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70年代~80年代初期風な英国レトロ・メロディアスHRバンドCATS IN SPACEが約2年振りに5thアルバムをリリース!!

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CATS IN SPACE 「Kickstart The Sun ~Limited Super Deluxe 2CD Edition~」'22

70年代から80年代初頭にかけての多くの優れたバンド達が遺したクラッシック・ロック要素を巧みに取り込んだキャッチーでポップなノスタルジック・サウンドが特徴の、SWEET、AIRRACE、MORTIZ等で活動してきた英国ベテラン・ミュージシャン達によって結成された6人組メロディアス・ロック・バンドが、再録BEST『Diamonds』を挟んで前作『Atlantis』'20 から約2年振りとなる5thアルバムを自主盤でリリースしたので即GET!

前作から Mark Pascallに代わって三代目フロントマンに『Elvisミュージカル』『The Roy Orbison Story』『The Who's Tommy』『Jeff Wayne's “War of the Worlds"』等の有名ミュージカル舞台やCMソング、そしてソロアルバムもリリースしてきた英国人ヴォーカリスト Damien Edwardsが迎えられ、多岐に渡る活動で知られる実力派らしく、伸びやかでパワフルな瑞々しい歌声と幅広い音域、滑らかで甘い声質と説得力あるヴォーカル・パフォーマンス、AORからHMまで多様なジャンルの楽曲を演る本バントにピッタリなその柔軟で抜群の歌唱力は彼等を別次元へ導き、『Atlantis』が各方面からの(メジャー契約の無いTOP10ヒットシングルも無くアルバムもTOP75へチャートイン皆無なインディ・バンドとしては)大好評を得る事になる起爆剤となったのに異論を挟む人は居ないだろう。

引き続きメンツに変動は無く、『Atlantisの圧倒的な成功の後、我々はこのアルバムでさらに前進しなければならない事を理解していた』と、30年以上のキャリアを持ちメインソングライターでバンドの中心人物 Greg Hartがメディアのインタビューで前作に匹敵するアルバムを制作せねばならぬプレッシャーを語っておりましたが、本作ではシンガーの Damien Edwardsとドラマーの Steevi Baconが創作面でより貢献した事もあってか、結果的に『このアルバムで目指した“シネマティック”なサウンドを作る為の論理的なステップ』と Greg Hartが語る試みに成功し、見事にハート、フィーリング、エモーション、そしてこのデジタル時代に欠けがちな血の通った暖かさとグルーヴある本物のオールドスクール・ロック・サウンドを生み出し、バンドサウドをさらに一歩進化せしめている。

いやー、とにかくメチャ楽しい! まるでSWEETがE.L.Oのストリングス隊とCHICAGOのブラス隊をバックに引き連れ、ハーモニーにハーモニーを重ねてブロードウェイ・ミュージカルを演ってるみたい!! と、言うのが本作を初めて聴いた時の感想でした♪ (゚∀゚)

またしても、SWEET、QUEEN、E.L.O、STYX、URIAH HEEP、TOTO、ASIA、FOREIGNER、THIN LIZZY、CITY BOY、THE MONTORS、BOSTON、ZZ TOP、UFO、10cc、Elton John、Billy Joel、Herbie Hancock、Dire Straits等々の70年代~80年代初期にチャートを賑わした欧米メジャー・アーティスト達の特徴あるサウンドをパク…オマージュし、様々なサウンドテクスチャーとしてメロディに散りばめ、よりブライトでパンチも効いてモダンなタッチも加えられた、当然のようにメロディアスでキャッチーな、そして分厚く古風な爽快コーラスが所狭しとフィーチャーされた、レトロ風味タップリの華やかでフックあるバラエティ豊かな盛りだくさんのコンパクトでヒットポテンシャルの高い良曲ばかりが詰め込まれた期待に違わぬ一枚なのですが、正直同一路線でモノマネ&焼き直しサウンドの完成度を高めれば高める程にパロディ度が増してシリアスなバンドと捉えられなくなる危険性が増していくばかりなんじゃ…と、危惧していた所で Greg Hartがやってくれましたヨ!

アメリカン・ロックやブリティッシュ・ポップ、ディスコ、カントリー、HR、ポンプ・ロック等々と多様で幅広い音楽要素を融合し、本作から本格的に創作にその才能を発揮し出した新フロントマン Damien Edwardsが持ち込んだであろう、彼にしてみればホームグラウンドであるミュージカル要素を大々的に加味する事で、単なるドサ回り懐メロ・クラブバンドやホスピタリティに溢れた老人向けパロディ・レトロバンドに陥る危機を華麗に脱するユニークな独創性を提示しつつ、スケール感を増す『シネマティック』な新要素も加えるという贅沢盛り沢山の煌びやかでベテランらしい絶妙のアレンジが効いた美旋律が堪らぬ、ノスタルジックでセンチメンタルなポップ・サウンドを構築する事に成功したのは正直嬉しい予想外でした(*´∀`*)

うーん、ホントに Damien Edwardsはメチャ歌が上手いですねぇ、ミュージカル仕込みなのか感情の乗せ方というか非常にエモーシュナルだし、伸びやかな歌声を響かせながら表情の幅がとても広く聴こえますからヽ(´ヮ`)ノ

基本的にブリティッシュ・ポップスとAORにロックのエッジを加えたいつものレトロ・サウンドなのに変りなく、80年代にチャートを席捲したメジャー・アリーナ・ロックバンド達の様な強烈な個性や魅力には及ばないが、ビッグで爽快なヴォーカルと分厚いコーラス、タイトで堅実なリズム隊、2人のギタリストのロックバンド然としたギターバトルとツインリードの甘美な絡み、煌びやかで華やかな音色を奏でる壮大なキーボード・サウンド、そして重厚で優美なオーケストラセクション、それらが渾然一体となって迸る、美しいバラードや70年代風ブリティツシュ・ロックが散りばめられたCATS IN SPACE特有のエネルギッシュなパワーポップ・サウンドは実に心地よく朗らかで、充実したサウンド造りとプロフェッショナルなプロダクションが細部にまで成されており、耳の肥えたユーロ・ロック好きリスナーを満足させる事だろう。

しかし、まさかこんなに分かり易く有名ゲスト・プレイヤーを数多く招いて物理的にバンド・サウンドのスケールを強引にアップグレードする脳筋的(!)な力技に出てくるとは思いませんでしたネ~(w

本作は Greg Hartが目指すシネマティックでビッグスケールなサウンドを構成する為に多くの特別ゲスト演奏者が招かれており、英国が誇るペダル・スティール・ギタリスト Brian John " BJ " Coleが数曲で見事な音色を奏でているのに加え、前作『Atlantis』では Mike Moranと彼率いるオーケストラがシンフォニックなストリングスを追加して楽曲のスケール感と如何にも英国的な優美な上品さをアップさせていたが、本作では『ワンマン・ストリング・オーケストラ』と呼ばれるオーストラリアの名手 Ian Cooperが同じくシンフォニックなストリングスを追加し、さらにブラス・プレイヤー兼アレンジャーの Jack Birchwoodの手による本物のブラスとホーン・セクションの数々が楽曲に加えられこれまでにないオーガニックでブライトな躍動感を生み出す事に成功している。

さらにブリティッシュコメディやミュージカル要素を補強すべく、Damien Edwardsとの素晴らしいデュエットを歌う有名英国人シンガー『公爵夫人』こと Julie Maguire女史が織り成すミュージカル風ストーリーは、3rd『Day Trip To Narnia』'19 収録の宇宙飛行士陰謀論物語で描かれたJohnny Rocetの続編とも言うべき二曲構成からなる大曲で、Julie Maguire女史の可憐で朗らかな美声が堪能出来る楽曲となっており、3rdアルバムのファンにとっても嬉しいサプライズとなるだろう。

また、デヴュー作からエンジニアリングを担当し一時的にメンバー扱いもされていた事のある7番目のキャッツマン Mick Wilson (ex:10cc Ds & Lead Vocal)もバッキング・ヴォーカリストとしてゲスト参加しいるだけでなく、ロンドンを拠点にソロ活動も展開しているセッション・ヴォーカリスト Emily Lynne女史と幅広く活動する英国人SSWである Lara Smiles女史もバッキング・ヴォーカルでその美声で楽曲に華やかな彩りを加えており、二人ともTHE AUSTRALIAN PINK FLOYD SHOWなるPINK FLOYDカヴァー・ショーでステージを共にしているのでPINK FLOYDファンな方なら既にご存じかもしれない。

つらつら詰まらない事を述べましたが、全てファンタスティックに演奏されたサウンドに、全て素晴らしい音楽的表現が成された、聴く度に新しい奥行きを発見出来るCATS IN SPACEが奏でるノスタルジックでポップなジュークボックス・ミュージカルは、もし貴方が既述の一連のバンドのファンであるならば破顔するのが止まらぬハズなので、楽しく秋の夜長を過ごしたいのなら一度ご自身の耳で本作をチェックするのをお薦めします。

このアルバムは、ブックレット付きのRED MARBLE盤、ブックレット付きのYELLOW MARBLE盤、の二種類のLPと、10曲入りボーナスディスクを含むSuper Deluxe 2CD Editionが英国とヨーロッパ圏で限定発売される予定との事なので、アナログマニアな方もお見逃しなく。

因みにボーナスディスク収録の楽曲は総じてテンポアップされた縦ノリ強調のHR風味増し増しな歯切れ良いサウンドになっており、個人的にはコッチを本編に収録した方がアルバムに強くメリハリが出て良かったんでは? と思う程に、フィーリングッドでナイスなヴァージョンですので是非限定盤を早目に購入しておきましょう。

また、 Julie Maguire女史の美声もボーナストラック・ヴァージョンの方がバンドサウンドが抑えられていてクッキリハッキリと聴こえるので女史のファンな方にもお薦めです。

全てのリリースに合わせ、バンドのウェブストアから多数の新しいグッズが発売されるとの頃なのでマーチャンダイズに興味ある方もチェックお忘れなく。

バンドは6月18日のCAMBRIDGE ROCK FESTIVALで初のヘッドライン出演を果たし、8月20日のChepstow CastleではKing Kingのスペシャル・ゲストとして出演したハズ。

9月29日に2022年のヘッドラインUKツアーを開始し、Kickstart The Sunツアーは彼らの最大規模のツアーとなる模様で、その日程に合わせて3枚目の独占ダブルA面ツアーシングルがリリースされる予定となっている模様だ。

Track List:
◆CD 1 Kickstart The Sun
01. Kickstart The Sun - Intro
02. King Of Stars
03. Poke The Witch
04. Teenage Millionaires
05. Goodbye To The American Dream
06. 1,000,000 Miles
07. Fifty-One Pillow Bed
08. Charlie's Ego
09. Kickstart The Sun
10. A Big Balloon
11. Smoke & Mirrors
12. Hero
13. Last Dance Saloon
14. Bootleg Bandoleros
15. Kickstart The Sun - Reprise

◆CD 2 Bonus Disc
01. Charlie's Ego (“Turbo” Version)
02. 1,000,000 Miles (Duet Ft. Julie 'The Duchess' Maguire)
03. King Of Stars  (Rock Edit)
04. Goodbye To The American Dream (Extended)
05. Atlantis                (Live At Rak)
06. I Fell Out Of Love With Rock N Roll (Live At Rak)
07. 1,000,000 Miles           (Live At Rak)
08. Bootleg Bandoleros (Instrumental)
09. Last Dance Saloon (Instrumental)
10. King Of Stars    (Instrumental)


CATS IN SPACE Line-up:
Damien Edwards (Lead & Backing Vocals)
Greg Hart    (ex:MORTIZ ex:IF ONLY ex:GTS :Electric & Acoustic Guitars、Backing Vocals)
Dean Howard  (ex:BAD COMPANY ex:IAN GILLAN BAND ex:T'Pau ex:再結成AIRRACE :Electric Guitars)
Jeff Brown    (ex:Andy Scott's SWEET ex:STATETROOPER ex:WILDFIRE :Bass、Backing Vocals)
Andy Stewart   (ex:MORTIZ ex:IF ONLY :Piano、Synthesizer、Vocoder)
Steevi Bacon   (ex:Robin Trower Band :Drums、Percussion、Timpani、Harmonica)






by malilion | 2022-10-06 20:23 | 音楽 | Trackback
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