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北欧メロハー路線から大きくサウンドをコンテンポラリー化させた新作4thをPALACEリリース!

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PALACE 「One 4 The Road」'22

リトアニア生まれのスウェーデン人ヴォーカリスト兼マルチ・インストゥルメンタリスト Michael Palaceが率いるワンマン・プロジェクト・バンドが前作『Rock and Roll Radio』'20から2年ぶりとなる4thアルバムをリリースしたまでは良かったが、発売一ヶ月以上前に予約購入していたにも関わらず発売日を一週間過ぎても一向にアルバムが手元に届かぬKonozamaを見事に喰らって怒髪天! 状態でありましたが、本作の素晴らしいサウンドに耳を傾けて幾らか心が癒されました…orz

前作の時にも述べましたが、全ての楽器を演奏し、全ての作詞作曲も手掛け、プロデュース、ミックス、マスタリングも自身の手でこなす今の完全ワンマン状態で、どうしてバンド名義でリリースするのか未だに良く分かりません… Michael Palaceのソロ・アルバムと何も変わらないハズなんだが…もしかしたら籍を置くFrontiers Musicのレーベルオーナー Daniel Floresの意向かもしれないのでなんとも言えないんですけど(汗

前作で既にコンテンポラリー寄りになったポップ・ロックサウンドを聴かせていたPALACEですが、本作でさらにキャッチーでコンパクト、よりモダンでメロディックに構築された楽曲と造り込まれた高品質なサウンド・クオリティ、練り上げられ細部にまで気が配られた小洒落たアレンジと弾き過ぎぬツボを心得たギター・プレイ、そして無理なハイトーン・ヴォイスを捨ててミドル・レンジで余裕を持って浪々と情感タップリに歌い上げる伸びやかなヴォーカル、さらにサビはお約束の幾重にも重ねられたブ厚い爽快なコーラス・ワーク、とデヴュー以来のメロハー・テイストや影響は未だにそこかしこで感じられるものの殆どその感触はユーロ・コンテンポラリー・ポップロックと化しており、楽曲の完成度は間違いなく前作を凌駕する仕上がりながら、北欧メロハーを求めているリスナーにとっては本作はかなり守備範囲を逸脱するモダン過ぎる音像なのは否定出来ないでしょう。

寧ろギターがメインなユーロ・コンテンポラリー・ポップロックに仄かに北欧メロハーなテイストが漂っている作品、と言った方が正しい捉え方かもしれない。

北欧特有の憂いを帯びた美旋律、ハイトーン・ヴォーカルに分厚い爽快なコーラス、お約束のキラキラ感満載の大仰でゴージャスなキーボードに透明感溢れフック連発のキャッチーな楽曲、そして繊細さも兼ね備えたハードエッジでメロディアスなHRサウンドから出発し、煌びやかなキーボード・サウンドの比重を増したコンパクトでキャッチーなサウンドで埋め尽くしたAOR寄りなハードポップ・サウンドを経て、遂に本作でよりシンプルでストレートな、鍵盤サウンドを控えたギターがメインのモダンでプロデュースの行き届いた歌モノ・コンテンポラリー・ポップロックへ至った訳だ。

まぁ、今回のサウンドの変化は先行公開されていたビデオクリップでの短髪でスケボーに乗りながらギターを爪弾く、気さくなボーダーのあんちゃん(笑)といった出で立ちな Michael Palacのロッカーらしからぬラフで飾りっ気の無い普通過ぎる風貌を見た時に半ば予想出来てはいましたけどね(汗

本格的なデヴュー前から Kent Hilli(PERFECT PLAN)、FANS OF THE DARK、THE MURDER OF MY SWEET、HOUSTON、FIND ME、FIRST SIGNAL等をはじめ世界中の膨大な数のアーティストやミュージシャンと頻繁にコラボレーションを行い、欧米問わず様々なプロジェクトに参加したり、近年ではドラマや映画、ゲームのサントラ制作にコンスタントに参加してきたシカゴ出身のアメリカ人シンガー&ソングライター Jordan Coxとのシンセウェイヴ・プロジェクトPLATFORMSのデヴュー作をネット配信オンリーで先行リリースしたりと、メロハー界隈やFrontiers関連から逸脱するコラボ活動も盛んに行っている Michael Palaceですから、本作で一気にコンテンポラリー・フィールドへ脚を踏み入れたポップ作をリリースしたとしても全く予想外という事はなかったのですが、未だにFrontiers Musicから本作はリリースされていますし、もうちょっとメロハーっぽい要素を残したアルバムをリリースするのかも、と予想していただけに本作での彼のしっかりと未来を見据えるビジョンと、未だにノスタルジックな80年代サウンドに対して変わらぬ愛情を示している事は本作の80年代の偉大なアリーナ・ロック、AOR、ニューウェイヴ、アメリカンHR等を全て絶妙な配合でブレンドしたサウンドを耳にすれば理解出来るものの、既に80年代に囚われぬ来るべき新世代サウンドへの創作へ向かっている揺るぎない決意がヒシヒシと伝わってくるようです。

これまで以上にリラックスしたポップサウンドは実に心地よく、必要以上にフックやキャッチーさを追求していない妙な音圧の高さの無い自然なフィーリングに満ちた楽曲は長く聴き続けるのに持って来いな、日常的なBGM代わりに流しっぱなしにするのにピッタリなアルバムだ。

音楽のテイストや路線が紆余曲折し変化してもしっかりと未だに堅持しているのが、耳を惹くコーラス、テクニカルなギター・プレイ、巧みなリリック、そしてノスタルジックな80年代を思わすキャッチーでフックある美旋律の数々で、Michael Palaceの創作する幅広い音楽要素を含むサウンドはメロディアスな音楽を好むリスナーを決して裏切る事は無いだろう。

ただ、本作のタイトルが示す意味を考えると、これまでの音楽要素を捨てさらに大きく路線を飛躍させる可能性があるかも、と予感させるのがちょっと怖いですね…

とまれキャッチーでメロディアスな音楽好きな方なら間違いなく気に入るだろう、コンパクトでハイクオリティなポップロック作でありますので、ご興味あるようでしたら是非一度ご自身の耳でチェックしてみて下さい。

Tracklisting:
01. Fifteen Minutes
02. Westbound
03. Too Old For This
04. Money Can Kill
05. The Driver
06. Time Crisis
07. Facing The Music
08. World Gone Mad
09. Living The Life
10. Cancel The Flight
11. Loneliest Night

Line-Up:
Michael Palace   All Instruments、Songwriting & Production


by malilion | 2022-07-23 13:26 | 音楽 | Trackback
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