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KANSAS+EL&P+DREAM THEATER÷フュージョン=D.L.P.なアメリカン・モダン・シンフォ・バンドが2ndアルバムをリリース!

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DEATON LEMAY PROJECT 「The Fifth Element -Euro Limited Edition-」'22

D.L.P.は、Vincent Crane (ATOMIC ROOSTER、THE CRAZY WORLD Of Arthur Brown)や Keith Emerson (EL&P、etc...) 、Rick Wakeman (YES、etc...)、そして Jordan Rudess (DREAM THEATER、etc...)等の影響が伺えるヒューストン出身のキーボーディスト Robby Deatonと Neil Peart (RUSH)や Carl Palmer (EL&P、ASIA、3、etc...)、そして初期GENESISの Phil Collins等の影響が伺えるパワー・メタルと同様にプログレも得意とするドラマー Craig LeMayのパートナーシップから成る70年代~80年代のシンフォニック&プログレッシヴ・ロックのパイオニア達に敬意を払いながら現代的サウンドも取り入れた米国産シンフォニック・ロック・レコーディングプロジェクトで、前作『Day After Yesterday』'19 に続く待望の2ndアルバムが3年ぶりにリリースされ、限定250枚のボーナストラック入り欧州盤を即GET!

2018年末に結成されたマイナーな存在ながらフュージョン・メタル寄りなシンフォ・アプローチの良作でGENESISやKANSASの影響が色濃かったデヴュー作に引き続き、元URIAH HEEP、LUCIFER'S FRIENDのシンガーだった故 John Lawtonと元STYXのシンガー兼キーボーディストだった Dennis De Youngを足して二で割った様な図太くパワフルで伸びやかな透明感あるハイトーン・ヴォイスを聴かせるヴァージニア在住のイラン人シンガー Hadi Kianiと、インドのチェンナイ在住でボリウッドのレコーディング・アーティストであるインド人ギタリスト Josh Mark Rajを再び(未だに直に顔を合わせていないのだろうか…?)迎え、さらに本作から新たにベーシスト、ギタリスト、ヴァイオリニスト等の世界各地から選りすぐりのプロ・セッションミュージシャンを前作同様にネット経由で複数ゲストに迎え、演奏陣のパワーアップを計っている。

ヨーロッパ圏で初リリースされた本作だが、ちょっと環境音楽やフュージョン・バンドっぽい幻想的なジャケット・デザインやタイトルから察せられるように、内容の半分は古代ギリシャの哲学で提唱された世界を構成する四大元素、『風』『土』『水』『火』をテーマにしているが、残りは第五の要素である『音楽』を加えて生命や世界をイメージさせる、複雑なフレーズとリズムチェンジが飛び交う疾走感あるプログ・メタルから、キャッチーでメロディアスなAOR、そして爽快なアティテュードのフュージョンまで、幅広い要素を織り交ぜた楽曲を奏でており、正に21世紀に相応しいモダンなシンフォニック&プログレッシヴ・ロックの表現に挑んでいる一枚と言えるだろう。

本作を一聴した時の印象は、DREAM THEATERに John Lawtonがシンガーで、Keith Emersonがキーボーディストで参加して、モダン・フュージョンをプログレっぽいタッチで演奏している、んだけどヴォーカルはやたらキャッチーで伸びやかだなぁ、という風に聴こえました。

一番近いイメージは、Robert Berryが Keith Emersonと Carl Palmerと組んだ短命バンド3っぽく聴こえるのですが、クリアーなハイトーンでシャウトするキャッチーなヴォーカルや、テクニカルなシンセやムーグが大暴れし派手な音色で乱舞するキーボード・ワークは実に若々しく刺激的で、エモーショナルでハードなギターが速弾きで斬り込んで来る所などは同郷シンフォ・バンドGLASS HAMMERを彷彿とさせ、総じて米国バンド特有のカラッとドライな抜けの良いサウンドで構成されており、明らかにHMアプローチの圧倒するかの様な小気味良いリズムワーク等に3には無い野趣が漲っていて、ユーロ圏バンド特有なリリカルさやウェットなメロディの艶やかさには劣るものの、煌びやかなシンセやワイルドなオルガンで弾き倒すスリリングでドラマチックなパートなど、モダンなインテリジェンス漂う感性と止まる事を知らぬ暴力的なダイナミクスという相反する要素が反発し、絡み合い、複雑に交差しながら、一糸乱れぬアンサンブルで豪快にドライヴする様は、全体的なメタリックなタッチやゴージャスでカラフルなキーボード・サウンドも相まって実に新鮮だ。

自然なフィーリングのサウンドに拘っていると言う Robby Deatonだけあって変拍子を交えた複雑なリズムチェンジと多彩なメロディが交差するのにサウンドの耳障りは実に流麗で、叙情さに欠けるアメリカン・バンド特有なパワー押しなきらいが無きにしも非ずだが、プログレやシンフォ系あるあるの壮大なスケールの長尺曲が途中で主旋律が行方不明になって退屈になるような事は一切無く、一気にアルバムを聴き通せるだけの魅力や展開の妙が随所で味わえ、まだ作品二枚目だからかアイディアに事欠かぬその勢いと情熱がジリジリと伝わってくるようなアルバムはなかなかの仕上がり具合なのは間違いない。

本作の目を見張るキャッチーなメロディの充実ぶりは、やはり前作ではまだ大人しい歌唱中心で上手く馴染んでいなかったシンガー Hadi Kianiにヴォーカル・スペースを十分に用意し歌メロの充実を図ったのが大きく関係したのだろうし、バンド作としての纏まりや質も格段に良く感じるのは中心人物二人のアルバム構成への考え方が変化したからだろう。

まぁ、前作は記念すべきデヴュー作だから主役である二人の演奏パートが大きくフィーチャーされていたのは当然と言えば当然(エマーソンに成りきってるものなぁw)だけど…折角スキルの高いセッション・ミュージシャンをお金を出して雇ったんだし、作品全体のバランスを考えてもっと歌わせても良かった(ギャラ的に多く歌わせられなかった?)のにな、と本作を聴くと改めてそう思いますね。

プロの音楽講師でもある Robby Deatonは、ピアノをはじめ独学でギターとヴァイオリン演奏も収めた多彩な才能の持ち主で、既にソロアルバムも何枚かリリースしているらしく、また同じくドラム講師も務める Craig LeMayはキャリア十分で裏方作業もこなせるプロ・ミュージシャンで、二人には若いバンドのような向こう見ずな行動力や斬新な発想は生まれ難いかもしれないが、培ってきた経験と幅広い人脈、そしてベテランらしい冷静な作曲理念やジッとチャンスを待つ忍耐強さを武器に、二十年近く前に友人達が集って Craig LeMayの自宅スタジオでカセットテープに録音した時からスタートしたと言う本プロジェクトの次なる作品を、音楽業界の浮き沈みや様々な流行の変遷を間近で見聞きしてきた二人だからこそ可能なサウンドで伸び伸びと創作して欲しいものであります。

前身バンドであるYESフォロワーなCINEMAでは、DREAM THEATERの"Images and Words"ツアーでオープニング・アクトを務めて好評を博した事もあるそうで、未だパーマネントなメンバーで構成されてはいないが二人が率いる本プロジェクトの目下の目的は米国各地で行われるプログレ・フェスティバルへの出演らしく、上手く事が運べばもっと広域に渡るLIVEツアーにも挑みたいと意欲を見せている事から、本作の評判が前作以上に良く何れかのメジャー・レーベルと契約するチャンスに恵まれたならば、本格的にバンドメンバーを募集し、きっとステージでその熱いパフォーマンスを世界中の聴衆へ届けてくれる事だろう。

D.L.P.のサウンドは極めて独特であるものの、EL&P、GENESIS、RUSH、KANSAS、DREAM THEATER、PINK FLOYD等の様々なシンフォ&プログレ系バンドのファンな方であれば間違いなく気に入るだろう古くて新しい刺激的なサウンドに満ちているので、もしご興味あるようなら是非一度ご自身の耳でチェックしてみて下さい。

Tracks Listing:
01. The Great Awakening
02. A Different Place In Time
03. Dragonfly
04. The Nightmare
05. Exordium

- Elements of Life Suite:
06. Overture
07. Fire
08. Water
09. Air
10. Earth
11. Music

Euro Bonus Track
12. Voice Of Freedom


DEATON LEMAY PROJECT Line-up:
Roby Deaton  (Keyboards、Acoustic Guitars、Track 09 on Vocals)
Craig LeMay   (Drums & Percussion)

With:
Hadi Kiani     (Lead Vocals)
Ehsan Imani    (Guitars on Tracks 01、05、06、08、11)
Josh Mark Raj   (Guitars on Tracks 01~04、07、08、10、11)
John Haddad    (Bass on Tracks 01、03~05、07、08、10)
Charles Berthoud   (Bass on Tracks 02、06、11)
Liza Evans      (Violin on Track 9)

P.S. ユーロ盤限定ボ-トラは1st収録曲ですので既に1stをお持ちの方は無理してユーロ盤購入しなくても、オリジナルのアメリカ盤を購入しても問題ありません。

P.S. デヴュー作『Day After Yesterday』は惜しくもCD-R盤でしたが、本作はしっかりデュプリ盤ですのでその辺りが気になる方も安心ですね。



by malilion | 2022-10-17 19:19 | 音楽 | Trackback
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