックで官能的な美旋律が満載な作風になっていただろうと思わせる、時の隔たりを忘れさせてくれる見事な一作だ。

勿論、時代が変ってプロダクションが大幅に向上したのと、メンバー個々の技量や熟練度も増し、そして幾分かモダンなタッチも感じられるが、瞑想的で幻想的なキーボード・サウンドと美麗なメロディをゆったりと雰囲気満点に爪弾く繊細なギター・サウンドが音のカーテンを織り成し、シンフォニックな抒情詩を描くように巨大なキーボードの波と手数が多くパーカッシブでリズムチェンジの多いグルーヴィなボトムが絡み合ってクリスタルのように眩く輝き、立体的で技巧的な音の宝石が紡がれゆく様は、正に90年代にプログレ・ファンやポンプ・ファンを魅了して止まなかった、あの流麗で荘厳な哀愁漂うCOLLAGEサウンド以外の何物でもない!(゚∀゚)

前任シンガーの Robert Amirianも同じ様に Peter Gabrielスタイルの歌唱を披露していましたが、個人的には声質や安定感、歌唱スキルやレンジの広さ、そしてパワフルさ等を考えると Bartosz Kossowiczにフロントマンをチェンジしたのは良い選択だし成功だと思うのだけれど、芝居がかった情熱的な歌唱が冴えわたる程に Fish在籍時の初期MARILLIONっぽさも強まりますから、古参ファンは以前のメンバーでリユニオンして欲しかったと思ってしまうかもしれません。

解散前のセンチメンタルでデリケートなヴォーカル・パートは Robert Amirianのちょっとヴィブラートがかった線の細い歌声や密やかな囁きなんかも良くマッチしていたので、そう思うのも無理ないけど…ちょっと野暮ったいヴォーカルだったのが個人的にはCOLLAGEをマイナーなイメージにしていたようにも思えて…(汗

無論、解散からこれだけ時間が経過している訳で Robert Amirianの歌唱力も相当上がっているだろうし、なんなら経年で渋味を増したより良い歌声を披露してくれたかもしれませんが、現実問題として彼はリユニオンに参加しなかった(誘われなかった…?)のでソコはどうしょうもない問題であります(´A`)

てか、そもそも双頭の片方 Mirek Gilが不参加なので今さらオリジナル・メンツでのリユニオンに拘っても仕方がないのですけど…

散々、褒めちぎっておいて何ですが、何もかも手放しで絶賛出来るかと言うとそうでもなく、やはり新ギタリストである Michal Kirmucのプレイに物足りなさを些か感じてしまうのは正直な感想だ。

かってのCOLLAGEのアルバムで聴けたギター・サウンドを忠実にエミュレートする事に重きを置いたプレイのように思え、もう少し独自色を出しても良かったように思うのですが、余りに Mirek Gilがバンドに残したギター・プレイのイメージが強過ぎた為か再結成作という事を考慮したのか、旧来のイメージを崩すような事はせぬ風な音使いやメロディ、トレードマークのYESの Steve Howeっぽいロングトーンの深いリヴァーブのかかったギター・サウンドばかり耳につき、彼ならではのギター・サウンドやプレイは分かりずらかったのが少々残念ではあります。

少しアッサリ小奇麗なプレイで Mirek Gilのようにネットリじっくりとエモーショナルな感情をメロディに切々と刻みつけるような不器用で愚直なプレイではないように感じてしまい、ギターの演奏技術やスマートなフィーリングでは前任者より勝っているのかもしれないがCOLLAGEサウンドにとっては欠けているプレイに思えるんだよなぁ…

後は双頭の片割れ Mirek Gilが居ない事が Wojtek Szadkowskiをいつになく発奮させたのか、それまでシンガーの Robert Amirianとの連名やその歌詞の多くを任せていたのですが、本作収録曲の歌詞は全て Wojtek Szadkowskiが単独で書き上げており、楽曲の方も全曲にその名がクレジットされているのを見るにかなりの気合の入様だった事が伺えます。

出来ればもうちょっと幻想的だったり楽天的な歌詞なら良かったんですが、陰鬱で暗いイメージな歌詞ばかりなのをもう少しどうにかしてもよかったんじゃないかなぁ…まぁ、シンフォ系っぽいと言えばぽいかもしれませんが…

期待されての再結成で唯一のオリジナル・メンバーでリーダー的な立場なので大きなプレッシャーも感じていたのか、その弊害なのかちょっと全体的にドラムを忙しく叩きすぎなきらいがある気がして、以前のゆったりとした靄のかかったような淡いイメージのCOLLAGEサウンドを打ち消すハードなリズム・ワークが随所で耳につきました、がコレは個人的な感じ方故かもしれませんし、今風のサウンドタッチを意識して敢えて変化させたものかもしれませんのでなんとも言えませんけど…

スペシャル・ゲストで英国ポンプ及びシンフォ界の盟主 MARILLIONのギタリスト Steve Rotheryが参加し、アルバム最終曲で一聴して即彼と分るセンチメンタルで切ない絶品のエモーショナルなギター・ソロで切々と入魂のプレイをしているのでMARILLIONファンも本作のチェックを怠らぬよう注意されたい。

ともかく以前からのCOLLAGEファンは問答無用で購入確定な一枚でありますし、90年代東欧ネオ・プログレ&シンフォ作がお好きな方も当然見逃せぬ一作で、メランコリックでノスタルジック、そしてドラマチックに高揚する哀愁漂う華麗な美旋律に目の無いメロディアス・ロック好きな方にも是非チェックしてみて欲しいそんなアルバムであります(*´ω`*)

Tracklist:
01. Over And Out
02. What About The Pain
03. One Empty Hand
04. A Moment A Feeling
05. Man In The Middle (feat. Steve Rothery)

COLLAGE Line-up:
Bartosz Kossowicz    (Vocals:QUIDAM)
Michal Kirmu       (Guitars、Guitar Synthesizer)
Krzysztof Palczewski   (Synthesizers、Keyboards)
Piotr Mintay Witkowski   (Bass)
Wojtek Szadkowski    (Drums & Percussion)

With Special Guests:
Steve Rothery (Guitar Solo:MARILLION)


by malilion | 2022-12-26 22:20 | 音楽 | Trackback
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