![]() 米国ペンシルベニア州で結成され、89年に150~300本程リリースされた数本のデモテープと90年リリースのカセット・アルバム一枚のみを残して極短期間で解散したUSメロディアスHRバンドの音源が、カセットテープのオリジナル音源に加え、リマスター音源、アルバム・セッションやバンド解散後の未発表曲やデモ、さらにボーナス・ディスクとしてアルバム収録曲の別ヴァージョンORIGINAL REFERENCE MIXも収録された豪華二枚組仕様の初CD化&限定盤でオフィシャル・リリースされたのを即GET! ORIGINAL REFERENCE MIXと仰々しい呼び名でクレジットされていますが、要はREFERENCEは“最適化”と言う意味で使われていると思われるので、最新のREMIX&REMASTEREDヴァージョンを格好良く言い表してるだけだと思います(汗 本バンドを語る上で避けて通れぬ人物が、CMソングやソロ・ロック・シンガーとしての活動だけでなくブロードウェイで上演された『Beatlemania』で Paul McCartney役で出演し現在もBEATLESトリビュートバンドLVERPOOLでの活動も継続中な多彩な才能を持つ米国人ソロ・アーティスト Glen Burtnikで、89年頃に再結成したアメリカン・プログレハード・バンドSTYXへフロントマン Tommy Shawの後任として Glen Burtnikが加入した事が発端でGALLEYBOYZは誕生する。 80年代末、A&Mレコード所属アーティストであった Glen Burtnikのソロ・ツアーのバックバンド・メンバーだった Michael Baranski(Guitars、Backing Vocals)と Steve Schuffert(Guitars、Backing Vocals)は、Glen BurtnikがSTYXへ加入して仕事にあぶれた元マネージャーに声をかけられ新バンドを結成する事になり、Michael Baranskiと以前別のバンドで活動を共にしていた John Rongo(Guitars)と Larry Paoletta(Drums)が誘われ、専任ベーシストが居ない状態でGALLEYBOYZが結成された。 フロントマンを務める事になった Michael Baranski主導で楽曲が制作され、まずデモテープを制作した後にスタジオ入りし、当然の流れで Glen Burtnikをプロデューサーに迎え、往年のポップミュージシャン Donnie Irisが全てのアルバムを録音していたペンシルベニア州ニューブライトンのジェリーズ・レコード・スタジオでレコーディングを行うとレコード会社Carl MaduriのOceana Recordsと契約し、BMGとディストリビューション契約を交わすなど、有能マネージャーに率いられた新人バンドとして望む通りに順調な滑り出しでその後の活動は眩い希望に満ち溢れていた事だろう。 実際、1990年9月にカセット・オンリーではあるがリリースされた彼等のデヴュー・アルバムは ビルボード誌で好評を博した…までは良かったのだが、その後のバンドの方向性や、シングルカットする楽曲についてバンド結成の仕掛け人でる Glen Burtnikの元マネージャーと意見の相違が起き、両者の関係は修復不能なまでにこじれ、結果として結成から僅か数カ月でアッサリとGALLEYBOYZは解散(!?)してしまう。 メンバー3人の分厚いバッキングコーラスもタップリとフィーチャーされた、華やかな80年代路線を継承する薄っすらキーボードも導入されたコンパクトでキャッチーな楽曲は如何にも当時のヒットチャート狙いなドライン・サウンドのアメリカンHR作で、当時の新人バンド達が共通で備えていた要素をしっかり保持しつつDANGER DANGERやTRIXTERを彷彿とさせる躍動感とフレッシュな息吹に満ちており、メジャー・クラスのA級バンド作と貼り合える高品質サウンドなどと決して言えないが、デヴュー作にして充実した仕上がり具合はさすが Glen Burtnikの後ろで活動していたミュージシャン達が結成した新バンドといった所で、やはりバブリーなサウンドの80年代からグランジーの闇に覆われた90年代というシーンの節目にデヴューが重なってしまったのがマネージャーとの意見の相違を引き起こしただろう原因でしょうし、仮にマネージャーと揉めていなかったとしても恐らくデヴュー時の音楽性では長続きは困難だったでしょうから、メインストリームの変節と言うのが避けられぬ彼等の不幸だったのではないでしょうか…(´A`) GALLEYBOYZ消滅後、Michael BaranskiはSTYXの James Youngのソロ活動バンド James Young Groupに加入して活動を共にしたり、90年代にはサポートバックアップ・シンガーとしてSTYXのツアーにも参加、さらに本作には Dennis De Young参加の未発表音源を収録するなど、Glen BurtnikだけでないSTYXメンバー達と関係の深いミュージシャンが在籍していた、STYXファンならば見逃せない幻のバンド、それがGALLEYBOYZと言えるだろう。 Michael Baranskiの相棒 Steve Schuffertは自身のバンド Steve Schuffert Bandを結成して90年代後半から00年代後半まで、毎年定期的にヨーロッパ圏をツアーしていたので、彼は彼で決してメジャー・アクト級とは言い難いがインディー活動なれどもソロ・プロジェクトを成功させたと言っていいのではないだろうか? さて、本作のオリジナル音源である Glen Burtnikの手によるプロデュースのカッセット音源はDisc 1に収められているが、高額なバジェッドをかけず制作されたテープ・フォーマット音源な事もあって、正直、当時流行りであったオーバー・プロデュース気味なハイクオリティ・サウンドとは言い難いものの、適度に隙間を活かした楽器の自然な鳴りとナチュラルなフィーリングが楽しめる上々のデヴュー作でありますが、やはり目玉はDisc 2に収められている最近引っ張りダコな JK Northrup(ex:KING KOBRA)が施したリマスター音源と未発音源の方でしょう。 で、リマスター音源ことORIGINAL REFERENCE MIXを施された楽曲ですが、明らかにボトムの音圧が今の耳で聴くのに耐える仕様へアップしヘヴィさが増しているのと、オリジナル盤ではミックスで後ろへ引っ込められ音量も落とされていたキーボード・サウンドがググッとアップして前に出てきており、ギター・サウンドもクリアーでクリスプに磨き直されてラウドに響き渡っている、より80年代風味の増した華やかでタイトな演奏が楽しめる音の分離が向上したサウンドへとお色直しが施された、オリジナルのテープ・フォーマットなアルバムをお持ちの方も本作を買い直しても決して損はしない豪華二枚組なのは間違いありません! ('(゚∀゚∩ まぁ、STYX関連という下駄を外して本作に改めて耳を傾けてみると、Michael Baranskiの素直で伸びやかなヴォーカルは妙な癖もなく歌唱力も優れており大変聴き易いのですが『コレ!』というような突き抜けた個性も感じさせませんし、80年代風のアメリカンHRサウンドも特に個性的と言う訳もなく当時の華やかなシーンの中にあっては埋没してしまうだろう強力な武器を持たぬオーソドックス過ぎるキャッチーなUSロックサウンドと断じてしまえるので、STYX人脈に興味のない方やSTYXファンでない方には余り訴求しない、短期間で消えたのもむべなるかなな90年代初頭の悪くないけど特にメチャ良くもないB級アメリカンHRバンド作という評価に落ち着くかと思います… デモ音源のクレジットを見るに92年頃まではメンバーは活動を共にしていた模様で、バンド解散後のセッション(再結成を画策したのか、別名義バンドかは謎)には有名バンドに参加していたミュージシャン達も参加しており、クレジットに目を通して興味を惹かれた方は本作のサウンドを一度チェックしてもいいかもしれない。 個人的にはバンド解散後の楽曲の方がキャッチーでスリリングだし Michael Baranskiの歌唱スタイルも力強さやワイルドさが増しており、デヴュー作で聴けた行儀が良過ぎて没個性な歌声になっていないので、グランジーの逆風に挫けず2ndアルバムを制作してくれていたならば、今頃名盤としてメロハー・マニアが血眼になって探し回っていたかもしれませんね…(´д⊂) 限定盤との事なので、未発音源等の掘り出し物マニアやSTYXファン、そして90年代初頭のキャッチーなアメリカンHR好きな方は早目にGETしておきましょう。 Track List: Disc 1: 01. You Get What You Pay For 02. Nothin' To Lose 03. One Step Up 04. Fear For Your Life 05. Stand Up Fall Down 06. Rock & Roll Ain't All So Bad 07. Desperate Man 08. I Can't Live Without Your Love 09. I'll Be Alright 10. Tired of Rappin' Disc 2: 01. You Get What You Pay For (Reference Mix) 02. Nothing To Lose (Reference Mix) 03. One Step Up (Reference Mix) 04. Fear For Your Life (Reference Mix) 05. Stand Up Fall Down (Reference Mix) 06. Rock & Roll Ain't All So Bad (Reference Mix) 07. Desperate Man (Reference Mix) 08. I'll Be Alright (Reference Mix) 09. Tired Of Rappin' (Reference Mix) 10. Fame (Previously Unreleased: Feat. Dennis De Young on Keyboards) 11. Give It What You Got (Previously Unreleased: Feat Jon Brant on Bass) 12. It's My Dream (Previously Unreleased) 13. Hungry (1992 Home Demo) 14. Goodbye, Love (1992 Home Demo) 15. What's This World Comin' To (1992 Home Demo) 16. Out Of The Cage (1992 Home Demo) 17. Standing On The Edge (1993 Studio Demo) 18. Without You, Without Me (2003 Unreleased Track) 19. Let's Get it Started (2011 Studio Demo) GALLEYBOYZ Line-up: Michael Baranski (Lead Vocals、Guitars、Backing Vocals) Steve Schuffert (Guitars、Slide Guitar、Backing Vocals、Lead Vocals on I Can't Live Without Your Love) John Rongo (Guitars、Backing Vocals、Co-Lead Vocal on One Step Up) Larry Paoletta (Drums、Keyboards & Sound Effects on Tired Of Rappin') with: James Byers /Bass Kevin Mazey /Keyboards Jim Moran /Keyboards Extra Musicians: “Give It What You Got” Michael Baranski (Lead Vocals、Guitars、Backing Vocals) Jon Brant:from CHEEP TRICK (Bass) Jimmy Clark:from Joan Jett (Drums) “Fame & It's My Dream” Michael Baranski (Lead Vocals、Guitars、Backing Vocals) Bob Lizik:from Brian Wilson (Bass) Jim Hines (Drums) Dennis De Young:from STYX (Keyboards on Fame) Home Demo: Michael Baranski (Lead Vocals、Guitars、Bass、Drum Programming、Backing Vocals) Steve Schuffert (Guitars、Backing Vocals)
by malilion
| 2022-05-14 18:06
| 音楽
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