OSLO 「Don't Turn Your Back」'22 ノルウェ-人マルチ・インストゥルメンタリスト Lars Kolshus率いるキーボード入り5人組アメリカン・ハードポップ&AORバンドが1991年に制作したプロモーション音源である唯一作『Oslo』に93年録音のEP音源を追加収録し、新興マイナー・メロディアス・バンド発掘レーベル Metallic Blue Recordsが22年度DIGITAL REMASTERを施してオフィシャルCD化したのを即GET! 当時、プロモ・オンリー作(Lars Kolshusと Mike Mcmanusだけがジャケを飾る盤と白地にバンドロゴのみ盤の二種が類存在)であった事もあり、メロディアス・ロックマニアの間でオリジナルCDは何度も千ドルを超える10万円前後の価格(!!)で取引されていると言う屈指の激レア盤としてコレクターに知られる一枚でしたが、今回こうしてボーナストラックを追加して装いも新たなリイシュー盤がお手頃価格でリリースされメロディアス愛好家はやっと噂のアルバムを手にする事が出来て歓喜している事でしょう。('(゚∀゚∩ 名前だけはマニアの間で長年囁かれていたバンドだけあって、その結成の経緯や、どんな音源をリリースし、メンバーは誰だったのか等々謎が多いバンドでしたが、今回ライナー内で詳しくバンドの歴史が語られているので、これで仔細が判明したのも嬉しいトピックでもあります。 そもそもの始まりは、ノルウェ-人マルチ・インストゥルメンタリスト Lars Kolshus (ex:DE STRESSLESS)が20歳の時にノルウェーのオスロカらアメリカ合衆国に移住し、マサチューセッツ州ボストンのバークリー音楽院に入学した事からスタートする。 ボストンの音楽新聞でギタリストの Mike McManus(EGODOG、UNCLE MOONDOG、QUEEN NATION)がバンドメンバーを募集しており、ジャムった2人は意気投合し、Lars Kolshusが米国での音楽活動の記念にと、本国ノルウェーに持ち帰る為にAORアルバムのCDを出したいという希望から音源制作が始まった。 2人はこのプロジェクトを『OSLO』と呼ぶ事にし、ブルース・バンドで歌っているヴォーカリスト Paul Gregoryを見つけアルバム制作協力を頼む。 Paul Gregoryはバンドを抜ける気はなく、この時点で『OSLO』は Lars Kolshusと Mike Mcmanusのデュオ・ユニットであった。 8トラック録音設備のある地下スタジオで低予算で制作された1991年プロモーション音源『OSLO』のオリジナルは今回収録されている9曲目まで。 この時のプロモ盤のジャケは本作インナーの裏ジャケとなっており、オリジナル盤風にも出来るリバーシブル仕様になっている。 『OSLO』Track List: 01. Don't Turn Your Back 02. Stranger's Eyes 03. Every Time She Cries 04. Crossfire 05. Running Out Of Time 06. Take Your Time 07. With Every Beat Of Your Heart 08. Why Can't This Night Last Forever 09. Kiss Me OSLO Line-up: Lars Kolshus (Keyboard、Bass、Drums) Mike Mcmanus (Guitars、Vocals) with: Paul Gregory (Lead Vocals) Paul Gregoryはブルーズ・バンドで歌っていたにしては意外にハイトーンで良く伸びる瑞々しいキャッチーな歌声を披露し、当初 Lars Kolshusが思い描いていた80年代当時のUSインディーズ・メロディアス・ロックシーンを絵に描いたような古のメロディアス・ハード・ポップ&AORに倣ったサウンドに実に良くフイットしていて驚かされる。 お世辞にも高音質でもプロデュースが行き届いているとも言えないが、バンドが秘めているポテンシャルはしっかりと感じ取る事が出来て、Lars Kolshusが華やかな米国音楽シーンで様々な要素を吸収しつつ自主制作プロモ盤に反映させたのは良く分かります。 ただ、高額な値で取引される価値があるかと言うと、ソコは個人の価値観によるものなのでなんとも言えませんが、私個人はそこまでの金額を費やしてでも欲しい音源ではないかなぁ…(汗 時期的にストレートなメロディアス・ロック作が少なくなっていた頃の作品であるという点を鑑みると当然価値は高まると思いますが、その当時でさえ米国以外ではまだまだまだメロディアス作はリリースされてましたからねぇ…特に、ここ日本では。 とまれ薄っすらリリカルなコーラスもフィーチャーされ軽やかなキーボードがポップなフィーリングを醸し出すユーロ・テイストがその瑞々しいサウンドとウェットなメロディに漂っている所など、当時の米国ハードポップ・ロックバンドに無い繊細で優美な作風と独自性と言え、このまま活動継続してくれていれば、グランジーの闇に米国が覆われ尽くす迄に数枚は素晴らしいハードポップ作をリリースしれくれていたんでは、との想いが尽きません… プロモ音源は好評で、ロック・ミュージック・シーンがまだ多くのアーティストを輩出していたカリフォルニア州ロサンゼルスでの活動を夢見て2人は移住する事を決意。 同時期にノルウェー人の鍵盤奏者 Per Tvedtをバンドへ加入させ、3人はカリフォルニアのバーバンクに引っ越す事に。 バンドはドラマーとヴォーカリストを探しつつ、プロモCDを真っ白なロゴ入り新ジャケでリリースし直す。 Lars Kolshusは地元のレコードショップで働き始め、そこでドラマー Mat Diazと出会い、意気投合してバンドへ迎え入れる。 ヴォーカルに Tony Geraceを迎え、バーバンクで活動を開始するもののバンドの他メンバーとの間にクリエイティブな面で相違があり Tony Geraceは早々に脱退してしまう。 新たにアラスカ人シンガー Brian Nuss (ex:CHINA、ex:SNOW WHITE、ex:TOWN CRYER)を迎え、彼のもたらしたHMテイストを加え、AORからよりハード・タッチなメロディアス・ロックへバンドサウンドを進化させながら、OSLOは Coconut Teazer、The Roxy、The Troubadour等のロサンゼルスのクラブで演奏を続けファンを獲得し始める。 バンドはさらに数曲書き、1993年にカリフォルニア州グラナダヒルズのRainbow Sound Studiosに入り、4トラックのEPをレコーディングした。 今回ボーナストラックとして収録されている音源はこのEP音源で、オリジナルのプロモCDで披露したサウンドより明らかにハードでキャッチーなアメリカン・メロディアス・ロックに仕上がっている。 『EP』Track List: 10. No Way Out 11. Play With Fire 12. Why Can't This Night Last Forever (Alternate Version) 13. Night After Night OSLO Line-up: Lars Kolshus (Bass & Backing Vocals) Mike Mcmanus (Guitars & Backing Vocals) Per Tvedt (Keyboard & Backing Vocals) Mat Diaz (Drums & Backing Vocals) Brian Nuss (Lead Vocals) 因みに本作のジャケットはこのEP編成時の5人によるものとなっております。 Brian Nussのパワフルで少し苦りのある如何にもHM向きの太く伸びやかな歌声を活かし、さらに Mike Mcmanusのハードでフラッシーなギターを大いにフィチャーした楽曲は、Per Tvedtのシャレオツなシンセ・アレンジもあって如何にも80年代メジャー・シーンを賑わしていたブライトでキャッチーな煌びやかなUSロック・サウンドで、是非この編成でバジェットを確保してしっかりしたフルアルバムを制作して欲しかったですね…(´д⊂) OSLOは1993年の残りの期間も演奏し続け、そこそこの人気を得ていたがLAの音楽シーンは変わりつつあり、メロディアス・ロックバンドの楽曲がラジオから聞こえて来る事は減ってきていた。 KING'S XやALICE IN CHAINS等のヌー・メタル・ブームの波に乗る為にOSLOは幾分か音楽性を変え、再びRainbow Sound Studiosに入ると"1919"、"Sanctuary "というEPで示した音楽性よりややヘヴィなサウンドの2トラックを録音する。 音楽シーンが慌ただしく変化していく中、Brian Nussは音楽業界を離れ、航空機パイロット(現在は再びヴォーカル活動中)になることを決意し、バンドを脱退。 地元のミュージシャン Tony Oros (ex:SOMA、ex:METAL GODZ)を新フロントマンに迎えOSLOは演奏と作曲を続けたがシーンは常に変化しており、1997年になるとバンドは新たな展開を迎え、Per Tvedtが脱退し、鍵盤奏者が居ない4人編成にバンドは変化する。 同時にバンド名をEGODOGへ変え、OSLOの古い曲 "Sanctuary" を改作し、"World of Illusion" というタイトルにし、新たにアルバムを制作しリリースするが、Lars Kolshusと Mat Diazがバンドを脱退し、Lars Kolshusは故郷のノルウェーへ戻ってしまう。 以降、バンドは Mike Mcmanusが率いる事に。 バンドは活動を続け、2000年と2001年に2枚のEPをリリースし、さらに2年間活動を続けたが残念ながら2003年に解散してしまう… 現在は Mike Mcmanusは再びEGODOGを再結成し、児童向けの音楽制作やQUEENトリビュート・バンドでの活躍などメジャー・シーンとは違った方面で様々な音楽活動を継続中な模様だ。 今回のリイシューの前触れか、Lars Kolshusがノルウェーから13年ぶりの2014年にアメリカへ戻り、Mike Mcmanusと旧交を温め、それが呼び水となったのか記念すべきリイシューが2021年Metallic Blue Recordsからの申し出によって決まり、今こうして幻の音源が皆さんのお手元に届く事になった訳ですね。 OSLO末期に制作されたグランジー・ブームを意識したヘヴィ・サウンドの2曲や以降のデモ音源等が今回収録されておらずが少々残念ですが、彼等が本来の輝きを放っていたメロディアスでキャッチーなブライト・サウンドの楽曲は本リイシュー作に全て収録されているので、リマスターされた激レア音源を今はじっくりと楽しむとしましょうか(*´ω`*)
by malilion
| 2022-11-13 17:48
| 音楽
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