SIDE KIXX 「Talk Of The Town」'89 米国New Jersey州Oaklandを拠点に80年代末期に活動していた4人組メロディアスHMバンドが、1989年に自主制作でリリースした唯一作がフランスのマニア御用達レーベル BAD REPUTATIONから2022年度デジタル・リマスターで限定リリースされたのを少々遅れてGETしたのでご紹介。 オリジナルの入手困難な自主盤LPは今も高値で取引されていると言うマニアックなアイテムで、80年代末期の不遇なメロディアス系バンドの1つで噂だけ知られていた幻の音源が限定とは言えこうして待望のオフィシャル・リイシューが成され、メロディアス系愛好家な諸兄は満面の笑みを浮かべている事でしょう。 本作は一度2007年にRetrospect RecordsよりCD-R仕様にてリリースされていますが、毎度の事で実に権利関係が怪しいリリースだったのと、とっくに廃盤でレア盤化しているアイテムでもあります。 ただ、待望のリイシューなものの付き物な蔵出し未発音源等は追加収録されておらずオリジナルのままの曲数なのと、初CD化の際に元メンバーがバンドの歴史を語ったりするような追記データやバンド結成秘話等はブックレットに載っておらず、彼等の活動の仔細やその後メンバー達がどうなったのかなど一切不明なのが少し物足りなくはある(´A`) クレジットを見る限り、Mike と BrianのPeterson兄弟を中心にバンドが結成されたと予想されるし、またアルバム制作時のベーシストは Vinnie Decatalboなるプレイヤーだったものの本作のメンバー・クレジットには Mark Jordaなるベーシストの名前が載っているのを見るに、なんらかの理由でアルバム・リリース前にメンバーチェンジが勃発した模様ですが、その辺りの仔細も一切不明なままだ。 さて、本作の内容の方はと言うと、TRIXTERと同じマネージメントに所属し、TRIXTERの弟分バンドとして大手MCAレコードからメジャー・デヴューを予定されていながらも突如90年代になると暗黒のグランジー旋風が全米を中心に世界中で巻き起こって事態は一変、結局泣く泣く自主盤でのリリースとなった訳ですが、TRIXTERのマネージメントが目をつけていたのも頷ける、DANGER DANGERやWARRANT、そしてTRIXTERまんまのキャッチーなパーティー・ロックや、同郷の大先輩BON JOVIに倣った王道のUSアリーナ・ロック路線、そしてブライトで歯切れ良いUSメロディアス・ロックなFIREHOUSE等を思わせる如何にもバブリーで華やかな黄金の80年代USメジャー路線を受け継ぐサウンドで、ほんの少し早く…88年頃までにデヴュー出来ていれたならばきっとチャートで健闘して正当な評価を得られていただろう、そんな陽気でポップなアメリカンHM作だ。 少し喉に引っかかるビブラート癖のある、けれど陽気で元気印の伸びやかなヴォーカルと、一気に畳みかけるように勢い良く掻き鳴らすギター・プレイ、そして力強くビートをひたすら刻むドラムが実に心地よく、LIVE録音したと察せられるTrack 5、6での聴衆の歓声やバンドとのやり取りを聴くに、何故彼等がメジャー・レコード会社から当時注目されたのかが良く分ります。 まんま黄金の80年代メジャー路線で、陽気でポップ、キャッチーでフックある歌メロに、随所で華やかなコーラスを交えつつ分厚いバッキング・ヴォーカルでザビは大合唱、薄っすら煌びやかなキーボード・サウンドも聴こえるアレンジ、エッジあるフラッシーなギターを主軸に楽曲がグイグイとスピーディーに展開していく、という典型的80年代メジャーUSロック・スタイルをストレートに踏襲していて思わず破顔してしまう、そんな懐かしき良きサウンドとプレイは、もしメジャーからデヴュー作がリリースされていたならばきっと国内盤もリリースされていたんじゃないか、というレベルの実に惜しい逸材が残した一作だ。 まぁ、兄貴分のTRIXTERもギリギリ80年代バブリー時代に間に合ったクチですし、その後彼等も90年代はかなりの苦戦を強いられた訳ですから、デヴューも叶わぬ弟分バンドが当時一体どんな辛酸を舐め、悲惨な状況へ追い込まれたのかは想像に難くないでしょう…(´д⊂) 惜しむらくは自主盤故にバジェットの関係でメジャー路線を目指したサウンドなもののガッチリ手の込んだ緻密な音造りと上質なプロダクションでの制作は叶わなかった弊害が随所でチラつきはするが、彼等の目指したバンドサウンドの本質をスポイルするには至っていないので、完成度的にB級作なのは否めないですが80年代メジャーUSロック愛好家な方ならば一度彼等の事をチェックしても決して損はしないそんなアルバムです。 Track List: 01. Talk Of The Town 02. In The Night 03. Headin' For A Heartache 04. Outta Love 05. Let It Go 06. No More (Getting' The Best Of Me) 07. She's A Runner 08. You Make The Rockin' World Go Round SIDE KIXX Line-Up: Teddy Kotch (Vocals) Mike Peterson (Guitars) Brian Peterson (Drums、Backing Vocals) Mark Jorda (Bass、Bbacking Vocals) All Bass Track Pleyer: Vinnie Decatalbo (Bass)
by malilion
| 2022-12-15 20:54
| 音楽
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