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低迷期からの脱出作なるか!? イタリアン臭パワメロ・バンドが5年ぶりとなる待望の5thアルバムをリリース!!

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DRAGONHAMMER 「Second Life」'22

初期作は国内盤もリリースされたが停滞期を挟んでアルバムの出来が著しく低下し、メンバーも不安定になった為か長らく国内盤リリースから遠ざかっているイタリアン・メロディック・パワーメタル・バンドの彼等ですが、前作『Obscurity』'17 から5年ぶりとなる新譜が久しぶりに届けられたのでご紹介。

既にオリジナル・メンバーはベーシストでリーダーの Gae Amodioしか残っておらず、前作から引き続き参加しているのも鍵盤奏者の Giulio Cattiveraだけ、と他は全て新顔なキーボード入りツインギター6人の新編成となって初となるアルバムとなっている。

壮大なイントロに導かれ、ツーバスドコドコに乗って疾走する美旋律、続いて勇壮な男臭いコーラスが飛び出して来て『キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!』と満面の笑みを浮かべてのけ反ったのは私だけでないハズ(笑

時間は掛かったし、メンバーも殆ど入れ替わって別バンド状態だけれども、原点回帰とも言えるデヴュー作を彷彿とさせるハイトーン・ヴォーカルに絡む甘美なツインリード、激しく攻めたて疾走しまくるリズム隊、そして華麗に舞い踊るシンフォニックなシンセ・サウンドも高らかに、B級クサメタルまんまな青臭い大仰なエピックHMサウンドを鳴り響かせる会心の一作を久々に届けてくれました!!

キャリアだけ見れば1999年にローマで結成され20年超えのベテランながら以前から度々プロダクションに問題を抱えていた彼等、本作のサウンドにそういった大きな問題は見当たらず、やっとアルバムの内容以前のアゲンストが解消されたようで胸を撫で下ろしたファンも多いのでは?

そうした環境もプラスに働いたのは間違いなく、新たに迎え入れた新メンバー達も強力で、Alessandro Mancini (DRAKENS ORDER、DYRNWYN)と Flavio Cicconi (ex:SOULS UNCHAINED、NANGA PARBAT)の2人のイタリア人ギタリストはローマを拠点に活動する別の若手バンドにも在籍して鋭意活躍中な期待の新人で、アグレッシヴでパワフルな若々しい歌声を聴かせる新イタリア人フロントマン Mattia Fagiolo (WHITE THUNDER)も別バンドで既に何枚もアルバムをリリースしている猛者と、従来のB級臭メロ・パワメタを、よりパワフルで壮大に、さらに技術的にも数段進歩させ、デヴュー以来のトレードマーク・サウンドに新たなアレンジと楽曲展開、そしてエピカルなフレーバーをタップリ加え、ハードエッヂな速弾きリフとモダンでテクニカルなメロディを紡ぐギターに、エレガントなキーボード・オーケストレーションがシンフォニックな美旋律と一体となってスリリングに、爆発的に疾走する、新たな血が生み出す効果を十分に活かした新世代シンフォニック・メロパワ・サウンドは素直に格好良いの一言だ ('(゚∀゚∩

屈折十数年、Gae Amodioが追い求めていたであろうサウンドが初めて具現化し結実したかのようなスピーディーでシンフォニックでエピカルなイタリアン臭パワメロは、以前ならキラキラしたチープ音源のキーボードがシンフォニックな音の壁を精一杯築いていた所が、本作ではしっかりとしたサンプルを用いて重厚で壮大、華麗にしてエピカルなサウンドスケープをガッツリ構築し、一歩間違えば三文芝居な赤面しそうに大仰なエピック・メロディも新人ギタリスト2人がテクニカルにエモーショナルに奏でるモダンなメロディや素早いパッセージの数々のお陰で実に爽快で格好良く生まれ変わり、パワー不足で芝居掛った下手クソなヴォーカル・パートも、上から下まで幅広い音域をカヴァーする表現力豊かでパワフルなヴォーカルとフックある歌メロによって十分な説得力を与えられ、キャリアは無いものの若々しく卓越した技量を持つ新人ドラムスが全編を貫くゾクゾクするソリッドなドラミングで畳みかける様に終始強烈にキックしまくり漲るパワーをサウンドに宿らせており、ここ数作で致命的に楽曲のスピードが失せ、ハイトーンヴォーカルが消え、クサメタルと揶揄されどもアレンジがイマイチで淡泊な印象を与え、失笑モノの装飾過多な楽曲は凡庸な展開ばかりで古くからのファンに落胆と諦観をもたらしていたが、こうまで華麗に生まれ変わるとは全く予想しておりませんでした。

ていうか『ホントに別バンドのアルバムじゃないの、コレ!?』と、楽曲が進むにつれ驚かされっぱなしであります(笑

まぁ、2018年にオリジナル・メンバーを含むメンツが大量に脱退して解散状態にあったらしく、本作は22年度に再結成した際にバンドが新に生まれ変わっての第一弾作と捉えていいかもしれない。

ああ、だからタイトルが『第二の人生』なのか、と納得しきり。

一応、前作の続編的アルバムと言う事らしいが、余りに本作のサウンドの方が切れ味鋭く格好良い美旋律とスピードに満ち溢れているので、ちっともそんな風に思えないのがなんとも(汗

無名のドラマーだけど Marco Berrettoniはかなりテクニシャンでソリッドなパワー・ヒッターなので、もしかしたらイタリアに多いプログHMバンドに本作での活躍が切っ掛けになって引っ張りダコになるんじゃないでしょうか? それくらい素晴らしい新人ドラマーだと驚かされました。

そして本作の充実した仕上がり具合を際立たせているのは間違いなく新フロントマン Mattia Fagioloの活躍抜きには語れず、クリアなハイトーンから少し濁りのあるエキセントリックな歌声やエモーショナルで繊細な歌唱も垣間見せ、パワフルさのみならず多彩な歌声を使い分ける器用さも持ち合わせており、これからさらにバンド・コンビネーションが上がって来たらもっともっと素晴らしい歌唱と歌メロでバンドに貢献してくれるに違いない、と期待は高まるばかりです。

押せ押せの勢い任せな新人では難しい、しっかりと叙情感ある引きの情感を活かした楽曲やアレンジも織り込まれており、伊達にキャリアを重ねてきた訳じゃないぜ、とばかりに Gae Amodioがしたり顔でベースを刻んでいる様子が透け見えるような、そんなエレガントな調べや華麗なキーボード・アレンジも聴ける充実した内容の本作、初期のスラッシュ・メタルも斯くやと言うスピードとアグレッションを取り戻した事で一本調子になりがちな場面が多々ありはしますが、このちょっとアンバランスでパワーとスピードに傾いたくらいの塩梅な楽曲の方がB級メタルっぽさを感じさせてくれて個人的には大変好ましいんだよなぁ♪ (*´∀`*)

鍵盤奏者の Giulio Cattiveraも作曲に関わっていますが、若きギタリスト2人と新フロントマンにも大きく創作面での自由を与えた事が本バンドをここまで華麗に若返らせた要因なのは間違いなく、バンドメンツが不安定なのが玉に瑕な本バンドではありますが、是非ともこの強力なメンツのコンビネーションを活かし、どうか今度こそ安定した活動をして欲しいと願わずにはおれません。

スピーディーでエピカルなパワー・メタルという既にオールドスタイルなHMサウンドは、創作面で革新的な手法を生み出す余地が少ない、ある意味で様式美HMのようにスタイルが固定化しつつある古典的ジャンルなのは周知の事実でありましょうが、若い力とアイディアを導入し、力強く、斬新な切り口でこれからも創作に邁進して欲しいですね。

Track listing:
01. Prelude To Conquest
02. Kingdom Of The Ghosts
03. Diamond Of Peace
04. Into The Warrior's Mind
05. Shattering Hope
06. Fallen Brother
07. Sickness Divine
08. The Rising
09. Silver Feathers
10. Second Life
11. Ending Legacy

DRAGONHAMMER Line-up:
Gae Amodio    (Bass & Choirs)
Giulio Cattivera   (Keyboards、Orchestrations、Backing Vocals、Choirs、Lyrics、Songwriting)
Mattia Fagiolo   (Lead Vocals、Lyrics)
Flavio Cicconi    (Guitars、Lyrics、Songwriting)
Alessandro Mancini (Guitars、Orchestrations、Songwriting)
Marco Berrettoni  (Drums)



by malilion | 2022-11-06 23:42 | 音楽 | Trackback
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