EVERSHIP 「The Uncrowned King - Act 2」'22 ツインギター5人組USA産70年代後半~80年代風シンフォ・バンドが前作から1年ぶりとなる待望の4thアルバムを即GET! Shane Atkinson率いる13年結成のワンマン・プロジェクト・USバンドが、YES、GENESIS、QUEEN、KANSAS、RUSH、Jimmy Hotz等の影響色濃い、より多彩で幅広い音楽性と壮大なスケールを演出するリヴァイバル系USAハード・シンフォサウンドで、米国人作家 Harold Bell Wrightの1910年の著作『The Uncrowned King』をロック・オペラ化したコンセプト作の完結編である後編アルバムをリリースしたのでご紹介。 バンドメンツに変更はなく、80年代後半から90年代にかけてナッシュビルのバンドやレーベルアーティストのバックアップ・ュージシャンとして活躍し、常にナッシュビル地域のどこかのスタジオで、CMや映画、オーケストラや劇場まで、幅広い音楽活動を行う多作な作曲家、マルチミュージシャンでありプロデューサー&エンジニアでもある Shane Atkinsonの操るシンセサイザー、オルガン、メロトロン系等のヴィンテージ感ある多彩なキーボード・ワークを主軸に、Shaneの弟でGENTLEMAN'S PISTOLSでも活躍する James Atkinsonと John Roseのツインギター・コンビが、時にアコギ、スライド、クラッシックギターと、繊細で艶やかな演出を様々に奏でつつ、TRIUMPHの Rik Emmettっぽい透明感ある歌声と伸びやかな歌唱力のヴォーカリスト Beau Westが荘厳な楽曲をバックに歌い上げる、USA産バンドと思えぬリリカルさと陰影色濃いウェットな美旋律の数々に加え、70年代後半~80年代風のヴィンテージ感満載なUSプログレ・サウンドを再構築し、よりキャッチーに彩度を上げて現代に蘇らせた結果オリジナリティへと昇華されたサウンドをダイナミックに展開する、モダンな方向へ進化しようとする他の欧米のシンフォ・バンド達では聴けぬ、まるで時代に逆行するかの様なファンタジックでドラマチックなレトロ風味あるハード・シンフォ作となっており、期待に違わぬ本格派USシンフォニック・ロックの秀作を届けてくれた('(゚∀゚∩ 本作『無冠の王』は『巡礼の旅』風の寓話だが、Mark Twainの『王子と貧乏人』と Charles Dickensの『クリスマス・キャロル』をMIXしたかの様な物語展開になっており、前作はイェトコムの国を訪れた双子の王子が、王が死んだという知らせを受けて第一幕を終えたが、第二幕である本作では弟王子が機会に乗じ王位を主張する所からスタートする。 果たして正統な継承者である兄王子が、どのようにして王国を取り戻すのか…? 真理を求める巡礼者が、旅についての疑問を抱いて真理の神殿に到着する。 問いへの返答に、神殿の管理人は巡礼者を美しい海が見渡せる『静かな部屋』へ導くと、そこへ『生命の四つの声』が現れる。 それぞれの声は、彼の質問に答える為に『無冠の王』の物語の一部を語って聞かせ、真実は感覚だけでは導き出せず、もっと超越的なモノであり、その追求と結果において勇気を持たねばならぬ事、最終的に真実とは人間の認識とは無関係である事、誤魔化しには犠牲が伴う事、そして真実と正直さが平和と結束をもたらす事などが語られていく… 二枚のアルバムに渡って語られたこの内省的な物語は、真実の本質についての寓話だ。 従来通りヴィンテージ機材を使用する録音環境や拘りまくったアナログ・キーボード群を操るテクニカルでセンスあるプレイが見事な、長いキャリアと多岐に渡る音楽活動を誇る Shane Atkinsonは、Bach、Rachmaninov、Ravel等のクラシック音楽の作曲家にも影響を受け、オペラもかなりのコレクションを所有し Pucciniのファンであると公言するなど、学生時代に音楽と文学を専攻していた為か歌詞も古典的アプローチなものが多くプログレなどの長尺曲に適した歌詞が書ける、と豪語して来たが本作でもその音楽的影響や嗜好がしっかり活かされており、けれど何も古臭いモノに固執している訳ではなく Chick Corea、Al Di Miola、MAHAVISHNU ORCHESTRAなどのフュージョン系も含めて音楽的な挑戦をするバンドやアーティストの示す新しい要素なら何でも取り入れる貪欲さとオープンマインドも持ち合わせ、本作もレトロ風味が全編に貫かれているがその実しっかりとモダンなタッチやサウンドプロデ゙ュースが随所に施された、70年代英国プログレッシヴ・ロックからの影響をダイレクトに反映させつつアメリカン・プログレハード寄りなダイナミック且つドライで抜けの良い、前作を上回るスケールで壮大に荘厳に展開するモダン・レトロ・シンフォ・ロックは今作でも健在で最後までタップリとフィーチャーされており、70年代~80年代初期プログレ・ファンには堪らぬ仕上がりだろう(*´ω`*) コンセプト故か時折エキゾチックなメロディやバナキュラーな打楽器のサウンドが垣間見え、如何にも物語っポイそういう新要素をもっとフィーチャーしてくれても面白かったのにな、と思える本作のシネマティックなサウンドは、けれど続編アルバムなので前作と同じタッチのサウンドに落ち着くのは当然ながら、YESやGENESIS等の70年代UKプログレッシブ・ロックからの影響が如実なキーボード・ワークはメロディアスでシンフォニック且つドラマティックでエッヂの効いた、ギターはハードなリフや一転して繊細なメロディを紡ぎ、Shane Atkinson自身が叩き出すリズムセクションはYES張りにタイトでドライヴ感あるパワフルなビートから繊細でアトモスフェリックなアプローチまで、アーティスティックな音楽性を保ちながらもUSAバンドらしいポップでキャッチーなヴォーカル・アプローチや、フックある爽快なコーラス、宗教色強い重厚で神々しい合唱、穏やかなバラード等を織り交ぜながらも助長さを感じさせる事なく繰り広げられる壮大な物語は、裏方作業の長かった Shane Atkinsonの本領とも言うべき“動”と”静”の駆け引きがドラマ性を際立たせる絶妙のアレンジが効いた、時にロック的な激しいダイナミクスと、時に優美な一糸乱れぬアンサンブルで描き上げられており、上質なプロダクションで構成されたサウンドにも隅々にまで手が行き届いていて自主制作盤とは俄かに信じられぬハイ・クオリティ具合だ。 ただ、少々残念なのは終幕を迎えるのに引っ張られた為か、KANSAS、STYX、QUEEN、EL&P、YES、E.L.O等々の偉大な先達が遺したサウンド・テイストを伴いつつ、シンフォニックなパッセージを奏でる多彩なキーボード・ワークを主軸に、時に幽玄に時に幻想に目くるめく展開されるレトロ・プログレ風サウンドに変り無いものの、コンセプト作あるあるな楽曲単体で捉えると些か歌メロのキャッチーさに翳り(美旋律のスケールが壮大になり過ぎててイマイチ耳に残りにくい?)が見え、また“繋ぎ”的に感じるパートもあり、アメリカン・プログレハード的なフックある歌メロやメランコリックなメロディ、そしてテクニカルにスリリングに繰り広げられる派手なインタープレイ的要素も前作より後退しているように思え、整合性や完成度を優先したが故の不満点が些か感じられます。 無論、高いレベルでの完成度故のアラ探し的な言いがかりに近い文句の数々ではあるんですけどね、でも彼等ならその手の問題を解決した素晴らしいアルバムを届けてくれる能力は十分にあるハズだから… また、前作では Poem Atkinsonがその若々しい歌声を聴かせいたが本作では奥方の Lisa Atkinsonが全編に渡ってバッキング・ヴォーカルで参加しており、引き続きEVERSHIPはAtkinson家主導なバンドで安定しつつあるんだな、と再び確認できました(w さらに嬉しいゲスト参加として、先頃活動を終了したカナダを代表するベテラン・プログレ・ポップバンド SAGAのシンガー Michael Sadlerが一曲でその素晴らしい歌声を披露しており、もうSAGAとして彼の歌声を聴くことは叶わぬ今、SAGAファンにとって大変貴重な音源であります。 とまれ、KANSAS、STYX、QUEEN、EL&P、YES、GENESIS、CAMEL、E.L.O、RUSH等の昔ながらの美しいアナログ・シンセサイザー・サウンドが気にっている方や70年代~80年代初期プログレ・ファンなら間違いなくチェックする価値のある一枚ですので、ご興味あるようでしたら是非一度ご自身の耳でその出来栄えを確かめてみて下さい。 Track List: 01. The Voice Of The Night [feat. Voice of Mike Priebe] 02. Missive Pursuits 03. The Law Of Ages 04. Coronation 05. The Voice Of The New Day [feat. Voice of SAGA's Michael Sadler] 06. Nobody 07. Fading Away 08. Uncrowned 09. Pilgrim's Reprise Musicians: Beau West (Lead Vocals) Shane Atkinson (Keyboards、Drums、Vocals、Percussion、Dulcimer、Ssound Design) James Atkinson (Lead Guitar :GENTLEMAN'S PISTOLS) John Rose (Rhythm、Slide、Classical、Acoustic & Lead Guitars) Ben Young (Bass Guitar) With: Michael Sadler: as “The Voice of the New Day” Mike Priebe: as "The Voice of the Night" and Background Vocals Also With: Lisa Atkinson: Additional Background Vocals Strings: Anna Yoder、Emily Walsh Brass: Davis Ginn、Jack Warren、Nathan Mohnke Irish Low Whistle: Skip Cleavinge
by malilion
| 2022-10-16 16:29
| 音楽
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