TWELFTH NIGHT 「Smiling At Greif...Revisited ~40th Anniversary Edition~」'22
今は亡き Geoff Mannのエキセントリックなカリスマ・ヴォーカルと特異なステージ・パフォーマンス、そしてGENESISを原点にニューウェイヴ・テイストが色濃く癖の強いハイブリッドなハードシンフォ・サウンドで80年代を賑わした、MARILLION、IQ、PALLAS、PENDRAGON等と並びUKポンプ・ロックの代表的グループであるTWELFTH NIGHTのお馴染みとなった旧音源に手を加えた新規リミックス音源追加&リマスター&40周年記念リイシュー作が限定盤でリリースされたのをちょい遅れてGET! オリジナルは彼等が1982年に自主制作カセット・アルバムとしてリリースした音源だが、『Smiling At Greif“The Different Edition”』として通常音源にオリジナル・デモ音源や未発音源、Instrumental VersionやAlternate Versionを追加し、さらに81年のLIVE音源『Smiling At Grief...Live』を同梱したヴォリューム満点な28曲収録の二枚組盤DIGITAL REMASTERED盤として05年に既にリリースされていたアルバムで、アニヴァーサリー企画盤としてではありますがまさか再びリイシューされる運びになるとは思いませんでした。 もう何回このアルバム買い直してるんや…ホントにぃ…(涙 ていうか、近年活動を再活性化させているもののリリースされるのは蔵出し音源や旧作のリマスター、そして蔵出しメモリアルLIVE音源等と、旧曲を再録したシングル『Sequences』以外は殆ど新規音源では無く『そろそろ新フロントマン Mark Spencerを迎えて初となるスタジオ・アルバムが届けられる頃に違いない!』と勝手に期待し、予想していただけに『オイオイオイ! まぁーた旧音源に手を加えた死人の褌で金儲けする盤かよォ!?』と、本作のインフォを見た時少々ウンザリしたのが偽らざる心境であります…orz 『ソレでいいのか Mark Spencer…ちょっと蔑ろにされ過ぎじゃないか? 正式メンバーだぞ、LIVEのヘルプ要員じゃねぇんだぞ?』という言葉が真っ先に脳裏を掠めたのは言うまでもありません… 既発アルバムに手を変え品を変えはお馴染みなので今さら驚きもしませんが、わざわざ再リリースする時に彼等は必ず購買意欲をそそるような巧妙な仕掛けを施しているのが常で、今回もその例に漏れず最近バンドに加入した現メンバーの Mark Spencer(Lead Vocals、Guitars、Keyboards)とGALAHADにも在籍する Dean Baker(Keyboards、Piano)の二人の他、Steven Wilson(PORCUPINE TREE、etc...)、Karl Groom(THRESHOLD、etc...)、Tim Bowness(NO-MAN、etc...)、Rob Reed(MAGENTA、etc...)、Simon Godfrey(TINYFISH、etc...)、Peter Jones(CAMEL、TIGER MOTH TALES、etc...)、Andy Tillson(THE TANGENT、PARALLEL OR 90 DEGREES、etc...)、Paul Hodson(ex:TEN、ex:HARD RAIN、HODSON、etc...)、Gareth Cole(DRIFTING SUN、etc...)等がオリジナル・マスターテープにギターやキーボード等の様々な楽器やヴォーカル等の新録音源を加え、曲によっては未使用の旧音源を加えるなどして、さらに各自がそれぞれ楽曲毎にリミックスを施し、新しいマテリアルとして旧曲をリメイクする構成で、敢えて昔からバンドを支えてきたオリジナル・メンバーが手を出さず、半分外部の人間とも言える新規メンバーの二人とTWELFTH NIGHTに影響を受けただろう現在はシーンの第一線で活躍するシンフォ系ミュージシャンである面々やモダン・ロック、HR系の若いミュージシャン等も加えて80年代初期の音源を新たな感性で現在に蘇らせた、TWELFTH NIGHTファンのみならず各参加ミュージシャンの個人的ファンならば絶体に見逃せない心憎いリスペクト企画盤となっている。 単なる旧音源リミックス盤ならそんなにそそられなかったんですが、なにせ新人TWELFTH NIGHTメンバーが揃って参加している点や、有名英国ミュージシャン達に完全にリミックスや新録パートを任せている点等、適当に旧音源に手を加えた水増しリメイク盤ではないのは明らかで、バンドの全盛期にミュージシャン活動していなかった新世代のミュージシャン達が一体どんな感性でサウンドをリメイクするのか、また新録プレイはどんな方向性なのか、と参加メンツの名前を見たら興味が尽きる事無い完全に企画勝ちしている掟破りなズルい一作で、さらに本編収録曲7曲を各ミュージシャンに加えさらにゲストを招いてRemix(一部新録も含む曲もアリ)を手掛けた別ヴァージョンも収録と、完璧にしてやられている(笑)のは分っていても手を出さざる負えない大変に魅力的な一作なのは間違いない(汗 まぁ、記念盤だしトータルなサウンドの纏まりや完成度はハナから度外視した外部の人間に古い音源を託して好き勝手に料理させるお祭り企画盤なので、その点については最初から問題にはならないし、デジタリーな音像で打ち込みを用いて無機質なリズムを強調したモダン・ロック風な楽曲や、今もファンを魅了し続ける Geoff Mannのエキセントリックに感情を迸らす強烈な弾けっぷりにフォーカスしたパンキッシュに疾走するビートロック風な楽曲、キーボードを大幅に加えてより壮大なシンフォニック・ロック化した楽曲、原曲に無いソロ・ギターパートを加え今風シンフォ・ロックに仕上げた楽曲、さらに特筆すべきは現フロントマンの Mark Spencerが Geoff Mannとコーラスしたりハモったりリード・ヴォーカルを分け合って歌っているのが楽しめる楽曲等々、比較的オリジナルに忠実なアレンジが成された楽曲から自身のカラーを加え大きく原曲のイメージからかけ離れた楽曲(Puppets、人気過ぎだろw)まで、各自がかなり個性的な音のいじり方をしているのが楽しめるだけでなく参加アーティスト銘々が抱くTWELFTH NIGHTへのリスペクトが伺える良作でもあります。 当時にして既にチープ気味だったポリフォニック・シンセをフィーチャーしたプログレ・カラーとパンキッシュでメタリックなニューウェイヴ・カラーが激しく交差し絶妙にポンプ・サウンドを織り成す独特なTWELFTH NIGHTオリジナル・サウンドと、新しい感性と若い奏者によってリワークされ斬新に蘇った最新サウンドの差異を聴き比べて楽しんだり、リワークによって今まで聴こえていなかったがハッキリと聴こえるようになったサウンド・ピースの妙など、聴き慣れた楽曲にも新しい発見があったりして思いの他に新鮮な喜びを与えてくれた企画アルバムなのは確かだ。 とは言え、TWELFTH NIGHTのサウンド自体に興味が無い方や80年代ポンプに特に思い入れが無い方にはかなりマニアックな内容のアルバムである事は違いないので、TWELFTH NIGHTファンならば素早く本作を購入し、そうでない方は一度ネットなどで本作のサウンドをまず入念にチェックしてみて気に入ったのならば本作を入口に過去を遡ってオリジナル盤にも手を出してみるのは如何だろうか? Tracks Listing 01. East Of Eden (Steven Wilson Re-Worked) 02. This City (Peter Jones Re-Worked) 03. The Honeymoon Is Over (Karl Groom Re-Worked) 04. Creepshow (Simon Godfrey Re-Worked) 05. Puppets [Intro] (Mark Spencer Re-Worked) 06. Puppets (Rob Reed Re-Worked) 07. Three Dancers (Steven Wilson Re-Worked) 08. Makes No Sense (Tim Bowness & Brain Hulse Re-Worked) 09. Fur Helene PartⅡ(Dean Baker Re-Worked) Another Remixed Version 10. Puppets (Steven Wilson Remixed) 11. The Honeymoon Is Over (Andy Tillson Remixed) 12. Creepshow (Paul Hodson Remixed) 13. Puppets (Rob Reed ft.Stuart Nicholson & Lee Abraham Remixed) 14. Three Dancers (Gareth Cole Remixed) 15. Makes No Sense (Mark Spencer Remixed) 16. East Of Eden [Extended] (Steven Wilson Remixed) TWELFTH NIGHT Line-Up: Mark Spencer (Lead Vocals、Guitars、Keyboards、Bass、Other Bits) Andy Revell (Guitars) Brian Devoil (Drums & Percussion) Dean Baker (Keyboards、Piano) Andy Faulkner (Bass)
by malilion
| 2022-04-21 22:18
| 音楽
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