CURSE BREAKER vs BLADE'S EDGE 「Cursed Blade」'22 去年、ヴォーカルをはじめ全ての楽器演奏も手掛けたデヴュー・ソロ・EPアルバムBLADE'S EDGE『Witch Spells』'21 をリリースしているエクアドル出身のギタリスト Sage Savageが率いるツインギター編成5人組HMバンドのデヴューEP (デジタル・リリース・オンリーだったDemo)『Breaking The Oath』'19 、2nd カセットEP『Midnight Lover』'21 に続く3rdEPが500枚限定生産でマニア御用達レーベルStormspell Recordsからリリースされたのでご紹介。 タイトルから察せられるかもしれないがCURSE BREAKERと Sage Savageのワンマン・バンドBLADE'S EDGEとのスプリットアルバムなっており、初めて彼等の音源に触れるマニアックなB級アルバムも見逃さないメタルヘッドな諸兄にとってお得なアルバムであります。 因みに既にリリースされているEP『Witch Spells』と重複している楽曲はカヴァーされている楽曲のみなので、本作にBLADE'S EDGEの2ndEP音源が収録されている事になりますね。 アマゾンのジャングルやガラパゴス諸島で有名な南米エクアドルというとスペイン語圏になるが、本作はちゃんと英語で歌われているので巻き舌メタルを危惧した方はご安心戴きたい。 Sage Savage自身が歌うソロEPは、CINDERELLAの Tom Keiferの歌声まで歪み切ってはいないがイメージ的にかなり近い、ザラついたしゃがれ声で唸り、無理矢理な金切声でシャウトする歌唱スタイル(NITROのシンガー Jim Gilletteのような金切り声と言った方が分かり易い?)だったので、どうしょうもなくC級クラスでアンダーグラウンドなマイナーHMの臭いをプンプンと放っている、70年代英国HRの影響を受けて80年代初頭にアメリカで生まれたアンダーグラウドな初期米国HMテイストが強いオールドスクールなスタイルの楽曲が詰め込まれた、Sage Savageのテクニカルでフラッシーなギターが大々的にフィーチャーされた完全80年代指向なサウンドの作品であったが、CURSE BREAKERではしっかりと女性シンガーをフロントマンに据えたバンド編成でのHMサウンドを聴かせてくれているので『ド下手クソなヘッポコ・シンガー Sage Savageがフロントマンのままのバンドなら、ちょっと遠慮したい』と思っていたマイナーHMマニアな方はご安心を。 まぁ、CURSE BREAKEデヴュー作『Breaking The Oath』と『Midnight Lover』のシンガーだった Fabianはピュア80年代型パワメタ&80年代初期ジャーマンHM風スタイルにマッチしてはいたが、どうしょうもなくアンダーグラウンド臭を放つB級マイナーな歌唱力(初期BLIND GUARDIAN風)だったので今回の男から女へのフロントマン交代は硬派なメタルヘッドの兄貴達的にマイナスかもしれないがバンドのポテンシャル的には前進していると思えるのでプラスと捉えております。 後、ちゃんとベーシストも加入したしね。 と、言ってもBLADE'S EDGEのEPと演っている音楽性にそれほど差は無く、テクニカルでやたら音数の多いドライでエッヂあるギター・サウンドをこれでもかとフィーチャーした80年代初期米国HMでよく聴けた音域もそう広くない垢抜けぬ歌唱を聴かせるフィメール・シンガーをフロントに据えた、キャッチーさもポップさもイマイチでコマーシャリズムに半ば背を向けた、けれど暗黒で蠢く邪悪なパワーと迸るようなヒリつく暗い情熱を感じさせる、アンダーグラウンドなマイナーHMの臭いをプンプンと放つ80年代ピュアHM直系の甘味の少ないダークなヘヴィ・サウンドを演っており、能天気なアメリカン・ロック要素が苦手なメタルヘッドな諸兄にこそお薦めなアルバムだ。 Sage Savageが明らかに70年代~80年代初期のユーロ圏バンドに影響を受けているので楽曲にそこはかと叙情感も漂うのだが、掻き鳴らすギター・サウンドはドライで80年代に米国を沸かせたギタ-ヒーロー達の弾く音に近い、ちょっとギャップのあるサウンドが主軸になっているのが面白い点だし、さして上手くもなくパワーも無い Alen Van Tassel嬢の歌声もドライでカリカリな疾走するバンドサウンドとミックスされる事で全体的にサウンドがマイルドな耳障りで聴き易くなる効果をもたらしている点はBLADE'S EDGEには無い要素だったので、同じ様に好き放題ギターを弾いている(汗)んだから今後はソロ活動は控えてバンドでの創作に専念して欲しいものであります。 ソロ作と違ってやはりサウンドのバランスや楽曲の完成度はCURSE BREAKERの方が上ですからね、勿論BLADE'S EDGEの方がB級マイナーHM作独特な臭みが強く、マニアックな諸兄にはその方が堪らなく好ましいのかもしれないけれど(w 実はとんでもなく下手クソ'(少しだけだけどデヴューEPより歌、上手くなってるんですよね Sage Savageの)だけどソロ・バンドBLADE'S EDGEの方で聴ける歌メロの方がキャッチーだったりするのだが、如何せん歌唱力の問題でとても普通のメロディアス愛好家にはお薦め出来ないマニアックな代物なのがまた如何にもな感じでメタルヘッドな兄貴達には嬉しいのかも?(汗 ツーバス・ドコドコでスピーディーに疾走する楽曲でかなり苦し気な Alen Van Tassel嬢のヴォーカルを聴くまでもなく、おそらくステージでもかなり危なっかしく不安定なヴォーカル・パフォーマンスになる事が予想でき、エクアドルのクラブ・シーンがどんな規模でどれ程のレベルのバンドがひしめき合っているのか不明ながら、ハード・エッヂでスラッシュに近いリフを刻みまくるギターが大活躍する80年代指向のメロディアスHMな本バンドは間違いなく今風なバンドでもAクラスなバンドでもないだろう… ただ、Sage Savageがテクニカルで屈折したリフやメロディを思うままに掻き鳴らす速弾きギターをメインにした楽曲が妙に80年代の国内HMバンド達が鳴らしていたユーロ圏HMとアメリカンHMの影響をミックスさせたようなあの頃に特有なジャパメタ・サウンドに近似しており、80年代ジャパメタ・ファンな方なんかにも一度聴いてニヤリとして欲しい、そんな一作であります(*´∀`*) 官能的な絡みを魅せるツイン・リードや、叙情感ある美旋律の流れやソロの狂おしい程にメロディアスな展開を見るに、赤道直下の南米で活動しながらも Sage Savageは英国HM界の盟主JUDAS辺りからの影響が出発点だったのかもしれませんね。 南米エクアドルという欧米のシーンから隔絶された地で活動するミュージシャンなれど、ヴォーカルはさて置き Sage Savageの耳を惹くリフ創りや『モダン? 何ソレ美味しいの?』状態な時代錯誤で赤面しちゃうケドやっぱり格好良い派手な速弾きやメロディ・センスはなかなかのモノなので是非とも米国へ進出して欲しいものだ。 また Alen Van Tassel嬢のヴォーカル・スタイルにユーロ圏バンドの影響は殆ど伺えず、HMバンドのフロントマンらしくドスを効かせたり低めな声で唸ってみたりとあの手この手のヴォーカル・アプローチを凝らしてはいるのですがどちらかと言えばコーラス等からポップなアメリカン・ロックからの影響が伺えるキャッチーな歌メロ等が合わさってCURSE BREAKERのサウンドを複雑で深みある独特なモノにせしめているようにも思えるので、是非このままさらなる創作に励むのを期待したい。 クレジットを見るに、本作のミックスもマスタリングもプロデュースも Sage Zavageが一手に引き受けており、挙句に自身のレコード・レーベル Zavage Recordsからのリリースとなっているワンマンな点に変化が起きれば、もう少しバンドサウンドのレベルが上がるかもしれないし知名度も上がるかもしれませんが、そうすると彼等本来のサウンドが失われてしまう危険性もある痛し痒しな状況でもあります… レーベル・インフォによるとCURSE BREAKERは、80年代の最高の伝統を持つ女性フロントマンを擁するパワー&スピード・メタル・バンドで、ZNOWHITE、ACID、WARDANCE、CHASTAIN、FIRE STRIKE等のファンにお薦めで、BLADE'S EDGEは、80年代のノスタルジアを感じさせるHMサウンドで、NITRO、DOKKEN、SHOTGUN MESSIAH、BLESSED BY A BROKEN HEART、SABIRE、そしてNWOTHMのファンは要注目作だ、との事なので既述されたバンド名で気になった方は本作をチェックしてみてもいいかもしれない。 Tracklist: CURSE BREAKER: 01. Black Flame 02. Ritual's Curse 03. High Intensity 04. Warriors Of The Night 05. Witch Spells (Blade's Edge Cover) BLADE'S EDGE: 06. Survivors 07. Lost On Her Spells 08. No Longer (Like Before) 09. Sands Of Time 10. Destroyer (Curse Breaker Cover) CURSE BREAKER Line-Up: Alen Van Tassel (Lead Vocals & Backing Vocals) Sage Zavage (Lead Guitars) Adrian (Lead Guitars) Omarchets (Bass) Andree Insane (Drums & Backing Vocals) BLADE'S EDGE Line-Up: Sage Zavage: Vocals & All Instruments
by malilion
| 2022-12-23 14:55
| 音楽
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