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北欧スウェーデンから期待のニューカマー CAUGHT IN ACTIONがデヴュー・アルバムをリリース!!

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CAUGHT IN ACTION 「Devil's Tango」'22

北欧スウェーデンとポルトガル出身の無名ながら実力派ミュージシャン達が2020年に始動したツイン・キーボード6人組バンドのデヴュー・アルバムがイタリアのSteelheart Recordsからリリースされたのをちょい遅れてGET!

無名ながらそれぞれ地元のローカルシーンで30年以上に亘って大小様々なバンドで別々のキャリアを積み、LIVEステージやスタジオでスター・プレイヤー達のバック・ミュージシャンとして長らく活動して来たベテラン・ミュージシャン達が集まって結成されたバンドで、ギタリスト兼メインコンポーザーの Richard Jonssonとキーボーディストの Ronnie Svardの2人のスウェーデン人がプロジェクトの創設者であり、彼等の高い要求に応えるスキルを持ち合わせたフロントマン、ポルトガル人 Marcello Vieiraを遂に見つけ出した時から本格的に始動する。

注目すべき新星のサウンドは、一聴すれば即納得出来るその名とキャリアに恥じぬ『圧倒的』という表現がピッタリなソリッドでキャッチーな極上のメロハー作で、世界中のメロディック・ロックや欧米のAORからの影響を感じるハイブリッド・サウンドからは、EUROPE、ALIEN、TREAT、BAD HABIT、TNT、W.E.Tといった偉大な北欧の先駆者達が作り上げた翳りと煌びやかさを併せ持つ陰影色濃い美旋律を見事に継承するだけでなく、DEEP PURPLE、MAGNUM、FM、DEF LEPPADR、WHITESNAKE等のクラシカルな英国ビッグネームやSURVIVOR、JOURNEY、STYX、BOSTON、DANGER DANGER等の80~90年代を沸かせた米国アリーナ・バンド、そしてほんのりLOVERBOYや Aldo Nova等のカナダのアーティストっぽいウェットで繊細な感覚もあり、メロディアスHRとAORの重要で最高な要素だけを抽出してブレンドし現代的なモダン・ミックスを施したフック満載のアルバムは、パンデミックの影響で完成が遅れたが2年の歳月をかけて制作されただけある洗練されたプロダクションと破格の完成度を誇っており、80年代にルーツを持つキャッチーで華やかなメロディアスHRサウンド・ファンならば必ず満足する事請け合いな一枚だ!('(゚∀゚∩

突如これだけヒットポテンシャルが高く一瞬で興奮の雷が背筋を駆け抜けるような素晴らしい出来栄えのアルバムを引っ提げて華々しくデヴューを果たした新人バンド、きっと国内盤がボートラ入りでリリースされるでしょうけど我慢し切れずに購入してしまいましたが後悔は一切しておりませぬ(w

さて、そんな強力なバックを従えるポルトガル人フロントマン Marcello Vieiraですが、無名ながら実力者達が群雄割拠する北欧ローカルシーンの並み居るスウェーデン人シンガー達を押しのけ抜擢されただけあってその6オクターブの音域を自在に操る歌いっぷりは見事の一言で、様々なメロディアスHRバンドでその強靭でクリアーな歌声を披露してきた米国人シンガー Mark Free (ex:KING KOBRA、ex:SIGNAL、UNRULY CHILD、etc...)と、近年は北欧HMだけでなくプログレやJAZZ、コンテンポラリー寄りなソロなど様々なバンドやプロジェクトに常に引っ張りダコな、透明感あるハイトーンと深味あるディープヴォイスを駆使し多彩な感情をエモーショナルに表現する実力派スウェーデン人シンガー Goran Edman (ex:Yngwie Malmsteen Band、ex:TALISMAN、ex:BRAZEN ABBOT、KARMAKANIC、etc...)を足して二で割って少しマイルドにしたようなストレートにクリアーに良く伸びる強靭な喉は、デヴュー作故仕方がないが些か気負い過ぎでアルバムを聴き終える頃にはリスナーの耳を疲労させ過ぎるパワフル・ヴォイスの力みが現時点では隠せていないが、どんな楽曲の要求にも応えるフレキシビリティ高いヴォーカル・パフォーマンスはバンドに一切制約を設けず無限の創造性を与えており、この先プレイヤースキルのさらなる向上とソングライティングの一層の成長を加速させるだろう重要なキーパーソンである事は間違いなく、既に欧米のメジャーアクトのフロントマンに迫る素晴らしい歌唱を聴かせてくれる彼の今後の動向から目が離せません。

無論、フロントマンだけが注目を集めるワンマンバンドな訳もなく、バンマス Richard Jonssonの紡ぐ北欧ミュージシャンらしいウェットなメロディ、フックあるリフ、ソロを含むクリスプで非常にメロディアスなツボを抑えた流麗なギター・プレイと、Ronnie Svardと Menito Ramosコンビの織り成す素早く華麗なパッセージや華やかでセンスある弾き過ぎぬキーボード・プレイには確かな相互作用があり、洗練された音楽性と作曲技術はデヴュー作と思えぬくらい素晴らしく、多様な音楽性やサウンド・スタイルが再構築されてCAUGHT IN ACTION独自のサウンドへと昇華され、心地よくスムースなだけでなくロックらしい火花散るスリリングさと鮮明なモダンエッジが有りながら80年代風のメロディアス・ロックを思わせる華やかさやキャッチーさ、さらにコンテンポラリー・ロック的な普遍性とポップさを兼ね添えたユーロピアン・メロハー・サウンドを隙無く構築している様は、まるでもう何作もアルバムをリリースしている老舗バンドのようで驚かされっぱなしだ。

手数の多い渦巻くような Mauro Ramosが叩き出すドラムとがポルトガル人ベーシスト Ricardo Dikkが刻むタイトでソリッドなベースが構築するトライバルなリズムとソウルフルなフィールを伴うドライブ感満点のボトムは推進力として多用途に活躍し、楽曲が必要とする適時にアタックを与え、濃縮されたダイナミクスを生み出してサウンドをプッシュし、ムーディで甘口な歌メロや爽快なコーラス、そして洗練されたブリッジが与える惰弱になりがちな印象とメロディアス指向の楽曲を強烈にキックしている点や、本作のフレッシュな感触とパワフルな躍動感を生んでいる原動力なのは間違いなく、予想以上にドラムのオカズや金物、そしてベースラインがクッキリ聴こえるのはミックスとマスタリングを Ricardo Dikkが手掛けているからで、本作のボトムサウンドが一般的なメロハー・バンドよりも際立って聴こえる要因の一つだろう。

ただ、何もかも手放しで絶賛出来るかと言うとそうでもなく、重厚なドラムとハモンドの織り成すサイケデリックでリズミックなサウンドや、打ち込み風のヘヴィなリズムアプローチ、DEEP PURPLE風な疾走するクラッシック英国HRテイストなど、80年代初期から90年代初頭までのAORや産業ロック等の多様なジャンルの要素を再構築し、バラエティ豊かなソングライティングと適切な構成のアルバムは素晴らしい仕上がりなのは確かなのですが、総じて楽曲やプレイヤーの演奏も含めて『安定、安心』という文字が常にチラつき、新人バンドらしい斬新さや先進性、破天荒な勢いも感じられず、新人ならではの無謀とも思える奇想天外な実験精神なども皆無で、アレンジも職人芸的なツボを抑えているものの意外性は見当たらないし、結局のところ良く出来た作品ではあるものの挑戦する気概に欠けたバランスと完成度を重視したが故に『定番のメロハー・バンドらしい作風』に落ち着いてしまったのが些か残念な点と言わざるを得ません。

まぁ、あらかたパターンの出尽くした、しかも80年代風のキャッチーなサウンドという足枷のついたメロディアスHRサウンドを創作するとなると、どうしてもどこかで聴いた事のあるようなメロディや先の読めるアレンジ等になってしまう、新鮮味に欠けた焼き直し感を拭い難いのは致し方が無いのでソコを責めるのは酷な事だと重々承知はしていても、やはりフレッシュな新人ならではの新しい感性が活かされた未知のサウンドを身勝手とは分っていても期待してしまうんですよねぇ…(汗

個人的にはもうちょっと Marcello Vieiraの声に深味が欲しいトコだけど、まだ渋みとか枯れた魅力が出せる年齢でもないでしょうし、溌剌とした朗かなハイトーン・ヴォーカルってのは華やかなメロハーにおいて強力な武器でありますから、コレはコレで現時点ではマイナスにはなってない単なる個人的な好みの問題ですね。ハイ。

最近デヴューのメロハー・バンド全般にも言える事だが、制作バジェットの関係もあってか総じて凝縮されたプロダクションに聴こえ、自然な音の響きや楽器の鳴りよりも高密度なサウンドでガッチリとスタジオ作業で造り込まれた硬い音のアルバムが多く、彼等もまたリリースまでに時間があったが故に80年代中期頃から顕著だったオーバー・プロデュース気味な広がりの少ない作りモノ臭い高密度サウンドになってしまったのかもしれないが、さすがにこの辺りはメジャー契約をしている訳でも無い新人バンドのデヴュー作に突きつける文句ではないので次作でその辺りの問題が解消される事を期待しておきましょう。

なんだかんだ文句を述べましたが、まだまだ新人バンドで幾らでも成長の余地があるCAUGHT IN ACTIONは強力なフロントマンという武器を持って上出来以上の素晴らしいスタートを切った将来有望な期待値大のニュー・カマーなのは間違いないので、是非とも次作では Marcello Vieiraの抜群の歌唱力を最大限に活かす工夫を作曲に凝らし、もう少しサウンドの押し引きをと楽曲構成のメリハリを意識したアルバムを届けて欲しいものであります(*´∀`*)

既述の一連のバンドのファンな方や、80年代リスペクトでキャッチーなメロディアスHRがお好みの方などにお薦めしたい、いつ国内盤がリリースされるインフォが届いてもおかしくないスウェーデンとポルトガル連合の強力新バンドのデヴュー作ですので、ご興味あるようでしたら是非一度ご自身の耳でCAUGHT IN ACTIONの鳴らす音の素晴らしさを確かめてみてください。

Track Listing:
01. New York City
02. Miracle
03. Devil’s Tango
04. Simple Man
05. Too Late For Love
06. It Was Always You
07. First Time
08. If Only
09. It Is What It Is
10. Gave You My Heart
11. I Will Wait
12. Closer To My Dreams

CAUGHT IN ACTION Line-up:
Richard Jonsson    (Lead Guitars、Backing Vocals、Music & Lyrics)
Ronnie "Spjut" Svard  (Additional Keyboards、Synthesizer)
Marcello Vieira     (Lead Vocals & Lyrics)
Ricardo Dikk      (Bass、Mixing & Mastering)
Mauro Ramos     (Drums)
Menito Ramos      (Keyboards)


by malilion | 2022-06-08 02:14 | 音楽 | Trackback
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