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北欧メロディアスHRバンド期待の新星PERFECT PLANが待望の3rdアルバムをリリース!

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PERFECT PLAN 「Brace For Impact」'22

北欧スウェーデンきってのメロディアスHRバンドPERFECT PLAN が初のライヴ・アルバム『Live At The Sharpener's House』'21 を挟んで前作『Time For A Miracle』'20 以来2年振りとなる最新スタジオ・アルバムを少々遅れてGETしたのでご紹介。

スウェーデン中部の港町Ornskoldsvikで2014年に古典的スカンジナビアンAORにFOREIGNER、JOURNEY、GIANT、初期EUROPE、TREAT等々といったメロディアスでキャッチーな往年のHRバンド要素をブレンドする音楽的方向性で結成されただけあって、偉大な先人達のサウンドを巧みに取り込み創作に活かしていた彼等がイタリアのメロディッアス・ロック・レーベル最大手Frontiers Recordsと契約を果たし、新人離れした完成度の1stアルバム『All Rise』で18年に衝撃的なデヴューを飾ったのがついこの間のように思い出されますね。

元FOREIGNERのシンガー Lou Grammの影響が大きい Kent Hilliのヴォーカル・スキルが抜群な事もあってデヴュー作が無名の新人としては異例の大ヒットを記録し、それを受けて19年にFOREIGNER、GIANT、SURVIVOR、THE STORMといったバンドのカヴァー曲で構成されたデジタル限定のEP『Jukebox Heroes』を急遽リリース、前後して Kent HilliはRAINBOWやVANDEBBERGでも活躍する実力派シンガー Ronnie Romeroが在籍するスペインの正統派HMバンドLORDS OF BLACKのギタリスト Tony HernandoのプロジェクトRESTLESS SPIRITSにヴォーカリストの一人として参加するなど、途中ベーシストを P-O SedinからPERFECT PLAN以前キーボーディスト Leif EhlinがDESERT RAINなるバンドで活動を共にしていた Mats Bystromへチェンジして往年のSURVIVORを彷彿とさせる充実作2nd『Time For A Miracle』'20をリリース、更に21年には Michael Palaceのバックアップの元制作されたソロ・アルバム『The Rumble』リリースや、2022年には米国メロハー・バンドGIANTにも加入し、彼等にとって10年振りとなるアルバム『Shifting Time』'22で見事な歌声を披露する等々、バンド作リリース間もないにも関わらず Kent Hilliはその実力を見込まれ数多くの作品に参加(パンデミックの影響もあるケド)して多忙を極め、その華々しい活躍は目を見張るものの実力派ヴォーカリストがバンドそっちのけで多方面で活動した挙句にソロ・アーティストへ転向する典型的な予兆にも思え内心ガクブルでしたが、こうして無事3rdアルバムがリリースされ胸を撫で下ろしております。

まぁ、実際はコロナ禍の2020年9月にバンドの地元ウェーデンはエルンシェルツビクのSharpener's Houseで行われた無観客公演の模様を伝える、オリジナル曲に加えFOREIGNERやGIANTのカヴァー、アコースティック・ヴァージョン等も収録したバンド初のLIVEアルバム『Live At The Sharpener's House』'21 を去年にリリースしてその雄姿を届けてくれていたのでそんなに危惧もしていなかったし、久しぶりに新譜が届けられた感も薄いんですけどね(汗

さて、内容の方はと言うと、バンドの多様性、進歩、発展が表現された2ndで示した、パワフルなメロディ、フックある歌メロ、絶妙なアレンジ、クラシックなAORテイストや、ブルージーさ、ポピュラリティ高いロック、定番のバラード、アグレッシヴでハードな楽曲等々を含むメロディアス・ロック好きなら間違いなく気に入るだろう質の高い美旋律が前作以上に目白押しで、『目指していたのはジュークボックスをプレイしてるような感じだった』という、哀愁を含みつつも芯のあるエモーショナルなヴォーカルを存分に披露する Kent Hilliの言葉通りに本作も幅広い要素で構成されており、前作以上にポピュラリティが高く、より耳に馴染易く、トータルバランスを考慮したバラエティ豊かな楽曲と完成度の高いサウンドで緻密に構成された作品となっていて、とてもデヴューして三作目のバンド作と思えぬ堂々とした風格と落ち着きっぷりに少々驚かされたのは私だけではないだろう。

ただ、前作で聴けた往年のSURVIVORを彷彿とさせる新鮮な感覚や、新人バンドらしい驚きや実験性、破天荒なプレイ等々といった予測不能な要素は殆ど無く、歌メロはSURVIVORっぽく、バッキング・ヴォーカルはFOREIGNER風、演奏陣は随所でTOTO風だったりGIANT風だったりの職人芸やアレンジを披露するソツない堅実なプレイで隙無く固め、と往年のベテランバンドの残像が前作より顕著に感じられるように思え、完成度と普遍性を上げたのは良いけれど、よりフォロワーっぽいサウンドに接近してしまったが為に新作なのに妙な既視感が終始付きまとってしまう、そこだけが非常に残念でならなりません。

『イヤイヤ、全然似てねぇよ! 』というツッコミは分りますし、何もかもパクってるとまでは言わないけど、でも巧ければ巧い程に元ネタが透け見えるんですよ、露骨に…

無論、単なる80年代回帰フォロワー・バンドではありませんから、随所で米国バンドからは聴こえ来ない北欧バンドらしい叙情感あるウェットな美旋律が聴けたり、よりモダンでメタリックなサウンドやスリリングなプレイも飛び出しては来るものの、既に彼等に求められるレベルが高い期待値となってしまった弊害でか総じて期待した以上の出来では無かった、というのが本作への偽らざる感想であります。

彼等が余りに急激に成長しハイレベルで多様性あるメロハー・サウンドを易々と提示してしまったが為に、他の新人バンドでは到底考えられないような無理難題を要求しているのは重々承知だし、既にあらかた耳に馴染の良いメロディや感動のアレンジが出尽くした普遍的ロックの創作とは、偉大な先人達が掘り尽くしてしまった金脈から再びゴールドをザックザクと掘り起こせと暴言を吐いてるも同然なのを自覚してますが、けれども彼等だからこそその難題に挑み素晴らしい創作品を我々に届けてくれると信じて、次なる新作を待ちたいですね。

Track listing:
01. Surrender
02. If Love Walks In
03. Can't Let You Win
04. Gotta Slow Me Down
05. Stop The Bleed
06. My Angel
07. Devil's Got The Blues
08. Bring Me A Doctor
09. Still Undefeated
10. Emelie
11. Walk Through Fire
12. My Angel(Acoustic Version :Japan Bonus Track)

PERFECT PLAN LINE-UP:
Kent Hilli    (Lead Vocals)
Rolf Nordstrom (Guitars)
Leif Ehlin    (Keyboards)
Fredrik Forsberg (Drums)
Mats Bystrom  (Bass)





by malilion | 2022-12-12 15:24 | 音楽 | Trackback
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