WHITE TYGER 「This Is The Life」'22 2012年頃に結成され、英国クラブ・シーンでローカル・カヴァー・バンドとしての長い活動を経て徐々にオリジナル曲も演奏するようになっていたツインギター4人組英国産バンドWHITE TYGERが遂にオリジナルナンバーだけで構成されたデヴュー・アルバムをCD-R&デジパック仕様で自主盤をリリースしたので即GET! 既に英国のローカル・クラブシーンではそれなりに名の知れた存在だった彼等ですが、デヴュー作をリリースするのにこんなに時間がかかってしまった要因の一つは、間違いなく2020年初頭、全世界を襲ったパンデミックも関係しているのでしょう… ホワイトタイガーと聞くと、HRファンならKISSの84年作『ANIMALIZE』に参加しツアー途中でバンドを離脱した元KISSのギタリス ト Mark St. Johnが結成し86年に唯一作を残した米国HMバンドWHITE TIGERを思い起こす事だろうが、勿論全く無関係な別の新人バンドですし、そもそもバンドスペルが違いますね。ハイ。 さて、注目のサウンドの方はと言うと、大雑把に言ってSKID ROWの初期二作で聴けたダークなヘヴィネス、グルーヴィさと硬質感、さらにHRバンドらしいスリリングな疾走感に加え、TOP40ものを演奏するクラブ・バンド時代に培ってきた聴衆に“受ける”様々な要素、分かりやすく言えばBON JOVIやWINGER、さらにDEF LEPPARD風なサウンドやアレンジ等の断片を巧くまぶした80年代USアリーナ・ロック・リスペクトな英国産メロハー・サウンドで、80年代のL.A.メタル・バンドの未発音源だよと言われたら信じてしまいそうな程にハリウッド界隈で有象無象がひしめき合っていた80年代中期~後期にかけての無名なインディ米国HMバンド達のサウンドに酷似していると言えるだろう。 フロントマンの Nip“Tyger”Turnerも、意識してか元SKID ROWのシンガー Sebastian Bachを彷彿とさせるストロングな熱唱を轟かせており、ハードにストレートにスクリームしまくるしゃがれてザラついた荒々しい声での熱く迸るヴォーカルを聴くに、恐らく実際にSKID ROWがブレイクしていた当時のステージを体験していないだろうに彼は本当に Sebastian Bachが好きなんだろうなぁ、というのがヒシヒシ伝わってきて実に微笑ましい(*´ω`*) 似た音楽性で思い当たるのは“北欧のSKID ROW”こと DYNAZTYや同一路線でデヴューしたCRAZY LIXXで、彼等も当初はモロにSKID ROWっぽいサウンドでしたがアルバム枚数を重ねる毎に徐々に音楽性を変化させ多様で独自色あるサウンドへ成長していった訳だが、WHITE TYGERも単なるSKID ROWフォロワーではない独自のサウンドを既に模索しており、チャート上位のTOP40バンド要素だけでなく、80年代風のグリッターなグラム・テイストや90年代ストリート・バッドボーイ風だったりグラマラスでスリージーなロックンロール、さらに伝統的な英国HMサウンドやスラッシュ・メタル要素までも巧みに取り込んだ、英国らしい叙情感を隠し味にドライヴ感満載で突っ走る、ダイナミックでメタリック、そしてキャッチーでクリスプなメロディアスHRサウンドに仕上がっている。 80年代リスペクトな最近のメロハー・バンドはややもすると甘口でキャッチーなハード・ポップに片足を突っ込んでいる、メタルヘッドな諸兄からすると女々しい惰弱な女受け狙いサウンドと吐き捨てられそうなサウンドと紙一重だが、WHITE TYGERはタフでマッチョな感触とメタリックで硬質なハードエッヂ・サウンドが終始鳴り響いているHMらしい図太く男臭さ強めな楽曲ばかりなのが、ここ最近世界中でデヴューしている80年代への憧憬を隠さぬ新人メロハー・バンド達と一味違うポイントと言えるかもしれない。 長らくローカル・クラブ・シーンで腕を磨き生き抜いて来ただけあってインディ・バンドのデヴュー作と思えぬ程に良く纏まったタイト・サウンドと一糸乱れぬ演奏が熱く繰り広げられており、自主盤にしては驚く程にクリアで鮮明なプロダクションに加え、分厚くリズミックでパンチの効いたメロディアスなコーラスは予想外に耳障りが良く、スリリングな熱いギター・リフとヘヴィにウネるグルーヴィなボトムに、勢いあるキャッチーなメロディとパワフルでメタリックなヴォーカルを融合させた、長い長いロードテストを経て入念に磨き上げられたほんのりノスタルジックな雰囲気を漂わす楽曲の数々は、聴く者を魅了するインパクトと高揚感あふれるサウンドで彩られた素晴らしいアルバムと言えるだろう。 惜しむらくはオリジナリティについての問題点が散見する事と、もし本作が30年以上前にリリースされていたならば間違いなく大ヒットを記録していた素晴らしいアルバムだったろうが、残念ながら現在は2022年で彼等のプレイする音楽は既に多くのバンド達が通り過ぎていった後の古臭いスタイルなのは否定出来ない。 新人離れしたプレイもサウンドも申し分ないだけに、後はどれだけ自分達だけの独創性あるサウンドを見つけ出せるかに成功はかかっていると言っていいだろう。 現時点ではB級バンドなのは否めないが、何が聴衆に受けるかを心得ているベテランな彼等の事ですから一皮剥ければアレよアレよという間にヒットチャートを駆け上げれるポテンシャルを秘めた非常に有望な新人バンドには違いないので、次作での更なる成長を期待したいですね。 Tracklist: 01. Permanent Vacation 02. Heartbreak Hotel 03. Runaway Bride 04. Midnight Lovers 05. Forever And Always 06. Skum Town 07. This Is The Life 08. Speed Demon 09. No Fucks Given WHITE TYGER Line-Up: Nip“Tyger”Turner (Lead Vocals、Guitars ex:MENTALLICA、ex:DEMENTIA) Chris Hingley (Lead Guitars、Backing Vocals) Ste Timmins (Bass、Backing Vocals) Jack Ryland Smith (Drums ex:GIN ANNIE)
by malilion
| 2022-09-04 14:45
| 音楽
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