VASS/KATSIONIS 「Ethical Dilemma」'22 ソロ活動、FIREWIND、OUTLOUD、REVOLUTION RENAISSANCE、NIGHTFAL等のプロジェクトやバンドに多数関わってきたネオクラシカル・ギタリスト兼キーボーディストであるギリシャ人ミュージシャン Bob KatsionisとギリシャのメロディアスHMバンド TERRA INCOGNITAのシンガー Billy Vassとのコラボレーション・プロジェクトによるデヴュー作のプレスCDがやっとリリースされたのでご紹介。 TERRA INCOGNITAが2017年以降活動を休止し、ワールドワイドで忙しく活動していた Bob KatsionisがFIREWINDを2020年に脱退、そして全世界をパンデミックが蔓延したタイミングが重なった為に本作を制作する時間的チャンスが訪れ本デュオ・プロジェクトが発足した模様だ。 90年代のプログレ&シンフォ系サウンドとFATES WARNINGやQUEENSRYCHE等の80年代USプログHM要素をMIXし、2人がこれまで培ってきた音楽要素を加味したのが本プロジェクトの音楽的方向性と言う事だが、00年代モダン・プログHM風な仕上がりの楽曲な為か Billy VassのヴォーカルにDREAM THEATERの James LaBrieっポイ感触が意識的なのか幾らか感じられ、バックのサウンドを一手に引き受ける Bob Katsionisがギターとキーボードの両方を相変わらず音数が多く華麗でスピーディー、そして壮絶なテクニックで巧みに演奏するだけでなくソリッドでパワフルなリズム・セクションまでも完璧に構築しており、セッションプレイヤーをリズム隊に招いているとは言え楽曲の全てを Bob Katsionisが1人で全て書き上げたと思えぬユーロ圏ミュージシャン作らしい仄かな叙情感香るダークでモダンなプログレッシヴ・メタル・サウンドが高い完成度で披露されている。 “Ethical Dilemma=倫理的ジレンマ”という抽象的なテーマのコンセプト作となる本アルバムだが、そこは Billy Vassがバックの演奏で八面六臂の活躍を魅せる Bob Katsionisに負けじと、直接的でシンプルでありながら誰もが共感出来る詩的で抽象的な表現も駆使して、抽象と直接とブレンドした歌詞でリスナーを飽きさせる事なく魅了し、如何にもプログHMという示唆に富んだ物語を書き歌い上げているのは見事だろう。 ザクザクしたハードエッヂや滑らかで官能的なメロディを紡ぐ剛柔巧みなギタ・ワークー、パワー・メタルの要素も感じる正確無比で手数の多いソリッドでタイトなリズム・ワーク、けれど決して無機質でない熱いグルーヴと耳を惹く美旋律の数々、それら全てをプログレッシヴ・ロックなテイストとシンフォニック・ロックの影響を受けた奔放に舞いまくる華麗で煌びやかなキーボード・ワークと巧みなアレンジで際立たせ、Billy Vassのエモーショナルな伸びやかで太く力強い魅力的な歌声で楽曲を纏め上げているのを聴くに、これ一枚で終らすのは実に惜しいデュオ・プロジェクトなのは明白だ。 と、言うか時間があればここまでの事がプロデュースも含めて全て自身の手だけで出来てしまえる Bob Katsionisの破格の才能と相変わらずの演奏技術には、本当に驚かされっぱなしであります。 デヴュー作でありながらキャリア十分な2人が共通の音楽的背景の元に結束し、ダークで硬質なサウンドには独自の芸術的ビジョンと親しみ易くも新鮮な感覚が確かに息づいており、シンフォ系に良くあるテクニックに偏るばかりに複雑怪奇に成り過ぎる事もなくメロディを第一に考えられた楽曲は比較的シンプルな構成で、アグレッシヴなパワー・メタルの勢いと感触もあり、プログHMと聴いて小難しい印象を抱いているリスナーにこそ本作は聴いてみて欲しい、そんなコンパクトで聴き易い一作なのでご興味ある方は是非チェックしてみて下さい。 引く手数多な Bob Katsionisが多忙なのは重々承知ですが、出来る事ならメンツを集めて正式なバンドを結成して是非に次作を届けて欲しいなぁ~ 因みにCD現物は限定300枚リリースとの事なので、DL先行リリースされもう半年経過しているのを見るに恐らく国内盤はリリースされないでしょうからお求めの方はお早目にね。 円安のご時世ですが、ギリシア・プレスな関係か送料入れても2千円行かないお値段なのでDL嫌いな方は是非お試しあれ。 Tracklist: 01.Message To The Masses 02.Mark The Moment 03.Web Weaver 04.Dreamscreen 05.Echoes In Paradise 06.Purify 07.Faceless Encounter 08.I Walk Alone Musicians: Billy Vass (Vocals) Bob Katsionis (Guitars、Keyboards) with: Telis Kafkas (Bass) Bill DiBenedetto (Drums) P.S. しかし、デジタル・リリースが本編みたいな扱いな為なのかCDが記念アイテムな扱いな為なのかリリースデイ等のデータが明記されていない簡素すぎるデジパック盤なのがちょっと味気ないですな… 自主制作盤だからお金かけたくなかったのかもだけど、この手の技巧派ミュージシャンってその手の所にこだわる風に思ってただけに、ちょっと意外でありました。
by malilion
| 2022-12-25 18:54
| 音楽
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