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UKベテランHRバンドTENが通算15枚目となる『Here Be Monsters』をリリース!

UKベテランHRバンドTENが通算15枚目となる『Here Be Monsters』をリリース!_c0072376_11282316.jpgTEN 「Here Be Monsters」'22

盟友 Vinny Burns (Guitars ex:DARE、ex:ASIA、現DARE)の脱退以降メンツも定まらずどんどん売りの叙情的メロディもフックも色褪せていった Gary Hughes (Vocals)率いる英国産ベテランHRバンドが、Frontiers Recordsを飛び出し新興レーベルから素晴らしい出来でメロハー・ファンを歓喜させたアルバムを二枚リリースした後、再び古巣のFrontiers Recordsへ出戻って以降安定した活動を続け、前作『Illuminati』'18 から4年ぶりとなる通算15枚目のスタジオ・アルバムをリリースしたのでご紹介。

最初に驚かされたのは、いつものチープでイマイチ見栄えの良くないジャケット(汗)ではなく、TENにしては珍しく示唆に富んだアートワークなジャケットデザインで、彼等にしてはジャケはセンス良いのではないだろうか?

また、残念ながら長らくドラムを務めて来た Max Yatesが脱退しており、本作では専任ドラマーは迎えずヘルプに Markus Kullman (SINNER、VOODOO CIRCLE)を迎えてアルバムで叩いて貰っている。

で、肝心の内容の方なのだが、残念ながらいつも恒例のマッタリと起伏の少ない穏やかでウェットなメロディが柔和に紡がれていく、3人のギタリストにキーボーディストまでいる6人の大所帯編成ながらヴォーカル偏重な楽曲構成故かプレイヤーの演奏が余り目立たない、誤魔化しようもなくマンネリ感がハンパない退屈な作風だ…(ツд`)

ベテランならではの安定感はあるが新鮮な驚きや予想外の楽曲展開に手に汗握る、という場面は皆無な、ある意味でファンが望む通りな、そして予想通りの退屈で平凡極まりない彼等にとって平均的な仕上がりの一作とも言えるが…ウーン。

それでも前作と比べればまだキーボードとギターが活躍する場が多く見受けられ、いつも Gary Hughesのディープ・ヴォイスばかりという楽曲スタイルに若干の変化が見られて、その点は本作の好ましい点として上げられるだろう。

如何せんリズムが単調(やはり専任ドラマー不在は痛いか)でロック的なダイナミズムに乏しく、ヴォーカルを主軸に据えたAORとしても起伏の少ない歌メロと音域の狭い淡泊なヴォーカルが楽曲の印象を平坦化してしまっている、アレンジにもこれといって驚くような点もない、楽曲のコンパクトさは向上しているし総合的な楽曲の雰囲気は前作よりも良好だが、どうにもリーダーである Gary Hughesの歌メロの幅の少なさや新鮮味の欠如、そしてフックが弱いのが致命的で、代わりにエッジあるリフや流暢で耳を惹くギターソロや華やかで煌びやかなキーボードワーク等が楽曲に表情やメリハリを懸命に生み出そうとバック陣が苦心しているのが伺えるものの、それら全てを Gary Hughesの気の抜けたコーラの如き変わり映えしないヴォーカルと助長な展開の楽曲がブチ壊しており、アルバムが進むにつれどんどん心苦しくなっていく…orz

古巣Frontiers Recordsを飛び出して心機一転、新興レーベルからのリリース作『Battlefield』'16 で見せた、ハングリーな気迫や切羽詰まった緊張感、そして新鮮味ある驚きをもたらす細かなアレンジ等の、アノ心躍る要素が何故か楽曲から消え失せてしまっているのがどうにも・・・

唯一の救いは多過ぎるギター・プレイヤー達の役割分担が落ち着いたのか各ギタリスト達が限られたスペース内で伸び伸びと気持ちよくプレイしており、甘美なツインギターの絡みやリフにリードパートにと演奏を分け合って果敢に楽曲を盛り立てようと印象的なフレージングを常に繰り出し耳を惹きつけ楽しませてくれる事くらいだろうか?

後半になるとそれまでの退屈な雰囲気に変化をもたらすポップで弾むフィーリングが有る如何にもブリティッシュ・ポップ風なキャッチーな楽曲(しかもアルバムでも一、二を争うメロディアスでセンチメンタルな曲!)が飛び出してきて何とか最後までアルバムを聴き終える事が出来たのは幸いだった。

まぁ、何度も聴き込むと前作よりモダンさも控えめながら英国らしいポップなフィーリングやウェットな美旋律の質が随所で高まっている明らかに完成度の上がった、スルメの如く噛めば噛む程味わいの増すメロディアス・ロック作なのは分るが、やはりロックらしい即効性あるストレートな刺激に乏しいのは如何ともし難いですね…

プロデュースは Gary Hughes自身が手掛けており、ミキシングとマスタリングは『Stormworning』'11 以来10年に渡りタッグを組む Dennis Ward (ex:PINK CREAM 69、MAGNUM、PLACE VENDOME、UNISONIC、etc...)が担当しているのだが、やはりこの変化のない制作環境も退屈な作風の一因のように思えてなりません。

作曲能力や演奏技術に特に著しい問題がある訳ではないので、新たに敏腕プロデューサーを迎え入れる事が出来ればこの起伏の少なく変化に乏しい似たり寄ったりな構成の楽曲ばかりなアルバムに劇的な変化が訪れるかもしれないのですが、ボスでフロントマンの Gary Hughesがプロデュースまでしてバンド並びにアルバムを完全にコントロールしてしまっている現状ではその望みは薄く…('A`)

ブリティッシュHRバンドらしいウェットでセンチメンタルな美旋律や漂うメランコリックな雰囲気、そして哀愁を紡ぐ泣きまくるギターの音色や壮大なスケール感を演出する荘厳な鍵盤サウンドと要所要所を見ていけば決して悪くない、全体的に見ても非常に英国HRバンドらしい手堅い創りのアルバムなのだが、どうにも平均点以上の感想が思い浮かばない凡作と言うのが偽らざる評価ではないだろうか?

毎度お馴染みなコンセプチュアルな雰囲気や全体のサウンドは良いものの、聴き終えた後でアルバムのメロディや楽曲の印象が薄く、大仰さが鼻につく大作志向な楽曲は減ったものの、相変わらず歌メロにはフックが乏しく退屈なミッドテンポな曲ばかりの駄AOR化したタルさが強く感じられ、幾分か前作よりモダンさやスタイリッシュさは増しているように思えるが、一定クオリティを常に保っているという点では確かにプロフェッショナルなバンド作でも、これだけ変わり映えしない新鮮味の少なく予想外の刺激が見当たらないアルバムが続くと、残念ながら新規ユーザーの開拓は難しいだろう。

もう盟友 Vinny Burnsも居ないし、メンツも全く違うし、時代も違うとは言え、彼等が90年代初期にはもっと刺激的でスリリングなブリティッシュHRハサウンドを披露していた事を知っていると、どうにも今の退屈な作風には苦言を呈したくなるのです…

Gary Hughesはまだまだ枯れ果てる歳でもないだろうに、なんでこんなに渋い鄙びた方向性へ進んでしまったのか…二十周年記念盤『Albion』'14 で取り戻したアノ輝きは一時の気の迷いだったのか、単なるフロックだったのか…(T~T)

Tracks Listing:
01. Fearless
02. Chapter And Psalm
03. Hurricane
04. Strangers On A Distant Shore
05. The Dream That Fell To Earth
06. The Miracle Of Life
07. Immaculate Friends
08. Anything You Want
09. Follow Me Into The Fire
10. The Longest Time
11.Hurricane (Different Mix)

TEN Line-Up:
Gary Hughes     (Vocals、Rhythm Guitars)
Dann Rosingana    (Lead Guitars)
Steve Grocott      (Lead Guitars)
John Halliwell      (Rhythm Guitars)
Darrel Treece-Birch  (Keyboards)
Steve McKenna     (Bass)

With
Markus Kullman    (Drums)

P.S. 
クレジットを見るとリズムギタリストの John Halliwellがメンバー扱いでないのだけどちゃんとメンバーフォトには収まっている。どういう事なのか不明だ。
海外の情報でもメンバー扱いだったり、そうでなかったりで混乱させられる…
リズムギターは Gary Hughesがプレイしたから彼はレコーディングに呼ばれなかったのだろうか? なら脱退したと公式にインフォがあるはずなんだが…(汗
同時制作されていると言うもう一枚のアルバムも間もなくリリースされるだろうから、そこでのクレジットがどうなっているのか、はたまた何らかの説明がるのか、何事も Gary Hughes次第であります…



by malilion | 2022-05-21 11:30 | 音楽 | Trackback
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