HARTMANN 「Get Over It」'22 ドイツのネオクラHMバンドAT VANCEの元シンガー兼ギタリストと言うよりも、メガセールスを記録した Sascha Paeth率いるメタル・オペラ・プロジェクトAVANTASIAへの参加やROCK MEETS CLASSICプロジェクト、さらにドイツ国内チャートでDVD作が20位を記録したPINK FLOYDトリビュート・バンドECHOESのリードヴォーカリストとしての方が今や有名で、他にも様々なプロジェクトに関わっている Oliver Hartmann率いるドイツ産AOR&メロディアス・ロックバンドの、2020年春に結成15年を迎えたのを祝してリリースされた新曲を含む記念企画BEST盤『15 Pearls & Gems』を挟み、前作『Hands On The Whee』'18 から約4年ぶりとなる7thスタジオ・フルアルバムがリリースされたので即GET! 残念な事にメンツに変動があった模様で、長らくギタリストの座を務めてきた Mario Reckの姿が本作には無く、奇しくもデヴュー作と同じトリオ編成に加え、これまたデヴュー作と同じゲストの二人、鍵盤奏者に Jimmy Kresicとバッキング・コーラスでAVANTASIAでもお馴染みな Ina Morgan嬢が迎えられての制作となっている。 まぁ、フロントマンが何年もバンドそっちのけでメタル・オペラ(現在はAVANTASIAでの活動がメインな模様)やカヴァー・バンドで活動していては Mario Reckも不満だったでしょうし、その上20年初頭に全世界を襲ったパンデミックでLIVE活動もままならぬとなれば生活の為に昼の仕事を探したり他のバンドへ加入したりと、お世辞にもヒット・チューンを連発しているメジャー・バンドとは言えぬHARTMANNに主軸を置いた活動が出来なくなっても不思議ではありません。 2021年夏から秋にかけてスペシャル・アコースティック・ツアーを行ったりしていたのですが、恐らく大規模な活動は出来なかったのが響いたのでしょう…ここ数作、非常に纏まりのある隙無いアンサンブルを聴かせてくれていただけに Mario Reckの脱退は惜しいですね… さて、本作の内容の方ですがメンツ変更はほぼ影響しておらず、これまでリリースしてきたアルバム同様にアメリカン・テイストあるユーロ・ロック風味を隠し味じにしたキャッチーでコンパクト、そしてストレートなロック作となっており、相変わらずグルーヴィなリズムとフックに富んだメロディアスなサウンドは素晴らしく、しっかりコンポーズとプロデュースが成された、プロフェッショナルなソングライティングが網羅された安心安定の一枚と言え、Oliver Hartmannのパワフルで伸びやかなWHITESNAKEの David CoverdaleとMr.BIGの Eric Martinを足して二で割ったようなディープでソウルフルな歌声を主軸に置いたバラエティ豊かな楽曲の数々は、彼の抜群のヴォーカル・パフォーマンスが十二分に堪能出来るだけでなく、久しぶりに彼の弾く巧みで味わいあるギター・ワークを楽しめる、Oliver Hartmannの昔ながらのファンも大満足な一作なのは間違いない。 ここ数作で聴けた渇いたカントリー風味やアーシーな鄙びた味わいは少々後退しているが、代わって初期のアルバムで披露していたウェットな美旋律が光るユーロ・ロック風味が幾分か戻って来ており、さらにHARTMANNというバンドが成功していなくても他で大きな収入と成功を得たのも影響したのか、いつになくリラックスした作風と歌声なのもあってか思いの他にコンテンポラリー・サウンドに接近した、様々な要素とバンド外活動の影響が絡み合った結果かクラッシック・ロック風味が増して感じられるサウンドになっており、所謂メロハー系リスナーだけでなく普遍的なロックを好むリスナーにも十分にアピールする作品と言えるだろう。 今回も Sascha Paeth(AVANTASIA、BEYOND THE BLACK、KAMELOT、etc...)との共同プロデュースが行われており、モダンなAORやUSメロディアス・ロック等のお馴染みな要素だけでなく、クラシックでヘヴィなロックも意識させるロマンティックでグルーヴィなサウンドからはメジャー・アーティスト並の上品な調和と繊細なタッチが感じられ、Oliver Hartmannの多面的な才能と、そのヴォーカリストとギタリストとしての非凡な技量が際立っているのが改めて確かめられる、メジャー・レーベルからのリリースではないのが信じられぬハイ・クオリティな仕上がりの一枚だ。 バンド活動の優先順位が低くなってしまっている模様なので次なる新作が果たして何年後になるのか分からないが、是非ともバンド活動も存続させて素晴らしい作品を再び届けて欲しい、そう願わずにおれぬ Oliver Hartmann率いるメロディアス・ロックバンドHARTMANNの新作なのでした。 一応、本年の夏のフェスティバルに加え、秋から冬にかけて、ドイツ、スイス、スペインで15~18回のLIVEが予定されている模様だが、果たしてその先はどうなるのか… あと個人的には本作のソロ・アルバムみたいなジャケはちょっといただけないですね。 作詞作曲を一手に Oliver Hartmannが手掛け、フロントマンのみならず本作ではギターまで弾いてるから実質ソロ作かもしれないけれど、一応バンド名義作なんだし… Track List: 01. Remedy 02. One Step Behind 03. In Another Life 04. What You Give Is What You Get 05. The Movie's End 06. Just Drive 07. The Gun 08. Can't Keep Away From You 09. Get Over It 10. Stay True To Me 11. When We Were The Young HARTMANN Line-Up: Oliver Hartmann (Lead Vocals、Guitars) Armin Donderer (Bass) Markus Kullmann (Drums) with: Jimmy Kresic (Keyboards) Ina Morgan (Background Vocals)
by malilion
| 2022-09-09 10:34
| 音楽
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