![]() 18年デヴューの北欧スウェーデン産叙情派メロパワ・バンド VANDORのスウェーデン人ギタリスト Jack L. Stroem (ex:LANCER)が17年リリースの自主R製ソロ・アルバムに続き、既に数枚ソロ・シングルをリリースしている他アニソンのカヴァー等もネット上で公開するフランス人ギタリスト Arthur Vereと共に新たに19年に立ち上げたメロディアス・ハードポップ・プロジェクトの自主盤デヴュー作がリリースされたのを即GET! VANDORではギターの他にバッキング・シンガーもこなしている Jack L. Stroemだが、本作ではリード・ヴォーカルだけでなく、ギターは勿論、シンセサイザーやエレピ、ハモンド・オルガンなど多彩な鍵盤系サウンドも担当するなど文字通り本プロジェクトの中心として八面六臂の活躍を見せる、才能あふれる若きアーティスト二人が組んだ注目の新プロジェクトであります。 Jack L. Stroemのソロ作やVANDORで聴けるマイナー調のメロディックでキラキラした北欧系美旋律要素を継承しつつ、80年代後半のAORからのインスピレーションと二人の音楽的背景をMIXした80年代欧米メジャー・シーンの影響が色濃いオーセンティックでメロディアスなサウンドは、爽快なメロディとキャッチーで華やかな歌メロ、そして伸びやかなコーラスを主軸にノスタルジックで甘美なメロディに乗りながら軽やかに展開するどこか懐かしくて新しい北欧ハードポップ作で、80年代リスペクトな事が多い最近のメロハー・バンド好きな方なら確実に気に入る事間違いなしだ。 90年代初頭なら間違いなく日本盤がゼロコー辺りからリリースされていただろうマイナー調でウェットながらキラキラしたキーボードが随所でリリカルに鳴り響くキャッチーでメロディアスなポップサウンド、と言えば本作のサウンドと質が伝わりますでしょうか? 最初の作曲セッションの後、全てが予定通りに進んでいた本プロジェクトは当初20年リリース予定であったが全世界を襲ったパンデミックの影響で完成が遅れ、けれど逆に予期せず生まれた時間を2人は創作活動に活かすべくウェブ上でスウェーデンとフランス間の音源ファイルの送受信を繰り返し遠隔レコーディングを続け、予定より作曲数を増やす他に Jack L. Stroemの長年の友人である著名なセッション・ミュージシャン Robin Risander (Drumss)と Kammo Olayvar (Bass)を起用し、打ち込みから生音でのリズム・パート・レコーディングへ変更してアルバムの完成度を向上させる作業が進められる事に。 1989年当時、全てのアルバム制作に用いられていた手法、即ちヴィンテージ楽器と生ドラム、そして少々のアナログ・シンセ等、ヴォーカルにはオートチューンを一切使用しない(わざわざ裏ジャケにシッカリ明記w)で録音、と主張するだけあって狙い通りオーセンティックでウォームな懐かしのレトロ・サウンドに仕上がっている。 まず驚かされるのがフロントマンとなった Jack L. Stroemの歌唱力(LANCERでもリード・ヴォーカル担当だったケド)で、お世辞にも抜群のヴォーカル・スキルを誇るパワフル・ヴォイスと言えないが、本作のようなキャッチーでメロディアスなハードポップを歌うのにピッタリな線は細いものの甘い声質で予想以上に伸びやかな歌声を聴かせており、所々でスウェーデンきっての叙情派メロディー・メイカーな名ヴォーカリスト Mikael Erlandssonっぽい歌メロや歌い方に聴こえる時があったりして、VANDORのような疾走するマイナー調北欧メロパワ・サウンドの後ろでこんな甘口ヴォーカルで今まで激しく叫んでいたのか、と意外な発見でありました(w 自身でも器用に様々な感情をエモーショナルに歌い上げるスキルが不足していると自覚しているからか、ファルセットやわざと掠れさせた声や囁くような歌い方等々、線が細く多彩な歌声を力強く聴かせる事が難しい幅の無さをカヴァーしようと努力しているのが分り、Jack L. Stroemがしっかりと自身の現時点でのヴォーカル・スキルを俯瞰的に見る事が出来ている事が本作の楽曲の仕上がり具合を高める要因になっているだろう事は想像に難くない。 恐らくソロ・アルバムをリリース後の自身のヴォーカルに対する批評も考慮したのと、VANDORで頑張ってヴォーカルスキルを向上させた事で得手不得手を理解し、更に自身の歌唱スタイルに自信を得たのもあるのだろう。 80年代の無理矢理金切り声でヘロヘロなハイトーンを張り上げせっかくの格好良い楽曲をブチ壊してウンザリ(本当に酷いの多かったなぁ…)させまくられた北欧マイナーB級HMバンド群を思えば、彼の自身の弱点をしっかり理解しカヴァーする歌いっぷりは見事と言えましょう。 後は Jack L. Stroemの操るキーボードがホント、いい味だしてるんだよなぁ♪ 本当に心からキャッチーな80年代ハードポップが好きなのがヒシヒシと伝わってくる絶妙な音使いや鳴らし方なのです(*´ω`*) 相棒の Arthur Vereもギタリストである Jack L. Stroeがコラボレートを希望しただけあって楽曲に即したギター・プレイや如何にも80年代風というフラッシーでコンパクトなソロを披露するだけでなく、多分に80年代ポップスや日本的歌謡曲風なメロディを持ち込んでいるなど、欧米産ポップスと幾分か毛色の違う楽曲展開や音使いがなされている本作に影響を与えている点も見逃せないだろう。 また80年代リスペクトなハードポップ・サウンドの方ですが、HOUSTONの初期作辺りを彷彿とさせる爽快なコーラスワークとウェットな美旋律にハッキリと北欧メロディアスHRの血脈が継承されているのが分り、80年代メジャー・アクト達が聴かせたようなコンパクトな楽曲には産業ロックにも通じる耳を惹くフックや細かなアレンジも聴き取れ、80年代米国サウンドと80年代ユーロ圏サウンドを絶妙な配分でMIXし、少しだけ北欧テイスト強めに仕上げた楽曲の数々は、妙な刺激や仕掛けは施されていない今時珍しい真向勝負な王道北欧メロディアス・ポップサウンドを最後まで飽きる事なく堪能させてくれて、今後の活躍が期待出来る若手メロディアス・ハードポップ・プロジェクトの素晴らしいデヴュー作に要注目であります! ('(゚∀゚∩ ただ、ジャケデザインだけはバンドロゴを含めてもうちょっと内容に即したカラフルなデザインにした方が誤解されないと思うんですけど…今のままだとスラッシュ系かアンダーグラウンドのダークなモダンヘヴィネス系にも勘違いされてもおかしくないので…(汗 総合的に見てまだまだB級レベルなのは否めないけれど、80年代北欧美旋律HMの作品が好きだった方や、ちょっとウェットなユーロ風味あるメロディが満載な80年代風ハードポップ作がお好みな方にお薦めしてニヤリとしてもらいたい、そんな一作でありますのでご興味あるようでしたら是非一度ご自身の耳でチェックしてみてください。 Track List: 01. One Thousand Years 02. Stranger At Heart 03. Personal Matter 04. Darkest Fantasies 05. Love Can Be Lonely 06. Say That You Love Me 07. Love Affair 08. Clutching At Straws 09. Anthem Of A Broken Heart Bonus Tracks: 10. Night Drive Cali 11. This Feeling SQUARED Line-up Jack L.Stroem (Lead Vocals、Guitars、Synthesizer、Electric Grand Piano、Hammond Organ :ex-LANCER、VANDOR) Arthur Vere (Lead Guitars、Rhythm Guitars) with: Kammo Olayvar (Bass : DEALS DEATH) Robin Risander (Drums :ex-MARK ZERO、MISTER MISERY、RYJAMASORKESTEM)
by malilion
| 2022-05-23 15:59
| 音楽
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