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70年代レトロ風味な北欧シンフォHRバンドHALLASが3rdアルバムをリリース!!

70年代レトロ風味な北欧シンフォHRバンドHALLASが3rdアルバムをリリース!!_c0072376_17582477.jpgHALLAS 「Isle Of Wisdom」'22

北欧スウェーデン産5人組シンフォHRバンドの3rdアルバムが2年ぶりにリリースされたのを少々遅れてGETしたのでご紹介。

プログHM、ブラックメタル、シンフォ・ロック等に影響を受けて来たメンツによって2011年に結成され、ベーシストがヴォーカリストを兼ねるツインギター&キーボード入り編成なのは前作と同じく変わっていない。

北欧スウェーデン産シンフォと言うとクリムゾン系のダークでヘヴィなヴィンテージ系リバイバル・プログレサウンドな一連のバンド達が思い浮かぶが、彼等はそれらのリバイバル勢と一線を画すサウンドを鳴らしており、70年代英国HRをベースにブラックメタルからサイケ、シンセポップまで様々なジャンルからの影響をサウンドに散りばめつつ、より現代的なモダン・シンフォサウンドへと纏め上げた、これまでリバイバル系の回帰サウンドとかなり温度差のあるレトロ・プログレ・サウンドをクリエイトして来た、癖が強く独創性の有る、それ故マニアックで一般受けが難しそうなバンドであります。

久しぶりに届けられた本作は基本的に前作の流れを汲んだ作風なものの、前作以上にミステリアスでスペイシー(笑)なシンセや重厚な轟くオルガン等の鍵盤サウンドを駆使してファンタジックな味付けを施しつつ、新たに70年代中期辺りまでのインディ・アメリカン・プログレハード・バンド作に特有であった混沌としたパワフルさとアーティスティックな創造性を加味し、そして北欧バンドらしい仄かな哀愁が漂う透明感ある美旋律で楽曲を引き立てており、これまで以上にキーボードを大きくフィーチャーしたサウンドに味わいと深みが感じられる、カオティックでダークなウネりが宿ったレトロ系シンフォ・サウンドの良作だ。

若干、今までよりも楽曲のスピーディーな畳みかけやHR的な勢い任せの破天荒なプレイが抑え気味になったが、代わって前作以上に緩急が活かされたプログレ特有の凝った楽曲展開や技巧的なアレンジのスリリングさは増しており、相変わらずC級に片足突っ込んだB級レベルの野暮ったいヴォーカルはいただけないが楽曲の雰囲気をブチ壊すような事はなく、巧みなツイン・ギターの絡みとダークでマジカルな雰囲気を演出するキーボードをバランス良く配したそのヘヴィなヴィンテージ系シンフォ・サウンドは、前作までのHRからのシンフォ・ロックへのアプローチの領域を更に一歩踏み越えた新たなレベルへバンドがステップアップした事を堂々と証明してみせている。

いやー、相変わらず70年代直系な図太いトーンのギター・サウンドはパワフルで、洗練の対極にあるようなドロついた古臭い鍵盤系サウンドの重なりが臭い立つようなヴィンテージな雰囲気を撒き散らしており、本当にこのバンドの愚直ながら真摯なレトロ・サウンドが堪りませんわ♪

また、バンドの創作状態が良く前作以上にメンバー間のマジックも働いているのか、スウェーデン産バンドならではの寂寞感ある物悲しいメロディとダークな叙情感はお手本であろう70年代USプログレ・ハードには希薄で、それらを独特のタッチとカラフルな音の洪水を手際よく紡いでいく様は、彼等が他のどんなレトロ系バンドとも似ていない単なる焼き直しのリバイバル・バンドでない事を如実に物語っていると言えるでしょう(*´∀`*)

ただ、やはり総合的な完成度はまだまだと言え、前作で聴けたキャッチーさが大きく後退した事や聴き易さは犠牲にして独特な骨太のシンフォ・サウンドを構築しているので、そういうった点が受け入れられない方にとっては只の古臭く野暮ったいプログレHRにしか聴こえないんでしょうけどね…

やはりYES風とかGENESISに影響を受けたフォロワー・バンドとか、そういう風な分かり易く彼等のサウンドを形容出来るような簡単なカテゴライズが当てはまらないサウンドだからこそユニークで独特で特異なのですが、それ故売れずらく理解してもらい難いサウンドなのが難点なんですよねぇ…

未だにHR風な粗忽でドタバタした落ち着きの無さや、どうかするとパワー圧しの図太いサウンドで畳みかけそうになるきらいがあるように感じられる点が改善され、目指す方向性の先にあるよりインテリジェンス溢れる気品やスマートなテクニカル・サウンドに洗練されればA級シンフォHRバンドへ間違いなく生まれ変われるだろうが、まぁ、そこまでにはクリアしなきゃいけない問題点も山積してますし、何より洗練度が増すと“彼等らしさ”が薄れて凡百のインディ・シンフォ・バンドに成りかねないので、この危ういバランスで野暮ったいままに独自のハード・シンフォ・サウンドを追求して欲しいものです。

とまれ70年代英国HRベースなレトロ風味ハード・シンフォや70年代英国プログレ好きや70年代USプログレ・ハード等のレイドバックしたオルガン・ロック好きな方にならお薦め出来る、野暮ったいヴォーカルが玉に瑕ですが少々毛色の違う新たな北欧ハード・シンフォの可能性とも言える冒険的な一作ですので、ご興味あるようでしたら是非一度チェックして見て下さい。

Tracks Listing
01. Birth / Into Darkness
02. Advent Of Dawn
03. Earl's Theme
04. The Inner Chamber
05. Elusion's Gate
06. Gallivants (Of Space)
07. Stygian Depths
08. The Wind Carries The Word

HALLAS Line-Up:
Tommy Alexandersson   (Lead Vocals & Bass Guitars)
Alexander Moraitis      (Guitars)
Marcus Pettersson     (Guitars)
Nicklas Malmqvist      (Organ & Synthesizer)
Kasper Eriksson       (Drums & Percussion)



by malilion | 2022-04-22 17:58 | 音楽 | Trackback
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