EDDIE VANTEZ 「Rough Diamond」'22 18年に配信オンリーでリリースされたデヴュー・アルバム『Hungry Heart』が80年代メロディアス・ロック愛好家の間で話題になった南米チリ共和国期待のメロハー・バンド HUNTER率いるヴォーカリスト兼プロデューサー Ed Omar Carabantes (Eddi Vantez)が始動したソロ・プロジェクト第一弾作がHUNTERと同じくデンマークのLion's Pride Musicからリリースされたので即GET! HUNTERのデヴュー作は、元々は配信時には英語とスペイン語半々なチリ国内向け仕様な構成で、その後英国をはじめ欧米各国のメロハー・ファンに好評を博した事から、ユーザーの期待に応えるべく全曲英語詞でリレコーディングした楽曲と新曲も加えたデヴュー作のワールドワイド盤を21年に出し直しましたが、今回のソロ・プロジェクト作は最初から英語詞のみで構成されており、ラテン風味ありな巻き舌歌唱に拒否感を覚えるロック・ファンな方にも安心な仕様となっております。 HUNTERのアルバムは80年代風なタッチのある Leo Correaが操る煌びやかなキーボードとテクニカルでフラッシーな Claudio Guerreroが弾くギターが大活躍し、ブライトな美旋律とキャッチーな分厚いコーラス、そしてフックあるメロディが目一杯詰まった、ちょっと日本の歌謡曲みたいな哀愁のメロディもチラつく明らかに欧米のメロハー・バンド作と毛色の違うノスタルジックな想いを呼び覚ますサウンド(わざとリバーブ強め?)が特徴的なソフト寄りのメロハー作であったが、本作はソロ・プロジェクトという事やバンド作との差別化も考慮したのか、よりAORタッチが強まった如何にもシンガーのソロ作というバランスな Eddi Vantezの伸びやかなヴォーカルのフィーチャー具合により比重が置かれた楽曲が堪能出来るなかなかの秀作だ。 HUNTERの時も濃い目な風貌と裏腹に爽やかな美声で驚かされた(失礼!)が、本ソロ作ではさらにハード・タッチが減退した、ロック的な勢いや乗りよりもコンテンポラリー作に近づいたサウンド・バランスと楽曲の上で、よりスムースでソフト、さらにディープで情感あるリラックスした爽やかな歌声を披露しており、 Eddi Vantezのバックボーンであろう華やかな80年代USアリーナ・ロックやUS産業ロックの影響を色濃く伝える本作の収録曲の方がHUNTERのアルバムより気に入るAOR&ハードポップ・ファンな方も多いかもしれない。 Eddi VantezがUSロックだけでなく北欧メロディアス・バンドにも影響を受けているのか、本作の楽曲にそこはかと北欧っぽいウェットな叙情感が漂っており、彼のソフトで繊細なヴォーカルとマイナー調のメロディ、そして控え目なフィメール・バッキング・ヴォーカルも相まって本当に80年代中期~後期のインディ北欧メロディアス・ロック作かと思う瞬間(TREATっポクない?)もあったりして、HUNTERでは伺い知れなかったテイストやタッチが楽しめるのも本作の魅力の一つだろう。 分厚いバッキング・ヴォーカルやブライトなコーラス、そして華やかなシンセ・サウンドに隠れてHUNTERでは分り難かったけれども、ちょっと鼻にかかった穏やかなハイトーン・ヴォーカルになると Eddi Vantezの歌声が80年代北欧HMバンドで良く聴けた甘い声質で線の細いヴォーカリストみたいに聴こえる時が多々あったりして、もっとマイナー調のメロディアスな哀愁漂う曲を歌って欲しかったなぁ~(笑 また、Eddi Vantezの奏でるシンセ・サウンドが妙にノスタルジックでシンプルな古き良き80年代を思わせるサンプルの使用や、バッキング及びアレンジを聴かせており、彼自身のヴォーカル以上に本作のノスタルジックな雰囲気を強める要因になっている点も見逃せないポイントだ。 と言うか、本作を聴くとHUNTERの鍵盤奏者 Leo Correaのプレイや選択する音色は実は意外にモダンなタッチを含んでいたんだなぁ、と再認識させてくれました。 本作でヴォーカルとキーボードをプレイする Eddi Vantezだが、ソロ作お約束のゲスト・ミュージシャンも多数招かれて素晴らしい客演を披露しており、加えてHUNTERのギタリスト Claudio Guerreroとベーシストの Juan Carlos Alfaroもその確かな腕前でバンドの看板シンガーのソロ作に華を添えている。 まぁ、バンド作ではないので Claudio Guerreroも控えめなプレイを心がけ、ここぞというポイントでエモーショナルでテクニカルなギターで斬り込んでくるソツ無いサイドメンな演奏に終始しているのですが、それでも彼の素晴らしいプレイが耳を惹きつけるんだからホントに彼のプレイヤー・スキルはハンパないですな。 自身でミックス、マスタリング、プロデュースを手掛ける事からも伺えるように Eddi Vantezはインテリ寄りミュージシャンで、元来ダーティにガナったりハイトーンでシャウトしたりとワイルドで勢い任せな歌唱を聴かせる直情タイプでない事から本ソロ作の様なソフトなメロディアス作の方が元来向いているのは確かだろうが、まだまだデヴューしたてで知名度の低いHUNTERの方での更なる活動も期待したい所であります。 ただ、少々残念に思える点としては、HUNTERや本作もそうなのですが、ちょっとリズムが単調に思える時があるので、もう少しリズム隊にも自由なスペースを与える事が出来れば、HUNTER共々 Eddi Vantezのサウンドにも幅や奥行が出来て来るのかなとは思いましたが、それは今後の課題でしょうね。 プロデュースやエンジニアリング等々の細かな事を言いだせば間違いなく本作はB級クラスな作品ではありますが、それらは本作の魅力を決して損なうものではありませんので、妙に売れ線に色気を出したりするくらいなら是非このままの方向性でバンド共々末永く活動して欲しいですね。 80年代北欧メロディアス・ロックや黄金の80年代US産業ロックやUSアリーナ・ロックから多大な影響を受けた本メロディアス・サウンド作は、TOTO、SURVIVOR、JOURNEY等のファンにもお薦めだし、ユーロ・テイストもあるバンドやUSコンテンポラリー作もイケるという大人向け音楽好きにも十分訴求するヴォーカル作ですので、もしご興味あるようでしたら是非一度チェックしてみて下さい。 Track List: 01. Is This Love 02. Little Sister 03. Live On Love 04. One Lonely Night 05. Give In To Love 06. Fire 07. Rough Diamond 08. The Phoenix Has Risen 09. Gigolette 10. It's All Up To You 11. Healing Touch Musicians: Eddie Vantez (Vocals、Keyboards) with: Ignacio Ruiz (Guitars、Keyboards) Claudio Guerrero (Guitars) Rodrigo Bugallo (Guitars) Charlie Giardina (Bass) Juan Carlos Alfaro (Bass) Fernando Galleguillos (Bass) Nilver Perez (Keyboards) Gabriel Seri (Drums) Gigolette Angeline (Backing Vocals) Hernan Mellado (Saxophone)
by malilion
| 2022-11-18 19:40
| 音楽
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